Clinical snapshot

トポテシン点滴静注100mg

イリノテカン塩酸塩水和物

添付文書改訂 2025年12月01日

【警告】

  1. 1.1本剤使用にあたっては、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与を開始すること。

  2. 1.2本剤の臨床試験において、骨髄機能抑制あるいは下痢に起因したと考えられる死亡例が認められている。本剤の投与は、緊急時に十分に措置できる医療施設及びがん化学療法に十分な経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与し、下記の患者には投与しないなど適応患者の選択を慎重に行うこと。

  • 骨髄機能抑制のある患者

  • 感染症を合併している患者

  • 下痢(水様便)のある患者

  • 腸管麻痺、腸閉塞のある患者

  • 間質性肺炎又は肺線維症の患者

  • 多量の腹水、胸水のある患者

  • 黄疸のある患者

  • アタザナビル硫酸塩を投与中の患者

  • 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  1. 1.3本剤を含む小児悪性固形腫瘍に対するがん化学療法は、小児のがん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで実施すること。

  2. 1.4投与に際しては、骨髄機能抑制、高度な下痢等の重篤な副作用が起こることがあり、ときに致命的な経過をたどることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

  3. 1.5骨髄機能抑制による致命的な副作用の発現を回避するために、特に以下の事項に十分注意すること。

  4. 1.5.1投与予定日(投与前24時間以内)に末梢血液検査を必ず実施し、結果を確認してから、本剤投与の適否を慎重に判断すること。

  5. 1.5.2投与予定日の白血球数が3,000/mm3未満又は血小板数が10万/mm3未満(膵癌FOLFIRINOX法においては、2クール目以降7.5万/mm3未満)の場合には、本剤の投与を中止又は延期すること。

  6. 1.5.3投与予定日の白血球数が3,000/mm3以上かつ血小板数が10万/mm3以上(膵癌FOLFIRINOX法においては、2クール目以降7.5万/mm3以上)であっても、白血球数又は血小板数が急激な減少傾向にあるなど、骨髄機能抑制が疑われる場合には、本剤の投与を中止又は延期すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1骨髄機能抑制のある患者[骨髄機能抑制が増悪して重症感染症等を併発し、致命的となることがある。]

  2. 2.2感染症を合併している患者[感染症が増悪し、致命的となることがある。]

  3. 2.3下痢(水様便)のある患者[下痢が増悪して脱水、電解質異常、循環不全を起こし、致命的となることがある。]

  4. 2.4腸管麻痺、腸閉塞のある患者[腸管からの排泄が遅れ、重篤な副作用が発現し、致命的となることがある。]

  5. 2.5間質性肺炎又は肺線維症の患者[症状が増悪し、致命的となることがある。]

  6. 2.6多量の腹水、胸水のある患者[重篤な副作用が発現し、致命的となることがある。]

  7. 2.7黄疸のある患者[重篤な副作用が発現し、致命的となることがある。]

  8. 2.8アタザナビル硫酸塩を投与中の患者

  9. 2.9本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 小細胞肺癌

  • 非小細胞肺癌

  • 子宮頸癌

  • 卵巣癌

  • 胃癌(手術不能又は再発)

  • 結腸・直腸癌(手術不能又は再発)

  • 乳癌(手術不能又は再発)

  • 有棘細胞癌

  • 悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)

  • 小児悪性固形腫瘍

  • 治癒切除不能な膵癌

用法・用量

  • (1)

  • 小細胞肺癌、非小細胞肺癌、乳癌(手術不能又は再発)及び有棘細胞癌はA法を、子宮頸癌、卵巣癌、胃癌(手術不能又は再発)及び結腸・直腸癌(手術不能又は再発)はA法又はB法を使用する。また、悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)はC法を、小児悪性固形腫瘍はD法を、治癒切除不能な膵癌はE法を使用する。

  • A法:

  • イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、100mg/m2を1週間間隔で3~4回点滴静注し、少なくとも2週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。

  • B法:

  • イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、150mg/m2を2週間間隔で2~3回点滴静注し、少なくとも3週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。

  • C法:

  • イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、40mg/m2を3日間連日点滴静注する。これを1週毎に2~3回繰り返し、少なくとも2週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。

  • なお、A~C法の投与量は、年齢、症状により適宜増減する。

  • D法:

  • イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、1日1回、20mg/m2を5日間連日点滴静注する。これを1週毎に2回繰り返し、少なくとも1週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。

  • E法:

  • イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、180mg/m2を点滴静注し、少なくとも2週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。

  • なお、D法及びE法の投与量は、患者の状態により適宜減量する。

  • (2)

  • A法、B法及びE法では、本剤投与時、投与量に応じて500mL以上の生理食塩液、ブドウ糖液又は電解質維持液に混和し、90分以上かけて点滴静注する。 C法では、本剤投与時、投与量に応じて250mL以上の生理食塩液、ブドウ糖液又は電解質維持液に混和し、60分以上かけて点滴静注する。 D法では、本剤投与時、投与量に応じて100mL以上の生理食塩液、ブドウ糖液又は電解質維持液に混和し、60分以上かけて点滴静注する。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1本剤はイリノテカン塩酸塩水和物リポソーム製剤とは有効性、安全性、薬物動態が異なる。本剤をイリノテカン塩酸塩水和物リポソーム製剤の代替として使用しないこと。また、本剤をイリノテカン塩酸塩水和物リポソーム製剤と同様の用法及び用量で投与しないこと。

  2. 8.2重篤な過敏反応があらわれることがあるので、観察を十分に行うこと。

  3. 8.3骨髄機能抑制、高度な下痢等の重篤な副作用が起こることがあり、ときに致命的な経過をたどることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。投与後2週間は特に頻回に末梢血液検査を行うなど、極めて注意深く観察すること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延することがあるので、投与は慎重に行うこと。

  4. 8.4本剤の投与により排便回数の増加、水様便又は腹痛を伴うような場合は、継続投与により下痢が強く発現することがある。また、腹痛を有する患者に本剤を投与した場合、高度な下痢があらわれることがある。したがって、このような場合には症状の回復を待って投与を行うこと。

  5. 8.5重症感染症、播種性血管内凝固症候群(DIC)、出血傾向、腸管穿孔、消化管出血、腸閉塞、腸炎及び間質性肺炎の発現又は増悪に十分注意すること。

  6. 8.6悪心・嘔吐、食欲不振等の消化器症状が高頻度にあらわれるので、観察を十分に行い、適切な処置を行うこと。

  7. 8.7間質性肺炎があらわれることがあるので、定期的に検査を行うこと。

  8. 8.8投与初期又は比較的低用量の投与でも副作用があらわれることがある。

  • 〈小児悪性固形腫瘍〉
  1. 8.9本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:イリノテカン塩酸塩水和物(小児悪性固形腫瘍)」等)を熟読すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1糖尿病の患者

十分な管理を行いながら投与すること。高度な下痢の持続により脱水、電解質異常を起こして糖尿病が増悪し、致命的となるおそれがある。

  1. 9.1.2全身衰弱が著しい患者

副作用が強く発現するおそれがある。

  1. 9.1.3遺伝性果糖不耐症の患者

本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。

  1. 9.1.4グルクロン酸抱合異常の患者

Gilbert症候群のようなグルクロン酸抱合異常の患者においては、本剤の代謝が遅延することにより骨髄機能抑制等の重篤な副作用が発現する可能性が高い。

  1. 9.1.5UGT1A1遺伝子多型(UGT1A1*6UGT1A1*28)について、いずれかをホモ接合体又はいずれもヘテロ接合体としてもつ患者

本剤の活性代謝物(SN-38)の主な代謝酵素であるUDP-グルクロン酸転移酵素(UDP-glucuronosyltransferase、UGT)の2つの遺伝子多型(UGT1A1*6UGT1A1*28)について、いずれかをホモ接合体(UGT1A1*6/*6UGT1A1*28/*28)又はいずれもヘテロ接合体(UGT1A1*6/*28)としてもつ患者では、UGT1A1のグルクロン酸抱合能が低下し、SN-38の代謝が遅延することにより、重篤な副作用(特に好中球減少)発現の可能性が高くなることが報告されているため、十分注意すること1),2),3)。

9.2 腎機能障害患者

腎障害が悪化及び副作用が強く発現するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

肝障害が悪化及び副作用が強く発現するおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

  2. 9.4.2*男性には、本剤投与中及び最終投与後3ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。

  3. 9.4.3小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には性腺に対する影響を考慮すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(ラット・ウサギ)で催奇形性作用、胚・胎児死亡が報告されている。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

  • 〈小児悪性固形腫瘍〉
  1. 9.7.1幼児又は小児に投与する場合には、副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。低出生体重児、新生児又は乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
  • 〈小児悪性固形腫瘍以外〉
  1. 9.7.2小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

骨髄機能抑制、下痢等の副作用に注意し、異常が認められた場合には、回復を十分に確認してから投与を行うなど、投与間隔に留意すること。一般に高齢者では生理機能が低下しており、排泄が遅れる。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
アタザナビル硫酸塩
(レイアタッツ)
骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。 本剤の活性代謝物(SN-38)は、主に肝のUDP-グルクロン酸転移酵素1A1(UGT1A1)によりグルクロン酸抱合体(SN-38G)となる。UGT阻害作用のあるアタザナビル硫酸塩との併用により、本剤の代謝が遅延することが考えられる。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
他の抗悪性腫瘍剤
放射線照射
骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。
併用により殺細胞作用が増強される。
末梢性筋弛緩剤
• スキサメトニウム塩化物水和物
• ベクロニウム臭化物
• ロクロニウム臭化物等
末梢性筋弛緩剤の作用が減弱するおそれがある。 本剤は、動物実験で筋収縮増強作用が認められている。
CYP3A4阻害剤
• アゾール系抗真菌剤(ケトコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ミコナゾール等)
• マクロライド系抗生剤(エリスロマイシン、クラリスロマイシン等)
• リトナビル
• ジルチアゼム塩酸塩
• ニフェジピン等グレープフルーツジュース
骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。
本剤は、主にカルボキシルエステラーゼにより活性代謝物(SN-38)に変換されるが、CYP3A4により一部無毒化される。CYP3A4を阻害する左記薬剤等との併用により、CYP3A4による無毒化が阻害されるため、カルボキシルエステラーゼによるSN-38の生成がその分増加し、SN-38の全身曝露量が増加することが考えられる。
CYP3A4誘導剤
• フェニトイン
• カルバマゼピン
• リファンピシン
• フェノバルビタール等セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
本剤の活性代謝物(SN-38)の血中濃度が低下し、作用が減弱するおそれがある。
本剤投与期間中は左記薬剤・食品との併用を避けることが望ましい。
本剤は、主にカルボキシルエステラーゼにより活性代謝物(SN-38)に変換されるが、CYP3A4により一部無毒化される。CYP3A4を誘導する左記薬剤等との併用により、CYP3A4による無毒化が促進されるため、カルボキシルエステラーゼによるSN-38の生成がその分減少し、SN-38の全身曝露量が減少することが考えられる。
ソラフェニブトシル酸塩 骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。
本剤の活性代謝物(SN-38)は、主に肝のUDP-グルクロン酸転移酵素1A1(UGT1A1)によりグルクロン酸抱合体(SN-38G)となる。
UGT1A1阻害作用のあるソラフェニブトシル酸塩との併用により、本剤及び本剤の活性代謝物(SN-38)の血中濃度が上昇する可能性がある。
ラパチニブトシル酸塩水和物 骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。
機序は不明だが、ラパチニブトシル酸塩水和物との併用により、本剤の活性代謝物(SN-38)のAUCが約40%増加したとの報告がある。
レゴラフェニブ水和物 骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。
本剤の活性代謝物(SN-38)は、主に肝のUDP-グルクロン酸転移酵素1A1(UGT1A1)によりグルクロン酸抱合体(SN-38G)となる。
UGT1A1阻害作用のあるレゴラフェニブ水和物との併用により、本剤及び本剤の活性代謝物(SN-38)のAUCがそれぞれ28%及び44%増加し、Cmaxがそれぞれ22%増加及び9%減少したとの報告がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP上昇 頻度不明
ALT上昇 頻度不明
AST上昇 頻度不明
CRP上昇 頻度不明
LDH上昇 頻度不明
LDH低下 頻度不明
PaO2低下 頻度不明
γ-GTP上昇 頻度不明
アルブミン減少 頻度不明
うつ病 頻度不明
カルシウム異常 頻度不明
クレアチニンクリアランス低下 頻度不明
クレアチニン上昇等) 頻度不明
コリン作動性症候群 頻度不明
ざ瘡様皮膚炎 頻度不明
しびれ等の末梢神経障害 頻度不明
しゃっくり 頻度不明
そう痒感 頻度不明
ビリルビン上昇 頻度不明
めまい 頻度不明
上気道炎 頻度不明
不整脈 頻度不明
不眠 頻度不明
不穏 頻度不明
乏尿 頻度不明
体重増加 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
傾眠 頻度不明
動悸 頻度不明
口内炎 頻度不明
口唇炎 頻度不明
口腔咽頭不快感 頻度不明
吐血 頻度不明
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
咽頭炎 頻度不明
咽頭痛 頻度不明
咽頭知覚不全 頻度不明
好酸球増加 頻度不明
尿ウロビリノーゲン異常 頻度不明
尿沈渣異常 頻度不明
尿酸異常 頻度不明
帯状疱疹 頻度不明
徐脈 頻度不明
心房細動 頻度不明
心電図異常 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心・嘔吐(77.2%) 頻度不明
意識障害 頻度不明
手足症候群 頻度不明
振戦 頻度不明
構語障害 頻度不明
気管支炎 頻度不明
注射部位反応(発赤 頻度不明
流涙 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
無力症 頻度不明
熱感 頻度不明
疲労 頻度不明
疼痛 頻度不明
疼痛等) 頻度不明
痔核 頻度不明
痙攣 頻度不明
発声障害 頻度不明
発汗 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
発赤 頻度不明
白血球分画の変動 頻度不明
白血球増加 頻度不明
皮膚乾燥 頻度不明
目のかすみ 頻度不明
筋痛 頻度不明
粘膜炎 頻度不明
精神症状 頻度不明
糖尿 頻度不明
紅斑 頻度不明
総蛋白減少 頻度不明
耳鳴 頻度不明
胃・腹部不快感 頻度不明
胃潰瘍 頻度不明
胃炎 頻度不明
胃腸音異常 頻度不明
胸痛 頻度不明
胸部不快感 頻度不明
脱力感 頻度不明
脱毛 頻度不明
脱水 頻度不明
腎機能障害(BUN上昇 頻度不明
腰痛 頻度不明
腸管運動亢進 頻度不明
腹水 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部膨満感 頻度不明
興奮・不安感 頻度不明
色素沈着 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
蛋白尿 頻度不明
血圧低下 頻度不明
血小板増加 頻度不明
血尿 頻度不明
血管炎 頻度不明
関節痛 頻度不明
電解質異常 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻脈 頻度不明
顔面潮紅 頻度不明
食欲不振(80.9%) 頻度不明
食道炎 頻度不明
高血圧 頻度不明
鼻出血 頻度不明
鼻汁 頻度不明
鼻炎 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

イリノテカン塩酸塩水和物は、1983年に抗腫瘍性アルカロイドであるカンプトテシンから合成された抗悪性腫瘍剤である29)。本剤は生体内でカルボキシルエステラーゼにより活性代謝物(SN-38)に加水分解されるプロドラッグである30)。Ⅰ型DNAトポイソメラーゼを阻害することによって、DNA合成を阻害する30)。殺細胞効果は細胞周期のS期に特異的であり、制限付時間依存性に効果を示す薬剤である。

18.2 抗腫瘍作用

移植腫瘍に対して広い抗腫瘍スペクトラムを有する。マウスS180肉腫、Meth A線維肉腫、Lewis肺癌、L1210及びP388白血病、ラットWalker 256癌肉腫ならびにヌードマウス可移植性ヒト腫瘍MX-1(乳癌)、Co-4(大腸癌)、St-15(胃癌)、QG-56(肺癌)等に強い抗腫瘍効果を示す31),32),33)。また、in vitro試験においてヒト膵癌由来BxPC-3、PANC-1、SPA及びSUIT-2細胞株の増殖を抑制した。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

各種悪性腫瘍患者に、イリノテカン塩酸塩水和物50~350mg/m2注1)を単回点滴静脈内投与したときの血漿中の未変化体と活性代謝物(SN-38)の濃度を測定した。未変化体は血漿中からの減衰速度が速く、t1/2が3.7~5.8時間であったが、SN-38のt1/2は11.4~18.5時間であり、未変化体と比べて持続的な濃度推移を示した。未変化体及びSN-38は投与後72時間程度でほぼ完全に血中から消失した5)。

イリノテカン塩酸塩水和物投与後の血漿中濃度推移

投与量(mg/m2) 症例数 Cmax(μg/mL) t 1/2(hr) AUC(μg・hr/mL)
未変化体 SN-38 未変化体 SN-38 未変化体 SN-38
50 3 0.7 0.02 5.6 11.4 3.6 0.2
100 4 1.9 0.03 5.8 18.5 14.2 0.6
165 5 4.7 0.05 4.2 12.2 21.5 0.7
250 5 7.6 0.07 4.5 13.9 27.9 0.9
350 1 7.1 0.14 3.7 14.8 44.7 1.1

16.3 分布

  1. 16.3.1血漿蛋白結合率

ヒト血漿にイリノテカン塩酸塩水和物又はSN-38を添加して限外ろ過法で測定した血漿蛋白結合率は、未変化体では30~40%、SN-38では92~96%であった(in vitro)。

  1. 16.3.2動物での組織分布

ラットに14C-イリノテカン塩酸塩水和物を単回静脈内投与した後の組織内放射能濃度は、脳、中枢神経系、生殖系を除く各組織で血漿中放射能濃度より高く、速やかでかつ良好な組織移行性が認められた6),7)。

16.4 代謝

  1. 16.4.1ヒトの肝及び各組織において、イリノテカン塩酸塩水和物はカルボキシルエステラーゼにより活性代謝物(SN-38)に直接変換される8),9)。その他イリノテカン塩酸塩水和物は、CYP3A4により一部は無毒化され、また、一部は間接的にSN-38に変換される10),11)。 SN-38は、主に肝の代謝酵素であるUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)の一分子種であるUGT1A1によりグルクロン酸抱合され、SN-38のグルクロン酸抱合体(SN-38G)となり、主に胆汁中に排泄される12),13)。 UGT1A1にはUGT1A1*6UGT1A1*28等の遺伝子多型が存在し、UGT1A1*6、もしくはUGT1A1*28においては、これら遺伝子多型をもたない患者に比べてヘテロ接合体、ホモ接合体としてもつ患者の順にSN-38Gの生成能力が低下し、SN-38の代謝が遅延する1),2),3)。 日本人におけるUGT1A1*6UGT1A1*28のアレル頻度は13.0~17.7%、8.6~13.0%との報告がある14)。 各種癌患者(176例)におけるUGT1A1遺伝子多型とAUC比注2)との関連性は次表のとおりである3)。
遺伝子多型 AUC比注2)
例数 中央値(四分位範囲)
UGT1A1*6UGT1A1*28をともにもたない 85 5.55(4.13-7.26)
UGT1A1*6又はUGT1A1*28をヘテロ接合体としてもつ 75 3.62(2.74-5.18)
UGT1A1*6又はUGT1A1*28をホモ接合体としてもつ、もしくはUGT1A1*6UGT1A1*28をヘテロ接合体としてもつ 16 2.07(1.45-3.62)

注2)SN-38GのAUCをSN-38のAUCで除した値

  1. 16.4.2ラットにおいてSN-38Gは、腸内細菌がもつβ-グルクロニダーゼによりSN-38に脱抱合される15),16)。

16.5 排泄

各種悪性腫瘍患者に、イリノテカン塩酸塩水和物165mg/m2又は250mg/m2注1)を単回点滴静脈内投与したときの24時間までの尿中排泄率は、未変化体が16.3~21.1%、SN-38が0.11~0.15%であった。

注1)本剤の承認された最大投与量は、180mg/m2以下である。