Clinical snapshot

トリメブチンマレイン酸塩錠100mg「サワイ」

トリメブチンマレイン酸塩

添付文書改訂 2023年12月01日

効能・効果

  • 慢性胃炎における消化器症状(腹部膨満感、腹部疼痛、悪心、噯気)

  • 過敏性腸症候群

用法・用量

  • 〈慢性胃炎における消化器症状〉

トリメブチンマレイン酸塩として、通常成人1日量300mg(本剤3錠)を3回に分けて経口投与する。 年齢、症状により適宜増減する。

  • 〈過敏性腸症候群〉

トリメブチンマレイン酸塩として、通常成人1日量300~600mg(本剤3~6錠)を3回に分けて経口投与する。

使用上の注意

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。非臨床試験で乳汁への移行が認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
そう痒感 1%未満
めまい 1%未満
下痢 1%未満
便秘 1%未満
倦怠感 1%未満
口内しびれ感 1%未満
口渇 1%未満
嘔吐 1%未満
尿閉 1%未満
心悸亢進 1%未満
悪心 1%未満
排尿障害 1%未満
発疹 1%未満
眠気 1%未満
腹鳴 1%未満
蕁麻疹 1%未満
頭痛 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  1. 18.1.1消化管平滑筋に対する作用

トリメブチンは、平滑筋細胞において、弛緩した細胞に対しては、Kチャネルの抑制に基づく脱分極作用により細胞の興奮性を高め、一方、細胞の興奮性に応じてCaチャネルを抑制することで過剰な収縮を抑制することが推測される6)。

  1. 18.1.2オピオイド受容体を介する作用

トリメブチンは、運動亢進状態にある腸管では、副交感神経終末にあるオピオイドμ及びκ受容体に作用して、アセチルコリン遊離を抑制し、消化管運動を抑制する。一方、運動低下状態にある腸管では、交感神経終末にあるμ受容体に作用してノルアドレナリン遊離を抑制する。その結果、副交感神経終末からのアセチルコリン遊離が増加し、消化管運動を亢進する7)。

18.2 消化管運動に対する作用

  1. 18.2.1胃運動調律作用

  2. (1)モルモット摘出胃前庭部の輪状筋標本に対し、10-5g/mLで自動運動の振幅を減少させる。一方、同標本の28℃での不規則かつ減弱した運動に対しては頻度及び振幅を増加させ、規則的な律動性収縮運動へ移行させる8)(in vitro)。

  3. (2)胸部迷走神経を切断した麻酔イヌの不規則な胃運動に対し、3mg/kgの静脈内投与で規則的な胃運動に移行させる9)。

  4. (3)消化器疾患患者の胃幽門部運動に対し、1mg/kgの静脈内投与で運動機能亢進群では運動抑制が認められる。一方、運動機能低下群では運動亢進が認められる10)。

  5. 18.2.2消化管連動運動誘発作用

ヒトの消化管運動に対し、4~6mg/kgの空腸内投与で生理的な消化管連動運動の誘発が認められる11)。

  1. 18.2.3胃排出能改善作用

上腹部消化器不定愁訴を有する慢性胃炎患者に対し、200mgの経口投与で、胃排出能の低下している場合には亢進させる。 一方、亢進している場合には抑制傾向が認められる12)。

  1. 18.2.4腸運動調律作用

  2. (1)モルモット摘出結腸標本に対し、10-5g/mLで筋の緊張度が低い場合(低負荷時)にはトーヌスを増加させる。一方、筋の緊張度が高い場合(高負荷時)にはトーヌスを低下させ、振幅を減少させる13)(in vitro)。

  3. (2)過敏性腸症候群患者の心理ストレス負荷による大腸運動亢進に対し、300mg経口投与で運動抑制が認められる14)。

  4. (3)ネオスチグミン負荷により運動亢進したヒトの上行結腸、S状結腸に対し、50mg静脈内投与で、負荷前のレベルまで運動を抑制する15)。

  5. 18.2.5食道下端括約圧(LESP)調節作用

麻酔イヌにおけるテトラガストリン負荷誘発食道下端括約圧上昇は、0.6mg/kg静脈内投与で低下する。一方、セクレチン負荷誘発内圧低下は上昇する16)。

  1. 18.2.6消化管平滑筋直接作用

  2. (1)モルモット摘出胃前庭部の輪状筋標本における自動運動抑制作用は、アトロピン、フェントラミン、プロプラノロール及びテトロドトキシンの存在下でも発現する8)(in vitro)。

  3. (2)モルモット摘出回腸のアセチルコリンによる収縮を非競合的に抑制する17)(in vitro)。また、麻酔イヌの消化管運動に対する作用は胸部迷走神経を切断しても発現する9)。

18.3 末梢性鎮吐作用

イヌにおいて、アポモルヒネ誘発の嘔吐に対する抑制作用は弱いが、硫酸銅誘発の嘔吐に対し3mg/kgの静脈内投与又は60mg/kgの経口投与で嘔吐発現潜時を明らかに延長させる18)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1生物学的同等性試験

トリメブチンマレイン酸塩錠100mg「サワイ」とセレキノン錠100mgを健康成人男子にそれぞれ1錠(トリメブチンマレイン酸塩として100mg)空腹時単回経口投与(クロスオーバー法)し、血漿中トリメブチン濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された1)。

Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
AUC0-12hr
(ng・hr/mL)
トリメブチンマレイン酸塩錠100mg「サワイ」 20.2±3.6 0.8±0.2 1.2±0.4 30.9±8.8
セレキノン錠100mg 21.6±3.7 0.7±0.2 1.1±0.4 29.6±10.6

(Mean±S.D.)

血漿中濃度ならびにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.2 吸収

ラットの小腸(空腸)結紮部に14C-トリメブチンを投与し、トリメブチンの消化管からの吸収は速やかであり、1時間までに94%の放射能が吸収された2)。

16.3 分布

  1. 16.3.1蛋白結合率

ヒト血清において77.0%であった3)(in vitro、平衡透析法)。

  1. 16.3.2組織への移行性

ラットに14C-トリメブチンを経口投与後30分での放射能濃度は、肝臓、消化管内容、腎臓では高く、肺、脾臓、膵臓、副腎では中程度、血液、骨格筋、脳、精巣等では低かった。3H-標識体投与時の同時点では、消化管内容、腎臓、肝臓に高く、肺、血液、心筋には中程度、精巣及び脳では低かった。いずれの標識化合物投与時でも、72時間後には極めて低い濃度となった2)。 ラットに3H/14C-トリメブチンを1日1回、7日及び14日間連続経口投与した際の組織内濃度は、14日連続投与してもそれらの値は7回連続投与群とほとんど同程度か、むしろ低くなる臓器・組織もあった。14日連続投与後72時間目の14C濃度はかなり低くなり、特定の臓器・組織に残留する傾向は認められなかった。一方、組織内3H濃度についてみると、分布パターンにおいて14C-標識体の場合と若干異なるところもあったが、14C-標識体の場合と同様に、特定の臓器・組織に残留する傾向は認められなかった4)。

  1. 16.3.3胎児への移行性

妊娠後期の雌ラットに14C-トリメブチンを経口投与した際の母体組織内濃度は投与後30分値が最も高く、以後経時的に減少していった。卵巣、子宮、胎盤の濃度は母体血中濃度にほぼ等しく、胎児、羊水の濃度は極めて低かった。胎児1匹当りの放射能移行量は母体投与量の約0.02%であった5)。

  1. 16.3.4乳汁への移行性

分娩後6日目の母体ラットに14C-トリメブチン(30mg/kg)を経口投与した際、哺乳児中の放射能濃度は4時間から8時間にかけて最高値に達し、乳児1匹への放射能移行量は、8時間までに母体投与量の約0.04%と推定された5)。