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ピノルビン注射用20mg

注射用ピラルビシン塩酸塩

添付文書改訂 2024年01月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1心機能異常又はその既往歴のある患者[心筋障害があらわれることがある。]

  2. 2.2本剤に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者

  3. 2.3他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療が限界量(ドキソルビシン塩酸塩では総投与量が体表面積当り500mg/m2、ダウノルビシン塩酸塩では総投与量が体重当り25mg/kg等)に達している患者[心筋障害があらわれることがある。]

効能・効果

  • 下記疾患の自覚的・他覚的症状の寛解並びに改善

頭頸部癌、乳癌、胃癌、尿路上皮癌(膀胱癌、腎盂・尿管腫瘍)、卵巣癌、子宮癌、急性白血病、悪性リンパ腫

用法・用量

  • 投与方法 (1)静脈内注射の場合

頭頸部癌はⅢ法又はⅣ法を、乳癌及び胃癌はⅠ法又はⅢ法を、卵巣癌及び子宮癌はⅠ法を、尿路上皮癌はⅠ法又はⅡ法を、急性白血病はV法を、悪性リンパ腫はⅠ法又はⅣ法を標準的用法・用量として選択する。

  • Ⅰ法(3~4週1回法)

ピラルビシンとして、1日1回、40~60mg(25~40mg/m2)(力価)を投与し、3~4週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。

  • Ⅱ法(3~4週2回法)

ピラルビシンとして、1日1回、30~40mg(20~25mg/m2)(力価)を2日間連日投与し、3~4週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。

  • Ⅲ法(週1回法)

ピラルビシンとして、1日1回、20~40mg(14~25mg/m2)(力価)を1週間間隔で2~3回投与し、3~4週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。

  • Ⅳ法(連日法)

ピラルビシンとして、1日1回、10~20mg(7~14mg/m2)(力価)を3~5日間連日投与し、3~4週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。

  • Ⅴ法(連日法)

ピラルビシンとして、1日1回、10~30mg(7~20mg/m2)(力価)を5日間連日投与する。骨髄機能が回復するまで休薬し、投与を繰り返す。

  • (2)動脈内注射による頭頸部癌、膀胱癌の場合

ピラルビシンとして、1日1回、10~20mg(7~14mg/m2)(力価)を連日又は隔日に5~10回投与する。

  • (3)膀胱内注入による膀胱癌の場合

カテーテルを用いて導尿した後、ピラルビシンとして、1日1回、15~30mg(力価)を500~1000μg(力価)/mLの溶液として週3回、各1~2時間膀胱内把持する。これを1クールとし、2~3クール繰り返す。

なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1骨髄機能抑制、心筋障害等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査、心機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。 心機能検査としては、心電図等を原則としてクール(通常3~4週)ごとに実施することが望ましい。

  2. 8.2アントラサイクリン系薬剤未治療例で、本剤の総投与量が950mg/m2(体表面積)を超えると、うっ血性心不全を起こすことが多くなるので十分に注意すること。

  3. 8.3前治療等により950mg/m2以下の総投与量でもうっ血性心不全が起こることがあるので、他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療歴のある患者、心臓部あるいは縦隔に放射線療法を受けた患者及び本剤の総投与量が700mg/m2を超える患者では心機能検査を行い慎重に投与すること。

  4. 8.4感染症、出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。

  • 〈急性白血病〉
  1. 8.5末梢血液及び骨髄所見を随時検査し、投与期間を短縮又は延長すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1骨髄機能抑制のある患者

骨髄機能抑制を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.2感染症を合併している患者

骨髄機能抑制により感染を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.3水痘患者

致命的な全身障害があらわれるおそれがある。

  1. 9.1.4他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療歴のある患者(他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療が限界量に達している患者を除く)

9.2 腎機能障害患者

副作用が強くあらわれるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

副作用が強くあらわれるおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

  2. 9.4.2*男性には、本剤投与中及び最終投与後3ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。

  3. 9.4.3小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(ラット)で胎児に対する毒性的影響(体重抑制、腰椎過剰、前肢指化骨数の減少)が報告され1)、アントラサイクリン系の他の抗悪性腫瘍剤の動物実験では催奇形性が報告されている。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。本剤は動物実験(ラット)の結果2)から乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。

9.7 小児等

副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

用量に留意して患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は主として肝臓で代謝されるが、高齢者では肝機能等の生理機能が低下していることが多い。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
投与前の心臓部あるいは縦隔への放射線照射
潜在的に心毒性を有する他の抗悪性腫瘍剤
• アントラサイクリン系薬剤等
心筋障害が増強されるおそれがある。 心筋に対する蓄積毒性が増強される。
他の抗悪性腫瘍剤
放射線照射
骨髄機能抑制等の副作用が増強することがある。 副作用が相互に増強される。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P 頻度不明
ALT 頻度不明
AST 頻度不明
BUN上昇 1〜5%未満
LDH 頻度不明
γ-GTP上昇 1〜5%未満
イレウス 1〜5%未満
クレアチニン上昇 1〜5%未満
しびれ 1〜5%未満
めまい 1〜5%未満
下痢 1〜5%未満
不整脈 頻度不明
便秘 頻度不明
全身倦怠(19.0%) 5%以上
動悸 1〜5%未満
口内炎 5%以上
味覚異常 1〜5%未満
心電図異常 1〜5%未満
息切れ 1〜5%未満
悪心・嘔吐 5%以上
感染症 頻度不明
排尿痛 頻度不明
排尿痛(38.0%) 5%以上
排尿障害 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化管出血 頻度不明
発熱 5%以上
発疹等の過敏症状 1〜5%未満
皮膚炎 頻度不明
総ビリルビン上昇 頻度不明
耳鳴 頻度不明
肝障害 5%以上
胸痛 1〜5%未満
脱毛 5%以上
腎障害 1〜5%未満
腹痛 1〜5%未満
色素沈着 1〜5%未満
蛋白尿 1〜5%未満
血尿 頻度不明
血尿等の膀胱刺激症状 5%以上
血清総蛋白減少 頻度不明
電解質異常 頻度不明
頭痛 1〜5%未満
頻尿(50.0%) 5%以上
頻脈 頻度不明
顔面潮紅 頻度不明
食欲不振(35.1%) 5%以上

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は癌細胞へ速やかに取り込まれ、核画分に移行して核酸合成を阻害し、細胞に障害を与える。細胞分裂のG2期で細胞周期を停止させて癌細胞を致死させると考えられる10),11),12)。

18.2 抗腫瘍効果

吉田肉腫(ラット)、L1210白血病、P388白血病、B16メラノーマ、Colon38、Ehrlich固形癌、Sarcoma180固形癌(マウス)等の実験腫瘍に対して強い抗腫瘍効果を示した。Lewis肺癌の転移を強く抑制した(マウス)。また、シタラビン、アンシタビン、シクロホスファミド水和物との併用により、高い抗腫瘍効果を示した(マウス)13),14),15),16)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

  2. (1)静脈内投与

癌患者に本剤30mg/m2をワンショット静注投与した場合、投与1分後の血漿中濃度は0.52±0.28μg/mLで、投与後急速に低下したが、8時間以上にわたり6~11ng/mLの濃度が持続した。α、β、γ相の血漿中濃度半減期はそれぞれ0.89分、0.46時間、14.2時間であった3)。

図 癌患者における血漿中濃度

  1. (2)膀胱内投与

癌患者4名に本剤20mg(0.5mg/mL)を膀胱内に単回投与した症例において、血中には本剤はほとんど検出されなかった。

16.3 分布

  1. 16.3.1蛋白結合

限外濾過法により測定したヒト血清蛋白との結合率は本剤の濃度10、25、50及び100μg/mLで、それぞれ76.2、33.9、38.3及び19.0%であった(in vitro)。