Clinical snapshot

タゾピペ配合点滴静注用バッグ4.5「DSEP」

注射用タゾバクタム・ピペラシリン

添付文書改訂 2023年12月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分又はペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2伝染性単核球症の患者[ペニシリン系抗生物質の投与で発疹が出現しやすいという報告がある]

効能・効果

  • 一般感染症

  • 〈適応菌種〉

本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、ペプトストレプトコッカス属、クロストリジウム属(クロストリジウム・ディフィシルを除く)、バクテロイデス属、プレボテラ属

  • 〈適応症〉

敗血症、深在性皮膚感染症、びらん・潰瘍の二次感染、肺炎、腎盂腎炎、複雑性膀胱炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、胆管炎

  • 発熱性好中球減少症

用法・用量

  • 〈一般感染症〉

  • 敗血症、肺炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎及び胆管炎の場合

通常、成人にはタゾバクタム・ピペラシリンとして、1回4.5g(力価)を1日3回点滴静注する。肺炎の場合、症状、病態に応じて1日4回に増量できる。 通常、小児には1回112.5mg(力価)/kgを1日3回点滴静注する。なお、症状、病態に応じて1回投与量を適宜減量できる。ただし、1回投与量の上限は成人における1回4.5g(力価)を超えないものとする。

  • 深在性皮膚感染症、びらん・潰瘍の二次感染の場合

通常、成人にはタゾバクタム・ピペラシリンとして、1回4.5g(力価)を1日3回点滴静注する。

  • 腎盂腎炎及び複雑性膀胱炎の場合

通常、成人にはタゾバクタム・ピペラシリンとして、1回4.5g(力価)を1日2回点滴静注する。なお、症状、病態に応じて1日3回に増量できる。 通常、小児には1回112.5mg(力価)/kgを1日2回点滴静注する。なお、症状、病態に応じて1回投与量を適宜減量できる。また、症状、病態に応じて1日3回に増量できる。ただし、1回投与量の上限は成人における1回4.5g(力価)を超えないものとする。

  • 〈発熱性好中球減少症〉

通常、成人にはタゾバクタム・ピペラシリンとして、1回4.5g(力価)を1日4回点滴静注する。 通常、小児には1回90mg(力価)/kgを1日4回点滴静注する。ただし、1回投与量の上限は成人における1回4.5g(力価)を超えないものとする。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。

  2. 8.1.1事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。

  3. 8.1.2投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。

  4. 8.1.3投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。

  5. 8.2肝機能障害、腎機能障害、汎血球減少症、無顆粒球症、血小板減少症、溶血性貧血、低カリウム血症があらわれることがあるので、定期的に血液検査、肝機能・腎機能検査等を行うなど、観察を十分に行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1セフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤及びペニシリン系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)

十分な問診を行うこと。ショックがあらわれるおそれがある。

  1. 9.1.2本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー反応を起こしやすい体質を有する患者

十分な問診を行うこと。アレルギー素因を有する患者は過敏症を起こしやすい。

  1. 9.1.3経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者

観察を十分に行うこと。食事摂取によりビタミンKを補給できない患者では、ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。

  1. 9.1.4出血素因のある患者

出血傾向を助長するおそれがある。

  1. 9.1.5心臓、循環器系機能障害のある患者

生理食塩液に関する注意として、水分やナトリウム貯留が生じやすく、浮腫等の症状を悪化させるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1腎機能障害患者(血液透析患者を含む)では、血漿半減期の遅延及びAUCの増加が認められ、血中濃度が増大するので、腎機能障害の程度に応じて、投与量の減量又は投与間隔をあけて投与すること。

  2. 9.2.2生理食塩液に関する注意として、高ナトリウム血症等の電解質異常を起こすおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

血中濃度が持続するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。

9.7 小児等

  1. 9.7.1低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

  2. 9.7.2乳・幼児(2歳未満)については下痢、軟便が発現しやすいので慎重に投与すること。小児感染症試験での下痢・軟便の副作用発現率は2歳未満で57.7%(15例/26例)、2歳以上6歳未満で40.6%(13例/32例)であった。

9.8 高齢者

次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

  • 一般に、生理機能が低下していることが多く、副作用が発現しやすい。

  • ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
プロベネシド タゾバクタム及びピペラシリンの半減期が延長することがある。 腎尿細管分泌の阻害により、プロベネシドがタゾバクタム、ピペラシリンの排泄を遅延させると考えられる。
メトトレキサート メトトレキサートの排泄が遅延し、メトトレキサートの毒性作用が増強される可能性がある。血中濃度モニタリングを行うなど注意すること。 腎尿細管分泌の有機アニオントランスポーター(OAT1、OAT3)阻害により、ピペラシリンがメトトレキサートの排泄を遅延させると考えられる。
抗凝血薬
(ワルファリン等)
血液凝固抑制作用を助長するおそれがあるので、凝血能の変動に注意すること。 プロトロンビン時間の延長、出血傾向等により相加的に作用が増強するものと考えられる。
バンコマイシン 腎障害が発現、悪化するおそれがある。 両薬剤併用時に腎障害が報告されているが、相互作用の機序は不明。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 1〜5%未満
ALT上昇(9.9%) 5%以上
AST上昇 5%以上
BUN上昇 1〜5%未満
CK上昇 1〜5%未満
LDH上昇 1〜5%未満
γ-GTP上昇(9.0%) 5%以上
アルブミン低下 頻度不明
アンモニア上昇 1〜5%未満
カンジダ症 1〜5%未満
クレアチニン上昇 1〜5%未満
クロール減少 1〜5%未満
そう痒 1〜5%未満
ビタミンB群欠乏症状注3) 頻度不明
ビタミンK欠乏症状 頻度不明
ビリルビン上昇 1〜5%未満
ヘマトクリット減少 1〜5%未満
めまい 1〜5%未満
リンパ球増多 頻度不明
下痢(24.3%) 5%以上
下血 頻度不明
不眠 1〜5%未満
便秘 1〜5%未満
出血傾向(紫斑 頻度不明
出血時間延長を含む) 頻度不明
動悸 頻度不明
単球増多 1〜5%未満
単球減少 1〜5%未満
口内炎 1〜5%未満
口唇炎 1〜5%未満
嘔吐 1〜5%未満
好中球増多 1〜5%未満
好中球減少 1〜5%未満
好酸球増多 5%以上
尿中ウロビリン陽性 1〜5%未満
尿中ブドウ糖陽性 1〜5%未満
悪寒 頻度不明
悪心 1〜5%未満
意識レベル低下 1〜5%未満
水疱性皮膚炎 頻度不明
浮腫 1〜5%未満
潮紅 1〜5%未満
痙攣等の神経症状 1〜5%未満
発汗 頻度不明
発熱 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
発赤 1〜5%未満
白色便 1〜5%未満
白血球減少 1〜5%未満
紅斑 1〜5%未満
総蛋白減少 頻度不明
背部異常感 頻度不明
胸やけ 頻度不明
胸内苦悶感 頻度不明
胸部痛 頻度不明
腹痛 1〜5%未満
腹部不快感 1〜5%未満
腹部膨満感 頻度不明
蕁麻疹 1〜5%未満
蛋白尿 1〜5%未満
血小板増多 1〜5%未満
血小板減少 1〜5%未満
血糖値低下 頻度不明
貧血 1〜5%未満
赤血球減少 1〜5%未満
軟便 5%以上
関節痛 頻度不明
頭痛 1〜5%未満
顆粒球減少 頻度不明
食欲不振 頻度不明
鼻出血 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

タゾバクタムがβ-ラクタマーゼのペニシリナーゼ、セファロスポリナーゼ及び基質特異性拡張型β-ラクタマーゼを強く不活性化するため、ピペラシリンがこれらの酵素によって加水分解されることを防御し、ピペラシリン耐性菌に対して抗菌力を示す。また、ピペラシリンは細菌の細胞壁合成阻害により抗菌作用を示す30),31),32),33),34),35)。

18.2 抗菌作用

ブドウ球菌属等のグラム陽性菌、緑膿菌等のグラム陰性菌及び嫌気性菌まで幅広い抗菌スペクトルを有し、殺菌的に作用する。また、β-ラクタマーゼ産生のピペラシリン耐性のグラム陽性菌及びグラム陰性菌に対して強い抗菌力を示す36),37),38),39),40),41)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1成人

  2. (1)単回投与

健康成人に注射用タゾバクタム・ピペラシリン(2.25g、4.5g及び6.75g)注4)を、30分点滴静注したときの血漿中濃度の推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであり、タゾバクタム(TAZ)、ピペラシリン(PIPC)の血漿中濃度は用量の増加に伴い上昇した2),3)。

健康成人における30分間点滴静注時の血漿中濃度

投与量 TAZ
AUC0~∞
(μg・hr/mL)
Cmax
(μg/mL)
t1/2
(hr)
Vss
(L)
CLT
(mL/min)
2.25ga 17.5±2.0 16.1±0.7 0.698±0.091 12.9±1.1 241±34
4.5gb 47.4±9.5 36.3±6.5 0.814±0.106 12.0±1.4 182±34
6.75ga 83.4±12.1 58.2±9.2 0.876±0.118 11.4±2.0 153±22
投与量 PIPC
AUC0~∞
(μg・hr/mL)
Cmax
(μg/mL)
t1/2
(hr)
Vss
(L)
CLT
(mL/min)
2.25ga 125±19 122±9 0.820±0.110 13.9±1.2 272±44
4.5gb 366±68 286±43 0.868±0.080 12.0±1.6 188±36
6.75ga 557±108 380±43 0.893±0.124 12.8±2.1 186±37

(a:n=7、b:n=8、mean±SD)

  1. (2)反復投与

健康成人に注射用タゾバクタム・ピペラシリン4.5g、30分点滴静注反復投与時の薬物動態は反復投与により変化せず、蓄積性はみられなかった2)。

  1. 16.1.2小児

  2. (1)反復投与

  • 〈一般感染症〉

小児細菌感染症患者に注射用タゾバクタム・ピペラシリン112.5mg/kgを、30分かけて1日2回又は3回反復点滴静注した時の血漿中濃度の推移は、国内の臨床第Ⅰ相試験で健康成人に本剤を4.5g、30分点滴静注した時の平均血漿中薬物濃度推移と類似していた。なお、年齢区分別薬物動態パラメータを検討した結果、TAZ、PIPCともに2歳未満の患者のAUC0~∞は他の年齢区分より高かった。Cmax、半減期(t1/2)は各年齢区分で類似していた4),5),6)。

  • 〈発熱性好中球減少症〉

小児発熱性好中球減少症患者に注射用タゾバクタム・ピペラシリン90mg/kgを、30分以上かけて1日4回反復点滴静注した時の血漿中濃度は、小児細菌感染症患者と顕著な違いは認められなかった。また、小児発熱性好中球減少症患者と小児細菌感染症患者のt1/2、全身クリアランス(CLT)及び分布容積(Vd)には顕著な違いは認められなかった7),8)。

患者 年齢区分
[例数]
年齢
[体重(kg)]
薬剤 AUC0~∞
(μg・hr/mL)
Cmax
(μg/mL)
t1/2
(hr)
CLT
(L/hr/kg)
Vd
(L/kg)
小児発熱性好中球減少症患者c(90mg/kg) 1~13歳
[n=9]
6±4歳
[-]
TAZ 34.3±20.2 21.8±16.2 0.8±0.4 0.39±0.23 0.53±0.52
PIPC 265.3±136.4 175.3±113.6 0.8±0.3 0.39±0.23 0.49±0.48
小児細菌感染症患者d(112.5mg/kg) <9ヶ月
[n=7]
7.3±0.5ヶ月
[8.0±1.0]
TAZ 57.9±10.1 27.2±0.8 1.3±0.2 0.22±0.04 0.40±0.01
PIPC 480.1±87.9 227.5±6.7 1.3±0.2 0.21±0.04 0.38±0.01
9ヶ月~<2歳
[n=19]
14.6±4.0ヶ月
[9.5±1.3]
TAZ 48.0±10.8 26.8±0.9 1.1±0.2 0.27±0.04 0.39±0.01
PIPC 388.3±94.5 222.9±7.5 1.0±0.2 0.27±0.04 0.38±0.00
2~<6歳
[n=31]
3.3±1.2歳
[14.7±2.8]
TAZ 40.9±5.1 27.2±0.7 0.9±0.1 0.31±0.04 0.38±0.00
PIPC 330.3±39.9 224.2±6.0 0.8±0.1 0.31±0.04 0.36±0.00
6~<12歳
[n=6]
8.7±1.5歳
[31.5±12.3]
TAZ 44.1±16.7 26.9±3.1 1.0±0.3 0.29±0.07 0.36±0.00
PIPC 365.1±141.1 222.2±26.5 1.0±0.3 0.28±0.07 0.35±0.00
≧12歳
[n=2]
12, 14歳
[46.2, 48]
TAZ 41.1±1.1 23.3±1.7 1.0±0.0 0.26±0.00 0.36±0.00
PIPC 340.2±14.6 191.3±16.5 1.0±0.1 0.25±0.02 0.35±0.00

(mean±SD)

c:30分以上かけて1日4回、反復点滴静注した。モデル解析により算出した値を示した。

d:30分かけて1日2回又は3回、反復点滴静注した。母集団薬物動態解析(測定データ数:129点、CL及びVdに影響を与える共変量:体重)から患者ごとに推定された値を示した。

16.3 分布

TAZとPIPCの配合比が1:4製剤において喀痰、肺、腎、女性性器、腹腔内滲出液、胆汁等への移行が認められている9),10),11),12),13),14),15),16),17),18)。

16.4 代謝

ヒト血漿、尿中にTAZの非活性代謝物である2-アミノ-3-メチル-3-スルフィノ-4-(1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)酪酸(M-1)及びPIPCの活性代謝物であるPIPCの脱エチル体(DEt-PIPC)が認められている19),20)。

16.5 排泄

健康成人に注射用タゾバクタム・ピペラシリン4.5gを30分点滴静注したときの12時間までの尿中排泄率はTAZが71.2%、PIPCが52.9%であった2)。また、TAZとPIPCの配合比が1:4製剤での小児患者における投与後6時間までの尿中排泄率はTAZが43.3~56.9%、PIPCが39.9~56.4%であった9)。 なお、in vitro試験で、タゾバクタム及びピペラシリンは、有機アニオントランスポーター(OAT1、OAT3)を阻害した21)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

腎機能障害患者において、腎機能の低下に依存した注射用タゾバクタム・ピペラシリンのt1/2の遅延及びAUC0~tの増加が認められており、腎機能障害のある患者に本剤を投与する場合にはその障害の程度により投与量の減量又は投与間隔をあけて投与する必要がある22)(外国人データ)。

Ccr(mL/min) 例数 1日投与間隔 TAZ PIPC
AUC0~t
(μg・hr/mL)
t1/2
(hr)
AUC0~t
(μg・hr/mL)
t1/2
(hr)
>90 6 4時間ごと 24.9 0.71 196 0.95
41~60 6 4時間ごと 65.9 2.15 437 1.71
21~40 1 6時間ごと 56.1 1.89 301 0.99
≦20 3 8時間ごと 107 6.00 592 2.89

注4)本剤の承認された成人の用量は1日9g(分2)~18g(分4)である。