Clinical snapshot

バルバーサ錠3mg

エルダフィチニブ

添付文書改訂 2025年07月01日

【警告】

本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

がん化学療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異又は融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮癌

用法・用量

通常、成人にはエルダフィチニブとして1日1回8mgを2週間経口投与し、それ以降は1日1回9mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1網膜剥離及び角膜障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に眼科検査を行うなど観察を十分に行うこと。また、眼の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。

  2. 8.2高リン血症があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に血清リン濃度を測定し、血清リン濃度の変動に注意すること。

  3. 8.3急性腎障害があらわれることがあるので、定期的に腎機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

  2. 9.4.2男性には、本剤投与中及び最終投与後1ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットを用いた胚・胎児発生に関する試験において、臨床曝露量未満に相当する用量で胚・胎児死亡、着床後胚損失率高値及び催奇形性(四肢の欠損、主要血管の形態異常、骨格異常等)が報告されている。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。本剤が乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

  • 本剤は主にCYP2C9及びCYP3A4により代謝される。また、本剤はP-gpを阻害する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
強いCYP3A阻害剤
• イトラコナゾール、ケトコナゾール、クラリスロマイシン等
本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること。やむを得ず併用する場合には本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 これらの薬剤がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
強い又は中程度のCYP2C9阻害剤
• フルコナゾール、アミオダロン、ミコナゾール等
本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること。やむを得ず併用する場合には本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 これらの薬剤がCYP2C9を阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
強い又は中程度のCYP3A誘導剤
• カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール等
本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、他の薬剤への代替を考慮すること。 これらの薬剤がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
強い又は中程度のCYP2C9誘導剤
• エンザルタミド、リファンピシン等
本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、他の薬剤への代替を考慮すること。 これらの薬剤がCYP2C9を誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。
P-gpの基質となる薬剤
• ジゴキシン、ダビガトランエテキシラート、エドキサバン等
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるため、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 本剤がP-gpを阻害することにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT増加 頻度不明
AST増加 5%以上
そう痒症 頻度不明
ドライアイ 5%以上
下痢(54.8%) 頻度不明
乾皮症 頻度不明
低ナトリウム血症 5%以上
体重減少 5%以上
便秘 5%以上
副甲状腺機能亢進症 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎(45.9%) 頻度不明
口腔内潰瘍形成 5%以上
味覚不全 頻度不明
嘔吐 5%以上
悪心 5%以上
手掌紅斑 頻度不明
流涙増加 5%以上
消化不良 頻度不明
湿疹 頻度不明
無力症 5%以上
爪の不快感 頻度不明
爪の障害 5%以上
爪変色 5%以上
爪床出血 頻度不明
爪甲脱落症 頻度不明
爪痛 頻度不明
爪破損 頻度不明
爪線状隆起 頻度不明
疲労 5%以上
発疹 頻度不明
白内障 頻度不明
皮膚乾燥 頻度不明
皮膚亀裂 頻度不明
皮膚剥脱 頻度不明
皮膚毒性 頻度不明
皮膚病変 頻度不明
皮膚萎縮 頻度不明
眼球乾燥症 5%以上
眼瞼炎 頻度不明
粘膜乾燥 頻度不明
結膜炎 頻度不明
肝機能異常 頻度不明
肝細胞融解 頻度不明
脱毛症 頻度不明
腹痛 頻度不明
血中クレアチニン増加 頻度不明
血管石灰化 頻度不明
視力低下 頻度不明
視力障害 頻度不明
貧血 5%以上
過角化 頻度不明
霧視 5%以上
食欲減退 頻度不明
高カルシウム血症 頻度不明
高ビリルビン血症 頻度不明
鼻乾燥 頻度不明
鼻出血 5%以上

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

エルダフィチニブは、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のチロシンキナーゼ活性を阻害する低分子化合物である。エルダフィチニブは、変異型FGFR3(S249C等)、FGFR3融合タンパク等のリン酸化を阻害し、下流シグナル伝達分子のリン酸化を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている14)。

18.2 抗腫瘍効果

エルダフィチニブは、in vitro試験において、FGFR融合遺伝子を有するヒト膀胱がん由来RT-4及びRT-112細胞株に対して増殖抑制作用を示した。また、in vivo試験では、RT-112細胞株を皮下移植したヌードマウスにおいて腫瘍増殖抑制作用を示した15)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回及び反復投与

日本人進行固形癌又は悪性リンパ腫患者に本剤2~6mgを1日1回連日経口投与(第2及び3日目には投与せず)、並びに本剤10及び12mgを1日1回7日間経口投与後、7日間休薬(間歇経口投与)注)したときのエルダフィチニブの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)。

用法・用量 投与日
(日)
例数 Cmax
(ng/mL)
tmax*
(h)
AUC0-24h
(ng・h/mL)
2mg QD
連日
1 3 98.0±21.2 3.0(3.0, 6.0) 1,770±388
22 2 404、920 3.0、5.9 6,928、16,413
4mg QD
連日
1 3 162±52.5 2.0(1.0, 4.0) 2,458±563
22 3 524±181 5.9(4.0, 7.4) 11,552±4,271
6mg QD
連日
1 3 398±97.3 2.9(1.9, 3.9) 6,989±1,812
22 2 1,090、1,660 1.0、3.9 20,797、31,458
10mg QD
間歇
1 3 521±164 2.9(2.0, 3.9) 8,935±1,935
29 2 350、633 7.1、7.8 7,723、12,257
12mg QD
間歇
1 7 701±451 2.8(1.0, 4.0) 12,698±6,698
29 4 652±277 6.0(4.1, 23.9) 13,301±6,375

平均値±標準偏差(2例の場合は個別値)、*:中央値(最小値, 最大値) QD:1日1回

日本人進行固形癌又は悪性リンパ腫患者に本剤2~12mgを単回経口投与したときの血漿中エルダフィチニブ濃度推移(平均値+標準偏差)日本人進行固形癌又は悪性リンパ腫患者に本剤2~6mgを1日1回連日経口投与(第2及び3日目には投与せず)、並びに本剤10及び12mgを1日1回7日間経口投与後、7日間休薬(間歇経口投与)したときの第22又は29日目の血漿中エルダフィチニブ濃度推移(平均値+標準偏差)

エルダフィチニブのCmax及びAUC0-24hは、概ね用量に比例して増加した。本剤8mgを1日1回連日経口投与したとき約2週間で定常状態に達し、AUC0-24hに基づく累積率は約4倍であった2)。

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人(16例)に本剤9mgを単回経口投与注)したとき、空腹時投与に対する高脂肪食後投与におけるエルダフィチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ0.862及び0.936であった。(外国人データ)

16.3 分布

エルダフィチニブのヒト血漿中タンパク結合率は99.7%であり、主にα1-酸性糖タンパク質に結合する(in vitro)。エルダフィチニブのヒト血液/血漿比は0.6であった(in vitro)3)。

16.4 代謝

エルダフィチニブは主にCYP2C9及びCYP3A4により代謝される(in vitro)。健康成人(8例)に14C-標識体を含むエルダフィチニブ12mgを単回経口投与注)したとき、投与13日後までの血漿中において、主に未変化体が検出され、代謝物は認められなかった4)。(外国人データ)

16.5 排泄

健康成人(8例)に14C-標識体を含むエルダフィチニブ12mgを単回経口投与注)したとき、投与16日後までの糞中及び尿中に、投与量のそれぞれ69%(未変化体として14~21%)及び19%(未変化体として13%)が排泄された5)。(外国人データ)

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害患者

肝機能正常被験者(8例)、軽度の肝機能障害を有する被験者(Child-Pugh分類A、8例)、中等度の肝機能障害を有する被験者(Child-Pugh分類B、8例)及び重度の肝機能障害を有する被験者(Child-Pugh分類C、2例)に本剤6mgを単回経口投与注)したときの非結合型エルダフィチニブの薬物動態パラメータは以下のとおりであった6)。(外国人データ)

肝機能障害の程度 例数 Cmax
(ng/mL)
AUCinf
(ng・h/mL)
幾何平均値の比[90%CI]
(肝機能障害を有する被験者/肝機能正常被験者)
Cmax AUCinf
正常 8 0.752±0.151 54.9±10.8
軽度 8 0.711±0.133 51.7±7.82 0.961[0.834, 1.11] 0.952[0.759, 1.20]
中等度 8 0.677±0.172 57.7±28.6 1.01[0.869, 1.17] 1.07[0.838, 1.36]
重度 2 0.735、1.19 82.6、130

平均値±標準偏差(2例の場合は個別値)、-:算出せず

  1. 16.6.2CYP2C9遺伝子多型を有する患者

本剤4mgを単回経口投与注)したとき、CYP2C9野生型遺伝子(CYP2C9*1/*1)を有する健康成人(12例)に対するCYP2C9変異型遺伝子(CYP2C9*1/*2又はCYP2C9*1/*3)を有する健康成人(7例:それぞれ5及び2例)のエルダフィチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ1.01及び0.947であった7)。(外国人データ)生理学的薬物動態モデルに基づいたシミュレーションにおいて、本剤9mgを1日1回経口投与注)したとき、CYP2C9野生型遺伝子(CYP2C9*1/*1)を有する患者に対するCYP2C9変異型遺伝子(①CYP2C9*2/*2、②CYP2C9*2/*3又は③CYP2C9*3/*3)を有する患者のエルダフィチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ①1.14及び1.14、②1.25及び1.26並びに③1.47及び1.51と推定された(日本人におけるCYP2C9*3/*3の遺伝子型の頻度は0.04%である)8)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1イトラコナゾール

健康成人(17例)にイトラコナゾール(強いCYP3A阻害剤)200mg(1~11日目に1日1回反復投与)と本剤4mg(5日目に投与)注)を併用投与したとき、本剤単独投与時に対するイトラコナゾール併用投与時のエルダフィチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.05及び1.34であった9)。(外国人データ)

  1. 16.7.2フルコナゾール

健康成人(16例)にフルコナゾール(中程度のCYP2C9阻害作用と中程度のCYP3A阻害作用の両者を有する薬剤)400mg(1~11日目に1日1回反復投与)と本剤4mg(5日目に投与)注)を併用投与したとき、本剤単独投与時に対するフルコナゾール併用投与時のエルダフィチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.21及び1.48であった9)。(外国人データ)

  1. 16.7.3カルバマゼピン

健康成人(13例)にカルバマゼピン(弱いCYP2C9誘導作用と強いCYP3A誘導作用の両者を有する薬剤)100~300mg(15~17日目に100mg、18~20日目に200mg、21~35日目に300mgを1日1回反復投与)と本剤12mg(1及び28日目に投与)注)を併用投与したとき、本剤単独投与時に対するカルバマゼピン併用投与時のエルダフィチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ0.654及び0.377であった10)。(外国人データ)

  1. 16.7.4ジゴキシン

生理学的薬物動態モデルに基づいたシミュレーションにおいて、ジゴキシン(P-gpの基質)単独投与時と比較して本剤併用時にジゴキシンの曝露量が上昇する可能性が示唆された11)。

  1. 16.7.5その他
  • 健康成人(21例)にミダゾラム(CYP3A基質)2.5mg(本薬投与開始2日前及び13日目に投与)と本剤8mg(1日1回反復投与)注)を併用投与したとき、ミダゾラム単独投与時に対する本剤併用投与時のミダゾラムのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ0.863及び0.821であった12)。(外国人データ)

  • 健康成人(16例)にメトホルミン(OCT2基質)1,000mg(本薬投与開始1日前及び14日目に投与)と本剤8mg(1日1回反復投与)注)を併用投与したとき、メトホルミン単独投与時に対する本剤併用投与時のメトホルミンのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比はそれぞれ1.09及び1.14であった12)。(外国人データ)

  • エルダフィチニブはP-gpの基質である(in vitro)。 注)本剤の承認用量は、1日1回8mgを2週間経口投与、それ以降は1日1回9mgを経口投与である。