皮膚T細胞性リンパ腫
【警告】
本剤の投与にあたっては、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
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2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
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2.2重度の肝障害患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人にはボリノスタットとして1日1回400mgを食後経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
使用上の注意
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8.1脱水症状があらわれることがあるので、必要に応じて、補液、電解質補充等を行うこと。また、投与にあたっては、患者に、脱水の兆候や脱水を避けるための注意点を指導すること。過度の嘔吐、下痢等が認められた場合には、医師の診察を受けるよう患者を指導すること。
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8.2高血糖があらわれることがあるので、投与開始前及び投与開始後は定期的に血糖値の測定を行うこと。また、本剤の投与を開始する前に血糖値を適切にコントロールしておくこと。
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8.3血小板減少、貧血、腎機能障害等があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に、血液検査(血球数算定、電解質/血清クレアチニンを含む血液生化学検査)を行うこと。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1静脈血栓塞栓症を有する又は既往歴のある患者
肺塞栓症、深部静脈血栓症が発現、悪化するおそれがある。
- 9.1.2糖尿病又はその疑いのある患者
糖尿病が悪化するおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
本剤の血清中濃度が上昇するおそれがある。
- 9.3.1重度の肝障害患者
投与しないこと。副作用が強くあらわれるおそれがある。
- 9.3.2軽度及び中等度の肝障害患者
9.4 生殖能を有する者
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9.4.1*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
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9.4.2*男性には、本剤投与中及び最終投与後3ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。やむを得ず投与する場合には、本剤投与によるリスクについて患者に十分説明すること。動物実験では、ラット受胎能試験において本剤投与に関連した黄体数の増加が報告され、ラットの受胎能試験及び胚・胎児発生に関する試験において胚致死作用が報告されている。また、ウサギ及びラットの胚・胎児発生に関する試験及びトキシコキネティクス試験において、本剤の胎盤通過、生存胎児の平均体重の減少、骨化遅延及び骨格変異が報告されている1)。
9.6 授乳婦
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤がヒト乳汁中へ移行するかは不明である。
9.7 小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| クマリン系抗凝血剤: • ワルファリン |
プロトロンビン時間(PT)延長及びINR上昇があらわれることがある。PT及びINRを注意深くモニターすること。 | 機序不明 |
| バルプロ酸 | 消化管出血、血小板減少、貧血等の副作用が増強することがある。 | 機序不明 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALT増加 | 頻度不明 |
| AST増加 | 頻度不明 |
| リンパ球数減少 | 頻度不明 |
| レンサ球菌性菌血症 | 頻度不明 |
| 上腹部痛 | 頻度不明 |
| 下痢 | 頻度不明 |
| 低カリウム血症 | 頻度不明 |
| 低ナトリウム血症 | 頻度不明 |
| 低血圧 | 頻度不明 |
| 体重減少 | 頻度不明 |
| 便秘 | 頻度不明 |
| 倦怠感 | 頻度不明 |
| 冷感 | 頻度不明 |
| 動悸 | 頻度不明 |
| 口内乾燥 | 頻度不明 |
| 味覚減退 | 頻度不明 |
| 味覚異常 | 頻度不明 |
| 呼吸困難 | 頻度不明 |
| 咳嗽 | 頻度不明 |
| 喀血 | 頻度不明 |
| 嗜眠 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 嚥下障害 | 頻度不明 |
| 多汗症 | 頻度不明 |
| 失神 | 頻度不明 |
| 好中球減少症 | 頻度不明 |
| 尿閉 | 頻度不明 |
| 悪寒 | 頻度不明 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 憩室炎 | 頻度不明 |
| 末梢性浮腫 | 頻度不明 |
| 浮動性めまい | 頻度不明 |
| 溶血 | 頻度不明 |
| 無力症 | 頻度不明 |
| 疲労 | 頻度不明 |
| 発熱 | 頻度不明 |
| 白血球減少症 | 頻度不明 |
| 皮膚剥脱 | 頻度不明 |
| 筋痙縮 | 頻度不明 |
| 肝虚血 | 頻度不明 |
| 胃腸出血 | 頻度不明 |
| 胃食道逆流性疾患 | 頻度不明 |
| 胸痛 | 頻度不明 |
| 脱毛症 | 頻度不明 |
| 腫瘍出血 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 虚血性脳卒中 | 頻度不明 |
| 蛋白尿 | 頻度不明 |
| 血中クレアチニン増加 | 頻度不明 |
| 血尿 | 頻度不明 |
| 血管炎 | 頻度不明 |
| 血管神経性浮腫 | 頻度不明 |
| 錯感覚 | 頻度不明 |
| 難聴 | 頻度不明 |
| 霧視 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 食欲不振 | 頻度不明 |
| 高トリグリセリド血症 | 頻度不明 |
| 高ビリルビン血症 | 頻度不明 |
| 高マグネシウム血症 | 頻度不明 |
| 高血圧 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ボリノスタットは、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)であるHDAC1、HDAC2及びHDAC3(クラスⅠ)、並びにHDAC6(クラスⅡb)の酵素活性を阻害する13)。HDACの阻害によりヒストン等のアセチル化が増加すると、クロマチン構造の弛緩等を介して、がん抑制遺伝子を含む遺伝子発現が増加し、分化やアポトーシスが誘導され、腫瘍増殖が抑制されると推測されている。しかし、詳細な作用機序は解明されていない14)。
18.2 抗腫瘍効果
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18.2.1In vitro試験において、ボリノスタットは、ヒト皮膚T細胞性リンパ腫由来HH細胞株に対して、細胞増殖抑制作用を示した15)。
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18.2.2ヒト皮膚T細胞性リンパ腫由来HH細胞株を皮下移植したマウスにおいて、ボリノスタット投与により腫瘍の増殖を遅延させる傾向が認められた16)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
固形がん患者におけるボリノスタット100~500mg食後単回経口投与注3)後の血清中濃度時間曲線下面積(AUC)及び最高血清中濃度(Cmax)はおおむね用量に比例して増加した(図及び表1)3)。
図 固形がん患者におけるボリノスタット食後単回経口投与後の平均血清中濃度推移
| 用量 (mg) |
例数 | AUC0-∞ (μM・hr) |
Cmax (μM) |
Tmax (hr) |
t1/2 (hr) |
|---|---|---|---|---|---|
| 100 | 3 | 0.98注2) | 0.21±0.14 | 4.00 (2.98, 10.00) |
1.62注2) |
| 200 | 6 | 2.22±0.89 | 0.59±0.22 | 3.00 (2.00, 4.00) |
1.36±0.28 |
| 400 | 3 | 4.30±0.37 | 0.93±0.12 | 3.00 (1.50, 6.08) |
2.01±1.47 |
| 500 | 6 | 5.93±1.78 | 1.35±0.39 | 3.49 (1.00, 4.03) |
1.60±0.66 |
平均±標準偏差、Tmax:中央値(最小値, 最大値)
注2)n=2
- 16.1.2反復投与
CTCL患者におけるボリノスタット400mg 28日間1日1回食後反復経口投与後のAUC0-∞、Cmax、Tmax及びt1/2(平均±標準偏差、Tmaxは中央値[範囲])はそれぞれ5.56±1.46μM・hr、1.17±0.37μM、3.7[2.9-4.3]hr及び2.30±1.10hrであり、初回投与時と比べ、これらパラメータに顕著な変化はみられなかった。AUCに基づく累積係数は1.18であった4)。
- 16.1.3食事の影響
固形がん患者におけるボリノスタット400mg食後(高脂肪食)単回経口投与後のAUC0-∞及びCmaxは空腹時単回経口投与後のそれぞれ1.38倍及び0.91倍であった。摂食によりTmaxは1.5時間から4時間に遅延したが、t1/2は変化しなかった5)(外国人データ)。
16.3 分布
1.9~190μMの濃度範囲において、ボリノスタットのヒト血漿蛋白結合率は68~76%であった6)(In vitro)。
16.4 代謝
-
16.4.1固形がん患者におけるボリノスタット400mg反復経口投与後(定常状態)の主要代謝物はO-グルクロン酸抱合体及びヒドロキサム酸基の加水分解後のβ-酸化で生成する4-アニリノ-4-オキソブタン酸であり注4)、血清中曝露量はボリノスタットと比べ、それぞれ約2及び8倍高かった3),7)。
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16.4.2ヒト肝ミクロソームを用いた検討において、チトクロームP450(CYP)の関与を示唆するボリノスタットの代謝物は認められなかった。また、ボリノスタットはヒトcDNA発現系のUDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)1A1、1A3、1A7、1A8、1A9、2B7及び2B17によりグルクロン酸抱合を受けた。ヒト肝細胞では、ボリノスタットは臨床血清中濃度より高い10μMにおいてCYP2C9とCYP3A4の代謝活性を抑制した8)(In vitro)。
16.5 排泄
固形がん患者におけるボリノスタット400mg反復経口投与後(定常状態)24時間の未変化体及び代謝物であるO-グルクロン酸抱合体及び4-アニリノ-4-オキソブタン酸注4)の尿中排泄率はそれぞれ投与量の1%未満、23%及び57%であった4)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1肝機能障害患者
肝機能注5)の異なる固形がん患者に本剤400mgを経口単回投与後の血清中薬物動態パラメータは、表2のとおりであった。なお、これらの患者間で統計的に有意な差はなかった9)(外国人データ)。
| 肝機能 | n | AUC0-∞ (μM・hr) |
Cmax (μM) |
Tmax (hr) |
t1/2 (hr) |
CLapp (L/min) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 正常 | 15 | 5.1±1.9 | 1.4±0.5 | 1.4±0.8 | 2.5±1.2 | 6.4±5.1 |
| 軽度 | 15 | 7.7±3.4 | 2.2±1.1 | 2.3±2.0 | 2.0±1.4 | 4.0±1.8 |
| 中等度 | 15 | 7.5±2.4 | 1.7±0.6 | 2.7±1.9 | 3.5±2.8 | 3.8±1.6 |
| 重度 | 9 | 8.3±5.1 | 1.8±0.7 | 2.6±2.2 | 2.9±1.5 | 4.2±2.3 |
平均±標準偏差、CLapp:みかけの血清クリアランス
注3)本剤の承認用法・用量は、通常、成人にはボリノスタットとして1日1回400mgを食後経口投与である。
注4)両代謝物は薬理活性を有さない。
注5)肝機能はNCI-ODWG基準により分類