18.1 作用機序
ファロペネムナトリウム水和物は基本骨格にペネム環を有するペネム系経口抗生物質であり、細菌の細胞壁合成阻害により殺菌作用を示す。各種ペニシリン結合蛋白質(PBPs)との親和性は高く、特に細菌の増殖に必須である高分子PBPとの親和性が高い23),24)。
18.2 抗菌作用
-
18.2.1ファロペネムは好気性グラム陽性菌、好気性グラム陰性菌及び嫌気性菌に対し広範な抗菌スペクトルを有する。特に、好気性グラム陽性菌のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、好気性グラム陰性菌のシトロバクター属、エンテロバクター属、百日咳菌及び嫌気性菌のペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属等に対して強い抗菌力を示し、その作用は殺菌的である23),24),25),26),27)(in vitro)。
-
18.2.2ファロペネムは各種細菌の産生するβ-ラクタマーゼに安定で、β-ラクタマーゼ産生菌にも優れた抗菌力を示す23),24),25),26),27)(in vitro)。
16.1 血中濃度
健康成人に150、300、600mg注2)(力価)を空腹時単回経口投与後約1~1.4時間にそれぞれ2.4、6.2、7.4μg/mLの最高血漿中濃度に到達し、その半減期は投与量に依存せず一定で約1時間であった9)。
図 健康成人の空腹時単回経口投与時の血漿中濃度推移
| 投与量 |
例 |
Cmax (μg/mL) |
Tmax (hr) |
T1/2 (hr) |
AUC(0-24hr) (μg・hr/mL) |
| 150mg(力価) |
6 |
2.36±1.01 |
0.96±0.46 |
0.76±0.14 |
3.95±2.06 |
| 300mg(力価) |
6 |
6.24±2.86 |
1.04±0.40 |
0.85±0.23 |
11.73±8.31 |
| 600mg(力価) |
6 |
7.37±1.97 |
1.42±0.49 |
1.08±0.19 |
19.59±6.37 |
平均±標準偏差
16.2 吸収
- 16.2.1食事の影響
健康成人に300mg(力価)を食後単回経口投与した時、最高血漿中濃度到達時間が空腹時投与より約1時間遅延したが、最高血漿中濃度、半減期及び血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)にほとんど差は認められなかった9)。
図 健康成人の空腹時又は食後単回経口投与時の血漿中濃度推移
| 投与量 |
例 |
Cmax (μg/mL) |
Tmax (hr) |
T1/2 (hr) |
AUC(0-24hr) (μg・hr/mL) |
300mg(力価) (空腹時) |
6 |
6.24±2.86 |
1.04±0.40 |
0.85±0.23 |
11.73±8.31 |
300mg(力価) (食後) |
6 |
4.25±1.58 |
2.08±0.49 |
1.01±0.22 |
9.75±4.63 |
平均±標準偏差
16.3 分布
- 16.3.1組織内移行
患者喀痰10)、抜歯創浸出液11)、皮膚組織12)、扁桃組織13)、上顎洞粘膜組織13)、女性器組織14),15)、眼瞼皮下組織16)及び前立腺組織17)等への移行が認められた。なお、乳汁中へわずかに移行する15)。
16.4 代謝
吸収されたファロペネムは代謝を受けずに尿中に排泄される他に、腎に存在するDehydropeptidase-Ⅰ(DHP-Ⅰ)により代謝された後に尿中に排泄される。ヒトの血漿及び尿中には抗菌活性を有する代謝物は認められていない9)。
16.5 排泄
主として腎より排泄され、健康成人(空腹時)における150、300、600mg注2)(力価)経口投与時の尿中排泄率(0~24時間)は3.1~6.8%で、最高尿中濃度は0~2時間でそれぞれ21.7、57.6、151.5μg/mLであり、12時間以降はほとんど検出されなかった9)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者
血漿中濃度の上昇及び半減期の延長が認められている18)。
- 16.6.2高齢者
市販後臨床試験において、高齢患者(66~90歳)に1回150mg(力価)1日3回、4~8日連続経口投与した時の最終投与後(食後)の薬物動態パラメータを健康成人と比較すると、最高血漿中濃度は低下し、最高血漿中濃度到達時間及び半減期は延長した19)。
図 高齢患者の経口投与時の血漿中濃度推移(150mg、食後)
| 投与量 |
例 |
Cmax (μg/mL) |
Tmax (hr) |
T1/2 (hr) |
AUC(0-24hr) (μg・hr/mL) |
150mg(力価) (食後) |
17 |
1.09±0.43 |
2.29±1.16 |
2.42±3.09 |
5.03±2.57 |
平均±標準偏差
注2)本剤の承認された用法・用量は「1回150~300mg(力価)を1日3回経口投与」である。