Clinical snapshot

ファロム錠200mg

ファロペネムナトリウム水和物

添付文書改訂 2023年07月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 〈適応菌種〉

ファロペネムに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌、ペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属、アクネ菌

  • 〈適応症〉

表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎

用法・用量

  • 〈表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、膀胱炎(単純性に限る)、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、外耳炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎〉

通常、成人にはファロペネムナトリウム水和物として1回150mg~200mg(力価)を1日3回経口投与する。 なお、年齢及び症状に応じて適宜増減する。

  • 〈肺炎、肺膿瘍、膀胱炎(単純性を除く)、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、中耳炎、副鼻腔炎〉

通常、成人にはファロペネムナトリウム水和物として1回200mg~300mg(力価)を1日3回経口投与する。 なお、年齢及び症状に応じて適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

  2. 8.2ショックがあらわれるおそれがあるので、十分な問診を行うこと。

  3. 8.3AST・ALT・Al-P等の上昇、黄疸があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。

  4. 8.4本剤で最も発現頻度が高い副作用は下痢、軟便である。下痢、軟便があらわれた場合には、本剤の投与を中止するなどの適切な処置を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1ペニシリン系、セフェム系又はカルバペネム系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 9.1.2本人又は両親、兄弟が気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者

  3. 9.1.3経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者

ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1高度の腎機能障害の患者

投与量を減量するか投与間隔をあけて使用すること。本剤の主たる排泄経路は腎臓であり、血中濃度半減期が延長し、血中濃度が持続する。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること2),3)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤はヒト母乳中への移行が認められている。

9.7 小児等

低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

本剤の投与にあたっては次の事項に特に留意し、1回150mgから投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しており、副作用が発現しやすい。

  • 高齢者を対象とした体内薬物動態試験で、健康成人と比較して加齢に伴う腎機能低下によると思われる血中濃度半減期の延長が認められており、その結果高い血中濃度が持続するおそれがある。

  • 下痢、軟便の発現が全身状態の悪化につながるおそれがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、このような症状があらわれた場合には直ちに医師の指示を受けるように患者を指導すること。

  • ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
イミペネム・シラスタチンナトリウム 動物実験(ラット)で、本剤の血中濃度が上昇することが報告されている4)。 シラスタチンにより代謝酵素が阻害されることによる。
フロセミド 動物実験(イヌ)で、本剤の腎毒性が増強されることが報告されている5)。 機序は不明。
バルプロ酸ナトリウム カルバペネム系薬剤(メロペネム、パニペネム・ベタミプロン、イミペネム・シラスタチンナトリウム)との併用によりバルプロ酸の血中濃度が低下し、てんかんの発作が再発することが報告されている。 機序は不明。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
AST・ALT・γ-GTP・Al-P・ビリルビン・LDHの上昇 1〜5%未満
BUNの上昇 1〜5%未満
カンジダ症 頻度不明
クレアチニンの上昇 頻度不明
しびれ 頻度不明
そう痒 1〜5%未満
ビタミンB群欠乏症状(舌炎 頻度不明
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症 頻度不明
ほてり 1〜5%未満
めまい 1%未満
下痢注1) 1〜5%未満
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
出血傾向等) 頻度不明
口内炎 頻度不明
口内炎 頻度不明
口唇乾燥 1%未満
口唇炎 頻度不明
口角炎 1%未満
嘔吐 1〜5%未満
嘔気 1〜5%未満
好酸球増多 1〜5%未満
浮腫 1%未満
消化不良 頻度不明
爪変色 1%未満
発熱 1%未満
発疹 1〜5%未満
発赤 1%未満
白血球分画の異常等 1〜5%未満
眠気 1%未満
眼痛 1%未満
神経炎等) 頻度不明
紅斑 頻度不明
胃炎 頻度不明
胃腸障害 1%未満
腹痛 1〜5%未満
腹部膨満感 1〜5%未満
蕁麻疹 頻度不明
血小板数の変動 1〜5%未満
軟便注1) 1〜5%未満
頭痛 1%未満
顆粒球数の変動 1〜5%未満
食欲不振 1〜5%未満
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ファロペネムナトリウム水和物は基本骨格にペネム環を有するペネム系経口抗生物質であり、細菌の細胞壁合成阻害により殺菌作用を示す。各種ペニシリン結合蛋白質(PBPs)との親和性は高く、特に細菌の増殖に必須である高分子PBPとの親和性が高い23),24)。

18.2 抗菌作用

  1. 18.2.1ファロペネムは好気性グラム陽性菌、好気性グラム陰性菌及び嫌気性菌に対し広範な抗菌スペクトルを有する。特に、好気性グラム陽性菌のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、好気性グラム陰性菌のシトロバクター属、エンテロバクター属、百日咳菌及び嫌気性菌のペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属等に対して強い抗菌力を示し、その作用は殺菌的である23),24),25),26),27)(in vitro)。

  2. 18.2.2ファロペネムは各種細菌の産生するβ-ラクタマーゼに安定で、β-ラクタマーゼ産生菌にも優れた抗菌力を示す23),24),25),26),27)(in vitro)。

薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人に150、300、600mg注2)(力価)を空腹時単回経口投与後約1~1.4時間にそれぞれ2.4、6.2、7.4μg/mLの最高血漿中濃度に到達し、その半減期は投与量に依存せず一定で約1時間であった9)。

図 健康成人の空腹時単回経口投与時の血漿中濃度推移

投与量 Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC(0-24hr)
(μg・hr/mL)
150mg(力価) 6 2.36±1.01 0.96±0.46 0.76±0.14 3.95±2.06
300mg(力価) 6 6.24±2.86 1.04±0.40 0.85±0.23 11.73±8.31
600mg(力価) 6 7.37±1.97 1.42±0.49 1.08±0.19 19.59±6.37

平均±標準偏差

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人に300mg(力価)を食後単回経口投与した時、最高血漿中濃度到達時間が空腹時投与より約1時間遅延したが、最高血漿中濃度、半減期及び血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)にほとんど差は認められなかった9)。

図 健康成人の空腹時又は食後単回経口投与時の血漿中濃度推移

投与量 Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC(0-24hr)
(μg・hr/mL)
300mg(力価)
(空腹時)
6 6.24±2.86 1.04±0.40 0.85±0.23 11.73±8.31
300mg(力価)
(食後)
6 4.25±1.58 2.08±0.49 1.01±0.22 9.75±4.63

平均±標準偏差

16.3 分布

  1. 16.3.1組織内移行

患者喀痰10)、抜歯創浸出液11)、皮膚組織12)、扁桃組織13)、上顎洞粘膜組織13)、女性器組織14),15)、眼瞼皮下組織16)及び前立腺組織17)等への移行が認められた。なお、乳汁中へわずかに移行する15)。

16.4 代謝

吸収されたファロペネムは代謝を受けずに尿中に排泄される他に、腎に存在するDehydropeptidase-Ⅰ(DHP-Ⅰ)により代謝された後に尿中に排泄される。ヒトの血漿及び尿中には抗菌活性を有する代謝物は認められていない9)。

16.5 排泄

主として腎より排泄され、健康成人(空腹時)における150、300、600mg注2)(力価)経口投与時の尿中排泄率(0~24時間)は3.1~6.8%で、最高尿中濃度は0~2時間でそれぞれ21.7、57.6、151.5μg/mLであり、12時間以降はほとんど検出されなかった9)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

血漿中濃度の上昇及び半減期の延長が認められている18)。

  1. 16.6.2高齢者

市販後臨床試験において、高齢患者(66~90歳)に1回150mg(力価)1日3回、4~8日連続経口投与した時の最終投与後(食後)の薬物動態パラメータを健康成人と比較すると、最高血漿中濃度は低下し、最高血漿中濃度到達時間及び半減期は延長した19)。

図 高齢患者の経口投与時の血漿中濃度推移(150mg、食後)

投与量 Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC(0-24hr)
(μg・hr/mL)
150mg(力価)
(食後)
17 1.09±0.43 2.29±1.16 2.42±3.09 5.03±2.57

平均±標準偏差

注2)本剤の承認された用法・用量は「1回150~300mg(力価)を1日3回経口投与」である。