Clinical snapshot

タブネオスカプセル10mg

アバコパンカプセル

添付文書改訂 2026年05月01日

【警告】

**胆管消失症候群を含む重篤な肝機能障害があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されているので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。本剤投与中に重篤な肝機能障害がみられた場合には、本剤の投与を中止する等の適切な処置を行うこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症

用法・用量

通常、成人にはアバコパンとして1回30 mgを1日2回朝夕食後に経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の投与は、適応疾患の治療に精通している医師のもとで行うこと。

  2. **8.2肝機能障害があらわれることがあるので、以下の点について十分注意すること。多くの場合、本剤の投与開始後3ヵ月以内に発現している。

  3. **8.2.1本剤の投与開始前、投与開始後3ヵ月間は少なくとも2週間に1回、その後の3ヵ月間は少なくとも4週間に1回、その後も投与期間中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  4. **8.2.2本剤投与中に基準値上限の3倍を超えるALT又はASTの上昇が認められた場合には、本剤の投与を中断し、速やかに患者の状態を評価すること。また、以下に該当する場合は本剤の投与を中止すること。

  • **ALT又はASTが基準値上限の8倍を超える場合

  • **ALT又はASTが基準値上限の5倍を超える状態が2週間を超えて持続した場合

  • **総ビリルビンが基準値上限の2倍を超える場合

  • **ALPが基準値上限の2倍以上の場合

  • **黄疸やそう痒等の肝機能障害の徴候又は症状が認められる場合

**なお、胆管消失症候群が疑われる場合には、速やかに本剤の投与を中止すること。

  1. 8.3本剤の投与中はニューモシスティス肺炎に対する適切な予防措置を考慮すること。

9.3 肝機能障害患者

  1. **9.3.1重度の肝機能障害(Child-Pugh分類:C)のある患者肝機能が悪化するおそれがあるので、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。本剤は主に肝臓で代謝される。重度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類:C)を対象とした臨床試験は実施していない。

9.5 妊婦

投与しないことが望ましい。ハムスターを用いた生殖発生毒性試験において、骨格変異の増加が認められている。ウサギを用いた生殖発生毒性試験において、流産の増加が認められている1)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ハムスターを用いた生殖発生毒性試験において、本剤を母動物に強制経口投与すると出生児の血漿中にアバコパンが検出されている1)。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

  • 本剤は主としてCYP3A4により代謝される。また、CYP3A4に対して中程度の阻害作用を有する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 強い又は中程度のCYP3A4誘導剤• カルバマゼピン
• フェニトイン
• リファンピシン
• 等
• セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)
アバコパンの血漿中濃度が低下し、本剤の効果が減弱する可能性があるため、これらの薬剤との併用は避け、CYP3A4誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。 これらの薬剤等のCYP3A4誘導作用による。
• 強いCYP3A4阻害剤• イトラコナゾール
• クラリスロマイシン
• リトナビル
• 等
• グレープフルーツジュース
アバコパンの血漿中濃度が増加する可能性がある。
併用時には患者の状態を十分観察すること。
これらの薬剤及びグレープフルーツジュースの強いCYP3A4阻害作用による。
• シクロスポリン
• シロリムス
• タクロリムス
• 等
治療域が狭くCYP3A4で代謝される薬剤を併用する場合は、必要に応じて適切に血漿中濃度をモニタリングすること。 アバコパンはCYP3A4に対して中程度の阻害作用を有する。
• シンバスタチン シンバスタチンの血漿中濃度が増加する可能性がある。 アバコパンはCYP3A4に対して中程度の阻害作用を有する。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
上気道感染 頻度不明
上腹部痛 頻度不明
下痢 頻度不明
嘔吐 頻度不明
好中球減少症 頻度不明
悪心 頻度不明
白血球数減少 頻度不明
血中クレアチンホスホキナーゼ増加 頻度不明
血管浮腫 1%未満
頭痛 頻度不明
鼻咽頭炎 頻度不明
鼻炎 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は選択的C5a受容体(C5aR)拮抗作用によってC5a-C5aRシグナルを介した好中球のプライミングを抑制する。それにより、好中球によって誘発されるANCAを介した血管炎の増幅を緩和させ、ANCA関連血管炎の病態を改善する13)。

18.2 C5aRに対する拮抗作用

ヒト単球系細胞株U937、ヒト好中球及びヒトC5aRノックイン(hC5aR KI)マウス白血球に対してC5a刺激による走化性を抑制し、C5aRに対して拮抗作用を示した14),15)。未変化体と主要代謝物であるM1のC5aRに対する拮抗作用は同程度であった16)。(in vitro試験)

18.3 ANCA誘発糸球体腎炎モデルに対する作用

hC5aR KIマウスを用いて作製したANCA誘発糸球体腎炎モデルにおいて、糸球体の半月体形成及び壊死の発現率、並びに腎機能障害の指標である尿蛋白、尿白血球及び尿潜血を減少させた17)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

日本人健康成人男性に本剤10~100mg注1)を空腹時に単回経口投与したときのアバコパン及び主要代謝物であるM1の血漿中薬物動態パラメータは以下の通りであった2)。

用量 Tmaxa)
(hr)
Cmax
(ng/mL)
AUC0-∞
(ng・hr/mL)
t1/2
(hr)
アバコパン 10mg 1.50
(1.00-3.00)
37.5
(19.6)
117.3
(33.7)
3.89
(34.3)
30mg 1.50
(1.00-2.00)
122.5
(36.4)
607.3
(44.7)
39.36
(63.8)
100mg 2.00
(1.50-3.00)
515.4
(17.4)
4036.1
(27.0)
80.52
(15.3)
M1 10mg 1.75
(1.50-3.00)
17.6
(23.9)
146.1
(29.9)
15.40
(29.7)
30mg 2.25
(2.00-2.50)
54.6
(26.7)
594.8
(40.1)
30.07
(28.0)
100mg 2.50
(2.00-4.00)
169.0
(9.0)
2568.5
(20.4)
40.08
(23.5)

8例の幾何平均値(幾何CV%)を示す。

a) 中央値(最小値-最大値)

注1)本剤の承認されている用法及び用量は「通常、成人にはアバコパンとして1回30mgを1日2回朝夕食後に経口投与する。」である。

  1. 16.1.2反復投与

日本人健康成人男性に本剤30mgを食後に1日2回7日間反復経口投与したとき、アバコパンの血漿中薬物濃度は投与5日目に定常状態に達した。投与1日目及び投与7日目におけるアバコパン及びM1の薬物動態パラメータ及び7日間反復投与におけるアバコパン及びM1の血漿中濃度推移は以下の通りであった2)。

Tmaxa)
(hr)
Cmax
(ng/mL)
AUCτ
(ng・hr/mL)
t1/2
(hr)
アバコパン 投与
1日目
2.50
(2.00-4.00)
136.3
(19.4)
624.4
(30.8)
5.93
(32.7)
投与
7日目
2.75
(2.00-4.00)
246.6
(23.3)
1479.3
(36.0)
146.9
(22.3)
M1 投与
1日目
2.50
(2.00-4.00)
36.6
(14.7)
246.4
(15.8)
13.51
(28.5)
投与
7日目
4.00
(2.50-4.00)
79.9
(19.1)
700.1
(25.0)
63.63
(7.9)

8例の幾何平均値(幾何CV%)を示す。

a) 中央値(最小値-最大値)

16.2 吸収

日本人健康成人男性8例における食事(低脂肪食)の影響を検討した結果、Tmax(空腹時:1.50時間、食後:2.50時間)及びt1/2(空腹時:44.3時間、食後:109時間)に影響を及ぼし、食後投与時のCmax及びAUC0-∞は、空腹時投与に比較してそれぞれ約1.08及び2.11倍であった2)。白人健康成人男性16例における食事(高脂肪食)の影響を検討した結果、Tmax(空腹時:2.01時間、食後:6.00時間)及びt1/2(空腹時:73.5時間、食後:97.6時間)に影響を及ぼし、食後投与時のCmax及びAUC0-∞は、空腹時投与に比較してそれぞれ約1.08及び1.72倍であった(外国人データ)3)。

16.3 分布

ヒト血漿、ヒト血清アルブミン及びヒトα1-酸性糖タンパクに対するアバコパンの結合率はいずれも99.9%超であり、活性代謝物であるM1の結合率は、α1-酸性糖タンパクでは約99%、ヒト血漿及びヒト血清アルブミンでは99.9%超であった(in vitro試験)4)。

日本人健康成人に本剤30mgを食後に単回経口投与したときの見かけの分布容積(Vz/F)は3351.3Lであった2)。

16.4 代謝

アバコパンは主にCYP3A4、その他2D6、2C19、2C8、2B6等を介して肝臓で酸化的に代謝された(in vitro試験)5)。

健康成人に[14C]アバコパン100mgを経口投与したとき、血漿中にはアバコパン及びM1(メチル基の水酸化体)を含む複数の第一相代謝物が検出された。血漿中総放射能に対して血漿中のアバコパン及びM1の占める割合は、それぞれ約18%及び約12%であった(外国人データ)6)。主要代謝物であるM1は、アバコパンと同程度の薬理活性を有した。

16.5 排泄

健康成人に[14C]アバコパン100mgを経口投与したとき放射能の尿中総排泄率は投与量の約10%、糞中総排泄率は投与量の約77%であった。また、アバコパン(未変化体)の尿及び糞中総排泄率は、それぞれ0.1%未満及び7%であった(外国人データ)6)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

アバコパンを投与された368例(日本人51例を含む)を対象とした母集団薬物動態解析の結果より、軽度から重度の腎障害を有する患者におけるアバコパンのAUCτ,ssは、正常な腎機能の患者とおおむね同様であった7)。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

軽度から中等度の肝機能障害患者15例(Child-Pugh分類:A及びB)に本剤30mgを単回経口投与したとき、アバコパン及びM1のCmax及びAUC0-∞は肝機能正常者と比較していずれも1.3倍以内の増加であった(外国人データ)8)。

正常
(n=8)
軽度
(n=7)
中等度
(n=8)
アバコパン AUC0-∞ (ng・hr/mL) 1220 (37.0)※1 1370 (30.4) ※2 1360 (0.4) ※3
AUC0-t (ng・hr/mL) 940 (35.5) 1030 (22.7) 955 (35.0)
Cmax (ng/mL) 123 (21.8) 107 (21.5) 102 (33.0)
M1 AUC0-∞ (ng・hr/mL) 799 (36.0) 885 (26.6) 943 (36.5)
AUC0-t (ng・hr/mL) 665 (32.7) 766 (25.4) 776 (34.7)
Cmax (ng/mL) 48.2 (27.1) 46.0 (25.4) 40.4 (31.5)

幾何平均値(幾何CV%)※1:n=6 ※2:n=4 ※3:n=2

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1リファンピシン

健康成人16例に本剤単回30mgと強いCYP3A4誘導剤であるリファンピシン1日1回600mgを併用投与したとき、アバコパン及びM1のAUC0-∞及びCmaxは本剤を単独投与したときと比べて、アバコパンでそれぞれ93%及び79%低下し、M1でそれぞれ93%及び73%低下した(外国人データ)9)。

  1. 16.7.2イトラコナゾール

健康成人16例に本剤単回30mgと強いCYP3A4阻害剤であるイトラコナゾール1日1回200mgを併用投与したとき、アバコパン及びM1のAUCτ及びCmaxは本剤を単独投与したときと比べて、アバコパンでそれぞれ2.19倍及び1.87倍、M1でそれぞれ1.19倍及び1.03倍であった(外国人データ)9)。

  1. 16.7.3ミダゾラム

健康成人16例に本剤1回30mgを1日2回とCYP3A4基質であるミダゾラム単回2mgを併用投与したとき、ミダゾラムのAUC0-∞及びCmaxはミダゾラムを単独投与したときと比べて、それぞれ1.81倍及び1.55倍であった(外国人データ)9)。

  1. 16.7.4セレコキシブ

健康成人16例に本剤1回30mgを1日2回とCYP2C9基質であるセレコキシブ単回200mgを併用投与したとき、セレコキシブのAUC0-∞及びCmaxはセレコキシブを単独投与したときと比べて、それぞれ1.15倍及び1.64倍であった(外国人データ)9)。

  1. 16.7.5シンバスタチン

健康成人16例に本剤1回30mgを1日2回とCYP3A4基質であるシンバスタチン単回40mgを併用投与したとき、シンバスタチンのAUC0-∞及びCmaxはシンバスタチンを単独投与したときと比べて、それぞれ2.57倍及び2.39倍であった(外国人データ)10)。