Clinical snapshot

トルツ皮下注80mgオートインジェクター

イキセキズマブ(遺伝子組換え)注射液

添付文書改訂 2025年09月01日

【警告】

  1. 1.1本剤は結核等の感染症を含む緊急時に十分に対応できる医療施設において、本剤についての十分な知識と適応疾患の治療に十分な知識・経験をもつ医師のもとで、本剤による治療の有益性が危険性を上回ると判断される症例のみに使用すること。 本剤は感染症のリスクを増大させる可能性があり、また結核の既往歴を有する患者では結核を活動化させる可能性がある。また、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現が報告されている。治療開始に先立ち、本剤が疾病を完治させる薬剤でないことを含め、本剤の有効性及び危険性を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で治療を開始すること。

  2. 1.2重篤な感染症

ウイルス、細菌及び真菌等による重篤な感染症が報告されているため、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意し、本剤投与後に感染症の徴候又は症状があらわれた場合には、速やかに担当医に連絡するよう患者を指導すること。

  1. 1.3本剤の治療を開始する前に、適応疾患の既存治療の適用を十分に勘案すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1重篤な感染症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]

  2. 2.2活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある。]

  3. 2.3本剤の成分に対し過敏症の既往歴を有する患者

効能・効果

  • 既存治療で効果不十分な下記疾患

  • 尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症

  • 強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎

用法・用量

  • 〈尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症〉

  • 通常、成人にはイキセキズマブ(遺伝子組換え)として初回に160mgを皮下投与し、2週後から12週後までは1回80mgを2週間隔で皮下投与し、以降は1回80mgを4週間隔で皮下投与する。

  • なお、12週時点で効果不十分な場合には、1回80mgを2週間隔で皮下投与できる。

  • 〈強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎〉

  • 通常、成人にはイキセキズマブ(遺伝子組換え)として1回80mgを4週間隔で皮下投与する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤は、感染のリスクを増大させる可能性がある。そのため本剤の投与に際しては、十分な観察を行い、感染症の発症や増悪に注意すること。感染症の徴候又は症状があらわれた場合には、速やかに担当医に連絡するよう患者を指導すること。

  2. 8.2本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部X線検査に加えインターフェロンγ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。また、本剤投与中も、胸部X線検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意し、結核を疑う症状(持続する咳、体重減少、発熱等)が発現した場合には速やかに担当医に連絡するよう患者を指導すること。なお、結核の活動性が確認された場合は結核の治療を優先し、本剤を投与しないこと。

  3. 8.3本剤投与中は、生ワクチン接種による感染症発現のリスクを否定できないため、生ワクチン接種は行わないこと。

  4. 8.4他の生物製剤から変更する場合は感染症の徴候について患者の状態を十分に観察すること。

  5. 8.5臨床試験において皮膚及び皮膚以外の悪性腫瘍の発現が報告されている。本剤との因果関係は明確ではないが、悪性腫瘍の発現には注意すること。

  6. 8.6*本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。

*自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、適用後、感染症等本剤による副作用が疑われる場合や、自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。更に、オートインジェクターの安全な廃棄方法に関する指導を行い、使用済みのオートインジェクターを廃棄する容器等を提供すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1感染症(重篤な感染症を除く)の患者又は感染症が疑われる患者

症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.2結核の既往歴を有する又は結核感染が疑われる患者

  2. (1)結核の既往歴を有する患者では、結核を活動化させるおそれがある。

  3. (2)結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。以下のいずれかの患者には、原則として抗結核薬を投与した上で、本剤を投与すること。

  • 胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者

  • 結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者

  • インターフェロンγ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、既感染が強く疑われる患者

  • 結核患者との濃厚接触歴を有する患者

  1. 9.1.3炎症性腸疾患の患者

炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)の患者に投与する場合は観察を十分に行うこと。症状を悪化させるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤はカニクイザルにおいて胎児への移行が報告されているが、胎児・出生児に毒性及び催奇形性は認められなかった。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒトの乳汁への移行や授乳された乳児の血液中への移行の有無は不明であるが、カニクイザルでは乳汁への移行が認められた。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

感染症等の副作用の発現に留意し、十分な観察を行うこと。一般に生理機能が低下している。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
インフルエンザ 1%未満
上気道感染(鼻咽頭炎 頻度不明
上気道感染) 頻度不明
口腔カンジダ症 1%未満
口腔咽頭痛 1%未満
悪心 1%未満
注射部位反応(注射部位紅斑 頻度不明
注射部位疼痛等) 頻度不明
白癬感染 頻度不明
結膜炎 1%未満
蕁麻疹 1%未満
食道カンジダ症 1%未満
鼻炎 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は、炎症性サイトカインであるインターロイキン(IL)-17Aに対するヒト化IgG4モノクローナル抗体であり、自己免疫疾患の発症に関与していると考えられるIL-17Aに結合してIL-17Aの作用を中和すると考えられる。

18.2 IL-17Aに対する結合親和性及び特異性

本剤はヒトIL-17Aに高い親和性で結合したが(解離定数:3pM未満)、IL-17B、IL-17C、IL-17D、IL-17E及びIL-17Fには結合しなかった(in vitro)20)。

18.3 IL-17A 誘導ケモカイン産生に対する阻害作用

In vitro試験及びIL-17Aを投与したマウスにおいて、本剤はIL-17Aにより誘導されるケモカイン産生を阻害した20)。

18.4 薬力学

第I相臨床試験で実施した乾癬患者の皮膚生検において、1日目から43日目にかけて表皮厚並びに増殖性ケラチノサイト、T細胞及び樹状細胞数の用量依存的な減少傾向が認められた21)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1*単回投与

外国人乾癬患者に本剤160mgをオートインジェクターで単回皮下投与したときの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータを図1及び表1に示す。外国人乾癬患者に本剤160mgを皮下投与したとき、血清中イキセキズマブ濃度は約4日で最高値に達した3)。

図1)外国人乾癬患者に本剤160mgをオートインジェクターで単回皮下投与したときの血清中濃度推移(平均値±標準偏差)

例数 98
Cmax(μg/mL) 14.8 (46)
C14days(μg/mL) 9.22 (51)
tmax注1)(day) 4.00 (1.88-14.01)
AUC(0-14days)(μg・day/mL) 154 (44)

幾何平均値(変動係数%)

注1)中央値(最小値-最大値)

  1. 16.1.2反復投与

日本人乾癬患者に本剤の160mgを開始用量とし、2週目より80mgを2週間隔、12週以降、80mgを4週間隔で皮下投与したときのトラフ濃度は表2のとおりであった4)。

2週Cpre 12週Cpre 52週Cpre
乾癬の病型 全体集団 8.69 (46.7)[24] 9.35 (44.6)[26] 2.57 (66.2)[12]
尋常性乾癬
(乾癬性関節炎を含む)
8.18 (47.7)[19] 9.43 (41.0)[20] 2.57 (70.2)[11]
乾癬性関節炎 4.94 (41.0)[5] 8.04 (40.6)[6] 2.23 (-)[2]
膿疱性乾癬 13.3 (-)[2] 13.4 (-)[2]
乾癬性紅皮症 9.67 (32.7)[3] 7.49 (66.9)[4] 2.60 (-)[1]

Cpre:投与前値(μg/mL)

幾何平均値(変動係数%)[例数]

日本人乾癬患者(9例)に本剤の160mgを開始用量とし、2週目より80mgを2週間隔で皮下投与したときの定常状態(投与24週時)のトラフ濃度の幾何平均値(変動係数%)は11.4μg/mL(61%)であった5)。

強直性脊椎炎患者(42例)に本剤80mgを4週間隔で皮下投与したときの定常状態(投与16週時)のトラフ濃度の幾何平均値(変動係数%)は3.48μg/mL(57%)であった6)。

日本人のX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎患者3例に本剤80mgを4週間隔で皮下投与したときの定常状態(投与16週時)のトラフ濃度の幾何平均値(変動係数%)は2.50μg/mL(42%)であった7)。

  1. 16.1.3母集団薬物動態解析

母集団薬物動態解析より局面型皮疹を有する乾癬患者のクリアランスは0.0161L/hr、分布容積は7.11L、半減期は約13日と推定された8)。局面型皮疹を有する乾癬患者に本剤の160mgを開始用量とし、2週目より80mgを2週間隔で皮下投与したときの、母集団薬物動態解析に基づく投与10~12週時の薬物動態パラメータの推定値は、表3のとおりであった9)。

国際共同試験 国内臨床試験
日本人 外国人 日本人
例数 9 424 91
Cmax(μg/mL) 14.9 (25.4) 14.4 (34.0) 17.1 (27.8)
AUC(0-14days)
(μg・day/mL)
164 (27.7) 164 (41.5) 195 (31.5)
Ctrough(μg/mL) 8.04 (34.8) 8.49 (59.3) 10.1 (39.1)
t1/2注2)(days) 11.4 (6.40-13.4) 13.2 (0.410-44.0) 12.2 (5.58-28.5)

幾何平均値(変動係数%)

注2)中央値(最小値-最大値)