Clinical snapshot

テモダール点滴静注用100mg

テモゾロミド

添付文書改訂 2024年10月01日

【警告】

  1. 1.1本剤による治療は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

  2. 1.2本剤と放射線照射を併用する場合に、重篤な副作用や放射線照射による合併症が発現する可能性があるため、放射線照射とがん化学療法の併用治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで実施すること。

  3. 1.3本剤の投与後にニューモシスチス肺炎が発生することがあるため、適切な措置の実施を考慮すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤又はダカルバジンに対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

  • 悪性神経膠腫

  • 再発又は難治性のユーイング肉腫

用法・用量

  • 〈効能共通〉

下記のとおり本剤を90分間かけて静脈内投与する。

  • 〈悪性神経膠腫〉

  • 初発の悪性神経膠腫の場合:

放射線照射との併用にて、通常、成人ではテモゾロミドとして75mg/m2(体表面積)を1日1回42日間投与し、4週間休薬する。その後、本剤単独にて、テモゾロミドとして150mg/m2(体表面積)を1日1回5日間投与し、23日間休薬する。この28日を1クールとし、次クールでは1回200mg/m2に増量することができる。

  • 再発の悪性神経膠腫の場合:

通常、成人ではテモゾロミドとして150mg/m2(体表面積)を1日1回5日間投与し、23日間休薬する。この28日を1クールとし、次クールで1回200mg/m2に増量することができる。

  • 〈再発又は難治性のユーイング肉腫〉

イリノテカンとの併用において、通常、テモゾロミドとして1回100mg/m2を1日1回連日5日間投与し、16日間以上休薬する。これを1クールとし、投与を反復する。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の投与にあたっては、骨髄機能抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

  2. 8.2感染症・出血傾向の発現又は増悪に十分に注意すること。

  3. 8.3カプセル剤による治療後に、骨髄異形成症候群(MDS)や骨髄性白血病を含む二次性悪性腫瘍が報告されている。

  4. 8.4本剤の投与では放射線照射との併用期間中は、リンパ球数にかかわらず、ニューモシスチス肺炎に十分注意し、あらかじめ適切な措置を講ずること。

  5. 8.5本剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと。

  6. 8.6本剤の投与では、悪心、嘔吐、食欲不振等の消化器症状が高頻度に認められるため、患者の状態を十分に観察し、適切な処置を行うこと。

  7. 8.7再発又は難治性のユーイング肉腫に本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書」1)等)を熟読すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1骨髄機能抑制のある患者

骨髄機能抑制が増強するおそれがある。

  1. 9.1.2感染症を合併している患者

骨髄機能抑制により、感染症が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.3肝炎ウイルスの感染又は既往を有する患者

B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はHBs抗原陰性の患者において、本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の兆候や症状の発現に注意すること。

  1. 9.1.4水痘患者

致命的な全身障害があらわれるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重度の腎機能障害のある患者

副作用が強くあらわれるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害のある患者

副作用が強くあらわれるおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

  2. 9.4.2男性には、本剤投与中及び最終投与後3ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。

  3. 9.4.3小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。

9.5 妊婦

**妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。妊娠中にテモゾロミドを投与された患者で、児の多発奇形が報告されている。ラット、ウサギにおいて、胚・胎児死亡及び奇形(50mg/m2/日)が報告されている。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。

9.7 小児等

  • 〈悪性神経膠腫〉
  1. 9.7.1小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
  • 〈再発又は難治性のユーイング肉腫〉
  1. 9.7.2小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

海外の臨床試験(カプセル剤投与時)において、高齢者(70歳超)では、70歳以下の患者と比較すると、好中球減少及び血小板減少の発現が増加することが認められている。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 頻度不明
ALT上昇 頻度不明
AST上昇 頻度不明
BUN上昇 頻度不明
CRP上昇 頻度不明
LDH上昇 頻度不明
γ-GTP上昇 頻度不明
アルブミン減少 頻度不明
クレアチニン上昇 頻度不明
しびれ 頻度不明
しゃっくり 頻度不明
そう痒 頻度不明
そう痒感) 頻度不明
ビリルビン上昇 頻度不明
ヘマトクリット減少 頻度不明
ヘモグロビンA1C上昇 頻度不明
めまい 頻度不明
リンパ球減少 頻度不明
上気道感染 頻度不明
下痢 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
傾眠 頻度不明
刺激感 頻度不明
動悸 頻度不明
単球増多 頻度不明
単球減少 頻度不明
口内・口唇炎 頻度不明
味覚異常 頻度不明
嘔吐 頻度不明
多形紅斑 頻度不明
好中球増多 頻度不明
好中球減少 頻度不明
好塩基球増多 頻度不明
好酸球増多 頻度不明
尿崩症 頻度不明
尿検査異常 頻度不明
尿潜血 頻度不明
帯状疱疹 頻度不明
心嚢液貯留 頻度不明
悪寒 頻度不明
悪心 頻度不明
意識障害 頻度不明
感情不安定 頻度不明
振戦 頻度不明
歯肉炎 頻度不明
水頭症 頻度不明
注射部反応(疼痛 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
点状出血 頻度不明
無力症 頻度不明
焦燥 頻度不明
熱感 頻度不明
熱感 頻度不明
片麻痺 頻度不明
疲労 頻度不明
疼痛 頻度不明
痙攣 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白癬 頻度不明
白血球増多 頻度不明
白血球減少 頻度不明
眼瞼炎 頻度不明
紅斑 頻度不明
胃不快感 頻度不明
胃腸炎 頻度不明
胸水 頻度不明
胸部不快感 頻度不明
脱毛 頻度不明
腫脹 頻度不明
腹痛 頻度不明
蛋白尿 頻度不明
蜂巣炎 頻度不明
血中ナトリウム減少 頻度不明
血小板減少 頻度不明
血清総蛋白減少 頻度不明
血糖値上昇 頻度不明
血腫 頻度不明
貧血(ヘモグロビン減少 頻度不明
赤血球減少) 頻度不明
霧視 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

テモゾロミドは一価アルキル化薬であり、生理的pH条件下で非酵素的にMTICに分解され、メチルジアゾニウムイオンとなる。メチルジアゾニウムイオンはDNAのグアニンの6位の酸素原子をメチル化することによりDNA損傷を引き起こし、細胞周期の停止及びアポトーシスを誘導することにより細胞増殖抑制作用を示す21),22)(in vitro)。

18.2 抗腫瘍作用

テモゾロミドはヒト悪性神経膠腫由来細胞に対して細胞増殖抑制作用を示した23),24)(in vitro)。また、テモゾロミドはヒト悪性神経膠腫由来細胞頭蓋内移植マウスにおいて生存日数を延長させた25),26)(in vivo)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1注射剤とカプセル剤の生物学的同等性

中枢神経系悪性腫瘍患者(19例)にテモゾロミド注射剤及びカプセル剤150mg/m2をそれぞれクロスオーバー法により静脈内投与(1.5時間持続注入)及び経口投与(空腹時)したとき、血漿中未変化体及び活性代謝物MTIC(5-[(1Z)-3-Methyltriaz-1-en-1-yl]-1H-imidazole-4-carboxamide)濃度推移及び薬物動態パラメータは以下に示すとおりであった。「注射剤の1.5時間静脈内持続注入」は「カプセル剤の経口投与」と生物学的に同等であることが確認された6)(外国人データ)。

図1 テモゾロミドの血漿中濃度推移図2 MTICの血漿中濃度推移

製剤
(投与経路)
Tmax
(hr)
Cmax
(µg/mL)
t1/2
(hr)
AUC0-t
(µg・hr/mL)
注射剤
(静脈内)
1.50
(0.92-2.00)
7.44
(21)
1.81
(12)
23.4
(18)
カプセル剤
(経口)
1.00
(0.25-2.00)
7.68
(19)
1.91
(13)
22.0
(14)
点推定値(%)注7)
(90%信頼区間)
97
(91-102)
106
(103-109)
製剤
(投与経路)
Tmax
(hr)
Cmax
(ng/mL)
t1/2
(hr)
AUC0-t
(ng・hr/mL)
注射剤
(静脈内)
1.50
(1.25-1.75)
320
(61)
1.80
(16)
941
(53)
カプセル剤
(経口)
1.00
(0.25-2.00)
333
(62)
1.77
(11)
944
(60)
点推定値(%)注7)
(90%信頼区間)
98
(91-105)
103
(98-108)

平均値(%CV、n=19)[ただしTmaxは中央値(範囲)]

注7)注射剤(静脈内投与)/カプセル剤(経口投与)

  1. 16.1.2カプセル剤の単回及び反復投与

悪性神経膠腫の再発患者(6例)にカプセル剤の150又は200mg/m2を空腹時に1日1回5日間反復経口投与したときの投与1日目及び5日目における未変化体及びMTICの薬物動態パラメータは以下に示すとおりであり、未変化体及びMTICともに反復投与による蓄積性は認められなかった7)。

分析対象 投与量
(mg/m2)
投与
(日)
Tmax
(hr)
Cmax
(µg/mL)
t1/2λz
(hr)
AUC0-t
(µg・hr/mL)
R注8)
テモゾロミド 150
(6例)
1 1.42
(52)
7.87
(38)
2.14
(25)
25.7
(15)
5 0.96
(53)
8.38
(36)
2.29
(35)
25.2
(10)
0.986
(8)
200
(3例)
1 0.58
(25)
15.3
(5)
2.03
(4)
35.1
(6)
5 0.92
(57)
14.0
(30)
2.02
(5)
36.0
(4)
1.03
(3)
MTIC 150
(6例)
1 1.42
(52)
0.145
(38)
1.98
(24)
0.426
(15)
5 1.08
(43)
0.154
(28)
1.83
(12)
0.425
(12)
1.00
(16)
200
(3例)
1 0.75
(33)
0.272
(15)
1.93
(6)
0.594
(7)
5 0.92
(57)
0.284
(33)
1.87
(3)
0.636
(7)
1.07
(1)

注8)AUC0-24hrに基づく累積係数

平均値(%CV)

また、進行性癌患者(26例)に100、150、200、250、500、750又は1,000mg/m2 注9)を単回経口投与したとき、血漿中未変化体濃度のCmax及びAUCは用量に比例して上昇し、体内動態の線形性が認められた8),9)(外国人データ)。

16.3 分布

  1. 16.3.1血漿蛋白結合

ヒトに14C-テモゾロミドの200mgを単回経口投与したとき、放射能の血漿蛋白結合率は12%~16%であった10)(in vivo、外国人データ)。

  1. 16.3.2脳脊髄液中への移行

神経膠腫患者にカプセル剤の75mg/m2を放射線治療との併用により1日1回42~49日間反復経口投与したとき(23例)及び200mg/m2を1日1回5日間反復経口投与したとき(32例)、脳脊髄液中への未変化体の移行が認められ、脳脊髄液/血漿のAUC比はそれぞれ20.6%及び20.3%であった11)(外国人データ)。また、脳転移を有する悪性黒色腫患者(1例)にカプセル剤の150mg/m2を1日1回5日間反復経口投与したとき、脳脊髄液中未変化体濃度は血漿中濃度とほぼ平行して推移し、脳脊髄液/血漿のAUC比は約30%であった12)(外国人データ)。

16.4 代謝

テモゾロミドの主要な生体内変換は、テトラジン環の4位のカルボニル基におけるpH依存的な加水分解と脱炭酸によるMTICへの変換と、続いて起こるAIC(5-Amino-1H-imidazole-4-carboxamide)への分解であり、このMTICからAICへの分解過程でDNAのアルキル化分子であるメチルジアゾニウムイオンが産生される。これら一連の反応は薬物代謝酵素に依存しない化学反応である10),13)。

16.5 排泄

進行性癌患者(6例)に14C-テモゾロミドの200mgを単回経口投与したとき、投与後7日間で尿及び糞中にそれぞれ投与した放射能の約37%及び約0.8%が回収された10)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

各種進行性癌患者を対象としたカプセル剤の第Ⅰ相及び第Ⅱ相試験で得られた総計445例の血漿中未変化体濃度データを用いた母集団薬物動態解析の結果、テモゾロミドのクリアランスとクレアチニンクリアランスの間には関連性が認められなかった14)(外国人データ)。なお、重度の腎機能障害患者並びに血液透析が必要な患者における薬物動態の検討は実施されていない。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

軽度及び中等度(Child-Pugh分類A及びB)の肝機能障害患者(肝細胞癌患者13例)にカプセル剤の150mg/m2を単回経口投与したとき、血漿中未変化体及びMTIC濃度は肝機能正常患者と差を認めなかった15)(外国人データ)。なお、重度の肝機能障害患者での薬物動態については十分な検討が実施されていない。

  1. 16.6.3小児

小児の進行性癌患者(年齢:3~17歳、19例)にカプセル剤の100、120、160、200又は240mg/m2 注9)を空腹時に1日1回5日間反復経口投与したとき、投与5日目の血漿中未変化体濃度のTmaxは1.3~1.9時間、t1/2λzは1.4~1.8時間であり、Cmax及びAUCはいずれも投与量に比例して上昇した。200mg/m2投与群のAUCについて同用量投与時の成人と比較すると、小児で成人の約1.4倍高値を示した8),16)(外国人データ)。

  1. 16.6.4クリアランスに及ぼす生体側の影響因子

各種進行性癌患者を対象としたカプセル剤の第Ⅰ相及び第Ⅱ相試験で得られた総計359例の血漿中未変化体濃度データを用いた母集団薬物動態解析の結果、テモゾロミドのクリアランスは、体のサイズ(体表面積、体重)及び性別(女性は男性より5%程度クリアランスが低下した)による影響を受けるが、年齢(19~78歳)、喫煙、総蛋白、アルブミン、総ビリルビン、Al-P、AST、ALT及びクレアチニンクリアランスによる影響を受けなかった17)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1その他

  2. (1)クリアランスに及ぼす併用薬の影響

各種進行性癌患者を対象としたカプセル剤の第Ⅰ相及び第Ⅱ相試験で得られた総計359例の血漿中未変化体濃度データを用いた母集団薬物動態解析の結果、バルプロ酸との併用ではクリアランスが約4.7%低下したが、デキサメタゾン、フェニトイン、フェノバルビタール、カルバマゼピン、H2受容体拮抗薬、オンダンセトロン又はプロクロルペラジンとの併用により影響を受けなかった17)(外国人データ)。

注9)初発及び再発の悪性神経膠腫における成人の承認最大用量(一回量)は200mg/m2(静脈内投与)、再発又は難治性のユーイング肉腫における承認最大用量(一回量)は100mg/m2(静脈内投与)である。