Clinical snapshot

ターゼナカプセル0.1mg

タラゾパリブトシル酸塩

添付文書改訂 2026年03月01日

【警告】

本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 〈ターゼナカプセル0.1mg〉

  • *遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌

  • 〈ターゼナカプセル0.25mg〉

  • *遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌

  • がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌

  • 〈ターゼナカプセル1mg〉

  • がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌

用法・用量

効能又は効果 用法及び用量
*ターゼナカプセル0.1mg
ターゼナカプセル0.25mg
遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺癌 エンザルタミドとの併用において、通常、成人にはタラゾパリブとして1日1回0.5mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
ターゼナカプセル0.25mg
ターゼナカプセル1mg
がん化学療法歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌 通常、成人にはタラゾパリブとして1日1回1mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重度の腎機能障害(eGFRが30mL/min/1.73m2未満)のある患者

可能な限り投与を避けること。やむを得ず投与する場合には、患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。

  1. 9.2.2中等度の腎機能障害(eGFRが30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)のある患者

本剤の開始用量を減量すること。本剤の血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。

9.4 生殖能を有する者

  1. 9.4.1妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後7ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。

  2. 9.4.2男性には、本剤投与中及び最終投与後4ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。ラットを用いた動物実験において、臨床曝露量(AUC)を下回る用量で胚・胎児死亡、催奇形性(眼部隆起の扁平化、小眼球、胸骨分節の分離及び頸椎椎弓の癒合)及び骨格変異が認められている1)。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。本剤の乳汁中への移行は不明であるが、本剤が乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある2)。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

  • 本剤はP-糖タンパク(P-gp)の基質である。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
P-gp阻害薬
• イトラコナゾール
クラリスロマイシン
ラパチニブ等
本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること。やむを得ず併用する場合には、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。 これらの薬剤のP-gp阻害作用により、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP増加 頻度不明
ALT増加 頻度不明
LDH増加 1%未満
γ-GTP増加 頻度不明
イレウス 1%未満
インフルエンザ様疾患 1%未満
ウイルス感染 1%未満
うつ病 1%未満
そう痒症 1%未満
ビタミンB12欠乏 頻度不明
ビタミンB12欠乏性貧血 1%未満
ビタミンB12減少 頻度不明
ヘモグロビン増加 1%未満
ほてり 頻度不明
上咽頭炎 1%未満
上気道 頻度不明
上腕骨骨折 頻度不明
下気道 頻度不明
下痢 頻度不明
下肢静止不能症候群 頻度不明
不安 1%未満
不整脈(頻脈 1%未満
不眠症 頻度不明
乳房痛(乳房圧痛) 1%未満
仙骨骨折 頻度不明
低アルブミン血症 1%未満
低カリウム血症 1%未満
低カルシウム血症 1%未満
低ナトリウム血症 頻度不明
低マグネシウム血症 頻度不明
低リン血症 1%未満
低血圧 1%未満
体重増加 1%未満
体重減少 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
健忘 1%未満
傾眠 頻度不明
全身健康状態悪化 1%未満
出血(眼出血 頻度不明
副鼻腔炎 1%未満
労作性呼吸困難 1%未満
動悸 1%未満
口内乾燥 頻度不明
口内炎 頻度不明
口唇浮腫 頻度不明
口唇炎 1%未満
口腔 頻度不明
口腔咽頭痛 1%未満
味覚不全 頻度不明
味覚減退) 頻度不明
味覚障害(味覚消失 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
嗅覚錯誤 1%未満
嗜眠 1%未満
嘔吐 頻度不明
嚥下障害 1%未満
四肢痛 頻度不明
回転性めまい 頻度不明
外陰腟乾燥 1%未満
多汗症 1%未満
多発ニューロパチー 1%未満
失神 1%未満
失神寸前の状態 1%未満
女性化乳房 1%未満
寝汗 1%未満
尿路 頻度不明
平衡障害 1%未満
弾発指 1%未満
心不全 1%未満
心房細動 1%未満
心筋梗塞 1%未満
心電図QT延長) 1%未満
悪寒 1%未満
悪心(24.2%) 頻度不明
感染症(眼 頻度不明
感覚鈍麻 1%未満
抑うつ気分 1%未満
振戦 1%未満
排尿困難 1%未満
敗血症 1%未満
敗血症性ショック 1%未満
易刺激性 1%未満
末梢性ニューロパチー 頻度不明
末梢性浮腫 頻度不明
末梢腫脹)) 頻度不明
歩行障害 1%未満
歯周病(歯周炎) 1%未満
歯牙破折 1%未満
歯肉出血 頻度不明
注意力障害 頻度不明
洞性徐脈 1%未満
洞性頻脈 1%未満
流涙増加 1%未満
浮動性めまい 頻度不明
浮腫(全身性浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
潮紅 1%未満
点状出血 頻度不明
爪の障害(爪色素沈着 頻度不明
爪変色 頻度不明
爪床障害) 頻度不明
爪破損 頻度不明
狭心症 1%未満
疲労・無力症(44.4%) 頻度不明
病的骨折等) 頻度不明
痔核 1%未満
発声障害 1%未満
発熱 1%未満
発疹 頻度不明
白血球増加 1%未満
皮疹 1%未満
皮膚 頻度不明
皮膚乾燥 頻度不明
皮膚亀裂 1%未満
皮膚反応) 1%未満
皮膚変色 1%未満
皮膚感作 1%未満
皮膚疼痛 1%未満
皮膚萎縮 1%未満
皮膚障害(皮膚色素過剰 1%未満
直腸出血 頻度不明
真菌感染(カンジダ症) 1%未満
眼そう痒症 1%未満
眼球乾燥症 頻度不明
眼痛 1%未満
眼窩浮腫 頻度不明
睡眠障害 1%未満
睫毛眉毛脱落症 1%未満
筋力低下 頻度不明
筋痙縮 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
筋骨格硬直 1%未満
筋骨格系胸痛 1%未満
粘膜の炎症 頻度不明
糸球体濾過率減少 頻度不明
結膜炎 1%未満
網状赤血球増加 1%未満
網膜出血 頻度不明
耳鳴 1%未満
肛門出血) 頻度不明
肝機能障害(AST増加 頻度不明
肺炎 1%未満
胃炎 頻度不明
胃食道逆流性疾患 頻度不明
背部痛 頻度不明
胸痛 1%未満
胸部不快感 1%未満
脊椎圧迫骨折 頻度不明
脊椎痛 1%未満
脱毛症 頻度不明
脱水 1%未満
腎不全 1%未満
腎機能障害(急性腎障害 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部膨満 1%未満
膣) 頻度不明
菌血症 1%未満
落ち着きのなさ 1%未満
葉酸欠乏 1%未満
血中エリスロポエチン増加 頻度不明
血中クレアチニン増加) 頻度不明
血中ビリルビン増加等) 頻度不明
血中葉酸増加 1%未満
血便 1%未満
血尿 1%未満
表在性浮腫(顔面浮腫 頻度不明
視力障害(霧視) 1%未満
記憶障害 頻度不明
認知障害 1%未満
転倒 頻度不明
錯感覚 頻度不明
関節痛 頻度不明
非心臓性胸痛 1%未満
頚椎骨折 頻度不明
頚部痛 1%未満
頭痛 頻度不明
頭部不快感 1%未満
顔面腫脹 頻度不明
食欲減退 頻度不明
骨折(肋骨骨折 頻度不明
骨減少症 1%未満
骨痛 1%未満
骨粗鬆症 1%未満
高カリウム血症 1%未満
高カルシウム血症 1%未満
高コレステロール血症 1%未満
高トリグリセリド血症 1%未満
高脂血症 1%未満
高血圧 頻度不明
高血圧クリーゼ 1%未満
高血糖 頻度不明
鼓腸 1%未満
鼻乾燥 1%未満
鼻出血 頻度不明
鼻閉 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  1. 18.1.1PARP阻害活性

タラゾパリブは、ヒトPARP-1及びPARP-2に対して阻害作用を示した(各IC50値:0.7及び0.3nmol/L)19)。

18.2 *腫瘍増殖抑制作用

タラゾパリブは、BRCA遺伝子変異陽性のヒト乳癌由来細胞株(MX-1及びMDA-MB-468)及びHRR関連遺伝子変異陽性のヒト前立腺癌由来細胞株(LNCaP、PC-3、C4-2及び22RV1)に対して増殖抑制作用を示した(in vitro)20)。また、タラゾパリブは、BRCA遺伝子変異陽性の乳癌患者由来腫瘍組織片(T168及びHBCx-10)及びBRCA遺伝子変異陽性のヒト前立腺癌由来細胞株(LNCaP)を皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した(in vivo)21)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

日本人進行固形癌患者6例に本剤1mgを単回経口投与したときのタラゾパリブの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった5)。

単回投与時の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)

投与量
(mg)
例数 Cmax
(ng/mL)
AUCinf
(ng・h/mL)
Tmax
(h)
t1/2
(h)
1 6 13.78
(26)
199.7
(9)
0.967
(0.467, 1.98)
50.7±10.1

Cmax及びAUCinfは幾何平均値(幾何変動係数%)、Tmaxは中央値(最小値, 最大値)、t1/2は算術平均値±標準偏差 AUCinf及びt1/2は4例

  1. 16.1.2反復投与

日本人進行固形癌患者6例に本剤1mgを1日1回反復経口投与したときの投与22日目におけるタラゾパリブの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。投与22日目におけるタラゾパリブの累積係数は2.9であった5)。

反復投与時の血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)

投与量
(mg)
例数 Cmax
(ng/mL)
AUCtau
(ng・h/mL)
Tmax
(h)
1 6 32.84
(14)
244.7
(21)
1.03
(0.733, 1.92)

Tmaxは中央値(最小値, 最大値)、それ以外は幾何平均値(幾何変動係数%)

去勢抵抗性前立腺癌患者5例にエンザルタミド160mgとの併用で、本剤0.5mgを1日1回反復経口投与したときの投与9週間目におけるタラゾパリブの薬物動態パラメータは次のとおりであった(外国人データ)6)。

投与量
(mg)
例数 Cmax
(ng/mL)
AUCtau
(ng・h/mL)
Tmax
(h)
0.5 5 8.74
(25)
133.9
(22)
1.95
(1.0, 4.0)

Tmaxは中央値(最小値, 最大値)、それ以外は幾何平均値(幾何変動係数%)

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人男性18例に本剤0.5mgを単回経口投与したとき、空腹時投与に対する高脂肪食後投与におけるタラゾパリブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ0.539及び0.976であった(外国人データ)7)。

16.3 分布

ヒト血漿中のタラゾパリブの平均タンパク結合率は、0.01~1µMの濃度範囲で約74%(ヒト血漿中の平均非結合型分率は0.260)であり、濃度依存性は認められなかった8)。

16.4 代謝

進行固形癌患者6例に14C-タラゾパリブ1mgを単回経口投与したとき、血漿中では未変化体のみが検出された(外国人データ)9)。

16.5 排泄

進行固形癌患者6例に14C-タラゾパリブ1mgを単回経口投与したとき、投与504時間後までに排出された総放射能は、尿中及び糞便中でそれぞれ68.7%及び19.7%であった。また、未変化体は尿中に54.6%、糞便中に13.6%が排出された(外国人データ)10)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害を有する患者

本剤0.5mgを単回経口投与したとき、肝機能正常患者(7例)に対する①軽度(8例)、②中等度(5例)及び③重度(13例)の肝機能障害患者注)での非結合形タラゾパリブのCmax及びAUC24の幾何平均値の比は、それぞれ①0.946及び1.18、②0.922及び1.08、並びに③0.844及び1.18であった(外国人データ)11)。 注)NCI-ODWG(National Cancer Institute - Organ Dysfunction Working Group)基準による分類

  1. 16.6.2腎機能障害を有する患者

本剤0.5mgを22日間反復経口投与したとき、腎機能正常患者(eGFR≧90mL/min/1.73m2、6例)に対する、①軽度(eGFR:60~89mL/min/1.73m2、7例)、②中等度(eGFR:30~59mL/min/1.73m2、8例)及び③重度(eGFR:15~29mL/min/1.73m2、7例)の腎機能障害患者での非結合形タラゾパリブのCmax及びAUC24の幾何平均値の比は、それぞれ①1.17及び1.19、②1.28及び1.39、並びに③2.06及び2.87であった(外国人データ)12)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1イトラコナゾール

進行固形癌患者19例にイトラコナゾール(P-gp阻害薬)100mgを1日2回反復経口投与し、本剤0.5mgを単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するイトラコナゾール併用投与時のタラゾパリブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ1.40及び1.56であった(外国人データ)13)。

  1. 16.7.2その他

  2. (1)リファンピシン

進行固形癌患者17例にリファンピシン600mgを1日1回反復経口投与し、本剤1mgを単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するリファンピシン併用投与時のタラゾパリブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ1.37及び1.02であった(外国人データ)14)。

  1. (2)本剤はBCRPの基質となる(in vitro)15)。