Clinical snapshot

ビンゼレックス皮下注160mgシリンジ

ビメキズマブ(遺伝子組換え)

添付文書改訂 2025年05月01日

【警告】

  1. 1.1本剤は結核等の感染症を含む緊急時に十分に対応できる医療施設において、本剤についての十分な知識と適応疾患の治療に十分な知識・経験をもつ医師のもとで、本剤による治療の有益性が危険性を上回ると判断される症例のみに使用すること。 本剤は感染症のリスクを増大させる可能性があり、また結核の既往歴を有する患者では結核を活動化させる可能性がある。また、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現が報告されている。治療開始に先立ち、本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、本剤の有効性及び危険性を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で治療を開始すること。

  2. 1.2重篤な感染症 ウイルス、細菌及び真菌等による重篤な感染症が報告されているため、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意し、本剤投与後に感染の徴候又は症状があらわれた場合には、直ちに担当医に連絡するよう患者を指導すること。

  3. 1.3本剤の治療を開始する前に、適応疾患の既存治療の適用を十分に勘案すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1重篤な感染症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]

  2. 2.2活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある。]

  3. 2.3本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • ビンゼレックス皮下注160mgシリンジ ビンゼレックス皮下注160mgオートインジェクター

  • 既存治療で効果不十分な下記疾患

  • 尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症

  • 乾癬性関節炎

  • 強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎

  • 化膿性汗腺炎

  • *ビンゼレックス皮下注320mgオートインジェクター

  • 既存治療で効果不十分な下記疾患

  • 尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症

  • 化膿性汗腺炎

用法・用量

  • 〈尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症〉

通常、成人にはビメキズマブ(遺伝子組換え)として、1回320mgを初回から16週までは4週間隔で皮下注射し、以降は8週間隔で皮下注射する。 なお、患者の状態に応じて16週以降も4週間隔で皮下注射できる。

  • 〈乾癬性関節炎〉

通常、成人にはビメキズマブ(遺伝子組換え)として、1回160mgを4週間隔で皮下注射する。

  • 〈強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎〉

通常、成人にはビメキズマブ(遺伝子組換え)として、1回160mgを4週間隔で皮下注射する。

  • 〈化膿性汗腺炎〉

通常、成人にはビメキズマブ(遺伝子組換え)として、1回320mgを初回から16週までは2週間隔で皮下注射し、以降は4週間隔で皮下注射する。 なお、投与間隔は患者の状態に応じて適宜2週間隔又は4週間隔を選択することができる。

使用上の注意

  1. 8.1本剤は、感染のリスクを増大させる可能性がある。そのため本剤の投与に際しては、十分な観察を行い、感染症の発症や増悪に注意すること。感染の徴候又は症状があらわれた場合には、速やかに担当医に連絡するよう患者を指導すること。

  2. 8.2本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部X線検査に加えインターフェロンγ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。また、本剤投与中も、胸部X線検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意し、結核を疑う症状(持続する咳、体重減少、発熱等)が発現した場合には速やかに担当医に連絡するよう患者を指導すること。なお、結核の活動性が確認された場合は結核の治療を優先し、本剤を投与しないこと。

  3. 8.3本剤投与中は、生ワクチン接種による感染症発現のリスクを否定できないため、生ワクチン接種は行わないこと。

  4. 8.4臨床試験において皮膚及び皮膚以外の悪性腫瘍の発現が報告されている。本剤との因果関係は明確ではないが、悪性腫瘍の発現には注意すること。

  5. 8.5他の生物製剤から変更する場合は感染症の徴候について患者の状態を十分に観察すること。

  6. 8.6自己投与は4週間隔以内の投与の場合のみとすること。本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、適用後、感染症等本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。使用済みの注射器(注射針一体型)を再使用しないように患者に注意を促し、安全な廃棄方法に関する指導を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1感染症(重篤な感染症を除く)の患者又は感染症が疑われる患者

感染症が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.2結核の既往歴を有する患者又は結核感染が疑われる患者

  2. (1)結核の既往歴を有する患者では、結核を活動化させるおそれがある。

  3. (2)結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。以下のいずれかの患者には、原則として抗結核薬を投与した上で、本剤を投与すること。

  • 胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者

  • 結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者

  • インターフェロンγ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、既感染が強く疑われる患者

  • 結核患者との濃厚接触歴を有する患者

  1. 9.1.3炎症性腸疾患の患者

観察を十分に行うこと。症状が悪化するおそれがある。本剤の投与において、炎症性腸疾患の発現及び増悪が報告されている。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤はカニクイザルにおいて胎児への移行が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁への移行性については不明であるが、一般にヒトIgGは乳汁中へ移行することが知られている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

感染症等の副作用の発現に留意し、十分な観察を行うこと。一般に生理機能が低下している。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ざ瘡 1%未満
上気道感染 5%以上
中咽頭カンジダ症 1%未満
単純ヘルペス感染(単純ヘルペス 1%未満
口腔カンジダ症(10.1%) 5%以上
口腔ヘルペス等) 1%未満
外陰部膣カンジダ症 1%未満
接触皮膚炎 1〜5%未満
毛包炎 1〜5%未満
注射部位反応 1〜5%未満
湿疹 1〜5%未満
異汗性湿疹 1〜5%未満
疲労 1%未満
白癬感染 1〜5%未満
皮膚炎及び湿疹(皮膚炎 1〜5%未満
結膜炎 1〜5%未満
耳感染 1〜5%未満
胃腸炎 1%未満
脂漏性皮膚炎等) 1〜5%未満
間擦疹 1〜5%未満
頭痛 1〜5%未満
食道カンジダ症 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ビメキズマブは、IL-17A及びIL-17Fに選択的に結合し、中和する18),19) 。

18.2 IL-17AとIL-17Fの中和作用

Th17細胞の培養上清とインキュベートしたNIH-3T3線維芽細胞では、ビメキズマブは炎症性サイトカインの指標IL-6の分泌を阻害した。同様の条件でインキュベートしたヒト皮膚線維芽細胞及びヒト表皮ケラチノサイトにおいて、ビメキズマブは一連の炎症関連遺伝子とタンパク質の発現を抑制した19),20) 。

18.3 炎症反応の正常化作用

ビメキズマブは、好中球及び単球の炎症部位への遊走を防ぐこと、ヒト皮膚線維芽細胞及びヒト表皮ケラチノサイトにおいて炎症に関与する遺伝子発現を抑制して炎症性サイトカイン及びケモカインの分泌を阻害することにより、組織の炎症反応を正常化した20),21),22) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

日本人健康成人に本剤80mg注2) 、160mg及び320mgを単回皮下投与した時の血漿中ビメキズマブ濃度時間推移及び薬物動態パラメータを図1及び表1に示す。血漿中ビメキズマブ濃度は投与量に比例して増加し、いずれの投与量においても4~6日で最高血漿中濃度に到達した後、20~22日の半減期で低下した2) 。

図1 日本人健康成人に単回皮下投与時の血漿中ビメキズマブ濃度推移(幾何平均値±95%信頼区間)

投与量
(mg)
Cmax
(μg/mL)
tmax
(day)
AUC0-t
(μg・day/mL)
AUC0-∞
(μg・day/mL)
t1/2
(day)
80mg注2) 9.294
(17.6)
4.021
(4.02-6.05)
327.9
(27.4)
342.3
(29.6)
22.17
(20.3)
160mg 19.80
(8.9)
6.038
(4.03-6.20)
667.9
(18.8)
679.4
(19.0)
22.13
(8.4)
320mg 41.33
(16.0)
6.035
(4.01-6.04)
1257
(16.8)
1278
(17.8)
19.94
(24.8)

Cmax、AUC0-t、AUC0-∞、t1/2:幾何平均値(変動係数[%])、tmax:中央値(最小値-最大値)

注2)承認された1回用量は160mg、320mgである。

  1. 16.1.2反復投与

日本人尋常性乾癬患者、膿疱性乾癬患者及び乾癬性紅皮症患者に本剤320mgを4週毎に皮下投与した時及び16週目まで4週毎、それ以降8週毎に投与した時の血漿中ビメキズマブ濃度のトラフ値は表2のとおりであった3),4) 。

尋常性乾癬 膿疱性乾癬 乾癬性紅皮症
本剤320mgの4週毎皮下投与
16週 20.016(63.8)
[59]a)
15.983(53.2)
[4]b)
13.617(52.5)
[9]b)
48週もしくは52週 17.223(86.6)
[52]a)
18.896(48.0)
[4]b)
16.783(49.9)
[6]b)
本剤320mgの16週目まで4週毎皮下投与、16週以降8週毎皮下投与
16週 19.536(52.4)
[44]b)
17.640(53.4)
[6]b)
18.800(-)
[1]b)
48週 4.673(83.8)
[39]b)
6.734(87.5)
[5]b)
3.080(-)
[1]b)

単位:μg/mL、幾何平均値(変動係数%)[例数] a)PS0009試験(日本人コホート)の16週及び52週時のデータ b)PS0014試験(日本人コホート)の16週及び48週時のデータ

日本人乾癬性関節炎患者に本剤160mgを4週毎に皮下投与した時の血漿中ビメキズマブ濃度のトラフ値は表3のとおりであった5),6) 。

bDMARDの治療歴のない乾癬性関節炎 TNFα阻害剤不応の乾癬性関節炎
本剤160mgの4週毎皮下投与
16週 9.020(50.9)
[13]a)
8.223(62.8)
[8]b)
52週 9.146(55.9)
[13]a)

単位:μg/mL、幾何平均値(変動係数 %)[例数] a)PA0010試験(日本人コホート)の16週及び52週時のデータ b)PA0011試験(日本人コホート)の16週時のデータ

日本人強直性脊椎炎患者及びX線基準を満たさない日本人体軸性脊椎関節炎患者に本剤160mgを4週毎に皮下投与した時の血漿中ビメキズマブ濃度のトラフ値は表4のとおりであった7),8) 。

強直性脊椎炎 X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎
本剤160mgの4週毎皮下投与
16週 11.131(36.1)
[8]a)
14.764(20.0)
[6]b)
52週 10.768(58.4)
[6]a)
17.668(20.4)
[6]b)

単位:μg/mL、幾何平均値(変動係数 %)[例数] a)AS0011試験(日本人コホート)の16週及び52週時のデータ b)AS0010試験(日本人コホート)の16週及び52週時のデータ

日本人化膿性汗腺炎患者に本剤320mgを16週目まで2週毎、それ以降4週毎に皮下投与した時の血漿中ビメキズマブ濃度のトラフ値は表5のとおりであった9) 。

化膿性汗腺炎
本剤320mgの16週目まで2週毎皮下投与、16週以降4週毎皮下投与
16週 29.745(35.0)
[5]a)
48週 11.617(58.0)
[5]a)

単位:μg/mL、幾何平均値(変動係数%)[例数] a)HS0004試験(日本人コホート)の16週及び48週時のデータ

  1. 16.1.3母集団薬物動態解析

母集団薬物動態解析より健康成人における絶対的バイオアベイラビリティの平均は70.1%、尋常性乾癬患者における半減期の平均は23日、見かけのクリアランス及び分布容積の中央値(変動係数%)は0.337(32.7%)L/day及び11.2(30.5%)Lと推定された。本剤320mgの皮下投与において、体重が120kg以上の成人患者の平均血漿中ビメキズマブ濃度は、90kgの成人患者より少なくとも30%低いと推定された。 母集団薬物動態解析より、尋常性乾癬患者、乾癬性関節炎患者、強直性脊椎炎患者及びX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎患者の間で、薬物動態特性は類似すると推定された。本解析から、ビメキズマブのクリアランスは、メトトレキサートの併用投与によって影響を受けないと推定された10),11),12) 。 化膿性汗腺炎患者のデータを含めた母集団薬物動態解析より、体重が90kgの場合、化膿性汗腺炎患者では尋常性乾癬患者、乾癬性関節炎患者、強直性脊椎炎患者及びX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎患者と比べ見かけのクリアランス及び分布容積がそれぞれ31%及び18%高いと推定された。半減期は20日であった。結果として本剤320mgを4週毎に皮下投与した時の血漿中ビメキズマブ濃度のトラフ値は化膿性汗腺炎以外の患者に比べ約40%低かった13) 。

16.3 分布

  1. 16.3.1胎盤通過性

カニクイザルにおいて、出生児の血漿中ビメキズマブ濃度は母動物と同程度で、胎盤を通過することが示唆された14) 。