Clinical snapshot

ピメノールカプセル100mg

ピルメノール塩酸塩水和物

添付文書改訂 2023年07月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1高度の房室ブロック、高度の洞房ブロックのある患者[刺激伝導抑制作用により、刺激伝導障害をさらに増悪させるおそれがある。]

  2. 2.2うっ血性心不全のある患者[陰性変力作用により、症状を悪化させることがある。また、催不整脈作用により、不整脈を誘発又は悪化させることがある。]

  3. 2.3閉塞隅角緑内障の患者[抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。]

  4. 2.4尿貯留傾向のある患者[抗コリン作用により、尿閉を悪化させるおそれがある。]

  5. 2.5本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  6. 2.6バルデナフィル、モキシフロキサシン、アミオダロン(注射剤)又はトレミフェンクエン酸塩を投与中の患者

効能・効果

下記の状態で他の抗不整脈薬が使用できないか、または無効の場合 頻脈性不整脈(心室性)

用法・用量

通常、成人にはピルメノール(遊離塩基)として1回100mgを1日2回経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の投与に際しては、頻回に患者の状態を観察し、心電図、脈拍、血圧、心胸比を定期的に調べること。PQの延長、QRS幅の増大、QTの延長、徐脈、血圧低下等の異常所見が認められた場合には、直ちに減量又は投与を中止すること。

  2. 8.2本剤には抗コリン作用があり、その作用に基づくと思われる排尿障害、口渇、霧視等の症状があらわれることがあるので、このような場合には、減量するか投与を中止すること。

  3. 8.31日用量200mgを超えて投与する場合、副作用発現の可能性が増大するので注意すること。

  4. 8.4失神、めまい、ふらつき、手足のしびれ等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1基礎心疾患(心筋梗塞、弁膜症、心筋症等)のある患者

少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。開始後1~2週間は入院させること。陰性変力作用により、心不全をきたすことがある。また、催不整脈作用により、不整脈を誘発又は悪化させることがあり、開始後1~2週間は心室頻拍、心室細動が発現するおそれが高い。

  1. 9.1.2高度の心拡大のある患者

陰性変力作用により、心不全をきたすおそれがある。また、催不整脈作用により、不整脈を誘発又は悪化させることがある。

  1. 9.1.3刺激伝導障害(房室ブロック、洞房ブロック、脚ブロック等)のある患者(高度の房室ブロック、高度の洞房ブロックのある患者を除く)

刺激伝導抑制作用により、刺激伝導障害をさらに増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.4著明な洞性徐脈のある患者

刺激伝導抑制作用により、洞房ブロックに移行させるおそれがある。

  1. 9.1.5血清カリウム低下のある患者

QT延長等の心電図異常が生じるおそれがある。

  1. 9.1.6治療中の糖尿病の患者

  2. 9.1.7開放隅角緑内障の患者

抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。

  1. 9.1.8他の抗不整脈薬を併用している患者

少量から開始するなど投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。併用時の有効性、安全性が確立していない。

9.2 腎機能障害患者

少量から開始するなど用法・用量を調整するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。本剤は主に腎臓より排泄される薬剤であり、腎機能の低下している患者では、半減期が延長又は血中濃度が予想以上に上昇する可能性がある

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重篤な肝機能障害患者

本剤は肝臓で代謝されるため、肝機能障害のある患者において薬物動態を変化させるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

授乳中の女性には、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ラットで母乳中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

入院させて投与を開始することが望ましい。低用量(例えば、1回50mg)から投与を開始し、投与量に十分注意するとともに、頻回に心電図検査を実施すること。高齢者では肝・腎機能が低下していることが多く、また、体重が少ない傾向があるなど、副作用が発現しやすい。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
バルデナフィル
• レビトラモキシフロキサシン
• アベロックスアミオダロン(注射剤)
• アンカロン注トレミフェンクエン酸塩
• フェアストン
心室性頻拍(Torsade de pointesを含む)、QT延長を起こすおそれがある。 併用によりQT延長作用が相加的に増強すると考えられる。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
糖尿病用剤
• インスリン
• スルホニル尿素系薬剤等
低血糖があらわれるおそれがある。 本剤で低血糖があらわれることがあり、併用により血糖の低下が増強される。
ジゴキシン ジゴキシンの血中濃度が上昇することがあるので、用量を調節するなど注意すること。 機序は不明である。
リファンピシン 本剤の血中濃度が低下することがあるので、用量を調節するなど注意すること。 リファンピシンにより代謝酵素が賦活され、本剤の血中濃度が低下すると考えられる。
QT延長を起こすことが知られている薬剤
• スパルフロキサシン等
QT延長作用が増強するおそれがある。 併用によりQT延長作用が相加的に増強すると考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
AST・ALT・ALP・γ-GTP・LDH・ビリルビン上昇等の肝機能障害 頻度不明
BUNの上昇 頻度不明
QT延長 頻度不明
クレアチニンの上昇 1%未満
ふらつき 頻度不明
ほてり 頻度不明
めまい 1%未満
リンパ球増多 1%未満
下痢 頻度不明
不眠 頻度不明
便秘 頻度不明
全身倦怠感 1%未満
動悸 1%未満
口中苦味 頻度不明
口内炎 頻度不明
口渇 頻度不明
嘔吐 頻度不明
好中球減少 1%未満
好酸球増多 頻度不明
尿量減少 頻度不明
尿閉 頻度不明
徐脈 頻度不明
心室性期外収縮 頻度不明
悪心 1%未満
手足のしびれ 1%未満
排尿困難 1%未満
排尿障害 頻度不明
気分不快感 頻度不明
疲労感 頻度不明
発疹 1%未満
眠気 頻度不明
胃部不快感 1%未満
胸やけ 1%未満
胸部不快感 1%未満
脚ブロック 頻度不明
腹痛 1%未満
腹部膨満感 頻度不明
蕁麻疹 1%未満
血小板減少 頻度不明
血糖値の上昇 頻度不明
複視 頻度不明
霧視 頻度不明
頭痛 頻度不明
頭重感 頻度不明
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は心筋細胞の活動電位の最大立ち上がり速度(Vmax)を抑制し、また活動電位持続時間(APD)を延長させる。

18.2 実験的不整脈に対する作用

  1. 18.2.1イヌの冠動脈二段結紮により惹起した心室性不整脈を経口及び静脈内投与で抑制する9),10)。

  2. 18.2.2イヌのアドレナリン及びウワバインにより惹起した心室性不整脈を抑制する10),11)。

  3. 18.2.3実験的心筋梗塞イヌの電気刺激により誘発した心室性頻拍を抑制する12)。

18.3 電気生理学的作用

  1. 18.3.1ウサギの心房筋、プルキンエ線維又は心室筋において、静止膜電位にほとんど影響を与えることなく、活動電位最大立ち上がり速度(Vmax)を用量依存的に抑制し、活動電位持続時間(APD)を延長する13)。

  2. 18.3.2モルモット心室筋のVmaxを頻度依存的に抑制し、この頻度依存性ブロックの発現及び回復速度は遅い14)。

  3. 18.3.3ウサギのプルキンエ線維の有効不応期を延長する13)。

  4. 18.3.4イヌの心室内伝導(HV)時間及び心室有効不応期を延長する12),15)。

  5. 18.3.5イヌのプルキンエ線維において、正常自動能及び異常自動能を抑制する16)。また、モルモット乳頭筋及び単一心室筋細胞において、遅延後脱分極に基づく異常自動能を抑制する13)。

  6. 18.3.6不整脈患者に200mgを1回経口投与した場合、洞周期及び洞房伝導(SA)時間を短縮させ、HV時間、右房及び右室の不応期を延長する。また、逆行性副伝導路を抑制し、室房伝導不応期を延長する17)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

  2. (1)心室性期外収縮患者

心室性期外収縮患者6例に100mgを1回経口投与した場合、血漿中未変化体濃度は以下のとおりであった1)。

投与量
(mg)
Tmax
(h)
Cmax
(μg/mL)
t1/2β
(h)
AUC
(μg・h/mL)
100 2.83±0.28 0.78±0.14 11.63±1.43 11.23±3.45

平均値±標準誤差

  1. (2)健康成人

健康成人各5例に50mg又は100mgを1回経口投与した場合、血漿中未変化体濃度は以下のとおりであった2)。

投与量
(mg)
Tmax
(h)
Cmax
(μg/mL)
t1/2β
(h)
AUC
(μg・h/mL)
50 1.3±0.1 0.35±0.05 7.4±0.7 2.99±0.57
100 1.3±0.2 0.86±0.10 9.1±0.5 7.35±0.94

平均値±標準誤差

  1. 16.1.2反復投与

健康成人に1回100mgを1日2回7日間反復経口投与(食後30分)した場合、血漿中未変化体濃度は3日目で定常状態に達し、7日目の最高血漿中濃度は初回投与時の約1.6倍であった2)。

16.2 吸収

  1. 16.2.1吸収率

心室性期外収縮患者に経口投与した場合、吸収率は約83%であった3)(外国人データ)。

  1. 16.2.2食事の影響

健康成人に100mgを1回投与した場合、吸収に及ぼす食事の影響はほとんど認められなかった2)。

16.3 分布

  1. 16.3.1血漿蛋白結合率

心室性期外収縮患者に100mgを1回投与した場合、限外ろ過法による血漿蛋白結合率は約80%であった1)。

16.4 代謝

ラット、イヌにおける主な代謝物はピペリジン環脱水素体であった。

16.5 排泄

  1. 16.5.1排泄経路

主として尿中に排泄される。

  1. 16.5.2排泄率

健康成人に50mg又は100mgを1回経口投与した場合、投与後48時間の尿中には、投与量の17~25%が未変化体として排泄された2)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

クレアチニンクリアランス(Ccr)が50≦Ccr<70mL/minの軽度腎機能障害患者3例、30≦Ccr<50mL/minの中等度腎機能障害患者4例、Ccr<30mL/minの高度腎機能障害患者4例(腎機能障害患者はいずれも老年者)に100mgを1回経口投与した場合の薬物動態は以下のとおりであった4)。

患者群 Tmax
(h)
Cmax
(μg/mL)
t1/2β
(h)
AUC
(μg・h/mL)
軽度障害例 1.74±0.31 1.13±0.08 13.70±2.71 15.07±1.18
中等度障害例 1.70±0.63 1.07±0.15 13.12±1.60 13.63±3.35
高度障害例 3.21±1.35 1.55±0.40 13.34±1.33 24.70±3.99

平均値±標準誤差