長鎖脂肪酸代謝異常症
効能・効果
用法・用量
通常、以下の計算式を用いて算出した本剤の1日総投与量を4回に分けて経口又は経管投与する。計算式における「DCIに対する本剤の割合」は、10%から開始し、2~3日毎に約5%ずつ増加させる。目標値は25~35%とするが、患者の状態に応じて適宜増減する。
1日総投与量(mL)=1日あたりのカロリー摂取量(DCI)(kcal)×DCIに対する本剤の割合÷8.3(kcal/mL)
使用上の注意
本剤の投与は、長鎖脂肪酸代謝異常症に精通した医師又はその指導のもとで行うこと。本剤による脂肪摂取量を考慮した上で、最新の栄養学的推奨事項を参考に食事の内容を適宜調節すること。また、本剤の漸増中や副作用による本剤の減量時には、食事の内容や患者のDCIを見直すこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1膵外分泌機能不全又は腸管吸収不良のある患者
患者の状態を慎重に観察し、本剤の投与量を調節すること。消化管における本剤からヘプタン酸への代謝能の低下又はヘプタン酸の吸収の低下により、本剤の作用が減弱するおそれがある。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。妊娠ラットに本剤の50%DCI量、及び妊娠ウサギに本剤の30%DCI量を投与したとき(それぞれヒトに本剤の臨床用量を投与したときの1.9倍及び0.9倍に相当する用量)、胎児に骨格奇形が認められている1) 。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
相互作用
- 本剤はリパーゼの基質である。また、本剤の活性代謝物であるヘプタン酸はOAT1及びOAT3に対する阻害作用が認められている。
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| オルリスタット | 本剤の作用が減弱するおそれがあるため、患者の状態を十分に観察すること。 | リパーゼ阻害作用により、本剤からのヘプタン酸の遊離が低下するおそれがある。 |
| OAT1又はOAT3の基質となる薬剤(フロセミド、メトトレキサート、バリシチニブ等) | これらの薬剤の血中濃度が上昇するおそれがあるため、患者の状態を十分に観察すること。 | 本剤の活性代謝物であるヘプタン酸がOAT1及びOAT3を阻害することで、OAT1又はOAT3を介したこれらの薬剤の輸送が阻害される可能性がある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| 上腹部痛 | 頻度不明 |
| 下痢(45.5%) | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 消化管痛を含む)(45.5%) | 頻度不明 |
| 腹痛(腹痛 | 頻度不明 |
| 腹部不快感 | 頻度不明 |
| 腹部膨満 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
LC-FAODは、長鎖脂肪酸の代謝に関する酵素の遺伝子変異による常染色体潜性の遺伝性疾患であり、脂肪酸のβ酸化が障害され、TCAサイクルの機能が低下する。本剤は、グリセリン骨格に奇数鎖脂肪酸であるヘプタン酸3分子が結合しており、経口投与後に生体内でヘプタン酸が生成される。ヘプタン酸からはTCAサイクルの基質であるアセチルCoAとTCAサイクルの中間体であるスクシニルCoAが生成されるため、本剤の投与により、LC-FAODにおけるTCAサイクルの機能が改善すると考えられる。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
健康成人に本剤0.3125及び0.375g/kgを食事と混合して単回経口投与したときの本剤の主要な活性代謝物であるヘプタン酸の薬物動態パラメータを表1に示す2) (外国人データ)。
| 投与量 (g/kg) |
例数 | Cmax (μmol/L) |
AUC0-8h (μmol・hr/L) |
tmax (h) |
CL/F (L/h/kg) |
|---|---|---|---|---|---|
| 0.3125 | 13 | 178.9±145 | 336.5±223 | 0.67 [0.42, 6.50] |
6.05±2.80a) |
| 0.375 | 13 | 259.1±134 | 569.1±189 | 1.20 [0.42, 8.30] |
4.31±1.02b) |
平均値±標準偏差、tmax:中央値[範囲] a)6例、b)10例
※値は平均値±標準偏差を示す。
- 16.1.2反復投与
健康成人に本剤0.3125g/kgを1日4回2日間食事と混合して反復経口投与したときの本剤の主要な活性代謝物であるヘプタン酸の薬物動態パラメータを表2に示す2) (外国人データ)。
| 投与量 (g/kg) |
例数 | Cmax (μmol/L) |
AUC0-8h (μmol・hr/L) |
tmax (h) |
|---|---|---|---|---|
| 0.3125 | 13 | 319.9±164 | 789.8±346 | 1.40[0.00, 8.40] |
平均値±標準偏差、tmax:中央値[範囲]
16.3 分布
ヘプタン酸(40及び400μmol/L)のヒト血漿タンパク結合率は、それぞれ77.5%及び80.7%であった。
16.4 代謝
本剤はリパーゼにより加水分解を受け、グリセロールとヘプタン酸に代謝される。ヘプタン酸は、中鎖アシルCoA合成酵素により炭素数7のヘプタノイルCoAに変換され、β酸化により、炭素数5のペンタノイルCoA、炭素数3のプロピオニルCoA及び炭素数2のアセチルCoAへと代謝される。
16.7 薬物相互作用
ヘプタン酸はOAT1及びOAT3に対して阻害作用を示した(IC50:30.1μmol/L及び33.1μmol/L)(in vitro)。