Clinical snapshot

タービー皮下注40mg

トアルクエタマブ(遺伝子組換え)

添付文書改訂 2025年08月01日

【警告】

  1. 1.1本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。

  2. 1.2重度のサイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、特に治療初期は入院管理等の適切な体制下で本剤の投与を行うこと。また、サイトカイン放出症候群に対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うとともに、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供するサイトカイン放出症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。

  3. 1.3重度の神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、製造販売業者が提供する免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群管理ガイダンス等に従い、適切な処置を行うこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)

用法・用量

通常、成人にはトアルクエタマブ(遺伝子組換え)として、以下のA法又はB法で投与する。 A法:漸増期は、1日目に0.01mg/kg、その後は2~4日の間隔で0.06mg/kg、0.4mg/kgの順に皮下投与する。その後の継続投与期は、0.4mg/kgを1週間間隔で皮下投与する。 B法:漸増期は、1日目に0.01mg/kg、その後は2~4日の間隔で0.06mg/kg、0.4mg/kg、0.8mg/kgの順に皮下投与する。その後の継続投与期は、0.8mg/kgを2週間間隔で皮下投与する。

使用上の注意

  1. 8.1サイトカイン放出症候群があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、以下の事項に注意すること。

  2. 8.1.1サイトカイン放出症候群は投与初期に多く認められることから、少なくとも漸増期(初回の治療用量を含む)の各投与後48時間は必ず入院管理とし、漸増期の各投与48時間経過後、及び継続投与期(2回目の治療用量以降の投与時)についても患者の状態に応じて入院管理を検討すること。

  3. 8.1.2サイトカイン放出症候群に対する前投与薬の投与等の予防的措置を行うこと。

  4. 8.1.3本剤の投与中は、発熱、悪寒、低血圧、頻脈、低酸素症、頭痛、肝酵素上昇(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ及びアラニンアミノトランスフェラーゼ増加)等について、観察を十分に行うこと。

  5. 8.1.4サイトカイン放出症候群が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。

  6. 8.1.5緊急時に備えてトシリズマブ(遺伝子組換え)を速やかに使用できるように準備しておくこと。

  7. 8.2神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)があらわれることがあるので、本剤の投与にあたっては、以下の事項に注意すること。

  8. 8.2.1本剤の投与中は、失語症、意識レベルの変化、認知能力の障害、筋力低下、痙攣発作、脳浮腫等について、観察を十分に行うこと。

  9. 8.2.2免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。

  10. 8.2.3免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群があらわれた場合、次回の本剤投与後48時間は入院管理を検討すること。

  11. 8.3神経学的事象(免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群含む)として錯乱状態、意識レベルの低下、痙攣発作等があらわれるおそれがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。特に、漸増期(初回の治療用量を含む)の各投与後48時間まで及び神経学的症状があらわれている間は、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。

  12. 8.4運動失調があらわれることがあるので、小脳症状(測定障害、歩行障害及び構語障害等)を含む神経学的な徴候又は症状の発現、若しくは既存の神経学的な徴候又は症状の変化について、観察を十分に行うこと。

  13. 8.5感染症(日和見感染症を含む)が発現又は悪化することがあるので、本剤投与前に適切な予防措置を考慮すること。本剤投与中は感染症の発現又は悪化に十分に注意すること。

  14. 8.6血球減少があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後3カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施されていない。ヒトIgG抗体に胎盤通過性があることが知られており、本剤の作用機序から、本剤の妊娠中の曝露により、サイトカイン放出に関連する二次的な炎症作用等、胎児に有害な影響を及ぼす可能性がある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁中への移行に関するデータはないが、ヒトIgGは母乳中に移行することが知られている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
治療域の狭いCYP基質
ワルファリン、シクロスポリン、タクロリムス等
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、本剤の投与開始から初回の治療用量投与の14日後まで、並びにサイトカイン放出症候群発現時及び発現後一定期間は、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 本剤の投与によりサイトカインが放出され、CYPが抑制されることにより、これらの薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
生ワクチン又は弱毒生ワクチン 接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置
を行う。
本剤のBリンパ球傷害作用により発病するおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加 頻度不明
そう痒症 頻度不明
トランスアミナーゼ上昇 頻度不明
下痢 頻度不明
乾燥症 頻度不明
低γグロブリン血症 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低マグネシウム血症 頻度不明
低リン血症 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎 頻度不明
口腔内痛 頻度不明
味覚不全(71.1%) 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
嘔吐 頻度不明
嚥下障害 頻度不明
悪心 頻度不明
注射部位反応 頻度不明
浮腫 頻度不明
爪の障害(55.5%) 頻度不明
疲労 頻度不明
疼痛 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
皮膚障害(41.5%) 頻度不明
筋骨格痛 頻度不明
腹痛 頻度不明
食欲減退 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

トアルクエタマブは、Gタンパク質共役型受容体ファミリーCグループ5メンバーD(GPRC5D)及びCD3に対するヒト化免疫グロブリン(Ig)G4二重特異性モノクローナル抗体である。トアルクエタマブは、T細胞の細胞膜上に発現するCD3と多発性骨髄腫(MM)細胞の細胞膜上に発現するGPRC5Dの両者に結合することによりT細胞を活性化し、GPRC5Dを発現する腫瘍細胞を傷害すると考えられる。7)

18.2 抗腫瘍効果

トアルクエタマブは、ヒトT細胞の存在下において、GPRC5Dを発現するヒトMM由来細胞株(H929、MM.1R及びOPM-2)に対して細胞傷害作用を示した(in vitro)。7) トアルクエタマブは、GPRC5Dを発現するヒトMM由来細胞株(H929又はMM.1S)を皮下移植し、ヒト末梢血単核球を静脈内移植したインターロイキン2受容体γ鎖が完全欠損した非肥満型糖尿病/重症複合型免疫不全マウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した(in vivo)。8)

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1反復投与

  2. (1)0.4mg/kg 1週間に1回投与

日本人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に本剤を漸増用量である0.01及び0.06mg/kgを皮下投与後、治療用量である0.4mg/kgを1週間に1回皮下投与した際の、1回目の治療用量投与後及び7回目の治療用量投与後の血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。3)

漸増用量である0.01及び0.06mg/kgを皮下投与後、治療用量である0.4mg/kgを皮下投与した際の血清中濃度推移(平均値±標準偏差)7回目の治療用量投与後の血清中濃度推移(平均値±標準偏差)

薬物動態パラメータ 1回目の治療用量投与後 7回目の治療用量投与後
Tmax(days) 3.45(1.96-7.95)
(n=4)
1.95(1.81-4.94)
(n=3)
Cmax(ng/mL) 1,632±701
(n=4)
2,517±949
(n=3)
Ctrough(ng/mL) 247±164
(n=4)
1,457±510
(n=3)
AUCtau(ng・h/mL) 211,281±113,188
(n=4)
366,491±46,363
(n=3)

平均値±標準偏差、Tmaxは中央値(範囲)

  1. (2)0.8mg/kg 2週間に1回投与

日本人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に本剤を漸増用量である0.01、0.06及び0.3mg/kg注)を皮下投与後、治療用量である0.8mg/kgを2週間に1回皮下投与した際の、1回目の治療用量投与後及び5回目の治療用量投与後の血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。3) 注)本剤の承認された用法及び用量は、下記のとおりである。 B法:漸増期は、1日目に0.01mg/kg、その後は2~4日の間隔で0.06mg/kg、0.4mg/kg、0.8mg/kgの順に皮下投与する。その後の継続投与期は、0.8mg/kgを2週間間隔で皮下投与する。

漸増用量である0.01、0.06及び0.3mg/kgを皮下投与後、治療用量である0.8mg/kgを皮下投与した際の血清中濃度推移(平均値±標準偏差)5回目の治療用量投与後の血清中濃度推移(平均値±標準偏差)

薬物動態パラメータ 1回目の治療用量投与後 5回目の治療用量投与後
Tmax(days) 3.45(1.88-6.05)
(n=6)
2.93(0.92-7.78)
(n=6)
Cmax(ng/mL) 1,220±574
(n=6)
2,534±1,398
(n=6)
Ctrough(ng/mL) 367±129
(n=6)
1,426±899
(n=6)
AUCtau(ng・h/mL) 307,331±158,652
(n=6)
731,347±400,993
(n=6)

平均値±標準偏差、Tmaxは中央値(範囲)

16.2 吸収

母集団薬物動態解析により、トアルクエタマブを皮下投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは62%と推定された。4)(外国人データ)

16.3 分布

母集団薬物動態解析により、トアルクエタマブの中央コンパートメント及び末梢コンパートメントの分布容積の平均値(変動係数%)はそれぞれ4.3L(22%)及び5.8L(83%)と推定された。4)(外国人データ)

16.5 排泄

母集団薬物動態解析により、皮下投与後の定常状態における消失相の半減期(中央値)は12.2日と推定された。4)(外国人データ)

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1ミダゾラム、シンバスタチン、S-ワルファリン、オメプラゾール

生理学的薬物動態モデルによるシミュレーションにおいて、本剤の併用により、ミダゾラム及びシンバスタチン(CYP3A基質)、S-ワルファリン(CYP2C9基質)並びにオメプラゾール(CYP2C19基質)の血中濃度が上昇する可能性が示唆された。5)