Clinical snapshot

ノイロトロピン注射液1.2単位

ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液含有製剤

添付文書改訂 2023年07月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 腰痛症

  • 頸肩腕症候群

  • 症候性神経痛

  • 皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、蕁麻疹)に伴うそう痒

  • アレルギー性鼻炎

  • スモン(SMON)後遺症状の冷感・異常知覚・痛み

用法・用量

効能又は効果 用法及び用量
腰痛症、頸肩腕症候群、症候性神経痛、皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、蕁麻疹)に伴うそう痒、アレルギー性鼻炎 通常成人1日1回ノイロトロピン単位として、3.6単位(3管)を静脈内、筋肉内又は皮下に注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
スモン(SMON)後遺症状の冷感・異常知覚・痛み 通常成人1日1回ノイロトロピン単位として、7.2単位(6管)を静脈内に注射する。

使用上の注意

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
頻度不明
頻度不明
頻度不明
頻度不明
頻度不明
ALTの上昇 頻度不明
ASTの上昇 頻度不明
けいれん 頻度不明
さむけ 頻度不明
しびれ 頻度不明
そう痒 頻度不明
ふらつき 頻度不明
ふるえ 頻度不明
ほてり 頻度不明
ぼんやり 頻度不明
めまい 頻度不明
一過性の不快感 頻度不明
下痢 頻度不明
倦怠感 頻度不明
冷感 頻度不明
冷汗 頻度不明
口渇 頻度不明
喘息発作 頻度不明
嘔吐 頻度不明
心悸亢進 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心・嘔気 頻度不明
意識喪失 頻度不明
意識障害 頻度不明
戦慄 頻度不明
気分不良 頻度不明
注射部疼痛 頻度不明
注射部発赤 頻度不明
注射部硬結 頻度不明
注射部腫脹 頻度不明
浮腫 頻度不明
潮紅(フラッシング) 頻度不明
異常感覚 頻度不明
発汗 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
発赤 頻度不明
眠気 頻度不明
紅斑 頻度不明
脱力感 頻度不明
腫脹 頻度不明
腹痛 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血圧上昇 頻度不明
血圧低下 頻度不明
頭痛・頭重感 頻度不明
顔面紅潮 頻度不明
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は、鎮痛作用に加え冷感・異常知覚改善作用を併せ持ち、その作用機序として、中枢性鎮痛機構の一つであるモノアミン作動性下行性疼痛抑制系の活性化作用、侵害刺激局所における起炎物質であるブラジキニンの遊離抑制作用、末梢循環改善作用等が考えられる。

  1. 18.1.1下行性疼痛抑制系の活性化作用(マウス、ラット)

  2. (1)本剤の痛覚過敏改善作用は、腹腔内又は脊髄くも膜下腔内投与に比べて中枢の大槽内投与で強く認められた。(SARTストレスマウス)10)

  3. (2)本剤は、セロトニン(5-HT)作動性の下行性疼痛抑制系の中継核である延髄大縫線核の機能低下を改善した。(SARTストレスラット)11)

  4. (3)本剤の痛覚過敏改善作用は、下行性疼痛抑制系ニューロンが投射する脊髄に、5-HT3受容体又はノルアドレナリン(NA)作動性のα2受容体拮抗薬を脊髄くも膜下腔内投与すると抑制された。なお、本剤の作用はオピオイド受容体拮抗薬であるナロキソンの脊髄くも膜下腔内投与では拮抗されなかった。(SARTストレスラット)12)

  5. (4)本剤の痛覚過敏改善作用は、下行性疼痛抑制系の5-HT又はNA作動性神経を延髄又は脊髄レベルで選択的に薬物破壊すると抑制された。(SARTストレスラット)13) また、本剤の痛覚過敏改善作用と抗アロディニア作用は、NA作動性神経を脊髄レベルで選択的に薬物破壊すると抑制された。(SNLマウス)14)

  6. 18.1.2ブラジキニン遊離抑制作用(ラット)

ラット足趾に侵害刺激(圧刺激)を加えると、刺激局所にブラジキニン(BK)やプロスタグランジンE2(PGE2)等が増加する。この試験系に本剤10~50NU/kgを単回経口投与すると、PGE2遊離には影響を及ぼさなかったが、BK遊離を用量依存的に抑制した。一方、インドメタシンはPGE2遊離を抑制したが、BK遊離には影響を及ぼさなかった。15)

  1. 18.1.3末梢循環改善作用

  2. (1)組織血流改善作用(ラット) ラット足蹠カラゲニン炎症に対する本剤の効果を、組織血流量、痛覚閾値及び浮腫を指標として経時的に検討した。本剤の100NU/kg静脈内投与により、炎症局所に生じる虚血を改善し、その後の痛覚過敏を改善するとともに炎症の治癒を促進した。この作用態度はモルヒネ、非ステロイド性消炎鎮痛薬、ステロイド、αブロッカー等のいずれとも異なるものであった。16)

  3. (2)患部冷温域の皮膚温上昇作用(臨床) 整形外科領域における有痛性患者の患部皮膚温に対する本剤の効果をサーモグラフィーで評価した。本剤3~9管(3.6~10.8NU)(注4)の静脈内注射により、患部皮膚温の低下を選択的に改善した。17) (注4)本剤の承認された1回用量は3管又は6管である。

  4. 18.1.4視床下部ニューロンに対する作用(ラット)

神経生理学的研究(in vivo、in vitro)から、視床下部ニューロン発射活動を変化させた。これらの成績から、ニューロパシー性疼痛や異常知覚と関連すると考えられている知覚性ニューロン発射活動様式の異常を修飾することが示唆されている。18),19)

  1. 18.1.5末梢神経損傷部位における脱髄(末梢神経の軸索を囲む髄鞘が障害され、軸索がむき出しになること)に対する作用(マウス、ラット)

  2. (1)脱髄の抑制作用(マウス) マウスの坐骨神経を縫合糸(chromic gut)で緩く結紮すると、損傷した坐骨神経の周囲で炎症と脱髄が引き起こされる。このCCI(慢性絞扼性神経損傷)モデルマウスを用いて、末梢神経の損傷に対する本剤の効果を検討した。本剤をCCI手術3日前より200NU/kg/dayで連日経口投与することで、CCI術後1日目の坐骨神経の損傷部位における炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6及びTNF-α)の発現増加及びCCI術後5日目の坐骨神経の脱髄の進行を抑制した。20)

  3. (2)脱髄の改善作用(ラット) ラット皮膚切開後、坐骨神経内にリゾホスファチジルコリン注射を行うと、7日後に坐骨神経の脱髄がピークに達する。このリゾホスファチジルコリン誘発脱髄モデルラットを用いて、末梢神経の髄鞘を形成するシュワン細胞に対する本剤の効果を検討した。ラット坐骨神経内にリゾホスファチジルコリン注射7日後に、本剤を充てんした24時間持続性放出型浸透圧ポンプをラットの背部皮下に埋め込み、24NU/kg/日で7日間全身持続投与することで、坐骨神経の脱髄を改善し、温熱性及び機械刺激性痛覚鈍麻を回復させた。21)

18.2 鎮痛作用

本剤は、非ステロイド性消炎鎮痛剤やオピオイドと異なり、プロスタグランジン産生系やオピオイド系に作用せず、正常動物を用いた鎮痛薬評価系よりも痛覚過敏モデルとされるSARTストレス(反復寒冷負荷)動物、CCI(慢性絞扼性神経損傷)ラットやSNL(脊髄神経結紮)マウスに対して優れた効果を示す。また、末梢侵害刺激局所において、起炎物質であるブラジキニンの遊離抑制作用を示し、これらは本剤の薬効薬理における特長をなす。12),14),15),22),23),24),25),26)

  1. 18.2.1SARTストレス(反復寒冷負荷)動物における痛覚過敏改善効果

動物の飼育温度を昼間は1時間ごとに室温(24℃)と低温(マウス4℃、ラット−3℃)に変化させ、夜間は低温で飼育する(SARTストレス)と、4日目以降から安定した痛覚閾値の低下が認められ、痛覚過敏モデルとなる。 このSARTストレスマウスに本剤を単回腹腔内投与すると、用量依存的な鎮痛効果が認められ、その鎮痛効力(ED50値)は91NU/kg(NU:ノイロトロピン単位)で、正常動物の場合(239NU/kg)より強かった。27) また、本剤の連日腹腔内投与により、SARTストレスマウスの痛覚過敏が用量依存的に抑制された。そのED50値は単回投与の場合より小さく、7日目で10NU/kgとなり、本剤の反復投与により鎮痛効力が増大した。28)

  1. 18.2.2CCI(慢性絞扼性神経損傷)ラットにおける痛覚過敏の改善効果及び発症抑制効果

ラットの坐骨神経を縫合糸(chromic gut)で緩く結紮すると、数日後から痛覚過敏が惹起される。このCCI術後14日目の痛覚過敏ラットに、本剤100NU/kgを単回腹腔内投与すると、温熱性及び機械刺激性痛覚過敏が抑制された。更に、本剤50NU/kgを術後7日目から1週間、連日腹腔内投与すると、投与終了から2週間にわたって効果が持続し、CCI処置による温熱性痛覚過敏を改善した。25) また、CCIモデルにおける痛覚過敏の発症に対する本剤の効果を検討した。CCI術日の翌日から10日間、本剤100又は200NU/kg/dayの連日腹腔内投与により、CCI処置による温熱性痛覚過敏の発症を用量依存的に抑制した。26)

  1. 18.2.3SNL(脊髄神経結紮)マウスにおける痛覚過敏改善効果及び抗アロディニア効果

マウスの第5腰椎神経を絹糸できつく結紮すると、数日後から痛覚過敏とアロディニアが惹起される。このSNL術後7日目のマウスに、本剤50~200NU/kgを単回腹腔内投与すると、温熱性及び機械刺激性痛覚過敏、及びアロディニアが用量依存的に抑制された。14)

18.3 冷感・異常知覚に対する作用(ラット)

キノホルムを反復投与したラットに低温負荷試験を行い、本剤の効果をサーモグラフィーで評価した。本剤50又は100NU/kgの単回静脈内投与により、低下した皮膚温回復反応が有意に改善された。29)

18.4 抗アレルギー作用

  1. 18.4.1抗原誘発アレルギーモデルにおける症状改善作用(モルモット)

モルモットを卵白アルブミン又はトルエンジイソシアネートで感作・誘発し、アレルギーモデルを作製した。これらの系に、本剤50~200NU/kgを連日経口投与すると、くしゃみ、鼻汁分泌、喘鳴が抑制された。30)

  1. 18.4.2鼻粘膜副交感神経受容体数の調節作用(モルモット)

アレルゲン感作モルモットに抗原誘発を繰り返すと、鼻汁分泌に関与する鼻粘膜中のムスカリン性アセチルコリン受容体が増加する。この系に、本剤50~200NU/kgを連日経口投与すると、アセチルコリン受容体の増加が抑制された。30)

  1. 18.4.3好酸球浸潤抑制作用(マウス)

アレルギー性炎症において主要な役割を担う好酸球の局所浸潤に対する本剤の効果をT細胞依存性好酸球浸潤モデルマウスで検討した。本剤10~50NU/kg週2回、3週間の経口投与により、抗原(ブタクサ花粉抽出物)誘発24時間後における局所T細胞依存性好酸球浸潤が用量依存的に抑制された。同様の効果はシクロスポリンAの皮下投与でもみられた。31)

薬物動態

16.4 代謝

本剤はCYP1A2、CYP2A6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP4A11の基質となる種々の薬物の代謝に影響を与えないこと、またCYP2E1、CYP3A4により代謝される併用薬物との相互作用が起こる可能性は極めて低いことが示唆されている(in vitro試験)。1)