Clinical snapshot

パンスポリン静注用0.25g

注射用セフォチアム塩酸塩

添付文書改訂 2026年01月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  • 〈製剤共通〉
  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  • 〈5%ブドウ糖注射液添付のバッグ製剤〉
  1. 2.2低張性脱水症の患者[電解質を含まない糖液を投与すると脱水が増悪することがある。]

効能・効果

  • 〈適応菌種〉

セフォチアムに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア・レットゲリ、インフルエンザ菌

  • 〈適応症〉

敗血症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、関節炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎、化膿性髄膜炎、中耳炎、副鼻腔炎

用法・用量

  • 通常、成人にはセフォチアム塩酸塩として1日0.5~2g(力価)を2~4回に分け、また、小児にはセフォチアム塩酸塩として1日40~80mg(力価)/kgを3~4回に分けて静脈内に注射する。 なお、年齢、症状に応じ適宜増減するが、成人の敗血症には1日4g(力価)まで、小児の敗血症、化膿性髄膜炎等の重症・難治性感染症には1日160mg(力価)/kgまで増量することができる。

  • 〈バイアル製剤〉

  • 静脈内注射に際しては、日局「注射用水」、日局「生理食塩液」又は日局「ブドウ糖注射液」に溶解して用いる。 また、成人の場合は本剤の1回用量0.25~2g(力価)を糖液、電解質液又はアミノ酸製剤などの補液に加えて、30分~2時間で点滴静脈内注射を行うこともできる。 なお、小児の場合は上記投与量を考慮し、補液に加えて、30分~1時間で点滴静脈内注射を行うこともできる。

  • 〈生理食塩液添付のバッグ製剤〉

  • 投与に際しては、添付の生理食塩液側を手で圧し、隔壁を開通させ、セフォチアム塩酸塩を溶解した後、30分~2時間で点滴静脈内注射を行う。

  • 〈5%ブドウ糖注射液添付のバッグ製剤〉

  • 投与に際しては、添付の5%ブドウ糖注射液側を手で圧し、隔壁を開通させ、セフォチアム塩酸塩を溶解した後、30分~2時間で点滴静脈内注射を行う。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

  2. 8.2本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること2)。

  3. 8.2.1事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。

  4. 8.2.2投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。

  5. 8.2.3投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。

  6. 8.3急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。

  7. 8.4本剤の投与に際しては、定期的に肝機能、血液等の検査を行うことが望ましい。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  • 〈製剤共通〉
  1. 9.1.1セフェム系又はペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)

  2. 9.1.2本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者

  3. 9.1.3経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者

観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。

  • 〈5%ブドウ糖注射液添付のバッグ製剤〉
  1. 9.1.4カリウム欠乏傾向のある患者

ブドウ糖がカリウムと共に細胞内に取り込まれ、カリウム欠乏傾向を助長することがある。

  1. 9.1.5糖尿病の患者

静脈内へのブドウ糖の投与により血糖値が急速に上昇する可能性がある。

  1. 9.1.6尿崩症の患者

電解質を含まない糖液の投与により水分のみが負荷される。

  • 〈生理食塩液添付のバッグ製剤〉
  1. 9.1.7心臓、循環器系機能障害のある患者

ナトリウムの負荷により障害が悪化することがある。

9.2 腎機能障害患者

  • 〈製剤共通〉
  1. 9.2.1高度の腎障害のある患者

投与量・投与間隔の適切な調節をするなど慎重に投与すること。高い血中濃度が持続することがある。

  • 〈5%ブドウ糖注射液添付のバッグ製剤〉
  1. 9.2.2腎不全の患者

電解質を含まない糖液の投与により水分のみが負荷される。

  • 〈生理食塩液添付のバッグ製剤〉
  1. 9.2.3腎障害のある患者

ナトリウムの貯留を助長することがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

低出生体重児及び新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

  • 次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

  • 生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。

  • ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
利尿剤
• フロセミド等
他のセフェム系抗生物質で併用による腎障害増強作用が報告されているので、併用する場合には腎機能に注意すること。 機序は不明であるが、利尿時の脱水による血中濃度の上昇等が考えられている。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-Pの上昇 1〜5%未満
ALT 1〜5%未満
AST 1〜5%未満
LDHの上昇 1%未満
γ-GTPの上昇 頻度不明
カンジダ症 頻度不明
しびれ感 頻度不明
そう痒 1%未満
ビタミンB群欠乏症状(舌炎 頻度不明
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症 頻度不明
めまい 1%未満
リンパ腺腫脹 頻度不明
下痢 1〜5%未満
倦怠感 頻度不明
出血傾向等) 頻度不明
口内炎 頻度不明
口内炎 頻度不明
嘔吐 1%未満
好酸球増多 1〜5%未満
悪心 1〜5%未満
発熱 1%未満
発疹 1〜5%未満
神経炎等) 頻度不明
紅斑 頻度不明
腹痛 1〜5%未満
蕁麻疹 1%未満
貧血 1%未満
関節痛 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲不振 1%未満
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

細菌の細胞壁の合成を阻害する。本剤がグラム陰性菌に対し強い抗菌力を示すのは細胞外膜透過性に優れ、β-lactamaseに比較的安定であり、かつペニシリン結合蛋白画分1B及び3に対する親和性が高いため細胞壁peptidoglycan架橋形成阻害作用が強いことによると考えられる25),26),27),28)。

18.2 抗菌作用

  1. 18.2.1グラム陰性菌及びグラム陽性菌に広い抗菌作用を示し、特に大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌に強い抗菌力を示す。更にエンテロバクター属、シトロバクター属、プロテウス・ブルガリス、プロビデンシア・レットゲリ、モルガネラ・モルガニーに対しても抗菌力が認められている29),30),31)(in vitro)。

  2. 18.2.2抗菌作用は殺菌的で、最小発育阻止濃度でも殺菌作用を示す31)(in vitro)。

薬物動態

16.1 血中濃度

腎機能正常の成人及び小児に静注あるいは点滴静注して得られた血中濃度は以下のとおりであり、用量依存性を示す3),4),5),6),7),8),9),10),11)。

16.3 分布

胆石症患者に1回1g、2gを静注すると胆汁中濃度は2時間後にそれぞれ157.6μg/mL、720.5μg/mLと最高値を示し、6時間後までの胆汁中回収率は約1%である12)。また、扁桃13)、喀痰14)、肺15)、胸水15)、胆のう壁12)、腹水16)、骨髄血17)、髄液18)、膀胱壁19)、前立腺19)、腎19)、骨17)、骨盤死腔滲出液20)、婦人性器20)、臍帯血21)、羊水21)、耳漏13)、副鼻腔粘膜13)等への移行が認められている。なお、乳汁中への移行は痕跡程度である22)。

16.4 代謝

尿中には抗菌活性代謝物質は認められていない5),23)。

16.5 排泄

主として腎より排泄され、成人(腎機能正常者)に1回0.5、1、2g静注あるいは点滴静注後6時間までの尿中排泄率は約60~75%である。また、0.5gを静注後の尿中濃度は0~2時間で約2,000μg/mL、2~4時間で約350μg/mL、4~6時間で約66μg/mLを示す3),4)。小児(腎機能正常者)に1回10、20、40mg/kg静注あるいは点滴静注後6時間までの尿中排泄率は、成人とほぼ同様である5),6),7)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

腎機能の低下に伴い、血中濃度の上昇、半減期の延長及び尿中排泄率の低下が認められる。従って、腎機能障害者に本剤を投与する場合には、投与量、投与間隔の適切な調節が必要である24)。