Clinical snapshot

デュオトラバ配合点眼液

トラボプロスト/チモロールマレイン酸塩配合点眼液

添付文書改訂 2021年07月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2気管支喘息又はその既往歴のある患者、気管支痙攣又は重篤な慢性閉塞性肺疾患のある患者[喘息発作の誘発・増悪がみられるおそれがある。]

  3. 2.3コントロール不十分な心不全、洞性徐脈、房室ブロック(Ⅱ、Ⅲ度)又は心原性ショックのある患者[これらの症状を増悪させるおそれがある。]

効能・効果

緑内障、高眼圧症

用法・用量

1回1滴、1日1回点眼する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤は全身的に吸収される可能性があり、β-遮断剤全身投与時と同様の副作用があらわれることがあるので、留意すること。

  2. 8.2本剤の投与により、虹彩や眼瞼への色素沈着(メラニンの増加)による色調変化、あるいは眼周囲の多毛化があらわれることがある。これらは投与の継続によって徐々に進行し、投与中止により停止する。眼瞼色調変化及び眼周囲の多毛化については、投与中止後徐々に消失、あるいは軽減する可能性があるが、虹彩色調変化については投与中止後も消失しないことが報告されている3)。混合色虹彩の患者では虹彩の色調変化は明確に認められるが、暗褐色の単色虹彩の患者(日本人に多い)においても変化が認められている。特に片眼投与の場合、左右眼で虹彩の色調に差が生じる可能性がある。これらの症状については、長期的な情報が十分に得られていないので、患者を定期的に診察し、十分観察すること。投与に際しては、これらの症状について患者に十分説明し、また、眼瞼色調変化、眼周囲の多毛化の予防あるいは軽減のため4)、投与の際に液が眼瞼皮膚等についた場合には、よくふき取るか、洗顔するよう患者を指導すること。

  3. 8.3本剤投与中に角膜上皮障害(点状角膜炎、角膜炎、角膜びらん)があらわれることがあるので、しみる、そう痒感、眼痛等の自覚症状が持続する場合には、直ちに受診するよう患者に十分指導すること。

  4. 8.4縮瞳薬からチモロールマレイン酸塩製剤に切り替えた場合、縮瞳作用の消失に伴い、屈折調整を必要とすることがあることから、本剤投与の際も注意すること。

  5. 8.5本剤の点眼後、一時的に霧視があらわれることがあるため、症状が回復するまで機械類の操作や自動車等の運転には従事させないよう注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1肺高血圧による右心不全のある患者

肺高血圧症による右心不全の症状を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.2うっ血性心不全のある患者

うっ血性心不全の症状を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.3糖尿病性ケトアシドーシス及び代謝性アシドーシスのある患者

アシドーシスによる心筋収縮力の抑制を増強するおそれがある。

  1. 9.1.4コントロール不十分な糖尿病のある患者

血糖値に注意すること。低血糖症状をマスクすることがある。

  1. 9.1.5無水晶体眼又は眼内レンズ挿入眼の患者

囊胞様黄斑浮腫を含む黄斑浮腫、及びそれに伴う視力低下を起こすおそれがある。

  1. 9.1.6眼内炎(虹彩炎、ぶどう膜炎)のある患者

眼圧上昇を起こすおそれがある。

  1. 9.1.7閉塞隅角緑内障の患者

使用経験がない。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。トラボプロストの動物実験において、妊娠ラットに10μg/kg/日(臨床用量※の250倍)を静脈内投与した場合に催奇形性が認められ、妊娠マウスに1μg/kg/日(臨床用量※の25倍)を皮下投与又は妊娠ラットに10μg/kg/日(臨床用量※の250倍)を静脈内投与した場合に着床後胚死亡率の増加及び胎児数の減少、妊娠ウサギに0.1μg/kg/日(臨床用量※の2.5倍)を静脈内投与又は0.003%点眼液(体重当りの投与量として臨床用量※の約10倍に相当)を投与した場合に全胚・胎児死亡、妊娠・授乳ラットに0.12μg/kg/日(臨床用量※の3倍)以上の用量を妊娠7日目から授乳21日目に皮下投与した場合に発育及び分化に対する影響(早期新生児の死亡率の増加、新生児の体重増加の抑制又は眼瞼開裂の遅延等)が認められ、トラボプロストの摘出ラット子宮を用いた実験では、日本人健康成人で認められた本剤の最高血漿中濃度(0.025ng/mL=0.05nmol/L)の約6倍以上の濃度(0.3nmol/L)で、用量依存的な子宮収縮作用が認められた。また、チモロールマレイン酸塩の動物実験において、器官形成期のラットに500mg/kg/日を経口投与した場合に化骨遅延、マウスに1,000mg/kg/日又はウサギに200mg/kg/日を経口投与した場合に死亡胎児数の増加が認められている。

※)トラボプロスト0.004%を体重50kgの患者に1回1滴(25μL)を両眼に投与したと仮定して算出された投与量(0.04μg/kg/日)との比較

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。 トラボプロストでは授乳ラットに皮下投与した場合に乳汁中へ移行することが報告されている5)。チモロールマレイン酸塩はヒト母乳中へ移行することがある。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

一般に生理機能が低下している。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

以下の薬剤との併用に注意すること。

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
アドレナリン
ジピベフリン塩酸塩
散瞳作用が助長されたとの報告がある。 機序不明
カテコールアミン枯渇剤
• レセルピン等
交感神経系に対し、過剰の抑制を来すことがあり、低血圧、徐脈を生じ、眩暈、失神、起立性低血圧を起こすことがある。 β-遮断作用が相加的に増強する可能性がある。
β-遮断剤(全身投与)
• アテノロールプロプラノロール塩酸塩
メトプロロール
眼圧下降あるいはβ-遮断剤の全身的な作用が増強されることがある。 作用が相加的にあらわれることがある。
カルシウム拮抗剤
• ベラパミル塩酸塩ジルチアゼム塩酸塩
房室伝導障害、左室不全、低血圧を起こすおそれがある。 相互に作用を増強させる。
ジギタリス製剤
• ジゴキシンジギトキシン
心刺激伝導障害(徐脈、房室ブロック等)があらわれるおそれがあるので、心機能に注意する。 相加的に作用(心刺激伝導抑制作用)を増強させる。
CYP2D6阻害作用を有する薬剤
• キニジン選択的セロトニン再取り込み阻害剤
β-遮断作用(例えば心拍数減少、徐脈)の増強が報告されている。 チモロールの代謝酵素であるP450(CYP2D6)を阻害し、チモロールの血中濃度が上昇する可能性がある。
*オミデネパグ イソプロピル チモロールマレイン酸塩との併用例で結膜充血等の眼炎症性副作用の発現頻度の上昇が認められた。 機序不明

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
5%以上
5%以上
1〜5%未満
1%未満
5%以上
1〜5%未満
5%以上
1〜5%未満
1%未満
1〜5%未満
1%未満
5%以上
1〜5%未満
1%未満
5%以上
1%未満
1〜5%未満
アレルギー性皮膚炎 頻度不明
けん怠感 頻度不明
ぶどう膜炎 頻度不明
めまい 頻度不明
レイノー現象 頻度不明
下痢 頻度不明
不安 頻度不明
不快 頻度不明
不整脈 頻度不明
不眠症 頻度不明
乾性角結膜炎 頻度不明
二重瞼になる等) 頻度不明
低血圧 頻度不明
充血(眼充血 5%以上
前房のフレア 頻度不明
前房内細胞 頻度不明
前立腺特異性抗原増加 頻度不明
動悸 頻度不明
口渇 頻度不明
味覚異常 頻度不明
咳嗽 頻度不明
喘息 頻度不明
四肢冷感 頻度不明
失神 頻度不明
徐脈 1%未満
悪夢 頻度不明
悪心 頻度不明
感覚異常 頻度不明
抑うつ 頻度不明
接触性皮膚炎 頻度不明
流涙増加 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
点状角膜炎 1〜5%未満
発疹 頻度不明
白内障 頻度不明
眼そう痒症 1〜5%未満
眼の異常感 頻度不明
眼の異物感 1〜5%未満
眼乾燥 1〜5%未満
眼刺激 1〜5%未満
眼周囲の多毛化 頻度不明
眼底黄斑部の浮腫・混濁注1) 頻度不明
眼痛 1〜5%未満
眼瞼そう痒症 1%未満
眼瞼下垂 頻度不明
眼瞼浮腫 頻度不明
眼瞼溝深化注2)(上眼瞼がくぼむ 頻度不明
眼瞼炎(アレルギー性眼瞼炎を含む) 頻度不明
眼瞼紅斑 頻度不明
眼瞼縁痂皮 頻度不明
眼瞼色素沈着 頻度不明
眼精疲労 頻度不明
眼脂 頻度不明
眼部不快感 1%未満
眼部単純ヘルペス 頻度不明
眼部腫脹 頻度不明
睫毛の成長 頻度不明
睫毛乱生 頻度不明
睫毛剛毛化 頻度不明
睫毛変色 頻度不明
睫毛色素過剰 頻度不明
睫毛重生 頻度不明
瞼板腺炎 1%未満
筋肉痛 頻度不明
筋骨格痛 頻度不明
結膜充血) 5%以上
結膜出血 頻度不明
結膜浮腫 頻度不明
結膜濾胞 頻度不明
結膜炎(アレルギー性結膜炎を含む) 頻度不明
羞明 1〜5%未満
耳鳴 頻度不明
胸痛 頻度不明
胸部不快感 頻度不明
脱力感 頻度不明
腹痛 頻度不明
虹彩毛様体炎 頻度不明
虹彩炎 1%未満
複視 頻度不明
視力低下 頻度不明
視力障害 頻度不明
角膜びらん 頻度不明
角膜炎 頻度不明
角膜着色 頻度不明
角膜知覚低下 頻度不明
角膜障害(角膜上皮障害) 頻度不明
過敏症 頻度不明
重症筋無力症の増悪 頻度不明
霧視 1%未満
頭痛 頻度不明
高血圧 頻度不明
黄斑浮腫 頻度不明
鼻炎(アレルギー性鼻炎を含む) 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  • 〈トラボプロスト〉

FP受容体に対して選択的に作用するフルアゴニストであり、房水の流出経路のうち、ぶどう膜強膜流出経路からの房水の流出を促進することにより眼圧下降効果がもたらされると考えられている11),12),13),14)。

  • 〈チモロールマレイン酸塩〉

サルにおけるチモロールマレイン酸塩の眼圧下降作用は主に房水産生の抑制によることが示唆されている15)。

18.2 眼圧下降作用

  • 〈トラボプロスト〉

レーザー照射により眼圧を上昇させたカニクイザルに対し、トラボプロスト0.001%及び0.0033%点眼液を1日1回、9日ないし10日間点眼したところ、いずれの用量群とも測定したほとんどの時点で、ベースラインから有意な眼圧下降が認められた16)。

  • 〈チモロールマレイン酸塩〉

ウサギにおけるα-キモトリプシン惹起高眼圧及び水負荷による眼圧上昇試験において、チモロールマレイン酸塩の点眼は有意に眼圧上昇を抑制することが認められている17)。

18.3 β-受容体遮断作用

  • 〈チモロールマレイン酸塩〉

ラット、イヌ、ネコにおいてイソプロテレノール(イソプレナリン)による心拍数、心筋収縮力及び心拍出量の増加はチモロールマレイン酸塩の静注、経口投与により著明に抑制され、その効果はプロプラノロールより3倍及び10倍強い18)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1反復投与

日本人健康被験者を対象とした薬物動態試験 日本人健康成人(10例)にトラボプロスト0.004%/チモロール0.5%配合点眼液(ベンザルコニウム塩化物含有製剤)を両眼に反復点眼し、血漿中のトラボプロスト遊離酸及びチモロール濃度を測定した7)。

  • トラボプロスト

1例1サンプルを除いて定量限界(10pg/mL)未満であり、定量できた1サンプルは点眼30分後のもので、血漿中濃度は12pg/mLであった。 [参考:日本人健康成人(23例)にトラボプロスト0.004%点眼液を両眼に反復投与し、血漿中のトラボプロスト遊離酸濃度を測定したとき、多くは定量限界(10pg/mL)未満であったが、定量限界以上であったものは、いずれも点眼後30分以内にCmaxに達し(平均Cmax:15±6pg/mL)、点眼1時間後には定量限界未満となった(半減期45分)。]

  • チモロール

チモロールの血漿中濃度は、点眼後2時間以内にCmaxに達し(平均Cmax:0.7±0.4ng/mL)、半減期は4.7時間であった。

16.4 代謝

トラボプロストはイソプロピルエステル型のプロドラッグであり、角膜通過の際にエステラーゼにより活性代謝物であるトラボプロスト遊離酸に加水分解される。