Clinical snapshot

バイクロット配合静注用

乾燥濃縮人血液凝固第Ⅹ因子加活性化第Ⅶ因子

添付文書改訂 2026年03月01日

【警告】

エミシズマブ(遺伝子組換え)の臨床試験で、活性型血液凝固第Ⅸ因子及び血液凝固第Ⅹ因子を含む、活性型プロトロンビン複合体(乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体)製剤との併用において重篤な血栓塞栓症及び血栓性微小血管症の発現が複数例に認められている。本剤とエミシズマブ(遺伝子組換え)の併用例では重篤な血栓塞栓症及び血栓性微小血管症の発現は認められていないが、エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中及び投与中止後6ヵ月間は、本剤の投与は治療上やむを得ない場合に限ること。血栓塞栓症及び血栓性微小血管症のリスクを増大させる可能性を否定できない。

効能・効果

*血液凝固第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子に対するインヒビターを保有する患者の出血傾向の抑制

用法・用量

*本剤1バイアルを添付の日本薬局方注射用水2.5mLで溶解し、2~6分かけて緩徐に静脈内に注射する。 出血時に投与する場合、活性化人血液凝固第Ⅶ因子として、体重1kg当たり症状に応じて1回60~120μgを投与する。追加投与は、8時間以上の間隔をあけて行い、初回投与の用量と合わせて、体重1kg当たり180μgを超えないこととする。 定期的に投与する場合、活性化人血液凝固第Ⅶ因子として、体重1kg当たり1回60~120μgを1~2日おきに投与する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の使用にあたっては、疾病の治療での本剤の必要性とともに、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが、ヒトの血液を原材料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを患者及び家族に対して説明し、理解を得るよう努めること。

  2. 8.2本剤の原材料となる献血者の血液については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体、抗HIV-2抗体及び抗HTLV-1抗体陰性で、かつALT値でスクリーニングを実施している。さらに、HBV、HCV及びHIVについては個別の試験血漿で、HAV及びヒトパルボウイルスB19についてはプールした試験血漿で核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。その後のS/D処理及びウイルス除去膜処理により原材料由来のウイルスを除去し、さらに65℃、96時間の乾燥加熱処理を施した製剤であるが、投与に際しては、次の点に十分注意すること。

  3. 8.2.1血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。

  4. 8.2.2現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。

  5. 8.3マウスたん白質に対する抗体を産生する可能性を完全には否定できないので、観察を十分に行うこと。

  6. 8.4本剤と他の血液凝固因子製剤を併用する場合は、血栓形成等の相互作用が生じる可能性を否定できないため、治療上の有益性と危険性を十分に考慮すること。

  7. 8.5エミシズマブ(遺伝子組換え)の臨床試験で、エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中の出血時に活性型プロトロンビン複合体(乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体)製剤を併用した症例において、血栓塞栓症及び血栓性微小血管症の発現が複数例に認められている。本剤とエミシズマブ(遺伝子組換え)の併用例では血栓塞栓症及び血栓性微小血管症の発現は認められていないが、血栓塞栓症及び血栓性微小血管症があらわれるおそれを否定できないため、以下の事項に注意すること。

  8. 8.5.1エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中は本剤の投与を避けること。やむを得ず本剤を投与する場合は、必ず血友病に対する十分な治療経験を有する医師のもと、必要な血液凝固系検査等が実施可能で血栓塞栓症及び血栓性微小血管症に対する適切な処置が可能な医療機関で投与すること。また、投与後は血液凝固系検査等により患者の凝固系の状態を注意深く確認すること。異常が認められた場合には本剤及びエミシズマブ(遺伝子組換え)の投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  9. 8.5.2エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中止後6ヵ月間は、8.5.1と同じ対応をとること。

  10. 8.6重度の出血に対して使用する場合は、緊急時に十分対応できる医療施設において、十分な知識・経験を持つ医師のもとで使用すること。

  11. **8.7手術時における本剤の使用経験は少ないので、使用する場合は、治療上の有益性と危険性を十分に考慮すること。

  12. 8.8*在宅自己注射は、軽度又は中等度の出血及び定期投与を対象とする。在宅自己注射は、患者又はその家族が適切に使用可能と判断した場合にのみ適用すること。本剤を処方する際は、使用方法等の患者教育を十分に実施し、在宅にて適切に治療ができることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。また、患者又はその家族に対し、本剤により発現する可能性のある副作用等について十分説明すること。自己注射後、異常が認められた場合や効果が不十分な場合には、速やかに医療機関へ連絡するよう指導すること。自己注射の継続が困難な場合は、医療機関において医師の管理下で慎重に観察するなど、適切な対応を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1播種性血管内凝固(DIC)患者及びDICを起こしやすいとされている患者(大手術後、重症の肝疾患、溶血性貧血等)

DICの悪化又はDIC誘発のおそれがある。

  1. 9.1.2溶血性・失血性貧血等の患者

ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。

  1. 9.1.3免疫不全患者・免疫抑制状態の患者

ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持続性の貧血を起こすことがある。

  1. 9.1.4本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 9.1.5マウスたん白質に対し過敏症の既往歴のある患者

観察を十分に行うこと。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与すること。本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない。感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性がある。

9.7 小児等

*低出生体重児、新生児、乳児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に、生理機能が低下している。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
抗線溶剤
トラネキサム酸
       等
血栓形成傾向があらわれるおそれがある。 本剤の凝固活性とこれらの薬剤の抗プラスミン作用が微小血栓の寿命を比較的長期化させるため。
エミシズマブ(遺伝子組換え)
血栓塞栓症又は血栓性微小血管症があらわれるおそれがある。
エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中及び投与中止後6ヵ月間は、本剤の投与は避けること。エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中及び投与中止後6ヵ月間の出血に対してやむを得ず本剤を投与する場合は必ず血友病に対する十分な治療経験を有する医師のもと、必要な血液凝固系検査等が実施可能で血栓塞栓症及び血栓性微小血管症に対する適切な処置が可能な医療機関で投与すること。
本剤に含まれる血液凝固第X因子がエミシズマブ(遺伝子組換え)による凝固促進に影響を与える可能性が考えられ、凝固活性の増加につながるおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
TAT増加 頻度不明
口腔ヘルペス 頻度不明
発熱 頻度不明
腹痛 頻度不明
血中カリウム減少 頻度不明
血圧上昇 頻度不明
頭痛 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤の有効成分の一つであるFⅦaは、組織因子と結合し、FXを直接活性化することで、内因系凝固反応の因子であるFⅧやFⅨを迂回して、外因系凝固反応を促進する。本剤のもう一つの有効成分であるFXは、FⅦaの基質であり、血中のFX濃度を高めることでFⅦaによるFXの活性化効率を高め、トロンビンの産生量を増加させ、最終的にフィブリンの凝集塊(クロット)を形成して、インヒビター患者の出血を抑制する5)。

18.2 血液凝固反応

in vitro試験において、本剤は、第Ⅷ因子インヒビター血漿及び第Ⅸ因子欠乏血漿のAPTT、PTの短縮、凝固加速度の増強及びトロンビン生産能の亢進を示した6)。 また、抗第Ⅷ因子抗体の投与により作製した血友病Aインヒビターモデルマウス、抗第Ⅸ因子抗体の投与により作製した血友病Bインヒビターモデルマウス又はサル7)において、本剤投与による出血時間の改善が認められた。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

非出血時のインヒビターを保有する先天性血友病患者に本剤の120μg/kg(4名)を静脈内へ単回投与した際の薬物動態パラメータは、下表のとおりであった1)。AUC0-t及びCmaxは、本剤の用量に依存して増加し、20~120μg/kg注)の用量範囲で線形性を認めた。

測定項目 AUC0-t
(IU・h/mL)
Cmax
(IU/mL)
半減期
(h)
VdSS
(mL/kg)
生体内
回収率(%)
血液凝固
第Ⅶ因子活性
296.33
±14.24
105.96
±10.23
2.79
±0.61
50.91
±5.51
83.4
±7.9
血液凝固
第Ⅹ因子活性
111.26
±11.61
4.99
±0.46
22.66
±1.51
41.46
±4.58
120.9
±11.4

(平均値±SD、n=4)

注)本剤の承認された用量は「活性化人血液凝固第Ⅶ因子として、体重1kg当たり症状に応じて1回60~120μg」である。

  1. 16.1.2*反復投与

インヒビターを保有する先天性血友病患者4名に本剤を1日おきに120μg/kg(最高用法用量2名)又は2日おきに60μg/kg(最低用法用量2名)を静脈内へ4回繰り返し投与した際の薬物動態パラメータは、下表のとおりであった。Cmaxは、非出血時のインヒビターを保有する先天性血友病患者に本剤120μg/kg(4名)を静脈内へ単回投与した際の薬物動態パラメータの結果と大きくは変わらなかった。4回目投与前にFX:Cが定常状態に到達し、トラフ値は定期投与をすることで24週まで維持された。

測定項目 用法・用量 被験者 トラフ値
(IU/mL)
Cmax
(IU/mL)
血液凝固
第Ⅶ因子活性
最高
用法用量
1 1.75 111.09
2 2.64 134.82
最低
用法用量
3 1.56 90.18
4 1.50 71.63
血液凝固
第Ⅹ因子活性
最高
用法用量
1 3.27 6.96
2 3.15 7.02
最低
用法用量
3 1.65 4.70
4 1.78 3.74