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ヒドロコルチゾンリン酸エステルNa静注液100mg「AFP」

ヒドロコルチゾンリン酸エステルナトリウム

添付文書改訂 2026年04月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2デスモプレシン酢酸塩水和物(男性における夜間多尿による夜間頻尿)を投与中の患者

効能・効果

外科的ショックおよびショック様状態における救急、または術中・術後のショック

用法・用量

症状、症例により異なるが、1日1回または数回、1回2~20mL(ヒドロコルチゾンとして100~1,000mg)を静注または点滴静注する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の投与により、誘発感染症、続発性副腎皮質機能不全、消化性潰瘍、糖尿病、精神障害等の重篤な副作用があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、次の注意が必要である。

  2. 8.1.1本剤の高用量投与は通常48~72時間以内とし、ショックの改善が認められれば直ちに投与を中止すること。

  3. 8.1.2連用後、投与を急に中止すると、ときに発熱、頭痛、食欲不振、脱力感、筋肉痛、関節痛、ショック等の離脱症状があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。離脱症状があらわれた場合には、直ちに再投与又は増量すること。

  4. 8.2本剤の長期あるいは大量投与中の患者、又は投与中止後6ヵ月以内の患者では、免疫機能が低下していることがあり、生ワクチンの接種により、ワクチン由来の感染を増強又は持続させるおそれがあるので、これらの患者には生ワクチンを接種しないこと。

  5. 8.3特に、本剤投与中に水痘又は麻疹に感染すると、致命的な経過をたどることがあるので、次の注意が必要である。

  6. 8.3.1本剤投与前に水痘又は麻疹の既往や予防接種の有無を確認すること。

  7. 8.3.2水痘又は麻疹の既往のない患者においては、水痘又は麻疹への感染を極力防ぐよう常に十分な配慮と観察を行うこと。感染が疑われる場合や感染した場合には、直ちに受診するよう指導し、適切な処置を講ずること。

  8. 8.3.3水痘又は麻疹の既往や予防接種を受けたことがある患者であっても、本剤投与中は、水痘又は麻疹を発症する可能性があるので留意すること。

  9. 8.4連用により眼圧亢進、緑内障、後嚢白内障を来すことがあるので、定期的に検査をすることが望ましい。

  10. 8.5*リンパ系腫瘍を有する患者にヒドロコルチゾン製剤(注射剤)を投与した際に腫瘍崩壊症候群があらわれたとの報告がある。本剤投与後に急激な電解質異常や急性腎障害等が認められた場合は、腫瘍崩壊症候群の可能性を考慮し、適切な処置を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1以下の患者には治療上やむを得ないと判断される場合を除き投与しないこと。

  2. (1)有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症の患者

免疫抑制作用により、感染症が増悪するおそれがある。

  1. (2)急性心筋梗塞を起こした患者

心破裂を起こしたとの報告がある。

  1. 9.1.2感染症の患者(有効な抗菌剤の存在しない感染症、全身の真菌症の患者を除く)

免疫抑制作用により、感染症が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.3消化性潰瘍の患者

粘膜防御能の低下等により、消化性潰瘍が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.4糖尿病の患者

糖新生促進作用(血糖値上昇)等により、糖尿病が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.5結核性疾患の患者

免疫抑制作用により、結核性疾患が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.6単純疱疹性角膜炎の患者

免疫抑制作用により、単純疱疹性角膜炎が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.7骨粗鬆症の患者

骨形成抑制作用及びカルシウム代謝の障害を起こすことにより、骨粗鬆症が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.8精神病の患者

中枢神経系に影響し、精神病が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.9後嚢白内障の患者

水晶体線維に影響し、後嚢白内障が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.10緑内障の患者

眼圧が上昇し、緑内障が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.11高血圧症の患者

ナトリウム・水貯留作用等により、高血圧症が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.12電解質異常のある患者

ナトリウム・水貯留作用により、電解質異常が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.13うっ血性心不全の患者

ナトリウム・水貯留作用等により、うっ血性心不全が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.14甲状腺機能低下のある患者

血中半減期の延長がみられ、副作用が起こりやすい。

  1. 9.1.15脂肪肝の患者

脂質代謝に影響し、脂肪肝が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.16脂肪塞栓症の患者

脂質代謝に影響し、脂肪塞栓症が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.17重症筋無力症の患者

使用当初、一時症状が増悪することがある。

  1. 9.1.18B型肝炎ウイルスキャリアの患者

副腎皮質ホルモン剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの増殖による肝炎があらわれることがある。本剤の投与期間中及び投与終了後は継続して肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス増殖の徴候や症状の発現に注意すること。異常が認められた場合には、本剤の減量を考慮し、抗ウイルス剤を投与するなど適切な処置を行うこと。なお、投与開始前にHBs抗原陰性の患者において、B型肝炎ウイルスによる肝炎を発症した症例が報告されている。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1腎不全の患者

症状が増悪するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1肝硬変の患者

慢性肝疾患患者では、血中半減期の延長がみられ、副作用が起こりやすい。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験で催奇形作用が報告されており、また、新生児に副腎不全を起こすことがある。 マウス、ラット及びウサギを用いて催奇形性試験を行った。胎児の主要器官形成期にあるそれぞれの妊娠動物に、本剤の200~500mg/kg/日、100~250mg/kg/日を腹腔内に、25~300mg/kg/日を静脈内に注射し、妊娠末期胎児の異常の有無を調べた結果、口蓋裂及び椎骨系奇形の出現、化骨の遅延並びに胎児死亡率の上昇が認められた。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

  1. 9.7.1観察を十分に行うこと。小児等の発育抑制があらわれることがある。

  2. 9.7.2長期投与した場合、頭蓋内圧亢進症状があらわれることがある。

  3. 9.7.3新生児及び乳児において一過性の肥大型心筋症が起こることが報告されている1)ため、本剤投与前及び本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)によるモニタリングを行うなど、児の状態を十分に観察すること。

9.8 高齢者

長期投与した場合、感染症の誘発、糖尿病、骨粗鬆症、高血圧症、後嚢白内障、緑内障等の副作用があらわれやすい。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
デスモプレシン酢酸塩水和物(ミニリンメルト)(男性における夜間多尿による夜間頻尿) 低ナトリウム血症が発現するおそれがある。 機序不明

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
バルビツール酸誘導体
• フェノバルビタールフェニトイン
リファンピシン
本剤の作用が減弱することが報告されている。 これらの薬剤はチトクロームP450を誘導し、本剤の代謝が促進される。
サリチル酸誘導体
• アスピリン
併用時に本剤を減量すると、血清中のサリチル酸誘導体の濃度が増加し、サリチル酸中毒を起こすことが報告されている。 本剤はサリチル酸誘導体の腎排泄と肝代謝を促進し、血清中のサリチル酸誘導体の濃度が低下する。
抗凝血剤
• ワルファリンカリウム
抗凝血剤の作用を減弱させることが報告されている。 本剤は血液凝固促進作用がある。
糖尿病用薬
• ビグアナイド系薬剤
• スルホニルウレア剤
• 速効型インスリン分泌促進剤
• α-グルコシダーゼ阻害剤
• チアゾリジン系薬剤
• DPP-4阻害剤
• GLP-1受容体作動薬
• SGLT2阻害剤インスリン製剤等
これらの薬剤の作用を減弱させることが報告されている。 本剤は肝臓での糖新生を促進し、末梢組織での糖利用を阻害する。
利尿剤(カリウム保持性利尿剤を除く)
• トリクロルメチアジド
• フロセミド等β2-刺激剤
• クレンブテロール塩酸塩
• ツロブテロール塩酸塩
• プロカテロール塩酸塩水和物等アムホテリシンB
併用により、低カリウム血症があらわれることがある。 本剤は尿細管でのカリウム排泄促進作用がある。
ジゴキシン ジゴキシン中毒があらわれるおそれがある。 本剤の尿細管でのカリウム排泄促進作用により、血中カリウム値が低下し、ジゴキシンの作用が増強する。
シナカルセト 血清カルシウム濃度が低下するおそれがある。 シナカルセトの血中カルシウム低下作用が増強される可能性がある。
シクロスポリン 副腎皮質ホルモン剤の大量投与により、併用したシクロスポリンの血中濃度が上昇するとの報告がある。 シクロスポリンの代謝を阻害する。
マクロライド系抗生物質
• エリスロマイシンエストロゲン(経口避妊薬を含む)
副腎皮質ホルモン剤の作用が増強されるとの報告がある。 本剤の代謝が阻害されるおそれがある。
エフェドリン 副腎皮質ホルモン剤の代謝が促進され、血中濃度が低下するとの報告がある。 機序不明
ジクロフェナク 消化器系の副作用(消化性潰瘍、消化管出血等)を起こすおそれが高くなる。 ともに消化器系の副作用を起こすおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ざ瘡 頻度不明
そう痒 頻度不明
不眠 頻度不明
中心性漿液性網脈絡膜症等による網膜障害 頻度不明
低カリウム性アルカローシス 頻度不明
刺激感 頻度不明
創傷治癒障害 頻度不明
多幸症 頻度不明
悪心・嘔吐 頻度不明
月経異常 頻度不明
浮腫 頻度不明
満月様顔貌 頻度不明
疲労感 頻度不明
発熱 頻度不明
白血球増多 頻度不明
眼球突出 頻度不明
窒素負平衡 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
脂肪織炎 頻度不明
血圧上昇 頻度不明
関節痛 頻度不明
頭痛 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

副腎皮質ホルモン剤の高用量投与による抗ショック作用の作用機序としては、心拍出量の増加、末梢血管抵抗の減少、心筋収縮力の増強、微小循環の改善、リソゾーム膜の安定化等があげられている2)。

18.2 抗ショック作用

出血性ショックのイヌに対してヒドロコルチゾンリン酸エステルナトリウムの高用量(ヒドロコルチゾンとして50mg/kg)静注により、心拍出量増加、血圧上昇等循環動態の著明な改善が認められている2)。