Clinical snapshot

ダントリウムカプセル25mg

ダントロレンナトリウム水和物

添付文書改訂 2023年11月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1閉塞性肺疾患あるいは心疾患により、著しい心肺機能低下のみられる患者[本剤の筋弛緩作用により、症状が悪化するおそれがある。]

  2. 2.2筋無力症状のある患者[本剤の筋弛緩作用により、症状が悪化するおそれがある。]

  3. 2.3肝疾患のある患者

  4. 2.4本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 下記疾患に伴う痙性麻痺

  • 脳血管障害後遺症、脳性麻痺、外傷後遺症(頭部外傷、脊髄損傷)、頸部脊椎症、後縦靭帯骨化症、脊髄小脳変性症、痙性脊髄麻痺、脊髄炎、脊髄症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、スモン(SMON)、潜水病

  • 全身こむら返り病

  • 悪性症候群

用法・用量

  • 〈痙性麻痺及び全身こむら返り病〉

通常、成人にはダントロレンナトリウム水和物として1日1回25mgより投与を始め、1週毎に25mgずつ増量し(1日2〜3回に分割投与)維持量を決定する。ただし、1日最高投与量は150mgとし3回に分割投与する。

  • 〈悪性症候群〉

ダントロレンナトリウム水和物注射剤の静脈内投与後、継続投与が必要で経口投与が可能な場合、通常、成人にはダントロレンナトリウム水和物として1回25mg又は50mgを1日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1投与は少量より開始し、投与開始後は肝機能検査(AST、ALT、アルカリフォスファターゼ、総ビリルビン等)を定期的に行うこと。

  2. 8.2眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

  3. 8.3悪性症候群患者において呼吸不全があらわれたとの報告があるので、臨床症状及び血液ガス等のデータを参考に呼吸管理を実施しながら本剤を投与すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1慢性下痢症状のみられる患者

症状が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.2イレウスのある患者

本剤の筋弛緩作用により、症状が悪化するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

排泄が遅延するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1肝疾患のある患者

投与しないこと。本剤による肝障害が疑われる症例が報告されている。

  1. 9.3.2肝障害もしくは肝機能異常が以前にみられた患者

本剤による肝障害が疑われる症例が報告されている。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

  2. 9.4.2男性には、本剤投与中及び最終投与後3カ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。また妊娠13日目及び19日目の雌ラットに14C-ダントロレンナトリウム水和物1mg/kgを経口投与した際、胎児へ移行することが報告されている1) 。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。分娩後14日目の雌ラットに14C-ダントロレンナトリウム水和物1mg/kgを経口投与した際、乳汁中に移行することが報告されている1) 。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

低用量(例えば1回25mg)から投与を開始し、増量にあたっては患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。本剤は、主として肝臓で代謝されるが、高齢者では、肝機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• エストロジェン 重篤な肝障害が多いとの報告がある。 機序不明
• 筋弛緩作用のある薬物• ジアゼパム等のベンゾジアゼピン系化合物、トルペリゾン塩酸塩、クロルメザノン等 作用が増強されることがある。 薬理学的(筋弛緩作用)な相加作用による。
• カルシウム拮抗剤• ベラパミル等 高カリウム血症に伴う心室細動、循環虚脱等があらわれることがある。 高カリウム血症を来すと考えられる。
• 向精神薬 呼吸中枢抑制作用を増強する可能性がある。 薬理学的(呼吸中枢抑制作用)な相加作用による。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT上昇) 1〜5%未満
しびれ感 1〜5%未満
そう痒感 1〜5%未満
てんかん発作 頻度不明
ふらふら感 1〜5%未満
めまい 1〜5%未満
下痢 1〜5%未満
不眠 1%未満
便秘 1〜5%未満
倦怠感 1〜5%未満
光線過敏症 1%未満
勃起困難 頻度不明
味覚異常 1%未満
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
嚥下困難 1〜5%未満
多幸感 1%未満
夜尿症 頻度不明
好酸球増多 頻度不明
尿失禁 1〜5%未満
心悸亢進 1%未満
悪寒 1%未満
悪心・嘔吐 1〜5%未満
抑うつ 頻度不明
排尿困難 1%未満
毛髪異常成長 頻度不明
流涎 1%未満
流涙 頻度不明
浮腫 1%未満
消化管出血 1%未満
熱感 1〜5%未満
疲労感 1%未満
痙攣 1〜5%未満
発汗 頻度不明
発熱 1%未満
発疹 1〜5%未満
眠気 1〜5%未満
神経過敏 頻度不明
窒息感 1%未満
精神錯乱 1%未満
結晶尿 頻度不明
肝機能異常(AST上昇 1〜5%未満
胃痛 1〜5%未満
背痛 頻度不明
胸水貯留 頻度不明
胸痛 頻度不明
脱力感 5%以上
腹痛 1〜5%未満
腹部痙攣 頻度不明
腹部膨満感 1〜5%未満
血圧変動 頻度不明
血小板減少 1〜5%未満
複視 1%未満
視力障害 1〜5%未満
言語障害 1〜5%未満
赤血球減少 1%未満
酩酊感 1%未満
静脈炎 1〜5%未満
頭がボーッとする 1〜5%未満
頭痛 1〜5%未満
頻尿 1〜5%未満
頻脈 頻度不明
食欲不振 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  • 〈痙性麻痺、全身こむら返り病〉

骨格筋の興奮-収縮連関に直接作用することが、種々の実験により証明されており、この興奮-収縮連関のどの部位に作用するかについては、筋小胞体からカルシウムイオンが遊離する機構を抑え、トロポニンに結合するカルシウムイオンを減少させることが示唆され、特にT-システムから筋小胞体に信号が伝達される場がダントロレンナトリウム水和物の主作用部位と推定されている5),6),7),8),9) 。

  • 〈悪性症候群〉

悪性症候群の原因として、骨格筋における筋小胞体からのカルシウムイオン遊離亢進並びに中枢神経系における細胞内カルシウムイオン濃度上昇に伴うドパミン-セロトニン神経活性の不均衡が推定されている。ダントロレンナトリウム水和物は骨格筋において筋小胞体からのカルシウムイオン遊離を抑制し、中枢神経系において細胞内カルシウムイオン濃度上昇を抑制し神経伝達物質の遊離亢進を抑制する結果、ドパミン-セロトニン神経活性の不均衡を改善するものと考えられる。

18.2 弛緩作用

  1. 18.2.1筋弛緩作用及び協調運動失調作用10),11)

マウスにおいて、morphineによる挙尾反応に対する抑制作用より筋弛緩作用を、また、回転棒滞留試験より協調運動失調作用を検討したところ、ダントロレンナトリウム水和物はクロルジアゼポキシド、ジアゼパム、ツボクラリン等に比し、より選択的に筋弛緩作用を発揮することが示された。

  1. 18.2.2骨格筋に対する作用12)

ウシガエル長指伸筋標本及びラット横隔膜神経標本の単収縮に対し強い抑制作用が認められた。

18.3 悪性症候群モデルにおける改善作用13),14),15)

ラット悪性症候群モデルにおいて、体温上昇、筋硬直及び血清クレアチンホスホキナーゼ活性の上昇を抑制した。

18.4 細胞内カルシウムイオン動態に対する作用16),17),18),19)

カエルの骨格筋において、急速冷却による拘縮を抑制した。一方、マウスの培養神経芽細胞及び脳シナプトゾームにおいて、それぞれC48/80及びベラトリンによる細胞内カルシウムイオン濃度の上昇を抑制した。また、視床下部切片において、ベラトリンによるセロトニンの遊離を抑制した。

薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人に本剤25mg 4例及び50mg 4例を単回経口投与した際の血漿中濃度は、4時間後に最高値(0.27μg/mL及び0.60μg/mL)を示し、半減期はそれぞれ6時間及び7時間であった。また、血漿中濃度曲線下の面積(AUC)は、3.26μg・h/mL及び7.08μg・h/mLであり、各時間における血漿中濃度及びAUCはともに投与量に比例していた2) 。

16.4 代謝

健康成人に本剤25mg 4例及び50mg 4例を単回経口投与したとき、主な代謝物は、5-ヒドロキシダントロレン(F-563)ならびにアセチルアミノダントロレン(F-490)であり、尿中排泄率は、25mg及び50mg投与時でそれぞれF-563が12.8%及び14.0%、F-490が2.6%及び2.8%であった2) 。

16.5 排泄

健康成人に本剤25mg 4例及び50mg 4例を単回経口投与したとき、投与後24時間までに尿中に排泄された未変化体は投与量のそれぞれ1.0%及び1.4%であった2) 。