Clinical snapshot

トリーメク配合錠

ドルテグラビルナトリウムアバカビル硫酸塩ラミブジン

添付文書改訂 2024年08月01日

【警告】

  1. 1.1過敏症

  2. 1.1.1海外の臨床試験において、アバカビル投与患者の約5%に過敏症の発現を認めており、まれに致死的となることが示されている。アバカビルによる過敏症は、通常、アバカビル含有製剤による治療開始6週以内(中央値11日)に発現するが、その後も継続して観察を十分に行うこと。

  3. 1.1.2アバカビルによる過敏症では以下の症状が多臓器及び全身に発現する。

  • 皮疹

  • 発熱

  • 胃腸症状(嘔気、嘔吐、下痢、腹痛等)

  • 疲労感、倦怠感

  • 呼吸器症状(呼吸困難、咽頭痛、咳等) 等

  • このような症状が発現した場合は、直ちに担当医に報告させ、アバカビルによる過敏症が疑われたときは本剤の投与を直ちに中止すること。

  1. 1.1.3アバカビルによる過敏症が発現した場合には、決してアバカビル含有製剤を再投与しないこと。本製剤の再投与により数時間以内にさらに重篤な症状が発現し、重篤な血圧低下が発現する可能性及び生命を脅かす可能性がある。

  2. 1.1.4呼吸器疾患(肺炎、気管支炎、咽頭炎)、インフルエンザ様症候群、胃腸炎、又は併用薬による副作用と考えられる症状が発現した場合あるいは胸部X線像異常(主に浸潤影を呈し、限局する場合もある)が認められた場合でも、アバカビルによる過敏症の可能性を考慮し、過敏症が否定できない場合は本剤の投与を直ちに中止し、決して再投与しないこと。

  3. 1.1.5患者に過敏症について必ず説明し、過敏症を注意するカードを常に携帯するよう指示すること。また、過敏症を発現した患者には、アバカビル含有製剤を二度と服用しないよう十分指導すること。

  4. 1.2B型慢性肝炎を合併している患者では、ラミブジンの投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので、本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合、重症化するおそれがあるので注意すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2重度の肝障害患者

効能・効果

HIV感染症

用法・用量

通常、成人には1回1錠(ドルテグラビルとして50mg、アバカビルとして600mg及びラミブジンとして300mgを含有)を食事の有無にかかわらず1日1回経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤による治療は、抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。

  2. 8.2本剤の再投与を考慮する際は、次のことに注意すること。

  • アバカビルによる過敏症に関連する症状は、再投与により初回より重篤な再発が認められる。重篤な血圧低下をきたし死に至る可能性があるので、アバカビルによる過敏症が疑われた患者には、決して再投与しないこと。

  • アバカビル含有製剤を中止した理由を再度検討し、アバカビルと過敏症との関連性が否定できない場合は再投与しないこと。

  • 投与中止前に過敏症の主な症状(皮疹、発熱、胃腸症状等)の1つのみが発現していた患者には、本剤の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ、必要に応じて入院のもとで投与を行うこと。

  • 過敏症の症状又は徴候が認められていなかった患者に対しても、直ちに医療施設に連絡できることを確認した上で投与を行うこと。

  1. 8.3*本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
  • 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染症を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。

  • 本剤は併用薬と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤を担当医に報告すること。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合には、事前に担当医に報告すること。

  • 担当医の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしないこと。

  • アバカビルの投与後過敏症が発現し、まれに致死的となることが報告されている。過敏症を注意するカードに記載されている徴候又は症状である発熱、皮疹、疲労感、倦怠感、胃腸症状(嘔気、嘔吐、下痢、腹痛等)及び呼吸器症状(呼吸困難、咽頭痛、咳等)等が発現した場合は、直ちに担当医に報告し、本剤の服用を中止すべきか否か指示を受けること。また、過敏症を注意するカードは常に携帯すること。

  • アバカビル含有製剤の再投与により重症又は致死的な過敏症が数時間以内に発現する可能性がある。したがって、本剤の服用を中断した後に再びアバカビル含有製剤を服用する際には、必ず担当医に相談すること。担当医又は医療施設を変わる場合には本剤の服用歴がある旨を新しい担当医に伝えること。

  • 本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明であること。

  1. 8.4本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築炎症反応症候群が報告されている。投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること。

  2. 8.5膵炎が発症する可能性があるので、血清アミラーゼ、血清リパーゼ、トリグリセリド等の生化学的検査を定期的に行うこと。

  3. 8.6肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行う等、観察を十分に行うこと。

  4. 8.7重篤な血液障害、乳酸アシドーシス、脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)、横紋筋融解症、ニューロパチー、錯乱状態、痙攣、心不全があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1膵炎を発症する可能性のある患者(膵炎の既往歴のある患者、膵炎を発症させることが知られている薬剤との併用療法を受けている患者)

膵炎を再発又は発症する可能性がある。本剤の適用を考える場合には、他に十分な効果の認められる治療法がない場合にのみ十分注意して行うこと。

  1. 9.1.2B型又はC型肝炎ウイルス感染患者

肝機能の悪化(トランスアミナーゼ上昇又は増悪)のおそれがある。臨床試験において、B型又はC型肝炎ウイルス重複感染患者では、ドルテグラビルの投与によりトランスアミナーゼ上昇又は増悪の発現頻度が非重複感染患者より高かった。

  1. 9.1.3B型肝炎ウイルス感染を合併している患者

本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性の場合、重症化するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1腎機能障害(Ccrが30mL/min未満)を有する患者

ラミブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある。

  1. 9.2.2腎機能障害(Ccrが30~49mL/min)を有する患者

血液検査等をより頻回に行うなど、慎重に患者の状態を観察すること。ラミブジンに関連する副作用の発現が疑われる場合は、個別のドルテグラビル製剤、アバカビル製剤又はラミブジン製剤を用いてラミブジンの用量調節を考慮すること。ラミブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝障害患者

投与しないこと。アバカビルの血中濃度が上昇することにより、副作用が発現するおそれがある。

  1. 9.3.2軽度又は中等度の肝障害患者

アバカビルの血中濃度が上昇することにより、副作用が発現するおそれがある。

9.5 妊婦

**妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 海外の観察研究において、無脳症や二分脊椎などの神経管閉鎖障害が、受胎前からドルテグラビル含有製剤を服用していた妊婦から生まれた児9460例中10例(0.11%、95%信頼区間0.06-0.19)に報告されており、ドルテグラビルを含まない抗HIV薬を服用していた妊婦から生まれた児23664例中25例(0.11%、95%信頼区間0.07-0.16)、HIV陰性の妊婦から生まれた児170723例中108例(0.07%、95%信頼区間0.05-0.08)に報告されている1)。 ドルテグラビル、アバカビル及びラミブジンに関して次のことが報告されている。

  1. 9.5.1ドルテグラビル

ドルテグラビルはヒト胎盤を通過する。ドルテグラビルの母体血漿中濃度に対する胎児臍帯血漿中濃度の比(中央値[範囲])は、1.28[1.21-1.28]であることが報告されている2)(外国人データ)。

  1. 9.5.2アバカビル

動物において、アバカビル又はその代謝物は胎盤を通過することが示されている。また、動物(ラットのみ)において、アバカビルの500mg/kg/日又はそれ以上の投与量(臨床用量におけるヒト全身曝露量(AUC)の約28倍)で、胚又は胎児に対する毒性(胎児の浮腫、変異及び奇形、吸収胚、体重減少、死産の増加)が認められたとの報告がある。

  1. 9.5.3ラミブジン

ラミブジンはヒト胎盤を通過する。出生児の血清中ラミブジン濃度は、分娩時の母親の血清中及び臍帯血中濃度と同じであることが報告されている(外国人データ)。 動物実験(ウサギ)で胎児毒性(早期の胚死亡数の増加)が報告されている。

  1. 9.5.4アバカビル/ラミブジン共通

NRTIを子宮内曝露又は周産期曝露された新生児及び乳児において、ミトコンドリア障害によると考えられる軽微で一過性の血清乳酸値の上昇が報告されている。 非常にまれに発育遅延、てんかん様発作、他の神経疾患も報告されている。しかしながら、これら事象とNRTIの子宮内曝露、周産期曝露との関連性は確立していない。

9.6 授乳婦

授乳を避けさせること。一般に、HIVの乳児への移行を避けるため、あらゆる状況下においてHIVに感染した女性は授乳すべきでない。

  1. 9.6.1ドルテグラビル

ドルテグラビルはヒト乳汁中に移行する。ドルテグラビルの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比(中央値[範囲])は、0.033[0.021-0.050]であることが報告されている2)(外国人データ)。

  1. 9.6.2アバカビル

アバカビルの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比は0.9であることが報告されている3)(外国人データ)。

  1. 9.6.3ラミブジン

経口投与されたラミブジンはヒト乳汁中に排泄されることが報告されている(乳汁中濃度:<0.5-8.2μg/mL)4)(外国人データ)。 ラミブジンの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比は0.6~3.3であることが報告されている(外国人データ)。 乳児の血清中のラミブジン濃度は18~28ng/mLであったとの報告がある(外国人データ)。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら注意して投与すること。一般に生理機能(肝機能、腎機能、心機能等)が低下しており、合併症を有している又は他の薬剤を併用している場合が多い。

相互作用

  • ドルテグラビルは主にUGT1A1の基質であり、一部CYP3A4でも代謝される。また、ドルテグラビルは有機カチオントランスポーター2(OCT2)及びMultidrug and Toxin Extrusion 1(MATE1)を阻害する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ピルシカイニド塩酸塩水和物 ピルシカイニドの血漿中濃度を上昇させる可能性がある。併用により、ピルシカイニドで重大な副作用として報告されている心室頻拍、洞停止及び心室細動等の発現及び重篤化があらわれるおそれがあるので、併用中は注意深く観察すること。 ドルテグラビルのOCT2及びMATE1の阻害作用により、ピルシカイニドの排出が阻害される可能性がある。
カルバマゼピン
ドルテグラビルの血漿中濃度をCmaxで33%、Cτで73%低下させたとの報告がある8)。 カルバマゼピンがCYP3A4及びUGT1A1を誘導することにより、ドルテグラビルの代謝が促進される。
• フェニトイン
• ホスフェニトイン
フェノバルビタール
セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort, セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
ドルテグラビルの血漿中濃度を低下させる可能性がある。 これらの薬剤並びにセイヨウオトギリソウがCYP3A4及びUGT1A1を誘導することにより、ドルテグラビルの代謝が促進される。
リファンピシン
ドルテグラビルの血漿中濃度をCmaxで43%、Cτで72%低下させたとの報告がある9)。 リファンピシンがCYP3A4及びUGT1A1を誘導することにより、ドルテグラビルの代謝が促進される。
多価カチオン(Mg,Al等)含有製剤 ドルテグラビルの血漿中濃度をCmaxで72%、C24で74%低下させる10)。本剤は多価カチオン含有製剤の投与2時間前又は6時間後の投与が推奨される。 これらの多価カチオンと錯体を形成することにより、ドルテグラビルの吸収が阻害される。
鉄剤、カルシウム含有製剤(サプリメント等) ドルテグラビルの血漿中濃度をCmaxで35%、C24で32%低下させる10)。食事と同時に摂取する場合を除き、本剤は鉄剤、カルシウム含有製剤の投与2時間前又は6時間後の投与が推奨される。 鉄、カルシウムと錯体を形成することにより、ドルテグラビルの吸収が阻害される。
メトホルミン塩酸塩 メトホルミンの血漿中濃度をドルテグラビル50mg1日1回投与時及び1日2回投与時にCmaxでそれぞれ66%及び111%上昇させる11)。注意深く観察し、必要に応じてメトホルミンを減量する等慎重に投与すること。 ドルテグラビルのOCT2及びMATE1の阻害作用により、メトホルミンの排出が阻害される可能性がある。
アルコール(飲酒)
アバカビルの代謝はエタノールによる影響を受ける。アバカビルのAUCが約41%増加したが、エタノールの代謝は影響を受けなかったとの報告がある12)。 アバカビルがアルコールデヒドロゲナーゼの代謝基質として競合すると考えられている。
メサドン塩酸塩 メサドンのクリアランスが22%増加したことから、併用する際にはメサドンの増量が必要となる場合があると考えられる。なお、アバカビルの血中動態は臨床的意義のある影響を受けなかった(Cmaxが35%減少し、tmaxが1時間延長したが、AUCは変化しなかったとの報告がある)。 機序不明
スルファメトキサゾール・トリメトプリム ラミブジンのAUCが43%増加し、全身クリアランスが30%、腎クリアランスが35%減少したとの報告がある。 腎臓における排泄がラミブジンとトリメトプリムで競合すると考えられている。
ソルビトール 経口ソルビトール溶液(ソルビトールとして3.2g、10.2g、13.4g)とラミブジンの併用により、ラミブジンのAUCが減少した(それぞれ18%、36%、42%減少)との報告がある。 ソルビトールによりラミブジンの吸収が抑制されると考えられている。
リオシグアト 本剤とリオシグアトの併用により、リオシグアトのAUCが増加するおそれがある。本剤との併用が必要な場合は、患者の状態に注意し、必要に応じてリオシグアトの減量を考慮すること。 アバカビルのCYP1A1阻害作用によりリオシグアトの代謝が阻害される。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT増加 頻度不明
AST増加 頻度不明
アミラーゼ増加 頻度不明
インフルエンザ様疾患 頻度不明
うつ病 頻度不明
ざ瘡 頻度不明
そう痒症 頻度不明
リンパ球減少症 頻度不明
リンパ節症 頻度不明
上気道の炎症 頻度不明
上腹部痛 頻度不明
下痢 頻度不明
不安 頻度不明
不眠症 頻度不明
乳頭炎 頻度不明
体幹部の脂肪増加 頻度不明
体温調節障害 頻度不明
体脂肪の再分布/蓄積(胸部 頻度不明
体重増加 頻度不明
体重減少 頻度不明
倦怠感 頻度不明
傾眠 頻度不明
免疫再構築炎症反応症候群 頻度不明
副鼻腔炎 頻度不明
口腔咽頭痛 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
呼吸障害 頻度不明
咳嗽 頻度不明
嗜眠 頻度不明
嘔吐 頻度不明
多汗症 頻度不明
平均赤血球容積増加 頻度不明
心筋症 頻度不明
悪心 頻度不明
感情障害 頻度不明
敗血症 頻度不明
易刺激性 頻度不明
末梢性ニューロパチー 頻度不明
末梢部 頻度不明
毛包炎 頻度不明
気管支炎 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
消化不良 頻度不明
湿疹 頻度不明
無力症 頻度不明
熱感 頻度不明
異常な夢 頻度不明
異常感 頻度不明
疲労 頻度不明
疼痛 頻度不明
痔核 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
皮膚炎 頻度不明
睡眠障害 頻度不明
筋痙直 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
筋障害 頻度不明
総蛋白増加 頻度不明
総蛋白減少 頻度不明
耳管炎 頻度不明
肝機能検査異常 頻度不明
肝炎 頻度不明
肺炎 頻度不明
胃炎 頻度不明
胃食道逆流性疾患 頻度不明
脱毛症 頻度不明
脱水 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部不快感 頻度不明
腹部硬直 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
自殺企図 頻度不明
自殺念慮 頻度不明
血中クレアチニン増加 頻度不明
血中クレアチンホスホキナーゼ増加 頻度不明
血中コレステロール増加 頻度不明
血中トリグリセリド増加 頻度不明
血中ビリルビン増加 頻度不明
血中ブドウ糖増加 頻度不明
血中ブドウ糖減少 頻度不明
血中尿酸増加 頻度不明
血中重炭酸塩増加 頻度不明
血中重炭酸塩減少 頻度不明
血清脂質増加 頻度不明
血糖増加) 頻度不明
酩酊感 頻度不明
野牛肩 頻度不明
錯感覚 頻度不明
関節痛 頻度不明
頭痛 頻度不明
顔面の脂肪減少 頻度不明
食欲減退 頻度不明
骨痛 頻度不明
高乳酸血症 頻度不明
鼓腸 頻度不明
鼻炎 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  1. 18.1.1ドルテグラビル

ドルテグラビルはレトロウイルスの複製に必要な酵素であるHIVインテグラーゼの活性部位に結合することによってその活性を阻害し、ウイルスDNAの宿主DNAへの組込みを抑制する。

  1. 18.1.2アバカビル

アバカビルは細胞内で活性化型のカルボビル三リン酸に変換される。カルボビル三リン酸は天然基質デオキシグアノシン三リン酸に代わってウイルスDNA鎖に取りまれ、DNA鎖の伸長を停止させることによりHIVの複製を阻害する。また、カルボビル三リン酸はHIV逆転写酵素を競合的に阻害する51),52),53)。

  1. 18.1.3ラミブジン

ラミブジンは細胞内でリン酸化され、HIVを感染させた細胞内での半減期が約12時間の活性化型の三リン酸化体に変換される54)。ラミブジン三リン酸化体はHIVの逆転写酵素によりデオキシシチジン三リン酸の代わりにウイルスDNA鎖に取り込まれ、DNA鎖の伸長を停止させることによりHIVの複製を阻害する55)。また、ラミブジン三リン酸化体はHIVの逆転写酵素を競合的に阻害する55)。一方、in vitroで、ヒト末梢血リンパ球、リンパ球系・単球-マクロファージ系の株化細胞56)及び種々のヒト骨髄前駆細胞に対するラミブジンの細胞毒性は弱かった。

18.2 抗ウイルス作用

  1. 18.2.1ドルテグラビル

HIV-1 BaL株及びHIV-1 NL432株に感染させた末梢血単核球を用いた時のドルテグラビルのウイルス複製に対する50%阻害濃度(IC50)は、それぞれ0.51及び0.53nMであり、HIV-1 ⅢB株に感染させたMT-4細胞を用いた時のIC50は2.1nMであった(in vitro)。 13種のHIV-1臨床分離株(サブタイプB)のインテグラーゼコード領域を導入した組換えウイルスに対するドルテグラビルのIC50(平均値)は0.52nMであり、その活性は実験室株に対する抗ウイルス活性と同程度であった。24種のHIV-1臨床分離株[グループM(サブタイプA、B、C、D、E、F、G)及びグループO]並びに3種のHIV-2臨床分離株からなるパネル株を感染させた末梢血単核球を用いた時のドルテグラビルのIC50(幾何平均)はHIV-1株及びHIV-2株でそれぞれ0.20nM(範囲は0.02~2.14nM)及び0.18nM(範囲は0.09~0.61nM)であった(in vitro)。

  1. 18.2.2アバカビル

アバカビルのHIV-1に対するIC50はHIV-1 ⅢB株に対して3.7~5.8μM、臨床分離株に対して0.26±0.18μM(8例)、HIV-1 BaL株に対して0.07~1.0μMであった。また、HIV-2に対するIC50はHIV-2(Zy)株に対して4.1μM、HIV-2 LAV-2株に対して7.5μMであった。In vitroでNRTIのジダノシン、エムトリシタビン、ラミブジン、サニルブジン、テノホビル、ザルシタビン及びジドブジン、NNRTIのネビラピン、及びプロテアーゼ阻害剤のアンプレナビルとの相加又は相乗作用が認められた52)。また、ヒト末梢血単核球から活性化リンパ球を除いた場合に、より強い抗HIV作用を示したことから、アバカビルは静止細胞でより強く抗ウイルス作用を示すものと考えられる57)。

  1. 18.2.3ラミブジン

In vitroでのラミブジンのHIV-1(RF、GB8、U455及びⅢB株)に対するIC50は670nM以下、HIV-2 ROD株に対するIC50は40nMであった56)。 In vitroでアバカビル、ジダノシン、ネビラピン、ザルシタビン及びジドブジンとの相加又は相乗作用が認められた67)。また、in vitroにおいて、ラミブジンは単独で、ジドブジン耐性臨床分離株の平均p24抗原量を薬物無処置群に比べ66~80%低下させた。 In vitroでの26種のHIV-1臨床分離株[グループM(サブタイプA、B、C、D、E、F、G)]並びに3種類のHIV-2臨床分離株に対するラミブジンのIC50(平均値)はHIV-1株及びHIV-2株でそれぞれ40nM(範囲は1~120nM)及び42nM(範囲は2~120nM)であった。

18.3 薬剤耐性

  1. 18.3.1ドルテグラビル

抗HIV薬による治療経験があり、かつINSTIの投与経験のない患者を対象としたSAILING試験(ドルテグラビル投与群354例)において、投与48週後にウイルス学的な治療失敗例の17例中4例でINSTIに耐性が認められた。これら4例中2例に特有のR263Kインテグラーゼ変異が認められ、FCの最大値は1.93であった。もう1例には、多型のV151V/Iインテグラーゼ変異が認められFCの最大値は0.92であり、残り1例には試験前からインテグラーゼ変異の存在が認められており、既にINSTIの投与経験があるか、又はインテグラーゼ耐性ウイルスに感染したものと推定された。 HIV-1 ⅢB株及びHIV-1 NL432株をそれぞれ112及び56日間継代培養した試験でみられたインテグラーゼ領域のアミノ酸変異はS153Y、S153F、E92Q及びG193Eであり、FC(各種分離株に対するIC50/野生型HIV-1株に対するIC50)の最大値は4.1であった。また、HIV-1臨床分離株(サブタイプB、C及びA/G)を更に長期間継代培養した試験でみられた変異はG118R(FC=10)、S153T及びR263K(FC=1.5)であった(in vitro)。

  1. 18.3.2アバカビル

アバカビルに対して低感受性のHIV-1分離株がin vitro及びアバカビル投与患者から分離されており、いずれも逆転写酵素にM184V、K65R、L74V及びY115Fの変異が確認された。これらの変異を2種以上含むことにより、アバカビル感受性は1/10に低下した。臨床分離株ではM184V及びL74Vの変異が頻回に観察された53)。

  1. 18.3.3ラミブジン

ラミブジンを含む抗HIV薬で治療を受けたHIV-1感染症患者で発現するラミブジン耐性HIV-1には、HIV逆転写酵素の活性部位に近い184番目のアミノ酸のメチオニンからバリンへの変異(M184V)がみられる58)。このM184V変異の結果、ウイルスのラミブジンに対する感受性は著明に低下し58),59)、in vitroでのウイルスの複製能力は低下する60)。 In vitroにおいて、ジドブジン耐性臨床分離株にラミブジン耐性変異を導入すると、ジドブジンに対する感受性は回復することが確認されている。また、抗HIV薬の治療経験のない患者にジドブジン及びラミブジンを併用することにより、ジドブジン耐性ウイルスの出現が遅延する61)。さらに、抗HIV薬(ラミブジンを含む)の多剤併用療法はM184V変異ウイルスを有する患者と同様、抗HIV薬の治療経験のない患者においても有効性が確認されている62),63)。

18.4 交差耐性

  1. 18.4.1ドルテグラビル

ラルテグラビル[Fold Change(FC)>81]に対する遺伝子型及び表現型の耐性を有する30種の臨床分離株について、ドルテグラビル(FC=1.5)に対する感受性を調べた。G140S+Q148H分離株では、ドルテグラビルのFC値は3.75であり、G140S+Q148R分離株では13.3、T97A+Y143R分離株では1.05、N155H分離株では1.37であった。ラルテグラビルの投与経験のある患者から分離した705種のラルテグラビル耐性株について、ドルテグラビルに対する感受性を調べたところ、93.9%の分離株に対してFCが10以下であった(in vitro)。 部位特異的変異を有する60種のINSTI耐性HIV-1ウイルスパネル株(28種は単一アミノ酸変異、32種は二重又は多重変異)を用いてドルテグラビルの抗ウイルス活性を検討した。単一のINSTI耐性変異(T66K、I151L及びS153Y)を有するウイルスでは、ドルテグラビルに対する感受性が2倍以上(2.3~3.6倍)低下した。複数の変異(T66K/L74M、E92Q/N155H、G140C/Q148R、G140S/Q148H、G140S/Q148R、G140S/Q148K、Q148R/N155H、T97A/G140S/Q148及びE138/G140/Q148)を有するウイルスでは、ドルテグラビルに対する感受性が2倍以上(2.5~21倍)低下した(in vitro)。INSTIに耐性を有する患者を対象としたVIKING-3試験では、投与24週後までに183例中36例でウイルス学的な治療失敗が認められた。このうち31例については、試験開始時及びウイルス学的な治療失敗時の両時点で解析用耐性データがあり、31例中16例(52%)で投与に伴う変異が認められた。確認された治療下での変異又は混合変異はL74L/M(1例)、E92Q(2例)、T97A(8例)、E138K/A(7例)、G140S(2例)、Y143H(1例)、S147G(1例)、Q148H/K/R(4例)、N155H(1例)及びE157E/Q(1例)であった。また、治療下で変異の出現が認められた16例中14例において、試験開始時又はそれ以前からQ148の変異を有していた。

  1. 18.4.2アバカビル

2種以上のアバカビル関連耐性変異を獲得したHIV-1株のうち数種は、in vitroでラミブジン、ジダノシン及びザルシタビンに対して交差耐性を示し、一方、ジドブジン及びサニルブジンには感受性を示した53)。 アバカビルとHIVプロテアーゼ阻害剤とは標的酵素が異なることから、両者間で交差耐性を示す可能性は低く、NNRTIも逆転写酵素の結合部位が異なることから、交差耐性を示す可能性は低いものと考えられる。

  1. 18.4.3ラミブジン

ジドブジン及びサニルブジンは、ラミブジン耐性HIV-1に対し抗ウイルス活性を維持する59),61),64)。 アバカビルはM184V変異のみが認められているウイルスに対しては、抗ウイルス活性を維持する53)。 また、ジダノシン及びザルシタビンは、M184V変異ウイルスに対して感受性が低下するというin vitroでの報告があるが、これらの感受性の低下と臨床効果の関係は明らかにされていない65)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回経口投与

健康成人12例に本剤を空腹時に単回経口投与した時の血漿中ドルテグラビル、アバカビル及びラミブジンの薬物動態パラメータを表-1に示す15)。

Cmax
(μg/mL)
AUC0-inf
(μg・h/mL)
AUC0-t
(μg・h/mL)
Tmax注1)
(h)
t1/2
(h)
ドルテグラビル 4.21±0.84 75.2±15.1 73.0±14.6 3.50
(1.02-5.00)
14.0±2.77
アバカビル 5.38±1.44 18.7±4.0 18.6±4.0 1.01
(0.98-3.00)
2.84±1.06
ラミブジン 3.43±0.81 16.8±1.7 16.7±1.7 2.98
(2.00-4.00)
19.6±5.59

平均値±標準偏差、12例 注1)中央値(範囲)

健康成人62例に本剤を空腹時に単回経口投与した時の血漿中ドルテグラビル、アバカビル及びラミブジンの薬物動態パラメータを表-2に示す16)(外国人データ)。

Cmax
(μg/mL)
AUC0-inf
(μg・h/mL)
AUC0-t
(μg・h/mL)
Tmax注1)
(h)
t1/2
(h)
ドルテグラビル 2.53±0.70 47.12±15.41 42.75±13.15 3.00
(1.0-8.0)
13.00±2.72
アバカビル 4.13±0.95 14.35±3.54 14.32±3.53 2.00
(0.5-3.0)
2.69±0.84
ラミブジン 2.20±0.64 13.13±3.22 12.70±3.24 3.00
(1.0-5.0)
16.28±7.69

平均値±標準偏差、62例 注1)中央値(範囲)

健康成人男性6例及び女性4例にドルテグラビル製剤50mgを単回経口投与した時の血漿中ドルテグラビルの薬物動態パラメータを表-3に示す。ドルテグラビルは投与後約3時間で最高血漿中濃度に達し、消失半減期は約15時間であった。また、日本人における薬物動態は外国人における薬物動態と同様であった17)。

Cmax
(μg/mL)
Tmax注1)
(h)
AUC0-inf
(μg・h/mL)
t1/2
(h)
C24
(μg/mL)
2.37±1.23 3.0(2.0-4.0) 47.7±24.6 14.7±1.56 0.73±0.36

平均値±標準偏差、10例 注1)中央値(範囲)

ドルテグラビル製剤は経口投与により速やかに吸収され、投与後約2~3時間で最高血漿中濃度に達した。HIV感染症患者及び健康成人にドルテグラビル製剤を経口投与した時の血漿中ドルテグラビルの曝露量は、2~100mg注)の範囲では投与量増加の割合を下回って増加した18),19)が、25~50mg注)の範囲では投与量にほぼ比例して増加した20)(外国人データ)。

HIV感染症患者9例にアバカビル・ラミブジン製剤(600mg・300mg)を空腹時単回投与した時のアバカビル、ラミブジンの薬物動態パラメータを表-4に示す21)。

Cmax
(μg/mL)
AUClast
(μg・h/mL)
AUC0-τ
(μg・h/mL)
Tmax注1)
(h)
t1/2
(h)
アバカビル 5.68±2.04 12.56±4.01 12.89±4.22 1.00
(0.50-1.03)
1.50±0.16
ラミブジン 3.58±0.61 13.81±3.56 16.30±5.058 2.00
(1.00-3.00)
2.49±0.55

平均値±標準偏差、9例 注1)中央値(範囲)

HIV感染症患者12例にアバカビル製剤100、300、600、900、1200mg注)を単回経口投与した場合、Cmax及びAUC0-infは投与量に依存して上昇した。未変化体の血漿中濃度は投与約1.5時間後に最高濃度に達し、消失半減期は約1.5時間であった22)(外国人データ)。

  1. 16.1.2反復経口投与

HIV感染症患者20例にアバカビル製剤300mg注)を1日2回投与した場合の定常状態におけるCmaxは約3μg/mL、12時間までのAUCは約6μg・h/mLであった23)(外国人データ)。

HIV感染症患者27例にアバカビル製剤600mg1日1回投与時とアバカビル製剤300mg注)1日2回投与時の定常状態における薬物動態パラメータを比較した結果、細胞内カルボビル三リン酸の曝露は、アバカビル製剤600mg1日1回投与時の方が大きく、AUC0-24、Cmax及びCτがそれぞれ32%、99%及び18%増加した(外国人データ)。

成人HIV感染症患者にラミブジン2mg/kgを1日2回注)15日間経口投与した時、初回投与時では投与1.5時間後に最高血中濃度の1.5μg/mLに達し、半減期は2.6時間であり、15日間投与後では血中濃度は定常状態に達し、最高血中濃度は1.9μg/mLであった(外国人データ)24)。

  1. 16.1.3生物学的同等性

健康成人62例に、本剤1錠、ドルテグラビル製剤50mg及びアバカビル・ラミブジン製剤(600mg・300mg)各1錠を空腹時に単回経口投与し、生物学的同等性を評価した。 本剤投与時とドルテグラビル製剤及びアバカビル・ラミブジン製剤の併用投与時のドルテグラビル、アバカビル及びラミブジンのAUC0-t、AUC0-inf及びCmaxは、生物学的同等性の判定基準(平均値の比の90%信頼区間が0.80~1.25の範囲内)を満たし、生物学的同等性が示された(外国人データ)。

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人12例に、高脂肪食(869kcal、53%が脂肪由来)摂取後に本剤を経口投与した時、空腹時投与時と比較して、ドルテグラビルのAUC0-inf及びCmaxがそれぞれ48及び37%増加した。また、ラミブジンのAUC0-inf及びCmax、アバカビルのAUC0-infに変化は認められなかったが、アバカビルのCmaxは23%低下した(外国人データ)。

  1. 16.2.2バイオアベイラビリティ

  2. (1)アバカビル硫酸塩

HIV感染症患者にアバカビル錠300mg注)を単回経口投与した時の生物学的利用率は約83%であった26)(外国人データ)。

  1. (2)ラミブジン

HIV感染症患者にラミブジンのカプセル製剤0.25~8mg/kg注)を単回経口投与した時の生物学的利用率は約82%であった25)(外国人データ)。

16.3 分布

  1. 16.3.1ドルテグラビル

  2. (1)血漿蛋白結合率

In vitroにおいて、ドルテグラビルのヒト血漿蛋白結合率は約99.3%であった27)。

  1. (2)分布容積

健康成人男性にドルテグラビル20mg(懸濁液)注)を単回経口投与した時の見かけの分布容積は12.5Lであった(外国人データ)。

  1. (3)血球移行性

ヒトでの血液/血漿比(平均値)は0.441~0.535であり、ドルテグラビルの血球移行性は低かった(5%未満)。

  1. (4)非結合型薬物

血漿中ドルテグラビルの遊離分画は健康成人で約0.2~1.1%、中等度の肝機能障害患者で約0.4~0.5%、重度の腎機能障害患者で約0.8~1.0%、HIV感染症患者で0.5%であった(外国人データ)。

  1. (5)脳脊髄液への移行

ドルテグラビルは脳脊髄液中にも分布する。ドルテグラビル製剤50mg及びアバカビル・ラミブジン製剤(600mg・300mg)が併用投与された抗HIV薬による治療経験のない成人HIV感染症患者11例において、ドルテグラビルの脳脊髄液中濃度(中央値)は18ng/mLであり、血漿中濃度の0.11~0.66%であった(外国人データ)。

  1. (6)組織内分布

ドルテグラビルは女性及び男性の生殖器に分布する。 健康成人女性にドルテグラビル製剤50mg/日を5~7日間経口投与した時の子宮頸膣液、子宮頸部組織及び膣組織におけるドルテグラビルのAUCは定常状態での血漿中ドルテグラビルのAUCの6~10%であった(外国人データ)。 また、健康成人男性にドルテグラビル製剤50mg/日を8日間経口投与した時の精液及び直腸組織におけるドルテグラビルのAUCは定常状態での血漿中ドルテグラビルのAUCの7%及び17%であった(外国人データ)。

  1. 16.3.2アバカビル

  2. (1)分布容積

HIV感染症患者6例を対象にアバカビルを150mg静脈内投与注)した時の見かけの分布容積は約0.86L/kgであり、広く組織に分布することが示唆された26),66)(外国人データ)。

  1. (2)脳脊髄液への移行

HIV感染症患者におけるアバカビルの脳脊髄液(CSF)への移行は良好で、血漿中AUCに対するCSF中AUCの比は31~44%であった30)(外国人データ)。アバカビル600mg1日2回注)投与時の最高濃度の実測値はIC50(0.08μg/mLあるいは0.26μM)の9倍超であった66)(外国人データ)。

  1. (3)血漿蛋白結合率

In vitroにおいて、アバカビルは10μg/mLまでの添加濃度範囲で、ヒト血漿蛋白結合率は49%と一定であった66)。

  1. (4)血球移行性

血液及び血漿中放射能濃度が同じであったことから、アバカビルは血球に直ちに分布することが示された66)。

  1. 16.3.3ラミブジン

成人HIV感染症患者に4~10mg/kg注)を1日2回2週間以上反復経口投与した時、投与2時間後の脳脊髄液中濃度は血中濃度の約6%であった31)(外国人データ)。

16.4 代謝

  1. 16.4.1ドルテグラビル

In vitroにおいて、ドルテグラビルは主に肝臓のUGT1A1でグルクロン酸抱合される32)。また、ドルテグラビルはCYP3Aでも一部代謝された33)。

  1. 16.4.2アバカビル

ヒトでの主代謝物は、5'-カルボン酸体及び5'-グルクロン酸抱合体であった30)(外国人データ)。ヒト肝由来試料を用いたin vitro試験から、アバカビルは肝可溶性画分により酸化的代謝を受け5'-カルボン酸体を生成したが、肝ミクロソーム画分ではアバカビルの酸化的代謝は起こらなかった。なお、これらの代謝物には抗ウイルス活性はなかった。 アバカビルの酸化的代謝にはCYPではなく、アルコールデヒドロゲナーゼ/アルデヒドデヒドロゲナーゼが関与していた。 また、ヒトUGT発現系を用いたin vitro試験において、アバカビルはUGT2B7でのみ代謝された34)。 アバカビルは細胞内で活性代謝物であるカルボビル三リン酸に代謝される。HIV感染症患者20例にアバカビル300mg注)1日2回投与した時の定常状態における細胞内カルボビル三リン酸の半減期は20.6時間であった(外国人データ)。

  1. 16.4.3ラミブジン

ヒトでの主代謝物はトランス-スルホキシド体(1-[(2R5S)-trans-2-hydroxymethyl-1,3-oxathiolan-3-oxide-5-yl]cytosine)であった37)(外国人データ)。

16.5 排泄

  1. 16.5.1ドルテグラビル

健康成人にドルテグラビル20mg注)を単回経口投与した時の主な排泄経路は糞であり、経口投与量の53%が未変化体として糞中に排泄された。また、尿中には経口投与量の31%が排泄され、その内訳は18.9%がエーテル型グルクロン酸抱合体、3.6%がN-脱アルキル体、3.0%がベンジル位の酸化体であり、未変化体は1%未満であった(外国人データ)。健康成人に14C-ドルテグラビル20mg(懸濁液)注)を単回経口投与した時の総投与量の約9.7%が酸化的代謝物として尿糞中に回収された(外国人データ)。

  1. 16.5.2アバカビル

HIV感染症患者6例に14C標識アバカビル600mgを単回経口投与後、薬物体内動態を検討した。総放射能の約99%が排泄され、主な排泄経路は尿(約83%)であり、糞中には約16%排泄された。尿中に排泄された放射能の約1%は未変化体であり、約30%が5'-カルボン酸体、約36%が5'-グルクロン酸抱合体であった30)(外国人データ)。

  1. 16.5.3ラミブジン

成人HIV感染症患者にラミブジン2mg/kg注)を経口投与した時、投与後12時間尿中にトランス-スルホキシド体が投与量の5.2%排泄された。また、血中濃度が定常状態での未変化体の尿中排泄率は投与量の約70%であり、腎排泄がラミブジンの体内からの除去の主要な経路であることが示された37)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

  2. (1)ドルテグラビル

重度の腎機能障害(8例、Ccr:30mL/min未満)を有する患者にドルテグラビル製剤50mgを単回経口投与した。その結果、重度の腎機能障害患者における薬物動態は健康成人との間に臨床的に重要である差はみられなかったことから、腎機能障害患者に対してドルテグラビル製剤の用量調節を行う必要はない40)(外国人データ)。

  1. (2)アバカビル

腎機能障害患者(GFR:<10mL/min)におけるアバカビルの薬物動態は、腎機能が正常な患者の薬物動態と同様であった41)(外国人データ)。

  1. (3)ラミブジン

腎機能の低下したHIV感染症患者にラミブジンを300mg注)単回経口投与した時、Ccrの低下につれてAUC及び最高血中濃度が増加し、半減期が延長し、見かけの全身クリアランスが減少した42)(外国人データ)。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

  2. (1)ドルテグラビル

ドルテグラビルは主に肝臓で代謝されて排泄される。中等度の肝機能障害(8例、Child-Pugh分類:B)を有する患者にドルテグラビル製剤50mgを単回経口投与した。その結果、中等度の肝機能障害患者における薬物動態は健康成人と同様であったことから 、中等度の肝機能障害に対してドルテグラビル製剤の用量調節の必要はない43)(外国人データ)。なお、重度の肝機能障害患者でのドルテグラビルの薬物動態に及ぼす影響については検討していない。

  1. (2)アバカビル

軽度の肝障害(Child-Pugh分類の合計点数:5)を有するHIV感染症患者におけるアバカビルの薬物動態を検討した結果、AUC及び消失半減期は肝障害を有さないHIV感染症患者のそれぞれ1.89倍及び1.58倍であった。代謝物の体内消失速度にも変化が認められたが、AUCは肝障害による影響を受けなかった44)(外国人データ)。なお、これら患者に対する推奨投与量は明らかでない。

  1. (3)ラミブジン

中等度及び重度の肝障害を有する患者における成績より、ラミブジンの薬物動態は、肝障害によって重大な影響を受けないことが示されている45)(外国人データ)。

  1. 16.6.3B型肝炎及びC型肝炎のウイルス重複感染患者

C型肝炎ウイルス重複感染患者を対象とした母集団薬物動態解析の結果、C型肝炎ウイルス重複感染はドルテグラビルの曝露量に対して臨床的な影響を及ぼさなかった(外国人データ)。なお、B型肝炎ウイルス重複感染患者におけるドルテグラビル製剤投与時の薬物動態データは限られている。 アバカビル及びラミブジンに対して、B型肝炎及びC型肝炎ウイルス重複感染が薬物動態に及ぼす影響については検討されていない。

  1. 16.6.4小児等

小児患者における本剤の薬物動態は確立していない。 12歳以上18歳未満の小児患者におけるドルテグラビル、アバカビル及びラミブジンの薬物動態は成人と同様であった(外国人データ)。

  1. 16.6.5性別

健康成人にドルテグラビル250mg(懸濁液)注)を単回経口投与した時の血漿中ドルテグラビルの薬物動態パラメータは、男性(17例)よりも女性(24例)の方がわずか(最大約20%)に高い傾向がみられた(外国人データ)。 成人HIV感染症患者を対象とした後期第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験での母集団薬物動態解析の結果、性別はドルテグラビルの曝露量に対して臨床的な影響を及ぼさなかった(外国人データ)。 アバカビル及びラミブジンに対しても、性別は臨床的な影響を及ぼさなかった(外国人データ)。

  1. 16.6.6人種

成人HIV感染症患者を対象とした後期第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験での母集団薬物動態解析の結果、人種はドルテグラビルの曝露量に対して臨床的な影響は認められなかった。アバカビル及びラミブジンに対しても、人種は臨床的な影響を及ぼさなかった(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1In vitro試験

  2. (1)ドルテグラビル

分布に関わるトランスポーター:ドルテグラビルは、ヒトPgp及びBCRPの基質である28),29)。 排泄に関わるトランスポーター:ドルテグラビルは、ヒト有機アニオントランスポーター1(OAT1)、OAT3、OCT2、MATE1及びMATE2-Kを介した輸送を阻害した(IC50:それぞれ2.12、1.97、1.93、6.34及び24.8μM)35),36)。

  1. (2)アバカビル

In vitro試験において、アバカビルはCYP1A1を阻害し、CYP3A4もわずかに阻害した69)が、CYP2D6及び2C9を阻害しなかった23)。また、アバカビルは主代謝酵素であるアルコールデヒドロゲナーゼ/アルデヒドデヒドロゲナーゼを阻害しなかった。

  1. (3)ラミブジン

排泄に関わるトランスポーター:ラミブジンはOCT2、MATE1及びMATE2-Kの基質である38),39)。

  1. 16.7.2臨床薬物相互作用試験

  2. (1)ドルテグラビル単独投与での成績

ドルテグラビルを併用薬と投与した時の薬物動態パラメータの変化を、表-5及び表-6に示す(外国人データ)。

併用薬及び用量 ドルテグラビルの用量注) 例数 ドルテグラビル併用時/非併用時の併用薬の薬物動態パラメータの幾何平均比(90%信頼区間);影響なし=1.00
Cτ又はC24 AUC Cmax
エチニルエストラジオール 0.035mg 50mg
1日2回
15 1.02
(0.93,1.11)
1.03
(0.96,1.11)
0.99
(0.91,1.08)
メサドン 20-150mg 50mg
1日2回
11 0.99
(0.91,1.07)
0.98
(0.91,1.06)
1.00
(0.94,1.06)
ミダゾラム 3mg 25mg
1日1回
10 0.95
(0.79,1.15)
Norelgestromin
(国内未発売)
0.25mg
50mg
1日2回
15 0.93
(0.85,1.03)
0.98
(0.91,1.04)
0.89
(0.82,0.97)
リルピビリン
25mg 1日1回
50mg
1日1回
16 1.21
(1.07,1.38)
1.06
(0.98,1.16)
1.10
(0.99,1.22)
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
300mg 1日1回
50mg
1日1回
15 1.19
(1.04,1.35)
1.12
(1.01,1.24)
1.09
(0.97,1.23)
メトホルミン
500mg 1日2回
50mg
1日1回
14 1.79
(1.65,1.93)
1.66
(1.53,1.81)
メトホルミン
500mg 1日2回
50mg
1日2回
14 2.45
(2.25,2.66)
2.11
(1.91,2.33)
併用薬及び用量 ドルテグラビルの用量注) 例数 他剤併用時/非併用時のドルテグラビルの薬物動態パラメータの幾何平均比(90%信頼区間);影響なし=1.00
Cτ又はC24 AUC Cmax
アタザナビル
400mg 1日1回
30mg
1日1回
12 2.80
(2.52,3.11)
1.91
(1.80,2.03)
1.50
(1.40,1.59)
アタザナビル+リトナビル
300mg+100mg 1日1回
30mg
1日1回
12 2.21
(1.97,2.47)
1.62
(1.50,1.74)
1.34
(1.25,1.42)
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩
300mg 1日1回
50mg
1日1回
15 0.92
(0.82,1.04)
1.01
(0.91,1.11)
0.97
(0.87,1.08)
ダルナビル+リトナビル
600mg+100mg
30mg
1日1回
15 0.62
(0.56,0.69)
0.78
(0.72,0.85)
0.89
(0.83,0.97)
エファビレンツ6)
600mg 1日1回
50mg
1日1回
12 0.25
(0.18,0.34)
0.43
(0.35,0.54)
0.61
(0.51,0.73)
エトラビリン5)
200mg 1日2回
50mg
1日1回
15 0.12
(0.09,0.16)
0.29
(0.26,0.34)
0.48
(0.43,0.54)
エトラビリン+ダルナビル+リトナビル
200mg+600mg+100mg
1日2回
50mg
1日1回
9 0.63
(0.52,0.76)
0.75
(0.69,0.81)
0.88
(0.78,1.00)
ホスアンプレナビル+リトナビル7)
700mg+100mg 1日2回
50mg
1日1回
12 0.51
(0.41,0.63)
0.65
(0.54,0.78)
0.76
(0.63,0.92)
ロピナビル・リトナビル
400mg・100mg 1日2回
30mg
1日1回
15 0.94
(0.85,1.05)
0.97
(0.91,1.04)
1.00
(0.94,1.07)
乾燥水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム
20mL
単回
50mg
単回
16 0.26
(0.21,0.31)
0.26
(0.22,0.32)
0.28
(0.23,0.33)
乾燥水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム
20mL
投与後2時間
単回
50mg
単回
16 0.70
(0.58,0.85)
0.74
(0.62,0.90)
0.82
(0.69,0.98)
総合ビタミン剤
1錠 1日1回
50mg
単回
16 0.68
(0.56,0.82)
0.67
(0.55,0.81)
0.65
(0.54,0.77)
オメプラゾール
40mg 1日1回
50mg
単回
12 0.95
(0.75,1.21)
0.97
(0.78,1.20)
0.92
(0.75,1.11)
prednisone
(国内未発売)
60mg 1日1回
(漸減)
50mg
1日1回
12 1.17
(1.06,1.28)
1.11
(1.03,1.20)
1.06
(0.99,1.14)
リファンピシン注1)
600mg 1日1回
50mg
1日2回注1)
11 0.28
(0.23,0.34)
0.46
(0.38,0.55)
0.57
(0.49,0.65)
リファンピシン注2)
600mg 1日1回
50mg
1日2回注2)
11 1.22
(1.01,1.48)
1.33
(1.15,1.53)
1.18
(1.03,1.37)
リファブチン
300mg 1日1回
50mg
1日1回
9 0.70
(0.57,0.87)
0.95
(0.82,1.10)
1.16
(0.98,1.37)
リルピビリン
25mg 1日1回
50mg
1日1回
16 1.22
(1.15,1.30)
1.12
(1.05,1.19)
1.13
(1.06,1.21)
Tipranavir
(国内未発売)+リトナビル
500mg+200mg
1日2回
50mg
1日1回
14 0.24
(0.21,0.27)
0.41
(0.38,0.44)
0.54
(0.50,0.57)
テラプレビル
750mg 8時間ごと
50mg
1日1回
15 1.37
(1.29,1.45)
1.25
(1.20,1.31)
1.19
(1.11,1.26)
Boceprevir
(国内未発売)
800mg 8時間ごと
50mg
1日1回
13 1.08
(0.91,1.28)
1.07
(0.95,1.20)
1.05
(0.96,1.15)
カルバマゼピン
300mg 1日2回
50mg
1日1回
14 0.27
(0.24,0.31)
0.51
(0.48,0.55)
0.67
(0.61,0.73)

注1)ドルテグラビル50mg1日2回投与とリファンピシンを併用したドルテグラビル50mg1日2回投与との比較 注2)ドルテグラビル50mg1日1回投与とリファンピシンを併用したドルテグラビル50mg1日2回投与との比較

  1. (2)アバカビル単独投与での成績

ヒト肝スライスを用いたin vitro試験において、HIVプロテアーゼ阻害剤であるアンプレナビルはアバカビルの代謝を阻害しなかった。 アバカビルが併用薬の薬物動態に及ぼす影響を表-7に、併用薬がアバカビルの薬物動態に及ぼす影響を表-8に示す(外国人データ)。

併用薬
及び用量
アバカビルの用量注) 例数 アバカビル併用時/非併用時の併用薬の薬物動態パラメータの幾何平均比 (90%信頼区間);影響なし=1.00
CLss/F AUC Cmax
メサドン46)
40mg
アバカビル
600mg1日2回
11 1.22
(1.06-1.42)
併用薬
及び用量
アバカビルの用量注) 例数 他剤併用時/非併用時のアバカビルの薬物動態パラメータの幾何平均比(90%信頼区間);影響なし=1.00
CL/F AUC Cmax
メサドン46)
40mg
アバカビル
600mg1日2回
12 1.18
(0.96,1.43)
0.85
(0.70-1.04)
0.65
(0.53,0.80)
エタノール12)
0.7g/kg
アバカビル
600mg単回
24 1.41
(1.35-1.48)
1.15
(1.03,1.28)
  1. (3)ラミブジン単独投与での成績

併用薬がラミブジンの薬物動態に及ぼす影響を表-9に示す(外国人データ)。

併用薬
及び用量
ラミブジンの用量 例数 他剤併用時/非併用時のラミブジンの薬物動態パラメータの幾何平均比(90%信頼区間);影響なし=1.00
CL/F AUC CLr
トリメトプリム・スルファメトキサゾール
160mg・800mg/日
5日間
ラミブジン
300mg単回
14 0.70
(0.65,0.76)
1.43
(1.32,1.55)
0.65
(0.54,0.78)
  1. (4)リオシグアトの曝露量に及ぼす影響

アバカビル・ドルテグラビル・ラミブジン600mg・50mg・300mg注)を投与中の成人HIV感染症患者にリオシグアト0.5mgを単回経口投与した時、リオシグアトのAUCが健康成人に単独投与したヒストリカルコントロールと比べて約2.6倍に増加した69),70)(外国人データ)。

注)本剤の承認された用法及び用量は「通常、成人には1回1錠(ドルテグラビルとして50mg、アバカビルとして600mg及びラミブジンとして300mgを含有)を食事の有無にかかわらず1日1回投与する。」である。