HIV感染症
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人には以下の用法・用量で経口投与する。本剤は、食事の有無にかかわらず投与できる。投与に際しては、必ず他の抗HIV薬と併用すること。 <未治療患者、インテグラーゼ阻害薬以外の抗HIV薬による治療経験のある患者> ドルテグラビルとして50mgを1日1回経口投与する。 <インテグラーゼ阻害薬に対する耐性を有する患者> ドルテグラビルとして50mgを1日2回経口投与する。
なお、12歳以上及び体重40kg以上の未治療、インテグラーゼ阻害薬以外の抗HIV薬による治療経験がある小児患者には、ドルテグラビルとして50mgを1日1回経口投与できる。
使用上の注意
-
8.1本剤による治療は、抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。
-
8.2*本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
-
本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。
-
本剤は併用薬と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤を担当医に報告すること。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合には、事前に担当医に報告すること。
-
本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明であること。
-
担当医の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしないこと。
-
8.3本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築炎症反応症候群が報告されている。投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染症(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること。
-
8.4肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行う等、観察を十分に行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1B型又はC型肝炎ウイルス感染患者
肝機能の悪化(トランスアミナーゼ上昇又は増悪)のおそれがある。臨床試験において、B型又はC型肝炎ウイルス重複感染患者では、トランスアミナーゼ上昇又は増悪の発現頻度が非重複感染患者より高かった。
9.5 妊婦
**妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 海外の観察研究において、無脳症や二分脊椎などの神経管閉鎖障害が、受胎前からドルテグラビル含有製剤を服用していた妊婦から生まれた児9460例中10例(0.11%、95%信頼区間0.06-0.19)に報告されており、ドルテグラビルを含まない抗HIV薬を服用していた妊婦から生まれた児23664例中25例(0.11%、95%信頼区間0.07-0.16)、HIV陰性の妊婦から生まれた児170723例中108例(0.07%、95%信頼区間0.05-0.08)に報告されている1) 。 ドルテグラビルはヒト胎盤を通過する。ドルテグラビルの母体血漿中濃度に対する胎児臍帯血漿中濃度の比(中央値[範囲])は、1.28[1.21-1.28]であることが報告されている2)(外国人データ)。
9.6 授乳婦
授乳を避けさせること。一般に、乳児へのHIV感染を防ぐため、あらゆる状況下においてHIVに感染した女性は授乳すべきでない。 ドルテグラビルはヒト乳汁中に移行する。ドルテグラビルの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比(中央値[範囲])は、0.033[0.021-0.050]であることが報告されている2)(外国人データ)。
9.7 小児等
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は12歳未満又は体重40kg未満の小児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら注意して投与すること。一般に生理機能(肝機能、腎機能、心機能等)が低下しており、合併症を有している又は他の薬剤を併用している場合が多い。
相互作用
- 本剤は主にUGT1A1の基質であり、一部CYP3A4でも代謝される。また、本剤は有機カチオントランスポーター2(OCT2)及びMultidrug and Toxin Extrusion 1(MATE1)を阻害する。
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| ピルシカイニド塩酸塩水和物 | ピルシカイニドの血漿中濃度を増加させる可能性がある。併用により、ピルシカイニドで重大な副作用として報告されている心室頻拍、洞停止及び心室細動等の発現及び重篤化があらわれるおそれがあるので、併用中は注意深く観察すること。 | 本剤のOCT2及びMATE1の阻害作用により、ピルシカイニドの排出が阻害される可能性がある。 |
| エトラビリン |
本剤の血漿中濃度をCmaxで52%、Cτで88%低下させたとの報告がある3) 。 | これらの薬剤がCYP3A4及びUGT1A1を誘導することにより、本剤の代謝が促進される。 |
| エファビレンツ |
本剤の血漿中濃度をCmaxで39%、Cτで75%低下させたとの報告がある4) 。 | これらの薬剤がCYP3A4及びUGT1A1を誘導することにより、本剤の代謝が促進される。 |
| ネビラピン |
本剤の血漿中濃度を低下させる可能性がある。 | これらの薬剤がCYP3A4及びUGT1A1を誘導することにより、本剤の代謝が促進される。 |
| ホスアンプレナビルカルシウム水和物+リトナビル |
本剤の血漿中濃度をCmaxで24%、Cτで49%低下させたとの報告がある5) ため、INSTIに対する耐性を有する患者では、本剤と併用しないこと。 | ホスアンプレナビルがCYP3A4及びUGT1A1を誘導することにより、本剤の代謝が促進される。 |
| カルバマゼピン |
本剤の血漿中濃度をCmaxで33%、Cτで73%低下させたとの報告がある6) 。 | カルバマゼピンがCYP3A4及びUGT1A1を誘導することにより、本剤の代謝が促進される。 |
| • フェニトイン • ホスフェニトイン フェノバルビタール セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort, セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 |
本剤の血漿中濃度を低下させる可能性がある。 | これらの薬剤並びにセイヨウオトギリソウがCYP3A4及びUGT1A1を誘導することにより、本剤の代謝が促進される。 |
| リファンピシン |
本剤の血漿中濃度をCmaxで43%、Cτで72%低下させたとの報告がある7) 。 | リファンピシンがCYP3A4及びUGT1A1を誘導することにより、本剤の代謝が促進される。 |
| 多価カチオン(Mg, Al等)含有製剤 | 本剤の血漿中濃度をCmaxで72%、C24で74%低下させる8) 。本剤は多価カチオン含有制酸剤の投与2時間前又は6時間後の投与が推奨される。 | これらの多価カチオンと錯体を形成することにより、本剤の吸収が阻害される。 |
| 鉄剤、カルシウム含有製剤(サプリメント等) | 本剤の血漿中濃度をCmaxで35%、C24で32%低下させる8) 。食事と同時に摂取する場合を除き、本剤は鉄剤、カルシウム含有製剤の投与2時間前又は6時間後の投与が推奨される。 | 鉄、カルシウムと錯体を形成することにより、本剤の吸収が阻害される。 |
| メトホルミン塩酸塩 | メトホルミンの血漿中濃度をドルテグラビル50mg 1日1回投与時及び1日2回投与時にCmaxでそれぞれ66%及び111%上昇させる9) 。注意深く観察し、必要に応じてメトホルミンを減量する等慎重に投与すること。 | 本剤のOCT2及びMATE1の阻害作用により、メトホルミンの排出が阻害される可能性がある。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| CK上昇 | 頻度不明 |
| うつ病 | 1%未満 |
| クレアチニン上昇 | 1%未満 |
| そう痒 | 頻度不明 |
| ビリルビン上昇 | 1%未満 |
| めまい | 頻度不明 |
| 上腹部痛 | 頻度不明 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 不安 | 1%未満 |
| 不眠症 | 頻度不明 |
| 体重増加 | 1%未満 |
| 免疫再構築炎症反応症候群 | 1%未満 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 異常な夢 | 頻度不明 |
| 疲労 | 頻度不明 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 筋肉痛 | 1%未満 |
| 肝炎 | 1%未満 |
| 腹痛 | 1%未満 |
| 腹部不快感 | 1%未満 |
| 自殺企図 | 頻度不明 |
| 自殺念慮 | 頻度不明 |
| 関節痛 | 1%未満 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 鼓腸 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ドルテグラビルはレトロウイルスの複製に必要な酵素であるHIVインテグラーゼの活性部位に結合することによってその活性を阻害し、ウイルスDNAの宿主DNAへの組込みを抑制する。
18.2 抗ウイルス作用
HIV-1 BaL株及びHIV-1 NL432株に感染させた末梢血単核球を用いた時のドルテグラビルのウイルス複製に対する50%阻害濃度(IC50)は、それぞれ0.51及び0.53nMであり、HIV-1 ⅢB株に感染させたMT-4細胞を用いた時のIC50は2.1nMであった(in vitro)。 13種のHIV-1臨床分離株(サブタイプB)のインテグラーゼコード領域を導入した組換えウイルスに対するドルテグラビルのIC50(平均値)は0.52nMであり、その活性は実験室株に対する抗ウイルス活性と同程度であった。24種のHIV-1臨床分離株[グループM(サブタイプA、B、C、D、E、F、G)及びグループO]並びに3種のHIV-2臨床分離株からなるパネル株を感染させた末梢血単核球を用いた時のドルテグラビルのIC50(幾何平均)はHIV-1株及びHIV-2株でそれぞれ0.20nM(範囲は0.02~2.14nM)及び0.18nM(範囲は0.09~0.61nM)であった(in vitro)。
18.3 薬剤耐性
- 18.3.1臨床試験成績
抗HIV薬による治療経験があり、かつINSTIの投与経験のない患者を対象としたSAILING試験(ドルテグラビル投与群354例)において、投与48週後にウイルス学的な治療失敗例の17例中4例でINSTIに耐性が認められた。これら4例中2例に特有のR263Kインテグラーゼ変異が認められ、FCの最大値は1.93であった。もう1例には、多型のV151V/Iインテグラーゼ変異が認められFCの最大値は0.92であり、残り1例には試験前からインテグラーゼ変異の存在が認められており、既にINSTIの投与経験があるか、又はインテグラーゼ耐性ウイルスに感染したものと推定された。
- 18.3.2In vitro試験
HIV-1 ⅢB株及びHIV-1 NL432株をそれぞれ112及び56日間継代培養した試験でみられたインテグラーゼ領域のアミノ酸変異はS153Y、S153F、E92Q及びG193Eであり、FC(各種分離株に対するIC50/野生型HIV-1株に対するIC50)の最大値は4.1であった。また、HIV-1 臨床分離株(サブタイプB、C及びA/G)を更に長期間継代培養した試験でみられた変異はG118R(FC=10)、S153T及びR263K(FC=1.5)であった。
18.4 交差耐性
- 18.4.1In vitro試験
ラルテグラビル[Fold Change(FC)>81]に対する遺伝子型及び表現型の耐性を有する30種の臨床分離株について、ドルテグラビル(FC=1.5)に対する感受性を調べた。G140S+Q148H分離株では、ドルテグラビルのFC値は3.75であり、G140S+Q148R分離株では13.3、T97A+Y143R分離株では1.05、N155H分離株では1.37であった。ラルテグラビルの投与経験のある患者から分離した705種のラルテグラビル耐性株について、ドルテグラビルに対する感受性を調べたところ、93.9%の分離株に対してFCが10以下であった。 部位特異的変異を有する60種のINSTI耐性HIV-1ウイルスパネル株(28種は単一アミノ酸変異、32種は二重又は多重変異)を用いてドルテグラビルの抗ウイルス活性を検討した。単一のINSTI耐性関連アミノ酸変異(T66K、I151L及びS153Y)を有するウイルスでは、ドルテグラビルに対する感受性が2倍以上(2.3~3.6倍)低下した。複数の変異(T66K/L74M、E92Q/N155H、G140C/Q148R、G140S/Q148H、G140S/Q148R、G140S/Q148K、Q148R/N155H、T97A/G140S/Q148、及びE138/G140/Q148)を有するウイルスでは、ドルテグラビルに対する感受性が2倍以上(2.5~21倍)低下した。
- 18.4.2臨床試験成績
INSTIに耐性を有する患者を対象としたVIKING-3試験では、投与24週後までに183例中36例でウイルス学的な治療失敗が認められた。このうち31例については、試験開始時及びウイルス学的な治療失敗時の両時点で解析用耐性データがあり、31例中16例(52%)で投与に伴う変異が認められた。確認された治療下での変異又は混合変異はL74L/M(1例)、E92Q(2例)、T97A(8例)、E138K/A(7例)、G140S(2例)、Y143H(1例)、S147G(1例)、Q148H/K/R(4例)、N155H(1例)及びE157E/Q(1例)であった。また、治療下で変異の出現が認められた16例中14例において、試験開始時又はそれ以前からQ148の変異を有していた。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回経口投与
健康成人男性6例及び女性4例に本剤50mgを単回経口投与した時の血漿中ドルテグラビル濃度推移を図-1に、ドルテグラビルの薬物動態パラメータを表-1に示す。ドルテグラビルは投与後約3時間で最高血漿中濃度に達し、消失半減期は約15時間であった。また、日本人における薬物動態は外国人における薬物動態と同様であった12)。
図-1 健康成人に本剤50mgを単回経口投与した時の血漿中ドルテグラビル濃度推移(平均値±標準偏差、10例)
| Cmax (μg/mL) |
Tmax注1) (h) |
AUC0-inf (μg・h/mL) |
t1/2 (h) |
C24 (μg/mL) |
|---|---|---|---|---|
| 2.37±1.23 | 3.0(2.0-4.0) | 47.7±24.6 | 14.7±1.56 | 0.73±0.36 |
平均値±標準偏差、10例 注1)中央値(範囲)
本剤は経口投与により速やかに吸収され、投与後約2~3時間で最高血漿中濃度に達した。HIV感染症患者及び健康成人に本剤を経口投与した時の血漿中ドルテグラビルの曝露量は、2~100mg注)の範囲では投与量増加の割合を下回って増加した13),14)が、25~50mg注)の範囲では投与量にほぼ比例して増加した15)(外国人データ)。
- 16.1.2反復経口投与
成人HIV感染症患者における後期第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験の母集団薬物動態解析で推定した定常状態におけるドルテグラビルの薬物動態パラメータを表-2に示す(外国人データ)。
| パラメータ | AUC0-24(μg・h/mL) | Cmax(μg/mL) | Cτ(μg/mL) |
|---|---|---|---|
| 50mg 1日1回 | 53.6(27) | 3.67(20) | 1.11(46) |
| 50mg 1日2回 | 75.1(35) | 4.15(29) | 2.12(47) |
母集団薬物動態解析に基づく推定値 幾何平均値(CV%)
- 16.1.3小児等
抗HIV薬による治療経験のある小児HIV感染症患者(12~18歳未満、10例)に本剤50mgを1日1回経口投与した時の薬物動態は成人と同様であった。小児患者での血漿中ドルテグラビルの薬物動態パラメータを表-3に示す(外国人データ)。
| 年齢/体重 | 用量 | 薬物動態パラメータの推定値 | ||
|---|---|---|---|---|
| AUC0-24 (μg・h/mL) |
Cmax (μg/mL) |
C24 (μg/mL) |
||
| 12歳以上18歳未満 体重40kg以上注1) |
50mg注1) 1日1回 |
46 (43) |
3.49 (38) |
0.90 (59) |
幾何平均値(CV%)、10例 注1)体重が37kgであった1例には35mg注)を1日1回投与した。
16.2 吸収
- 16.2.1食事の影響
本剤は食事の有無にかかわらず投与できる。健康成人に対し、低、中又は高脂肪食(それぞれ7%脂肪/300kcal、30%脂肪/600kcal又は53%脂肪/870kcal)を摂取後に本剤50mgを単回経口投与した場合、血漿中ドルテグラビルのAUC0-infは絶食下と比較してそれぞれ33、41及び66%増加し、Cmaxはそれぞれ46、52及び67%増加した。また、Tmaxはそれぞれ3、4及び5時間であり、食事によりドルテグラビルの吸収量は増加し、吸収速度が低下した(外国人データ)。
16.3 分布
- 16.3.1血漿蛋白結合率
In vitroにおいて、ドルテグラビルのヒト血漿蛋白結合率は約99.3%であった16)。
- 16.3.2分布容積
健康成人男性にドルテグラビル20mg(懸濁液)注)を単回経口投与した時の見かけの分布容積は12.5Lであった(外国人データ)。
- 16.3.3血球移行性
ヒトでの血液/血漿比(平均値)は0.441~0.535であり、ドルテグラビルの血球移行性は低かった(5%未満)。
- 16.3.4非結合型薬物
血漿中ドルテグラビルの遊離分画は健康成人で約0.2~1.1%、中等度の肝機能障害患者で約0.4~0.5%、重度の腎機能障害患者で約0.8~1.0%、HIV感染症患者で0.5%であった(外国人データ)。
- 16.3.5脳脊髄液への移行
ドルテグラビルは脳脊髄液中にも分布する。本剤50mg及びアバカビル・ラミブジン(600mg・300mg)が併用投与された抗HIV薬による治療経験のない成人HIV感染症患者11例において、ドルテグラビルの脳脊髄液中濃度(中央値)は18ng/mLであり、血漿中濃度の0.11~0.66%であった(外国人データ)。
- 16.3.6組織内分布
ドルテグラビルは女性及び男性の生殖器に分布する。 健康成人女性に本剤50mg/日を5~7日間経口投与した時の子宮頸膣液、子宮頸部組織及び膣組織におけるドルテグラビルのAUCは定常状態での血漿中ドルテグラビルのAUCの6~10%であった(外国人データ)。 また、健康成人男性に本剤50mg/日を8日間経口投与した時の精液及び直腸組織におけるドルテグラビルAUCは定常状態での血漿中ドルテグラビルのAUCの7及び17%であった(外国人データ)。
16.4 代謝
- 16.4.1主な代謝酵素
In vitroにおいて、ドルテグラビルは主に肝臓のUGT1A1でグルクロン酸抱合される17)。また、ドルテグラビルはCYP3Aでも一部代謝された18)。
16.5 排泄
健康成人に14C-ドルテグラビル20mg(懸濁液)注)を単回経口投与した時の総投与量の約9.7%が酸化的代謝物として尿糞中に回収された(外国人データ)。 健康成人にドルテグラビル20mg注)を単回経口投与した時の主な排泄経路は糞であり、経口投与量の53%が未変化体として糞中に排泄された。また、尿中には経口投与量の31%が排泄され、その内訳は18.9%がエーテル型グルクロン酸抱合体、3.6%がN-脱アルキル体、3.0%がベンジル位の酸化体であり、未変化体は1%未満であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害患者
重度の腎機能障害(8例、クレアチニンクリアランス(Ccr):30mL/min未満)を有する患者に本剤50mgを単回経口投与した時の血漿中ドルテグラビルの薬物動態パラメータを表-4に示す(外国人データ)。重度の腎機能障害患者における薬物動態は健康成人との間に臨床的に重要である差はみられなかったことから、腎機能障害患者に対して本剤の用量調節を行う必要はない19)。
| 被験者 | Cmax (μg/mL) |
AUC0-inf (μg・h/mL) |
t1/2 (h) |
|---|---|---|---|
| 重度の腎機能障害患者 | 1.50(34) | 23.5(48) | 12.7(31) |
| 健康成人 | 1.86(45) | 37.1(58) | 15.4(15) |
幾何平均値(CV%)
- 16.6.2肝機能障害患者
ドルテグラビルは主に肝臓で代謝されて排泄される。中等度の肝機能障害(8例、Child-Pugh分類:B)を有する患者に本剤50mgを単回経口投与した時の血漿中ドルテグラビルの薬物動態パラメータを表-5に示す(外国人データ)。中等度の肝機能障害患者における薬物動態は健康成人と同様であったことから、中等度の肝機能障害に対して本剤の用量調節の必要はない20)。なお、重度の肝機能障害患者での本剤の薬物動態に及ぼす影響については検討していない。
| 被験者 | AUC0-inf (μg・h/mL) |
Cmax (μg/mL) |
C24 (μg/mL) |
|---|---|---|---|
| 中等度の肝機能障害患者 | 38.5(30) | 1.78(17) | 0.59(36) |
| 健康成人 | 37.3(47) | 1.80(49) | 0.57(44) |
幾何平均値(CV%)
- 16.6.3B型肝炎及びC型肝炎のウイルス重複感染患者
C型肝炎ウイルス重複感染患者を対象とした母集団薬物動態解析の結果、C型肝炎ウイルス重複感染はドルテグラビルの曝露量に対して臨床的な影響を及ぼさなかった(外国人データ)。なお、B型肝炎ウイルス重複感染患者における本剤投与時の薬物動態データは限られている。
- 16.6.4性別
健康成人にドルテグラビル250mg(懸濁液)注)を単回経口投与した時の血漿中ドルテグラビルの薬物動態パラメータは、男性(17例)よりも女性(24例)の方がわずか(最大約20%)に高い傾向がみられた(外国人データ)。 成人HIV感染症患者を対象とした後期第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験での母集団薬物動態解析の結果、性別はドルテグラビルの曝露量に対して臨床的な影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
- 16.6.5人種
成人HIV感染症患者を対象とした後期第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験での母集団薬物動態解析の結果、人種はドルテグラビルの曝露量に対して臨床的な影響を及ぼさなかった(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
-
16.7.1In vitro試験
-
(1)分布に関わるトランスポーター
ドルテグラビルはヒトPgp及びBCRPの基質である21),22)。
- (2)排泄に関わるトランスポーター
ドルテグラビルはヒト有機アニオントランスポーター1(OAT1)、OAT3、OCT2、MATE1及びMATE2-Kを介した輸送を阻害した(IC50:それぞれ2.12、1.97、1.93、6.34及び24.8μM)23),24)。
- 16.7.2本剤が併用薬の薬物動態に及ぼす影響
ドルテグラビルが併用薬の薬物動態に及ぼす影響を、表-6に示す(外国人データ)。
| 併用薬及び用量 | ドルテグラビルの 用量注) |
例数 | ドルテグラビル併用時/非併用時の併用薬の薬物動態パラメータの幾何平均比(90%信頼区間);影響なし=1.00 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| Cτ又はC24 | AUC | Cmax | |||
| エチニルエストラジオール 0.035mg | 50mg 1日2回 |
15 | 1.02 (0.93, 1.11) |
1.03 (0.96, 1.11) |
0.99 (0.91, 1.08) |
| メサドン 20-150mg | 50mg 1日2回 |
11 | 0.99 (0.91, 1.07) |
0.98 (0.91, 1.06) |
1.00 (0.94, 1.06) |
| ミダゾラム 3mg | 25mg 1日1回 |
10 | - | 0.95 (0.79, 1.15) |
- |
| Norelgestromin (国内未発売)0.25mg |
50mg 1日2回 |
15 | 0.93 (0.85, 1.03) |
0.98 (0.91, 1.04) |
0.89 (0.82, 0.97) |
| リルピビリン 25mg 1日1回 |
50mg 1日1回 |
16 | 1.21 (1.07, 1.38) |
1.06 (0.98, 1.16) |
1.10 (0.99, 1.22) |
| テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩 300mg 1日1回 |
50mg 1日1回 |
15 | 1.19 (1.04, 1.35) |
1.12 (1.01, 1.24) |
1.09 (0.97, 1.23) |
| メトホルミン 500mg 1日2回 |
50mg 1日1回 |
14 | - | 1.79 (1.65, 1.93) |
1.66 (1.53, 1.81) |
| メトホルミン 500mg 1日2回 |
50mg 1日2回 |
14 | - | 2.45 (2.25, 2.66) |
2.11 (1.91, 2.33) |
- 16.7.3併用薬が本剤の薬物動態に及ぼす影響
併用薬がドルテグラビルの薬物動態に及ぼす影響を、表-7に示す(外国人データ)。
| 併用薬及び用量 | ドルテグラビルの 用量注) |
例数 | 他剤併用時/非併用時のドルテグラビルの薬物動態パラメータの幾何平均比(90%信頼区間);影響なし=1.00 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| Cτ又はC24 | AUC | Cmax | |||
| アタザナビル 400mg 1日1回 |
30mg 1日1回 |
12 | 2.80 (2.52, 3.11) |
1.91 (1.80, 2.03) |
1.50 (1.40, 1.59) |
| アタザナビル+リトナビル 300mg+100mg 1日1回 |
30mg 1日1回 |
12 | 2.21 (1.97, 2.47) |
1.62 (1.50, 1.74) |
1.34 (1.25, 1.42) |
| テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩 300mg 1日1回 |
50mg 1日1回 |
15 | 0.92 (0.82, 1.04) |
1.01 (0.91, 1.11) |
0.97 (0.87, 1.08) |
| ダルナビル+リトナビル 600mg+100mg 1日2回 |
30mg 1日1回 |
15 | 0.62 (0.56, 0.69) |
0.78 (0.72, 0.85) |
0.89 (0.83, 0.97) |
| エファビレンツ 600mg 1日1回 |
50mg 1日1回 |
12 | 0.25 (0.18, 0.34) |
0.43 (0.35, 0.54) |
0.61 (0.51, 0.73) |
| エトラビリン 200mg 1日2回 |
50mg 1日1回 |
15 | 0.12 (0.09, 0.16) |
0.29 (0.26, 0.34) |
0.48 (0.43, 0.54) |
| エトラビリン+ダルナビル+リトナビル 200mg+600mg+100mg 1日2回 |
50mg 1日1回 |
9 | 0.63 (0.52, 0.76) |
0.75 (0.69, 0.81) |
0.88 (0.78, 1.00) |
| ホスアンプレナビル+リトナビル 700mg+100mg 1日2回 |
50mg 1日1回 |
12 | 0.51 (0.41, 0.63) |
0.65 (0.54, 0.78) |
0.76 (0.63, 0.92) |
| ロピナビル・リトナビル 400mg・100mg 1日2回 |
30mg 1日1回 |
15 | 0.94 (0.85, 1.05) |
0.97 (0.91, 1.04) |
1.00 (0.94, 1.07) |
| 乾燥水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム 20mL 単回 |
50mg 単回 |
16 | 0.26 (0.21, 0.31) |
0.26 (0.22, 0.32) |
0.28 (0.23, 0.33) |
| 乾燥水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム 20mL 本剤投与2時間後 単回 |
50mg 単回 |
16 | 0.70 (0.58, 0.85) |
0.74 (0.62, 0.90) |
0.82 (0.69, 0.98) |
| 総合ビタミン剤 1錠 1日1回 |
50mg 単回 |
16 | 0.68 (0.56, 0.82) |
0.67 (0.55, 0.81) |
0.65 (0.54, 0.77) |
| オメプラゾール 40mg 1日1回 |
50mg 単回 |
12 | 0.95 (0.75, 1.21) |
0.97 (0.78, 1.20) |
0.92 (0.75, 1.11) |
| prednisone (国内未発売) 60mg 1日1回 (漸減) |
50mg 1日1回 |
12 | 1.17 (1.06, 1.28) |
1.11 (1.03, 1.20) |
1.06 (0.99, 1.14) |
| リファンピシン注1) 600mg 1日1回 |
50mg 1日2回注1) |
11 | 0.28 (0.23, 0.34) |
0.46 (0.38, 0.55) |
0.57 (0.49, 0.65) |
| リファンピシン注2) 600mg 1日1回 |
50mg 1日2回注2) |
11 | 1.22 (1.01, 1.48) |
1.33 (1.15, 1.53) |
1.18 (1.03, 1.37) |
| リファブチン 300mg 1日1回 |
50mg 1日1回 |
9 | 0.70 (0.57, 0.87) |
0.95 (0.82, 1.10) |
1.16 (0.98, 1.37) |
| リルピビリン 25mg 1日1回 |
50mg 1日1回 |
16 | 1.22 (1.15, 1.30) |
1.12 (1.05, 1.19) |
1.13 (1.06, 1.21) |
| Tipranavir(国内未発売)+リトナビル 500mg+200mg 1日2回 |
50mg 1日1回 |
14 | 0.24 (0.21, 0.27) |
0.41 (0.38, 0.44) |
0.54 (0.50, 0.57) |
| テラプレビル 750mg 8時間ごと |
50mg 1日1回 |
15 | 1.37 (1.29, 1.45) |
1.25 (1.20, 1.31) |
1.19 (1.11, 1.26) |
| Boceprevir (国内未発売) 800mg 8時間ごと |
50mg 1日1回 |
13 | 1.08 (0.91, 1.28) |
1.07 (0.95, 1.20) |
1.05 (0.96, 1.15) |
| カルバマゼピン 300mg 1日2回 |
50mg 1日1回 |
14 | 0.27 (0.24, 0.31) |
0.51 (0.48, 0.55) |
0.67 (0.61, 0.73) |
注1)ドルテグラビル50mg 1日2回投与とリファンピシンを併用したドルテグラビル50mg 1日2回投与との比較 注2)ドルテグラビル50mg 1日1回投与とリファンピシンを併用したドルテグラビル50mg 1日2回投与との比較
注)本剤の承認された用法及び用量は、「未治療患者、INSTI以外の抗HIV薬による治療経験のある患者は、ドルテグラビルとして50mgを1日1回経口投与する。INSTIに対する耐性を有する患者は、ドルテグラビルとして50mgを1日2回経口投与する。なお、12歳以上及び体重40kg以上の未治療、INSTI以外の抗HIV薬による治療経験がある小児患者には、ドルテグラビルとして50mgを1日1回経口投与できる。」である。