Clinical snapshot

ツイミーグ錠500mg

イメグリミン塩酸塩

添付文書改訂 2026年01月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液、インスリンによる速やかな高血糖の是正が必須である。]

  3. 2.3重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]

効能・効果

2型糖尿病

用法・用量

通常、成人にはイメグリミン塩酸塩として1回1000mgを1日2回朝、夕に経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1*腎機能障害を有する場合、本剤の排泄が遅延し血中濃度が上昇するため、腎機能を定期的に検査することが望ましい。特に、eGFRが15mL/min/1.73m2未満の患者では、腎機能を頻回に検査するとともに、慎重に経過を観察すること。

  2. 8.2本剤の使用にあたっては、患者に対し、低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。

  3. 8.3低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。

  4. 8.4投与する場合には、血糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、3ヵ月間投与して効果が不十分な場合には、より適切と考えられる治療への変更を考慮すること。

  5. **8.5本剤とビグアナイド系薬剤は作用機序の一部が共通している可能性があること、また、両剤を併用した場合、他の糖尿病用薬との併用療法と比較して消化器症状が多く認められたことから、併用薬剤の選択の際には留意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1低血糖を起こすおそれのある以下の患者又は状態
  • 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全

  • 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態

  • 激しい筋肉運動

  • 過度のアルコール摂取者

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1*eGFRが10mL/min/1.73m2未満の腎機能障害患者(透析患者を含む)

投与は推奨されない。本剤の血中濃度が著しく上昇するおそれがある。

  1. 9.2.2*eGFRが10mL/min/1.73m2以上45mL/min/1.73m2未満の腎機能障害患者

腎機能障害の程度に応じて投与量及び投与間隔を調節すること。特に、eGFRが10mL/min/1.73m2以上 15mL/min/1.73m2未満の患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤の血中濃度が上昇する。

9.3 肝機能障害患者

本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。 また、重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与せず、インスリン製剤を使用すること。動物実験(ラット)で胎児への移行が認められている1)。また、胎児の器官形成期に本剤を投与した動物実験では、ラットに1500mg/kg/日(臨床での最大投与量2000mg/日の約17倍の曝露量に相当)を経口投与した場合に、生存胎児体重の低値及び骨化遅延が認められている2)。ウサギに200mg/kg/日(臨床での最大投与量2000mg/日の約1.4倍の曝露量に相当)を経口投与した場合に、全胚吸収、生存胎児数の低値傾向を伴う着床後死亡率の上昇傾向及び生存胎児体重の低値傾向が認められている3)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている4)。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

相互作用

  • 本剤は主に腎臓から未変化体として排泄される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
糖尿病用薬
• インスリン製剤
スルホニルウレア剤
速効型インスリン分泌促進薬
α-グルコシダーゼ阻害剤
チアゾリジン系薬剤
DPP-4阻害剤
GLP-1受容体作動薬
SGLT2阻害剤 等
低血糖の発現に注意すること。特に、インスリン製剤、スルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。これらの薬剤による低血糖のリスクを軽減するため、インスリン製剤、スルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進薬の減量を検討すること。 血糖降下作用が増強されるおそれがある。
**ビグアナイド系薬剤
低血糖及び消化器症状の発現に注意すること。 低血糖については、血糖降下作用が増強されるおそれがある。
消化器症状については、特に併用初期に多く発現する傾向が認められている。
血糖降下作用を増強する薬剤
• β-遮断薬
サリチル酸剤
モノアミン酸化酵素阻害剤 等
血糖値、その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 血糖降下作用が増強されるおそれがある。
血糖降下作用を減弱する薬剤
• アドレナリン
副腎皮質ホルモン
甲状腺ホルモン 等
血糖値、その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 血糖降下作用が減弱されるおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
そう痒症 頻度不明
リパーゼ増加 1%未満
上腹部痛 1%未満
下痢 1〜5%未満
体重減少 1%未満
便秘 1〜5%未満
嘔吐 1%未満
悪心 1〜5%未満
消化不良 1%未満
発疹 頻度不明
糖尿病性網膜浮腫・黄斑浮腫 1%未満
糖尿病網膜症 1%未満
胃食道逆流性疾患 1%未満
腹部不快感 1%未満
腹部膨満 1%未満
膀胱炎 1%未満
血中乳酸増加 1%未満
軟便 1%未満
食欲減退 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

イメグリミンは、グルコース濃度依存的インスリン分泌促進作用及びインスリン抵抗性改善作用により、血糖降下作用を発揮する薬剤であり、その作用機序はミトコンドリアへの作用を介するものと想定される。

18.2 血糖降下作用

イメグリミンは、Goto-Kakizaki(GK)ラットで血糖降下作用を示し、その効果は投与開始より8週間持続した29)。

18.3 グルコース濃度依存的インスリン分泌促進作用

イメグリミンは、GKラット由来膵島を用いたin vitro試験で、高グルコース存在下でインスリン分泌を促進させた30)。また、ストレプトゾトシン誘発糖尿病モデルラット、GKラット、高脂肪食負荷ラットでのグルコース負荷試験で血中インスリン濃度を上昇させ31),32),33)、グルコースクランプ試験でも高血糖条件下で血中インスリン濃度を上昇させた34)。 2型糖尿病患者に本剤1回1500mg注18)又はプラセボを1日2回7日間経口投与し、最終投与の2時間後に高グルコースクランプ試験を実施したところ、本剤群でグルコース投与直後から45分後の血中インスリン濃度のAUC0-45minがプラセボ群と比較して増加した35)(外国人データ)。 2型糖尿病患者に本剤1回1500mg又はプラセボを1日2回18週間投与し、最終投与の2時間後に経口糖負荷試験を実施したところ、本剤群でインスリン分泌指数(insulinogenic index)がプラセボ群と比較して増加した36)(外国人データ)。

18.4 インスリン抵抗性改善作用

イメグリミンは、初代培養肝細胞を用いたin vitro試験及び筋肉細胞株を用いたin vitro試験で、糖新生抑制作用37)及びグルコース取り込み上昇作用38)を示した。また、ストレプトゾトシン誘発糖尿病モデル動物での正常血糖高インスリンクランプ試験で定常状態グルコース注入率を上昇させた39)。 2型糖尿病患者に本剤1回1500mg注18)又はプラセボを1日2回18週間投与し、最終投与の2時間後に経口糖負荷試験を実施したところ、本剤群でインスリン抵抗性の指標の一つであるStumvoll indexがプラセボ群と比較して改善した36)(外国人データ)。

注18)本剤の承認用法・用量は1回1000mgを1日2回投与である。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人に本剤1000mgを空腹時に単回経口投与したときの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった5)。

投与量 tmax
(h)
Cmax
(ng/mL)
AUC0-24
(ng·h/mL)
t1/2
(h)
1000mg(n=6) 2.5 (1.5−3.0) 1393 (40.3) 9780 (36.1) 12.0 (113.0)

幾何平均値(%幾何CV)、tmax :中央値(最小値−最大値)

イメグリミン塩酸塩としての値

  1. 16.1.2反復投与

健康成人6例に本剤1回1000mgを1日2回7日間反復経口投与したとき、血漿中濃度は投与5日目には定常状態に達し、7日目のCmax及びAUC0-12の蓄積比はそれぞれ1.43倍及び1.57倍であった5)。 本剤を投与した867例から得られた血漿中濃度に基づくポピュレーションPK解析の結果、国内第3相試験(単独療法)に組み入れられた2型糖尿病患者(103例:eGFRの平均値73.2mL/min/1.73m2)に本剤1回1000mgを1日2回反復経口投与したときのイメグリミン塩酸塩の曝露量(AUC0-24,ss)は35.9μg・h/mL(幾何平均値)と推定された6)。

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人男性に本剤1000mgを空腹時及び食後に単回経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった。臨床的に意義のある食事の影響は認められなかった7)。

投与時期 tmax
(h)
Cmax
(ng/mL)
AUC0-48
(ng·h/mL)
t1/2
(h)
空腹時(n=12) 3.0 (1.0−4.0) 1681 (27.5) 12970 (30.6) 7.2 (56.4)
食後(n=12) 4.0 (3.0−4.0) 1424 (26.1) 11960 (29.9) 6.1 (59.9)

幾何平均値(%幾何CV)、tmax :中央値(最小値−最大値)

イメグリミン塩酸塩としての値

16.3 分布

イメグリミンのヒト血漿中蛋白結合率は1.2%~6.4%であった8)(in vitro)。

16.4 代謝

健康成人男性6例に、14C標識イメグリミン塩酸塩1000mgを単回経口投与したとき、イメグリミンはほとんど代謝を受けず、血漿中及び尿中の主放射能成分は未変化体であった9)(外国人データ)。 イメグリミンはCYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4/5に対して阻害作用を示さず(IC50>100μmol/L)10)、120μmol/Lまでの濃度ではCYP1A2、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19及びCYP3A4/5を誘導しなかった11)(in vitro)。

16.5 排泄

健康成人男性6例に、14C標識イメグリミン塩酸塩1000mgを単回経口投与したとき、投与144時間後までの尿中放射能及び未変化体の累積排泄率は投与放射能の43.2%及び42.0%、糞中放射能の累積排泄率は投与放射能の54.8%であった12)(外国人データ)。 イメグリミンはOCT1、OCT2、MATE1及びMATE2-Kの基質であったが、P-gp、BCRP、OAT1及びOAT3の基質ではなかった13),14)(in vitro)。イメグリミンは、P-gp、BCRP、OATP1B1、OATP1B3、OAT1、OAT3及びMATE2-Kに対する阻害作用は示さなかった(IC50>1000μmol/L)13),15)(in vitro)。一方、OCT1(Ki:154μmol/L)、OCT2(IC50:146μmol/L)及びMATE1(IC50:19.24μmol/L)に対し阻害作用を示したが15)(in vitro)、臨床上問題となる薬物相互作用がみられる可能性は低いと考えられた。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1*腎機能障害者

腎機能障害の程度の異なる被験者(eGFRの測定値に基づいて分類)における本剤単回経口投与時の薬物動態を、腎機能が正常な被験者(eGFR 90mL/min/1.73m2以上)に本剤1000mg単回経口投与時と比較検討した結果は以下のとおりであった16)。

腎機能(eGFR)
(mL/min/1.73m2)
投与量
(mg)
例数 Cmax AUC0-last
幾何平均値の比
[90%信頼区間]
幾何平均値の比
[90%信頼区間]
軽度(60≦eGFR<90) 1000 6 1.42[1.05, 1.91] 1.49[1.03, 2.17]
中等度(30≦eGFR<60) 1000 6 1.52[1.13, 2.05] 1.81[1.25, 2.63]
重度(15≦eGFR<30) 500 6 1.50[1.11, 2.02] 2.49[1.71, 3.61]

腎機能障害の程度の異なる被験者(CLcr(クレアチニンクリアランス)の測定値に基づいて分類)における本剤1回500mg1日2回反復経口投与時の薬物動態を、腎機能が正常な被験者(CLcr80mL/min超)に本剤1回500mg注4)1日2回反復経口投与時と比較検討した結果は以下のとおりであった17)(外国人データ)。

腎機能
(CLcr注1))
例数 Cmax AUCτ
幾何平均値の比
[90%信頼区間]
幾何平均値の比
[90%信頼区間]
軽度(50≦CLcr≦80) 4 1.28[1.03, 1.59] 1.50[1.16, 1.94]
中等度(30≦CLcr<50) 6 1.95[1.61, 2.35] 2.32[1.85, 2.92]
重度(CLcr<30) 5 2.86[2.08, 3.94] 3.56[2.51, 5.06]

腎機能が正常な被験者は、腎機能障害程度別の被験者背景を考慮された上で組み入れられ、軽度及び中等度の腎機能障害者では8例の腎機能が正常な被験者、重度腎機能障害者では、軽度及び中等度の腎機能障害者と比較した8例とは別の6例の腎機能が正常な被験者と比較された。

注1)クレアチニンクリアランス(mL/min)

本剤を投与した806例から得られた血漿中薬物濃度に基づくポピュレーションPK解析の結果、国内製造販売後臨床試験に組み入れられた腎機能障害を伴う2型糖尿病患者での薬物動態パラメータは以下のとおり推定された18)。

腎機能(eGFR)
(mL/min/1.73m2)
投与量及び投与方法 例数 AUC0-24,ss注2)
(μg·h/mL)
30≦eGFR<45 1回500mgを1日2回 33 35.7(26.0)
15≦eGFR<30 1回500mgを1日2回 20 48.8 (33.5)
10≦eGFR<15 1回500mgを1日1回 2注3) 22.3、32.7

幾何平均値(%幾何 CV) 、2例以下の場合は個別値

イメグリミン塩酸塩としての値

注2)国内第3相試験(単独療法)に組み入れられた2型糖尿病患者に本剤1000mgを1日2回投与したときのAUCの推定値は16.1.2項に記載。

注3)2例の推定AUC算出に利用した初回血漿中薬物濃度測定時のeGFRはそれぞれ11.5及び13.7mL/min/1.73m2であった。

透析患者(腹膜透析を含む)を対象とした臨床試験は実施していない。また、透析(血液透析、腹膜透析又は血液濾過)による本剤の除去に関するデータはない。

  1. 16.6.2肝機能障害者

中等度(Child-Pugh分類B)の肝機能障害者7例に本剤1000mgを単回経口投与したとき、イメグリミンのCmax及びAUC0-lastの最小二乗幾何平均比(肝機能障害者/健康成人)及び90%信頼区間は、それぞれ1.29[1.05, 1.60]及び1.47[1.19, 1.82]であった19)(外国人データ)。

  1. 16.6.3高齢者

2型糖尿病患者を対象とした国内後期第2相試験及び第3相試験で、本剤1回1000mgを1日2回反復経口投与した被験者の定常状態のAUC(AUC24,ss)をポピュレーションPK解析で推定したところ、65歳以上の高齢者のAUC24,ssは65歳未満と比較して1.28倍であった20)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1シタグリプチン

健康成人男性16例に本剤1回1500mg注4)を1日2回とシタグリプチン1回100mgを1日1回6日間併用投与したとき、シタグリプチンのAUCτ及びCmaxは単独投与時の1.13倍及び1.15倍であった21)(外国人データ)。

  1. 16.7.2メトホルミン

健康成人男性15例に本剤1回1500mg注4)とメトホルミン1回850mgを1日2回6日間併用投与したとき、メトホルミンのAUCτ及びCmaxは単独投与時の0.86倍及び0.90倍であった22)(外国人データ)。

  1. 16.7.3シメチジン

健康成人16例に本剤1500mg注4)の単回投与とシメチジン1回400mgを1日2回併用投与したとき、イメグリミンのAUC0-last及びCmaxは単独投与時の1.27倍及び1.34倍であった23)(外国人データ)。

  1. 16.7.4その他の薬剤

ポピュレーションPK解析を用いた検討では、他の糖尿病用薬※)との併用投与時のイメグリミンのAUCは本剤単独投与時のAUCと同程度と推察された(推定AUC比:0.80~1.18)24)。 ※) スルホニルウレア剤:グリクラジド、グリメピリド 速効型インスリン分泌促進薬:ミチグリニド、レパグリニド ビグアナイド系薬剤:メトホルミン α-グルコシダーゼ阻害剤:アカルボース、ボグリボース、ミグリトール チアゾリジン系薬剤:ピオグリタゾン DPP-4阻害剤:シタグリプチン、ビルダグリプチン、リナグリプチン、テネリグリプチン SGLT2阻害剤:イプラグリフロジン、ダパグリフロジン、トホグリフロジン、エンパグリフロジン GLP-1受容体作動薬:リラグルチド、デュラグルチド

注4)本剤の承認用法・用量は1回1000mgを1日2回投与である。