Clinical snapshot

ゾルトファイ配合注 フレックスタッチ

インスリン デグルデク(遺伝子組換え)/リラグルチド(遺伝子組換え)

添付文書改訂 2026年05月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2低血糖症状を呈している患者

  3. 2.3糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡、1型糖尿病患者[インスリンのみを含有する製剤による速やかな治療が必須となるので、本剤を投与すべきでない]

  4. 2.4重症感染症、手術等の緊急の場合[インスリンのみを含有する製剤による血糖管理が望まれるので、本剤の投与は適さない]

効能・効果

インスリン療法が適応となる2型糖尿病

用法・用量

通常、成人では、初期は1日1回10ドーズ(インスリン デグルデク/リラグルチドとして10単位/0.36 mg)を皮下注射する。投与量は患者の状態に応じて適宜増減するが、1日50ドーズ(インスリン デグルデク/リラグルチドとして50単位/1.8 mg)を超えないこと。注射時刻は原則として毎日一定とする。なお、本剤の用量単位である1ドーズには、インスリン デグルデク1単位及びリラグルチド0.036 mgが含まれる。

使用上の注意

  1. 8.1投与する場合には、血糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、3~4ヵ月間投与して効果が不十分な場合には、速やかに他の治療薬への切り替えを行うこと。

  2. 8.2本剤の投与開始時及びその後数週間は血糖コントロールのモニタリングを十分に行うこと。特に、高用量のインスリン製剤(Basalインスリン又は混合型/配合溶解インスリン)を投与している患者が本剤に切り替える場合は、血糖コントロールが一時的に悪化する可能性があることから、注意すること。

  3. 8.3低血糖に関する注意について、その対処法も含め患者及びその家族に十分徹底させること。

  4. 8.4低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。

  5. 8.5急性膵炎の初期症状(嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等)があらわれた場合は、使用を中止し、速やかに医師の診断を受けるよう指導すること。

  6. 8.6胃腸障害が発現した場合、急性膵炎の可能性を考慮し、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮する等、慎重に対応すること。

  7. 8.7肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合は適切な処置を行うこと

  8. 8.8本剤投与中は、甲状腺関連の症候の有無を確認し、異常が認められた場合には、専門医を受診するよう指導すること。

  9. 8.9胆石症、胆嚢炎、胆管炎又は胆汁うっ滞性黄疸が発現するおそれがあるので、腹痛等の腹部症状がみられた場合には、必要に応じて画像検査等による原因精査を考慮するなど、適切に対応すること。

  10. 8.10急激な血糖コントロールに伴い、糖尿病網膜症の顕在化又は増悪、眼の屈折異常、治療後神経障害(主として有痛性)があらわれることがあるので注意すること。

  11. 8.11本剤の自己注射にあたっては、以下の点に留意すること。

  • 投与法について十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。

  • 全ての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。

  • 添付されている取扱説明書を必ず読むよう指導すること。

  1. 8.12本剤の有効成分の一つであるリラグルチドとDPP-4阻害薬はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。リラグルチドとDPP-4阻害薬を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。

  2. 8.13本剤と他の糖尿病用注射剤を取り違えないよう、毎回注射する前に本剤のラベル等を確認するよう患者に十分指導すること。

  3. 8.14同一箇所への繰り返し投与により、注射箇所に皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれることがあるので、定期的に注射箇所を観察するとともに、以下の点を患者に指導すること。

  • 本剤の注射箇所は、少なくとも前回の注射箇所から2~3cm離すこと。

  • 注射箇所の腫瘤や硬結が認められた場合には、当該箇所への投与を避けること。

  1. 8.15皮膚アミロイドーシス又はリポジストロフィーがあらわれた箇所に本剤を投与した場合、本剤の吸収が妨げられ十分な血糖コントロールが得られなくなることがある。血糖コントロールの不良が認められた場合には、注射箇所の腫瘤や硬結の有無を確認し、注射箇所の変更とともに投与量の調整を行うなどの適切な処置を行うこと。血糖コントロールの不良に伴い、過度に増量されたインスリン製剤が正常な箇所に投与されたことにより、低血糖に至った例が報告されている。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1*腹部手術の既往又はイレウスの既往のある患者 腸閉塞を含むイレウスを起こすおそれがある。

  2. 9.1.2膵炎の既往歴のある患者

  3. 9.1.3糖尿病胃不全麻痺、炎症性腸疾患等の胃腸障害のある患者 十分な使用経験がなく胃腸障害の症状が悪化するおそれがある。

  4. 9.1.4低血糖を起こすおそれがある以下の患者又は状態

  • 下痢、嘔吐等の胃腸障害

  • 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全

  • 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態

  • 激しい筋肉運動

  • 過度のアルコール摂取者

  1. 9.1.5全身麻酔又は深い鎮静下の患者GLP-1受容体作動薬又はGIP/GLP-1受容体作動薬を投与中の患者において、術前の絶食指示を遵守したにもかかわらず、全身麻酔又は深い鎮静下で誤嚥が生じた症例が報告されている。リラグルチドは胃内容排出遅延作用があり、胃内容物残留リスクが高まるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重度の腎機能障害患者 低血糖を起こすおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害患者 低血糖を起こすおそれがある。

9.5 妊婦

妊娠又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与せず、インスリン製剤を使用すること。 リラグルチドの生殖発生毒性試験で、ラットにおいてリラグルチドの最大推奨臨床用量である1.8 mgの約18.3倍の曝露量に相当する1.0mg/kg/日で早期胚死亡の増加、ウサギにおいてリラグルチドの最大推奨臨床用量である1.8 mgの約0.76倍の曝露量に相当する0.05mg/kg/日で母動物の摂餌量減少に起因するものと推測される胎児の軽度の骨格異常が認められている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。 ラットでは乳汁中への移行がインスリン デグルデク及びリラグルチドにて報告されている。ヒトでの乳汁移行に関するデータ及びヒトの哺乳中の児への影響に関するデータはない。

9.7 小児等

18歳未満の患者を対象とした臨床試験は本剤では実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。生理機能が低下していることが多く、胃腸障害及び低血糖が発現しやすい。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 糖尿病用薬• ビグアナイド薬
スルホニルウレア薬
速効型インスリン分泌促進薬
α-グルコシダーゼ阻害薬
チアゾリジン薬
DPP-4阻害薬
SGLT2阻害薬      等
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること 。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。 血糖降下作用が増強される。
• モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること 。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。 インスリン分泌促進、糖新生抑制作用による血糖降下作用を有する。
• 三環系抗うつ剤• ノルトリプチリン塩酸塩 等 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること 。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。 機序は不明であるが、インスリン感受性を増強するなどの報告がある。
• サリチル酸誘導体• アスピリン
エテンザミド
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること 。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。 糖に対するβ細胞の感受性の亢進やインスリン利用率の増加等による血糖降下作用を有する。また、末梢で弱いインスリン様作用を有する。
• 抗腫瘍剤• シクロホスファミド水和物 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること 。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。 インスリンが結合する抗体の生成を抑制し、その結合部位からインスリンを遊離させる可能性がある。
• β-遮断剤• プロプラノロール塩酸塩
アテノロール
ピンドロール
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること 。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。 アドレナリンによる低血糖からの回復反応を抑制する。また、低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性がある。
• クマリン系薬剤• ワルファリンカリウム 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること 。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。 機序不明
• クロラムフェニコール 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること 。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。 機序不明
• ベザフィブラート 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること 。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。 インスリン感受性増強等の作用により、本剤の作用を増強する。
• サルファ剤 血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること 。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。 膵臓でのインスリン分泌を増加させることにより、低血糖を起こすと考えられている。腎機能低下、空腹状態の遷延、栄養不良、過量投与が危険因子となる。
• シベンゾリンコハク酸塩• ジソピラミド
ピルメノール塩酸塩水和物
血糖降下作用の増強による低血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること 。特に、スルホニルウレア薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、スルホニルウレア薬の減量を検討すること。 インスリン分泌作用を認めたとの報告がある。
• チアジド系利尿剤• トリクロルメチアジド 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 カリウム喪失が関与すると考えられている。カリウム欠乏時には、血糖上昇反応に対するβ細胞のインスリン分泌能が低下する可能性がある。
• 副腎皮質ステロイド• プレドニゾロン
トリアムシノロン
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する。
• ACTH
テトラコサクチド酢酸塩
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 副腎皮質刺激作用により糖質コルチコイドの分泌が増加する。糖質コルチコイドは、糖新生亢進、筋肉組織・脂肪組織からのアミノ酸や脂肪酸の遊離促進、末梢組織でのインスリン感受性低下等による血糖上昇作用を有する。
• アドレナリン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 糖新生亢進、末梢での糖利用抑制、インスリン分泌抑制による血糖上昇作用を有する。
• グルカゴン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進による血糖上昇作用を有する。

甲状腺ホルモン• レボチロキシンナトリウム水和物
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進による血糖上昇作用を有する。
• 成長ホルモン• ソマトロピン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 抗インスリン様作用による血糖上昇作用を有する。
• 卵胞ホルモン• エチニルエストラジオール
結合型エストロゲン
血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 末梢組織でインスリンの作用に拮抗する。
• 経口避妊薬 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 末梢組織でインスリンの作用に拮抗する。
• ニコチン酸 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 末梢組織でのインスリン感受性を低下させるため耐糖能障害を起こす。
• 濃グリセリン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 代謝されて糖になるため、血糖値が上昇する。
• イソニアジド 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 炭水化物代謝を阻害することによる血糖上昇作用を有する。
• ダナゾール 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 インスリン抵抗性を増強するおそれがある。
• フェニトイン 血糖降下作用の減弱による高血糖症状があらわれることがある。併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 インスリン分泌抑制作用を有する。
• 蛋白同化ステロイド• メテノロン 血糖降下作用の増強による低血糖症状 、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
機序不明
• ソマトスタチンアナログ製剤• オクトレオチド酢酸塩
ランレオチド酢酸塩
血糖降下作用の増強による低血糖症状 、又は減弱による高血糖症状があらわれることがある。
併用する場合は血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
インスリン、グルカゴン及び成長ホルモン等互いに拮抗的に調節作用をもつホルモン間のバランスが変化することがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT の上昇 等) 頻度不明
アミラーゼ) 増加 頻度不明
インスリンCペプチド減少 頻度不明
おくび 頻度不明
じん麻疹 頻度不明
そう痒症 頻度不明
リポジストロフィー(皮下脂肪の萎縮・肥厚 等) 頻度不明
下痢 頻度不明
体重増加 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘 5%以上
倦怠感 頻度不明
味覚異常 頻度不明
咳嗽 頻度不明
嘔吐 頻度不明
心室性期外収縮 頻度不明
心拍数増加注2) 頻度不明
悪心 頻度不明
感覚鈍麻 頻度不明
抗インスリン抗体産生に伴う血糖コントロール不良 頻度不明
注射部位反応 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
浮腫 頻度不明
消化不良 頻度不明
甲状腺腫瘤 頻度不明
疲労 頻度不明
発疹 頻度不明
皮膚アミロイドーシス 頻度不明
糖尿病性網膜症 頻度不明
肝機能異常(AST 頻度不明
胃排出遅延 頻度不明
胃炎 頻度不明
胃食道逆流性疾患 頻度不明
胆石症 頻度不明
胸痛 頻度不明
脱水 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部不快感 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
膵酵素(リパーゼ 頻度不明
血中ケトン体増加 頻度不明
血中プロインスリン減少 頻度不明
貧血 頻度不明
遊離脂肪酸減少 頻度不明
過敏症 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲減退 頻度不明
高脂血症 頻度不明
高血圧 頻度不明
鼓腸 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は、血糖コントロールを改善する作用機序を有するインスリン デグルデク及びリラグルチドの配合剤である。 (1) インスリン デグルデク インスリン デグルデクは、製剤中では可溶性のダイへキサマーとして存在するが、投与後、皮下組織において会合して、可溶性で安定なマルチヘキサマーを形成し、一時的に注射部皮下組織にとどまる。インスリン デグルデクモノマーはマルチへキサマーから徐々に解離するため、投与部位から緩徐にかつ持続的に血中に吸収され、長い作用持続時間をもたらす。さらに、皮下注射部位及び血中で脂肪酸側鎖を介してアルブミンと結合し、作用の持続化に寄与する10) 。 インスリン デグルデクの主な薬理作用は、グルコース代謝の調節である。インスリン デグルデクを含むインスリンは、インスリンレセプターに結合し、特異的な作用を発現する。インスリンレセプターに結合したインスリンは骨格筋及び脂肪細胞における糖の取り込みを促進し、また肝臓におけるグルコース産生を阻害することによって血糖値を降下させる。さらに、脂肪細胞における脂肪分解及び蛋白質分解を阻害し、蛋白質合成を促進する。 (2) リラグルチド 生体で分泌されるインクレチンホルモンであるGLP-1は、グルコース濃度依存的に膵β細胞からインスリンを分泌させる11)12) 。リラグルチドはヒトGLP-1アナログで、GLP-1受容体を介して作用することにより、cAMPを増加させ、グルコース濃度依存的にインスリン分泌を促進させる。さらにグルコース濃度依存的にグルカゴン分泌を抑制する13) 。 リラグルチドは自己会合により緩徐に吸収されること、アルブミンと結合して代謝酵素(DPP-4及び中性エンドペプチダーゼ)に対する安定性を示すことで、作用が持続する。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1健康成人における単回投与後の薬物動態

外国人健康成人男性(24例)を対象に、本剤を17ドーズ単回投与したときの薬物動態パラメータを検討した結果、Cmax及びAUCinf(幾何平均)は、インスリン デグルデクで1.339 nmol/L及び50.231 nmol・h/L、リラグルチドで3.943 nmol/L及び136.859 nmol・h/L、であった2) (外国人データ)。

  1. 16.1.2日本人被験者における母集団薬物動態解析

日本人2型糖尿病患者を対象とした第III相臨床試験から得られた血中濃度データ(インスリン デグルデク:546例、3098点の濃度データ、リラグルチド:547例、3140点の濃度データ)を用いて構築した母集団薬物動態モデルに基づき、薬物動態パラメータを推定した結果、本剤を平均投与量である28.1ドーズ投与したときの定常状態におけるCmax及びAUC0-24h(幾何平均値)は、インスリン デグルデクで3.670 nmol/L及び75 nmol・h/L、リラグルチドで12.010 nmol/L及び258 nmol・h/Lと推定された3) 。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害被験者における薬物動態

(1) インスリン デグルデク 腎機能障害の程度の異なる被験者〔クレアチニンクリアランス(CCr)に基づく分類〕にインスリン デグルデク0.4単位/kgを単回投与したときの薬物動態の比較結果は、以下のとおりであった4) (外国人データ)。

腎機能 AUC0-120h比
[90%信頼区間]
Cmax比
[90%信頼区間]
軽度/正常
(軽度:CCr 50以上~80 mL/min以下)
1.12
[0.77;1.63]
1.14
[0.81; 1.61]
中等度/正常
(中等度:CCr 30以上~50 mL/min未満)
1.12
[0.78;1.60]
1.06
[0.76; 1.49]
重度/正常
(重度:CCr 30 mL/min未満)
1.20
[0.83;1.74]
1.23
[0.87; 1.73]
末期注3) /正常
(末期:血液透析を必要とする患者)
1.02
[0.74;1.40]
1.05
[0.75; 1.46]

注3)末期腎疾患を有する患者については、投与後68時間までの測定に基づき算出したAUC0-∞ 正常:N=6、軽度:N=6、中等度::N=6、重度:N=6、末期:N=6

(2) リラグルチド 腎機能障害の程度の異なる被験者〔クレアチニンクリアランス(CCr)に基づく分類〕にリラグルチド0.75mgを単回投与したときの薬物動態の比較検討結果は、以下のとおりであった5) (外国人データ)。

腎機能 AUC0-inf比
[90%信頼区間]
Cmax比
[90%信頼区間]
軽度/正常
(軽度:CCr 50超~80 mL/min以下)
0.67
[0.54; 0.85]
0.75
[0.57; 0.98]
中等度/正常
(中等度:CCr 30超~50 mL/min以下)
0.86
[0.70; 1.07]
0.96
[0.74; 1.23]
重度/正常
(重度:CCr 30 mL/min以下)
0.73
[0.57; 0.94]
0.77
[0.57; 1.03]
末期/正常
(末期:血液透析を必要とする患者)
0.74
[0.56; 0.97]
0.92
[0.67; 1.27]

正常:N=6、軽度:N=6、中等度:N=7、重度:N=5、末期:N=6 比の推定値及び90%信頼区間は、年齢及び体重で調整した。

  1. 16.6.2肝機能障害被験者における薬物動態

(1) インスリン デグルデク 肝機能障害の程度の異なる被験者(Child-Pugh scoresに基づく分類)にインスリン デグルデク0.4単位/kgを単回投与したときの薬物動態の比較結果は、以下のとおりであった6) (外国人データ)。

肝機能 AUC0-120h比
[90%信頼区間]
Cmax比
[90%信頼区間]
軽度/正常
〔軽度:Child-Pugh Grade A (5~6ポイント)〕
0.95
[0.77;1.16]
0.90
[0.67; 1.20]
中等度/正常
〔中等度:Child-Pugh Grade B (7~9ポイント)〕
1.00
[0.82;1.22]
0.77
[0.58; 1.03]
重度/正常
〔重度:Child-Pugh Grade C (10~15ポイント)〕
0.92
[0.74;1.14]
0.75
[0.55; 1.02]

正常:N=6、軽度:N=6、中等度:N=6、重度:N=6

(2) リラグルチド 肝機能障害の程度の異なる被験者(Child-Pugh scoresに基づく分類)にリラグルチド0.75mgを単回投与したときの薬物動態の比較結果は、以下のとおりであった7) (外国人データ)。

肝機能 AUC0-inf比
[90%信頼区間]
Cmax比
[90%信頼区間]
軽度/正常
〔軽度:Child-Pugh Grade A (5~6ポイント)〕
0.77
[0.53; 1.11]
0.89
[0.65; 1.21]
中等度/正常
〔中等度:Child-Pugh Grade B (7~9ポイント)〕
0.87
[0.60; 1.25]
0.80
[0.59; 1.09]
重度/正常
〔重度:Child-Pugh Grade C (10~15ポイント)〕
0.56
[0.39; 0.81]
0.71
[0.52; 0.97]

正常:N=6、軽度:N=6、中等度:N=6、重度:N=6 比の推定値及び90%信頼区間は、年齢、性及び体重で調整した。

16.7 薬物相互作用

本剤及びインスリン デグルデクの薬物相互作用の検討は実施していない。 リラグルチドの経口剤との薬物動態学的薬物相互作用は、リラグルチド1.8mg又はプラセボ反復投与後の定常状態において、パラセタモール、アトルバスタチン、グリセオフルビン、リシノプリル及びジゴキシンの単回投与後の薬物動態を比較し検討した。また、経口避妊薬中のエチニルエストラジオール及びレボノルゲストレルについても同様に検討した。両試験の結果を以下に示す(外国人データ)。

経口薬 投与量 N AUC0-∞比
[90%信頼区間]
Cmax比
[90%信頼区間]
tmax差(h)
[90%信頼区間]
パラセタモール 1.0g 18 1.04
[0.97;1.10]
0.69
[0.56;0.85]
0.25
[0.00;1.54]
アトルバスタチン 40mg 42 0.95
[0.89;1.01]
0.62
[0.53;0.72]
1.25
[1.00;1.50]
グリセオフルビン 500mg 22 1.10
[1.01;1.19]
1.37
[1.24;1.51]
0.00
[-7.00;2.00]
リシノプリル 20mg 40 0.85
[0.75;0.97]
0.73
[0.63;0.85]
2.00
[2.00;3.00]
ジゴキシン 1mg 27 0.84
[0.72;0.98]注4)
0.69
[0.60;0.79]
1.125
[0.50;1.25]
エチニルエストラジオール 0.03mg 21 1.06
[0.99;1.13]
0.88
[0.79;0.97]
1.50
[1.00;2.50]
レボノルゲストレル 0.15mg 14 1.18
[1.04;1.34]
0.87
[0.75;1.00]
1.50
[0.50;2.00]

注4)AUC0-72h比:リラグルチド/プラセボ、差:リラグルチド-プラセボ