Clinical snapshot

デシコビ配合錠HT

エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミドフマル酸塩配合錠

添付文書改訂 2023年08月01日

【警告】

B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので,本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合,重症化するおそれがあるので注意すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2テラプレビルを投与中の患者

効能・効果

HIV-1感染症

用法・用量

通常,成人及び12歳以上かつ体重35kg以上の小児には,以下の用法・用量で経口投与する。投与に際しては,必ず他の抗HIV薬と併用すること。

  • 〈リトナビル又はコビシスタットと併用する場合〉

デシコビ配合錠LT(エムトリシタビンとして200mg及びテノホビル アラフェナミドとして10mgを含有)を1日1回1錠経口投与する。

  • 〈リトナビル又はコビシスタットと併用しない場合〉

デシコビ配合錠HT(エムトリシタビンとして200mg及びテノホビル アラフェナミドとして25mgを含有)を1日1回1錠経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤による治療は,抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。

  2. *8.2本剤の使用に際しては,国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に,患者又はそれに代わる適切な者に次の事項についてよく説明し同意を得た後,使用すること。

  3. 8.2.1本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから,日和見感染症を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので,本剤投与開始後の身体状況の変化についてはすべて担当医に報告すること。

  4. 8.2.2本剤の長期投与による影響については現在のところ不明であること。

  5. 8.2.3担当医の指示なしに用量を変更したり,服用を中止したりしないこと。

  6. 8.2.4本剤は併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため,服用中のすべての薬剤を担当医に報告すること。また,本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合,事前に担当医に相談すること。

  7. 8.3抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で,免疫再構築炎症反応症候群が報告されている。投与開始後,免疫機能が回復し,症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス,サイトメガロウイルス,ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また,免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症,多発性筋炎,ギラン・バレー症候群,ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので,これらの症状を評価し,必要時には適切な治療を考慮すること。

  8. 8.4本剤投与前にクレアチニンクリアランス,尿糖及び尿蛋白の検査を実施すること。クレアチニンクリアランスが30mL/min以上であることを確認すること。また,本剤投与後も定期的な検査等により患者の状態を注意深く観察すること。

  9. 8.5アジア系人種におけるエムトリシタビンの薬物動態は十分に検討されていないが,少数例の健康成人及びB型慢性肝炎のアジア系人種において,Cmaxの上昇を示唆する成績が得られているので,HBV感染症合併患者を含め,副作用の発現に注意すること。

  10. 8.6エムトリシタビン製剤の臨床試験において皮膚変色が発現し,その発現頻度は有色人種で高いことが示唆されている。その原因は現在のところ不明である。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1B型肝炎ウイルス感染を合併している患者

本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では,本剤の投与中止により,B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性の場合,重症化するおそれがある。

  1. 9.1.2腎機能障害のリスクを有する患者

血清リンの検査を実施すること。

  1. 9.1.3病的骨折の既往のある患者又はその他の慢性骨疾患を有する患者

十分な観察を行い,異常が認められた場合には,投与を中止する等,適切な処置を行うこと。非臨床試験及び臨床試験において,骨密度の低下と骨代謝の生化学マーカーの上昇が認められ,骨代謝の亢進が示唆された。また,抗HIV薬による治療経験がないHIV-1感染症患者に対し,テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含有する製剤が投与された臨床試験において,骨密度が低下した症例が認められた。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重度の腎機能障害のある患者

エムトリシタビンの血中濃度が上昇する。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(サル)においてテノホビルの胎児への移行が報告されている1)。

9.6 授乳婦

授乳を避けさせること。テノホビル及びエムトリシタビンのヒト乳汁への移行が報告されている2)。なお,テノホビル アラフェナミドのヒト乳汁への移行は不明である。また,女性のHIV感染症患者は,乳児のHIV感染を避けるため,乳児に母乳を与えないことが望ましい。

9.7 小児等

低出生体重児,新生児,乳児,幼児,12歳未満又は体重35kg未満の小児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の肝,腎及び心機能の低下,合併症,併用薬等を十分に考慮すること。

相互作用

  • テノホビル及びエムトリシタビン:糸球体ろ過と能動的な尿細管分泌により腎排泄される3),4)。 テノホビル アラフェナミド:カテプシンA5),6)及びP-gp7)の基質である。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
テラプレビル
(テラビック)
テノホビル アラフェナミドの抗HIV-1活性が低下するため,本剤の効果が減弱する可能性がある。 テラプレビルのカテプシンA活性阻害作用によるため。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
カルバマゼピン
フェノバルビタール
フェニトイン
ホスフェニトイン
リファブチン
リファンピシン
セイヨウオトギリソウ
(St. John’s Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
これらの薬剤と併用することにより,テノホビル アラフェナミドの血中濃度が低下する可能性がある。 これら薬剤のP-gp誘導作用によるため。
アシクロビル
バラシクロビル塩酸塩
ガンシクロビル
バルガンシクロビル塩酸塩
これら薬剤,テノホビル又はエムトリシタビンの血中濃度が上昇し,これら薬剤又は本剤による有害事象を増強する可能性がある。 尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と併用する場合,排泄経路の競合により排泄が遅延するため。
腎毒性を有する薬剤
併用は避けることが望ましい。 腎毒性を有する薬剤は腎機能障害の危険因子となる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
体脂肪の再分布/蓄積 頻度不明
嘔吐,腹部膨満,腹痛,上腹部痛,便秘,消化不良 頻度不明
悪心,下痢,放屁 頻度不明
浮動性めまい,傾眠 頻度不明
異常な夢,不眠症 頻度不明
疲労 頻度不明
発疹 頻度不明
蛋白尿 頻度不明
血管性浮腫,蕁麻疹 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲減退,高コレステロール血症 頻度不明
骨減少症,骨粗鬆症 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

エムトリシタビン:エムトリシタビンは,シチジンの合成ヌクレオシド誘導体であり,細胞内酵素によりリン酸化されエムトリシタビン5’-三リン酸となる43)。エムトリシタビン5’-三リン酸はHIV-1逆転写酵素の基質であるデオキシシチジン5’-三リン酸と競合すること及び新生ウイルスDNAに取り込まれた後にDNA鎖伸長を停止させることにより,HIV-1逆転写酵素の活性を阻害する。エムトリシタビン5’-三リン酸のHIV-1逆転写酵素に対する阻害定数(Ki値)は0.17μMであるのに対し,ヒトのDNAポリメラーゼα,β,ε及びミトコンドリアDNAポリメラーゼγに対するKi値は,それぞれ6.0μM,17.0μM,150μM及び6.0μMとなり,これらに対するエムトリシタビン5’-三リン酸の阻害作用は弱い44)。 テノホビル アラフェナミド:テノホビル アラフェナミドは,テノホビルのホスホンアミド酸プロドラッグ(2’-デオキシアデノシン一リン酸誘導体)である。テノホビル アラフェナミドは,血漿中の安定性が高く,細胞内透過性を有し,末梢血単核球及びマクロファージ中のカテプシンAにより加水分解を受けて細胞内にテノホビルを送達する。その後,細胞内酵素によりリン酸化を受け,テノホビル二リン酸となる45)。テノホビル二リン酸は,HIV-1逆転写酵素の基質であるデオキシアデノシン5’-三リン酸と競合すること及びDNAに取り込まれた後にDNA鎖伸長を停止させることにより,HIV-1逆転写酵素の活性を阻害する。テノホビル二リン酸のHIV-1逆転写酵素に対するKi値は0.21μMであるのに対し,ヒトのDNAポリメラーゼα,β及びミトコンドリアDNAポリメラーゼγに対するKi値は,それぞれ5.2μM,81.7μM及び59.5μMとなり,これらに対するテノホビル二リン酸の阻害作用は弱い46),47),48)。

18.2 抗ウイルス作用(in vitro

エムトリシタビン及びテノホビル アラフェナミドを細胞培養系で評価した結果,相乗的な抗ウイルス活性が認められた。 エムトリシタビン:ヒトTリンパ芽球様細胞株,MAGI-CCR5細胞株及び末梢血単核球初代培養細胞を用いて,HIV-1の実験室株及び臨床分離株に対するエムトリシタビンの抗ウイルス活性を評価した。エムトリシタビンのEC50値は,0.0013~0.64μMの範囲であった49),50)。 テノホビル アラフェナミド:ヒトTリンパ芽球様細胞株,単球/マクロファージ及び末梢血リンパ球初代培養細胞を用いて,HIV-1の実験室株及び臨床分離株に対するテノホビル アラフェナミドの抗ウイルス活性を評価した。テノホビル アラフェナミドのEC50値は,0.1~15.7nMの範囲であった51)。

18.3 薬剤耐性

  1. 18.3.1in vitro試験

エムトリシタビン:エムトリシタビンに対する感受性低下は,HIV-1逆転写酵素のM184V/I変異と関連が認められた52)。 テノホビル アラフェナミド:テノホビル アラフェナミドに対する感受性が低下したHIV-1分離株では,K65R変異が発現しており,K70E変異も一過性に認められた53)。

  1. 18.3.2臨床試験

抗HIV薬による治療経験がないHIV-1感染症患者:ゲンボイヤ配合錠の臨床試験(292-0104試験及び292-0111試験)において,ウイルス学的失敗と判定された被験者のうち,投与後96週時又は早期に試験中止となった時点の血漿中HIV-1 RNA量が400copies/mLを超えた被験者から分離したHIV-1を解析し,19例(2.2%,19/866例)の遺伝子型及び表現型解析結果が得られた。遺伝子型解析結果から,エムトリシタビン又はテノホビルの主要耐性関連変異が1つ以上認められたのは,10例(1.2%,10/866例)であった。認められた変異は,逆転写酵素領域のM184V/I(9例),K65R/N(2例)及びK70R(1例),インテグラーゼ領域のT66A/I/V(2例),E92Q(4例),Q148R(1例)及びN155H/S(2例)であった。また,表現型解析結果から,エムトリシタビンに対する感受性が野生株に対して28倍から117倍超低下したHIV-1分離株が8例(0.9%,8/866例)に,テノホビルに対する感受性が野生株に対して3倍低下したHIV-1分離株が1例(0.1%,1/866例)に認められた。 ダルナビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミドフマル酸塩配合錠の臨床試験(299-0102試験)において,ウイルス学的失敗と判定された被験者のうち,投与後48週時又は早期に試験中止となった時点の血漿中HIV-1 RNA量が400copies/mLを超えた被験者から分離したHIV-1株を解析し,6例(5.8%,6/103例)の遺伝子型及び表現型解析結果が得られた。遺伝子型解析結果から,エムトリシタビン又はテノホビルの主要耐性関連変異が1つ以上認められたのは,1例(1.0%,1/103例)であった。認められた変異は,逆転写酵素領域のK65K/R及びM184M/Iであった。また,表現型解析結果から,エムトリシタビン及びテノホビルに対する感受性に大きな変化はなく,エムトリシタビンに対する感受性の低下は野生株に対し2.5倍,テノホビルに対する感受性の低下は野生株に対し0.73倍であった。 抗HIV薬による治療経験があり,ウイルス学的に抑制されているHIV-1感染症患者:ゲンボイヤ配合錠の臨床試験(292-0109試験)において,投与後96週時で遺伝子型及び表現型解析の対象となった被験者のうち,3例(0.3%,3/959例)にエムトリシタビン又はエルビテグラビルの耐性変異が認められた。遺伝子型解析結果で認められた変異は,逆転写酵素領域のM184V/I(3例)及びインテグラーゼ領域のE92Q/G(2例)であった。また,表現型解析結果から,エムトリシタビンに対する感受性が野生株に対して3.8倍から117倍超低下したHIV-1分離株が3例(0.3%,3/959例)に,エルビテグラビルに対する感受性が野生株に対して10倍低下したHIV-1分離株が1例(0.1%,1/959例)に認められた。なお,テノホビルに対する感受性の低下は認められなかった。

18.4 交差耐性

エムトリシタビン:核酸系逆転写酵素阻害薬の間で交差耐性が認められた。エムトリシタビン耐性のM184V/I変異を有するHIV-1株は,ラミブジンに対して交差耐性を示した。また,アバカビル,ジダノシン及びテノホビルの投与によりin vivoで出現したK65R変異を有するHIV-1株では,エムトリシタビンに対する感受性の低下が確認された53),54)。 テノホビル アラフェナミド:K65R及びK70E変異を持つHIV-1株は,アバカビル,ジダノシン,ラミブジン,エムトリシタビン及びテノホビルに対する感受性の低下を示すが,ジドブジンに対する感受性を維持する。T69S二重挿入変異又はK65Rを含むQ151M複合変異を持ち,核酸系逆転写酵素阻害薬に多剤耐性を示すHIV-1は,テノホビルに対する感受性の低下を示した55),56),57)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1日本人健康成人被験者に,ダルナビル800mg及びリトナビル100mgと共にデシコビ配合錠LTを単回経口投与した時の,エムトリシタビン,テノホビル アラフェナミド及びテノホビルの薬物動態パラメータを表1に示す8)。
エムトリシタビン テノホビル アラフェナミド テノホビル
tmax
(hr)
1.8
(1.0-4.0)
1.0
(0.5-2.0)
2.5
(1.5-4.0)
Cmax
(μg/mL)
2.5±0.3 0.12±0.06 0.01±0.00
t1/2
(hr)
17.0±3.2 0.32±0.10 43.2±12.2
AUCinf
(μg・hr/mL)
11.9±0.8 0.12±0.04 0.31±0.04

平均値±標準偏差,8例(テノホビル アラフェナミドのt1/2及びAUCinfのみ5例)

tmax:中央値(最小値-最大値)

  1. 16.1.2日本人健康成人被験者に,ダルナビル・コビシスタット配合錠と共にデシコビ配合錠LTを単回経口投与した時の,エムトリシタビン,テノホビル アラフェナミド及びテノホビルの薬物動態パラメータを表2に示す8)。
エムトリシタビン テノホビル アラフェナミド テノホビル
tmax
(hr)
2.0
(1.0-3.0)
1.5
(0.8-2.0)
3.0
(1.0-4.0)
Cmax
(μg/mL)
2.4±0.7 0.15±0.08 0.01±0.00
t1/2
(hr)
13.9±4.2 0.36±0.20 45.6±7.4
AUCinf
(μg・hr/mL)
11.6±1.8 0.14±0.04 0.27±0.06

平均値±標準偏差,8例(エムトリシタビンのt1/2及びAUCinfは7例,テノホビル アラフェナミドのt1/2及びAUCinfは5例)

tmax:中央値(最小値-最大値)

  1. 16.1.3日本人健康成人被験者に,デシコビ配合錠HTを単回経口投与した時の,エムトリシタビン,テノホビル アラフェナミド及びテノホビルの薬物動態パラメータを表3に示す8)。
エムトリシタビン テノホビル アラフェナミド テノホビル
tmax
(hr)
2.0
(1.0-3.0)
1.5
(0.8-2.0)
2.0
(1.5-4.0)
Cmax
(μg/mL)
2.6±0.6 0.15±0.07 0.01±0.00
t1/2
(hr)
13.9±3.2 0.35±0.04 40.0±3.4
AUCinf
(μg・hr/mL)
11.4±0.7 0.18±0.04 0.27±0.05

平均値±標準偏差,8例(エムトリシタビンのt1/2及びAUCinfは7例,テノホビルアラフェナミドのt1/2及びAUCinfは6例)

tmax:中央値(最小値-最大値)

  1. 16.1.4健康成人被験者に,エルビテグラビル150mg及びコビシスタット150mgと共にデシコビ配合錠LTを単回経口投与した時の,エムトリシタビン及びテノホビル アラフェナミドの薬物動態パラメータを表4に示す9)。
エムトリシタビン テノホビル アラフェナミド
tmax
(hr)
2.0
(1.0-5.0)
1.5
(0.5-4.0)
Cmax
(μg/mL)
1.7±0.3 0.30±0.15
t1/2
(hr)
18.1±8.5 0.41±0.16
AUCinf
(μg・hr/mL)
10.5±2.8 0.35±0.11

平均値±標準偏差,97例(テノホビル アラフェナミドのt1/2及びAUCinfのみ80例)

tmax:中央値(最小値-最大値)

  1. 16.1.5健康成人被験者に,デシコビ配合錠HTを単回経口投与した時の,エムトリシタビン及びテノホビル アラフェナミドの薬物動態パラメータを表5に示す10)。
エムトリシタビン テノホビル アラフェナミド
tmax
(hr)
2.0
(1.0-5.0)
1.5
(0.5-4.0)
Cmax
(μg/mL)
1.6±0.4 0.28±0.18
t1/2
(hr)
22.3±11.6 0.47±0.13
AUCinf
(μg・hr/mL)
9.7±1.9 0.40±0.17

平均値±標準偏差,116例(テノホビル アラフェナミドのt1/2及びAUCinfのみ95例)

tmax:中央値(最小値-最大値)

  1. 16.1.612歳以上18歳未満で体重35kg以上の小児HIV-1感染症患者を対象としたゲンボイヤ配合錠(エルビテグラビルとして150mg,コビシスタットとして150mg,エムトリシタビンとして200mg及びテノホビル アラフェナミドとして10mgを含有する抗HIV薬)の非盲検試験において,本剤含有成分の薬物動態を検討した。ゲンボイヤ配合錠投与時の小児患者におけるエムトリシタビン,テノホビル アラフェナミド及びテノホビルの薬物動態パラメータを表6に示す11)。
エムトリシタビン テノホビル アラフェナミド テノホビル
tmax
(hr)
2.0
(0.5-5.0)
1.5
(0.3-5.0)
3.0
(0.3-5.0)
Cmax
(μg/mL)
2.3±0.5 0.17±0.11 0.02±0.00
t1/2
(hr)
5.4±0.9 0.6±0.3 72.2±117.5
AUCtau
(μg・hr/mL)
14.4±3.5 0.20±0.10 0.29±0.05

平均値±標準偏差,tmax:中央値(最小値-最大値)

24例(テノホビル アラフェナミド,テノホビルのt1/2及びAUCtauは23例)

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

デシコビ配合錠HTを高脂肪食(約800kcal,50%が脂肪由来)摂取時に投与した場合,空腹時と比較して,エムトリシタビンのCmax及びAUCinfは,それぞれ27%及び9%低下し,テノホビル アラフェナミドのCmax及びAUCinfは,それぞれ15%低下及び75%上昇した(外国人における成績)12)。

16.3 分布

エムトリシタビン:ヒト血漿蛋白に対する結合率は,0.02~200μg/mLの濃度範囲において濃度に依存せず4%未満であった(外国人における成績)。 テノホビル アラフェナミド:テノホビル アラフェナミドのヒト血漿蛋白に対する結合率は77~86%であった(外国人における成績)13)。 テノホビル:テノホビルのヒト血漿蛋白に対する結合率は0.7%未満であった(外国人における成績)14)。

16.4 代謝

エムトリシタビン:ヒト肝ミクロソームを用いた各種検討において,2%未満の代謝物が検出された。14C-エムトリシタビンを単回投与したところ,投与量の13%の代謝物がヒト尿中に検出された(外国人における成績)15),16)。 テノホビル アラフェナミド:経口投与後,末梢血単核球及びマクロファージのカテプシンA及び肝細胞のカルボキシルエステラーゼ1によりテノホビルに代謝され,その後,テノホビル二リン酸に代謝された5),6),17)。CYP分子種発現系酵素を用いた検討において,テノホビル アラフェナミドはCYP3Aでわずかに代謝され,その代謝速度は1.9pmol/min/pmol CYPであった(外国人における成績)18)。

16.5 排泄

エムトリシタビン:健康被験者にエムトリシタビン200mgを反復投与後14C-エムトリシタビンを単回投与したところ,投与量の86%は尿中に,14%は糞中に排泄された16)。腎クリアランスが推定クレアチニンクリアランスを上回ったことから,糸球体ろ過と尿細管への能動輸送の両方による排泄が示唆された(外国人における成績)3)。 テノホビル アラフェナミド:健康被験者に14C-テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を単回投与したところ,投与量の47.2%が糞中に,36.2%が尿中に排泄された。その主成分はテノホビルであり,糞中の99%,尿中の86%を占めた。また,投与量の1.4%がテノホビル アラフェナミドとして尿中に排泄された19)。テノホビルは腎臓での糸球体ろ過と尿細管への能動輸送の両方により排泄された(外国人における成績)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

エムトリシタビン:クレアチニンクリアランスが30mL/min未満の重度の腎機能障害を有する被験者における,エムトリシタビン200mg単回投与時のエムトリシタビンのCmax及びAUCは,クレアチニンクリアランスが80mL/min超の被験者に対し,それぞれ約30%及び約200%上昇した(外国人における成績)20)。 テノホビル アラフェナミド:クレアチニンクリアランスが15mL/min以上30mL/min未満の重度の腎機能障害を有する被験者(非透析患者)における,テノホビル アラフェナミド25mg単回投与時のテノホビル アラフェナミドのCmax及びAUCは,クレアチニンクリアランスが90mL/min超の被験者に対し,それぞれ79%及び92%上昇し,テノホビルのCmax及びAUCは,それぞれ179%及び474%上昇した(外国人における成績)21)。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

エムトリシタビン:肝機能障害を有する被験者における薬物動態は検討していない。 テノホビル アラフェナミド:軽度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスA)を有する被験者における,テノホビル アラフェナミド25mg単回投与時のテノホビル アラフェナミドのCmax及びAUCは,肝機能正常被験者に対し,それぞれ11%及び8%低下し,テノホビルのCmax及びAUCは,それぞれ3%及び11%低下した。また,中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスB)を有する被験者における,テノホビル アラフェナミド25mg単回投与時のテノホビル アラフェナミドのCmax及びAUCは,肝機能正常被験者に対し,それぞれ19%及び13%上昇し,テノホビルのCmax及びAUCは,それぞれ12%及び3%低下した(外国人における成績)22)。 いずれの成分においても,重度の肝機能障害(Child-Pugh分類クラスC)を有する被験者における薬物動態は検討していない。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1非臨床における薬物相互作用試験

エムトリシタビン:OAT3の基質である23)。 テノホビル アラフェナミド:P-gp,BCRP,OATP1B1及びOATP1B3の基質である7),24)。また,テノホビルは,OAT1,OAT3及びMRP4の基質であり,OAT1に対する弱い阻害作用(IC50値:29.3μM)を示した25),26)。

  1. 16.7.2臨床における薬物相互作用試験

健康成人に対し,本剤又は本剤の有効成分を含有する製剤と併用薬を投与した時の,本剤の有効成分又は併用薬の薬物動態への影響を表7~10に示す。

併用薬 併用薬の用量・投与方法 テノホビル アラフェナミドの用量 例数 他剤併用時/非併用時のテノホビル アラフェナミドの薬物動態パラメータ比(90%信頼区間)
Cmax AUC Cmin
カルバマゼピン27) 300mg
1日2回
25mg
単回
26 0.43
(0.36, 0.51)
0.45
(0.40, 0.51)
NC
アタザナビル28) 300mg
+リトナビル100mg
1日1回
10mg
単回
10 1.77
(1.28, 2.44)
1.91
(1.55, 2.35)
NC
コビシスタット29) 150mg
1日1回
8mg
1日1回注1)
12 2.83
(2.20, 3.65)
2.65
(2.29, 3.07)
NC
ダルナビル28),29) 800mg
+コビシスタット150mg
1日1回
25mg
1日1回注2)
11 0.93
(0.72, 1.21)
0.98
(0.80, 1.19)
NC
800mg
+リトナビル100mg
1日1回
10mg
単回
10 1.42
(0.96, 2.09)
1.06
(0.84, 1.35)
NC
ドルテグラビル28) 50mg
1日1回
10mg
単回
10 1.24
(0.88, 1.74)
1.19
(0.96, 1.48)
NC
エファビレンツ29) 600mg
1日1回
空腹時
40mg
1日1回注2)
11 0.78
(0.58, 1.05)
0.86
(0.72, 1.02)
NC
ロピナビル・リトナビル28) 800mg
+リトナビル200mg
1日1回
10mg
単回
10 2.19
(1.72, 2.79)
1.47
(1.17, 1.85)
NC
リルピビリン30) 25mg
1日1回
25mg
1日1回
32 1.01
(0.84, 1.22)
1.01
(0.94, 1.10)
NC
セルトラリン31) 50mg
単回
10mg
1日1回注3)
19 1.00
(0.86, 1.16)
0.96
(0.89, 1.03)
NC
ソホスブビル・ベルパタスビル32) 400/100mg
1日1回
10mg
1日1回注3)
24 0.80
(0.68, 0.94)
0.87
(0.81, 0.94)
NC
ソホスブビル・ベルパタスビル・Voxilaprevir(国内未承認)33) 400/100/100mg
+Voxilaprevir100mg
1日1回
10mg
1日1回注3)
29 0.79
(0.68, 0.92)
0.93
(0.85, 1.01)
NC
レジパスビル・ソホスブビル34) 90/400mg
1日1回
10mg
1日1回注3)
30 0.90
(0.73, 1.11)
0.86
(0.78, 0.95)
NC

NC:未算出

注1)テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を用いた薬物動態試験

注2)本剤を用いた薬物動態試験

注3)ゲンボイヤ配合錠を用いた薬物動態試験

併用薬 併用薬の用量・投与方法 テノホビルの用量 例数 他剤併用時/非併用時のテノホビルの薬物動態パラメータ比(90%信頼区間)
Cmax AUC Cmin
コビシスタット29) 150mg
1日1回
テノホビル アラフェナミド8mg
1日1回注4)
12 3.34
(3.02, 3.70)
3.31
(3.10, 3.53)
3.35
(3.12, 3.59)
セルトラリン31) 50mg
単回
テノホビル アラフェナミド10mg
1日1回注5)
19 1.10
(1.00, 1.21)
1.02
(1.00, 1.04)
1.01
(0.99, 1.03)
エファビレンツ29) 600mg
1日1回
空腹時
テノホビル アラフェナミド40mg
1日1回注6)
11 0.75
(0.67, 0.86)
0.80
(0.73, 0.87)
0.82
(0.75, 0.89)
ダルナビル・コビシスタット29) 800/150mg
1日1回
テノホビル アラフェナミド25mg
1日1回注6)
11 3.16
(3.00, 3.33)
3.24
(3.02, 3.47)
3.21
(2.90, 3.54)
ソホスブビル・ベルパタスビル32) 400/100mg
1日1回
テノホビル アラフェナミド10mg
1日1回注5)
24 1.20
(1.16, 1.24)
1.22
(1.18, 1.25)
1.23
(1.19, 1.28)
ソホスブビル・ベルパタスビル・Voxilaprevir(国内未承認)33) 400/100/100mg
+Voxilaprevir100mg
1日1回
テノホビル アラフェナミド10mg
1日1回注5)
29 1.09
(1.05, 1.13)
1.20
(1.17, 1.23)
1.21
(1.18, 1.26)
レジパスビル・ソホスブビル34) 90/400mg
1日1回
テノホビル アラフェナミド10mg
1日1回注5)
30 1.17
(1.12, 1.22)
1.27
(1.23, 1.31)
1.33
(1.28, 1.38)

注4)テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を用いた薬物動態試験

注5)ゲンボイヤ配合錠を用いた薬物動態試験

注6)本剤を用いた薬物動態試験

併用薬 併用薬の用量・投与方法 エムトリシタビンの用量 例数 他剤併用時/非併用時のエムトリシタビンの薬物動態パラメータ比(90%信頼区間)
Cmax AUC Cmin
ダルナビル29) 800mg
+コビシスタット150mg
1日1回
200mg
1日1回注7)
11 1.13
(1.02, 1.24)
1.24
(1.17, 1.31)
1.31
(1.24, 1.38)
エファビレンツ29) 600mg
1日1回
空腹時
200mg
1日1回
11 0.90
(0.81, 0.99)
0.92
(0.87, 0.96)
0.92
(0.86, 0.98)
セルトラリン31) 50mg
単回
200mg
1日1回注8)
19 0.90
(0.82, 0.98)
0.84
(0.81, 0.88)
0.94
(0.90, 0.99)
ソホスブビル・ベルパタスビル32) 400/100mg
1日1回
200mg
1日1回注8)
24 1.02
(0.97, 1.06)
1.01
(0.98, 1.04)
1.02
(0.97, 1.07)
ソホスブビル・ベルパタスビル・Voxilaprevir(国内未承認)33) 400/100/100mg
+Voxilaprevir100mg
1日1回
200mg
1日1回注8)
29 0.87
(0.84, 0.91)
0.96
(0.94, 0.99)
1.14
(1.09, 1.20)
タクロリムス35) 0.05mg/kg
1日2回
200mg
1日1回注9)
21 0.89
(0.83, 0.95)
0.95
(0.91, 0.99)
1.03
(0.96, 1.10)
ファムシクロビル36) 500mg
単回
200mg
単回
12 0.90
(0.80, 1.01)
0.93
(0.87, 0.99)
NC
レジパスビル・ソホスブビル34) 90/400mg
1日1回
200mg
1日1回注8)
30 1.03
(0.96, 1.11)
0.97
(0.93, 1.00)
0.95
(0.91, 0.99)

NC:未算出

注7)本剤を用いた薬物動態試験

注8)ゲンボイヤ配合錠を用いた薬物動態試験

注9)エムトリシタビン・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を用いた薬物動態試験

併用薬 併用薬の用量・投与方法 テノホビル アラフェナミドの用量 例数 他剤併用時/非併用時の併用薬の薬物動態パラメータ比(90%信頼区間)
Cmax AUC Cmin
カルバマゼピン27) 300mg
1日2回
25mg
単回
26 0.70
(0.65, 0.74)
0.77
(0.74, 0.81)
NC
アタザナビル28) 300mg
+リトナビル100mg
1日1回
10mg
単回
10 0.98
(0.89, 1.07)
0.99
(0.96, 1.01)
1.00
(0.96, 1.04)
ダルナビル28),29) 800mg
+コビシスタット150mg
1日1回
25mg
1日1回注10)
14 1.02
(0.96, 1.09)
0.99
(0.92, 1.07)
0.97
(0.82, 1.15)
800mg
+リトナビル100mg
1日1回
10mg
単回
10 0.99
(0.91, 1.08)
1.01
(0.96, 1.06)
1.13
(0.95, 1.34)
ドルテグラビル28) 50mg
1日1回
10mg
単回
10 0.87
(0.79, 0.96)
0.98
(0.93, 1.03)
0.95
(0.88, 1.03)
ロピナビル・リトナビル28) 800mg
+リトナビル200mg
1日1回
10mg
単回
10 1.00
(0.95, 1.06)
1.00
(0.92, 1.09)
0.98
(0.85, 1.12)
ミダゾラム37) 2.5mg
単回経口
25mg
1日1回
18 1.02
(0.92, 1.13)
1.13
(1.04, 1.23)
NC
1mg
単回静脈内
25mg
1日1回
18 0.99
(0.89, 1.11)
1.08
(1.04, 1.14)
NC
リルピビリン30) 25mg
1日1回
25mg
1日1回
32 0.93
(0.87, 0.99)
1.01
(0.96, 1.06)
1.13
(1.04, 1.23)
セルトラリン31) 50mg
単回
10mg
1日1回注11)
20 1.14
(0.94, 1.38)
1.09
(0.90, 1.32)
NC
ベルパタスビル32) 100mg
1日1回
10mg
1日1回注11)
24 1.30
(1.17, 1.45)
1.50
(1.35, 1.66)
1.60
(1.44, 1.78)
ソホスブビル32) 400mg
1日1回
1.23
(1.07, 1.42)
1.37
(1.24, 1.52)
NC
ソホスブビル主要代謝物32) 1.29
(1.25, 1.33)
1.48
(1.43, 1.53)
1.58
(1.52, 1.65)
ベルパタスビル33) 100mg
1日1回
10mg
1日1回注11)
29 0.96
(0.89, 1.04)
1.16
(1.06, 1.27)
1.46
(1.30, 1.64)
Voxilaprevir(国内未承認)33) 100+100mg
1日1回
1.92
(1.63, 2.26)
2.71
(2.30, 3.19)
4.50
(3.68, 5.50)
ソホスブビル33) 400mg
1日1回
1.27
(1.09, 1.48)
1.22
(1.12, 1.32)
NC
ソホスブビル主要代謝物33) 1.28
(1.25, 1.32)
1.43
(1.39, 1.47)
NC
レジパスビル34) 90mg
1日1回
10mg
1日1回注11)
30 1.65
(1.53, 1.78)
1.79
(1.64, 1.96)
1.93
(1.74, 2.15)
ソホスブビル34) 400mg
1日1回
1.28
(1.13, 1.47)
1.47
(1.35, 1.59)
NC
ソホスブビル主要代謝物34) 1.29
(1.24, 1.35)
1.48
(1.44, 1.53)
1.66
(1.60, 1.73)
ノレルゲストロミン38) ノルゲスチメート0.180/0.215/0.250mg・エチニルエストラジオール0.025mg
1日1回
25mg
1日1回注10)
15 1.17
(1.07, 1.26)
1.12
(1.07, 1.17)
1.16
(1.08, 1.24)
ノルゲストレル38) 1.10
(1.02, 1.18)
1.09
(1.01, 1.18)
1.11
(1.03, 1.20)
エチニルエストラジオール38) 1.22
(1.15, 1.29)
1.11
(1.07, 1.16)
1.02
(0.92, 1.12)

NC:未算出

注10)本剤を用いた薬物動態試験

注11)ゲンボイヤ配合錠を用いた薬物動態試験