Clinical snapshot

ゾフルーザ顆粒2%分包

バロキサビル マルボキシル

添付文書改訂 2025年09月01日

【警告】

  • 〈効能共通〉
  1. 1.1本剤の投与にあたっては、本剤の必要性を慎重に検討すること。
  • 〈治療〉
  1. **1.2抗ウイルス薬の投与がA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の全ての患者に対しては必須ではないことに加え、低年齢になるほど低感受性株の出現頻度が高くなる傾向が示されており、本剤の投与が拡大した場合に、低感受性株が地域社会に伝播拡大する可能性が否定できないことを踏まえ、体重20kg未満の小児に対しては、他の抗インフルエンザウイルス薬の使用を考慮した上で、本剤の投与の必要性を特に慎重に検討すること。
  • 〈予防〉
  1. 1.3インフルエンザウイルス感染症の予防の基本はワクチンによる予防であり、本剤の予防使用はワクチンによる予防に置き換わるものではない。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 〈ゾフルーザ錠20mg、ゾフルーザ顆粒2%分包〉

A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及びその予防

  • 〈ゾフルーザ錠10mg〉

A型又はB型インフルエンザウイルス感染症

  • 〈参考〉
効能・効果 錠10mg 錠20mg、顆粒2%分包
治療
予防

〇:効能あり、―:効能なし

用法・用量

通常、以下の用量を単回経口投与する。

効能・効果 年齢 体重 用量
治療 成人及び12歳以上の小児 80kg以上 20mg錠4錠又は顆粒8包(バロキサビル マルボキシルとして80mg)
80kg未満 20mg錠2錠又は顆粒4包(バロキサビル マルボキシルとして40mg)
12歳未満の小児 40kg以上 20mg錠2錠又は顆粒4包(バロキサビル マルボキシルとして40mg)
20kg以上
40kg未満
20mg錠1錠又は顆粒2包(バロキサビル マルボキシルとして20mg)
10kg以上
20kg未満
**10mg錠1錠又は顆粒1包(バロキサビル マルボキシルとして10mg)
**10kg未満 **顆粒50mg/kg(バロキサビル マルボキシルとして1mg/kg)
予防 成人及び12歳以上の小児 80kg以上 20mg錠4錠又は顆粒8包(バロキサビル マルボキシルとして80mg)
80kg未満 20mg錠2錠又は顆粒4包(バロキサビル マルボキシルとして40mg)
12歳未満の小児 40kg以上 20mg錠2錠又は顆粒4包(バロキサビル マルボキシルとして40mg)
20kg以上
40kg未満
20mg錠1錠又は顆粒2包(バロキサビル マルボキシルとして20mg)

使用上の注意

  1. 8.1抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無又は種類にかかわらず、インフルエンザ罹患時には、異常行動を発現した例が報告されている。 異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として、①異常行動の発現のおそれがあること、②自宅において療養を行う場合、少なくとも発熱から2日間、保護者等は転落等の事故に対する防止対策を講じること、について患者・家族に対し説明を行うこと。 なお、転落等の事故に至るおそれのある重度の異常行動については、就学以降の小児・未成年者の男性で報告が多いこと、発熱から2日間以内に発現することが多いこと、が知られている。

  2. 8.2細菌感染症がインフルエンザウイルス感染症に合併したり、インフルエンザ様症状と混同されることがある。細菌感染症の場合には、抗菌剤を投与するなど適切な処置を行うこと。

  3. 8.3出血があらわれることがあるので、患者及びその家族に以下を説明すること。

  4. 8.3.1血便、鼻出血、血尿等があらわれた場合には医師に連絡すること。

  5. 8.3.2投与数日後にもあらわれることがあること。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝機能障害のある患者

有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット、ウサギ)において、催奇形性は認められなかったが、ウサギにおける高用量投与で、流産及び頚部過剰肋骨が報告されている2)。また、ラットにおいて胎盤通過が認められている3)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中への移行は不明だが、ラットで乳汁中への移行が報告されている3)。

9.7 小児等

  • 〈製剤共通〉
  1. **9.7.1低出生体重児又は新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

  2. **9.7.2新生児や乳児ではビタミンK欠乏をきたすおそれがあり、本剤投与により出血傾向が発現するおそれがあるため、本剤投与前に国内ガイドライン4) に基づきビタミンK製剤が投与されていることを確認すること。ビタミンKの不足が予想される場合はビタミンK製剤をあらかじめ投与すること。また、患者の家族に対して、患者の状態を慎重に確認し、出血や意識障害等が認められた場合には医師に連絡するよう指導すること。

  • 〈錠剤〉
  1. 9.7.3小児に対しては、本剤を適切に経口投与できると判断された場合にのみ投与すること。

9.8 高齢者

患者の状態を十分に観察しながら投与すること。一般に高齢者では生理機能が低下している。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• ワルファリン 併用後にプロトロンビン時間が延長した報告がある。併用する場合には、患者の状態を十分に観察するなど注意すること。 機序不明

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT増加 1%未満
AST増加 1%未満
そう痒 頻度不明
下痢 頻度不明
嘔吐 1%未満
悪心 1%未満
発疹 1%未満
蕁麻疹 1%未満
血管性浮腫 頻度不明
頭痛 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

バロキサビル マルボキシル活性体は、A型及びB型インフルエンザウイルスのキャップ依存性エンドヌクレアーゼ活性を選択的に阻害する。キャップ依存性エンドヌクレアーゼは、宿主細胞由来mRNA前駆体を特異的に切断する酵素であり、ウイルスmRNA合成に必要なプライマーとなるRNA断片を生成する。バロキサビル マルボキシル活性体は、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ活性を阻害し、ウイルスmRNAの合成を阻害することにより、ウイルス増殖抑制作用を発揮する18)。

18.2 薬理作用

  1. 18.2.1In vitroウイルス増殖抑制効果

A型及びB型インフルエンザウイルスの実験室株又は臨床分離株(ノイラミニダーゼ阻害薬に対する感受性低下を示すNA/H274Y変異株を含む)を感染させたMDCK細胞(イヌ腎臓由来株化細胞)において、バロキサビル マルボキシル活性体はウイルス増殖抑制効果を示した。〔ウイルス力価を1/10に抑制する濃度(EC90)は、A型で0.46~0.98nmol/L、B型で2.21~6.48nmol/Lであった。〕 また、この効果は、H5N1又はH7N9亜型の鳥インフルエンザウイルス(ノイラミニダーゼ阻害剤に対する感受性低下を示すNA/H274Y、NA/R292Kの各変異株を含む)を感染させたMDCK細胞においても認められた18)。(EC90は0.80~3.16nmol/L)

  1. 18.2.2In vivo抗ウイルス作用

A型及びB型インフルエンザウイルスの実験室株又は臨床分離株(ノイラミニダーゼ阻害薬に対する感受性低下を示すNA/H274Y変異株を含む)を接種したマウスモデルにおいて、バロキサビル マルボキシルは、投与翌日のマウス肺内ウイルス力価を用量依存的に低下させた19)。この効果は、免疫機能を抑制したマウスにA型インフルエンザウイルス株を接種したモデル20)、更に、鳥インフルエンザウイルス株(H5N1、H7N9)を接種したマウスモデル19)においても認められた。 また、A型及びB型インフルエンザウイルス株や鳥インフルエンザウイルス株(H5N1、H7N9)を接種したマウス致死モデルにおいて、バロキサビル マルボキシルは、致死率を改善した19)。この治療効果は、A型インフルエンザウイルス株を接種したマウスモデルにおいて、治療開始を遅らせても(ウイルス接種後24~96時間に投与開始)認められた20)。 A型インフルエンザウイルス株を接種したフェレットモデルにおいて、バロキサビル マルボキシルは、投与翌日の鼻腔洗浄液内ウイルス力価を低下させ、体温上昇を抑制した21)。

18.3 耐性

  1. 18.3.1臨床試験成人及び12歳以上の小児を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験、ハイリスク因子を有する患者を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験、12歳未満の小児を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験(錠)、12歳未満の小児を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験(顆粒)、12歳未満の小児を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験(顆粒、高用量注4))の各臨床試験において、本剤が投与され、投与前後に塩基配列解析が可能であった被験者のうち、バロキサビル マルボキシル活性体の結合標的部位であるポリメラーゼ酸性蛋白質領域のI38のアミノ酸変異が認められた被験者の割合は表18-1のとおりであった22)。

**

注4)体重20kg未満の小児において承認された用法・用量より高用量(バロキサビル マルボキシルとして体重10kg以上20kg未満の患者は20㎎、体重10kg未満の患者は2mg/kg)が投与された。12歳未満の小児における承認された用法・用量は、バロキサビル マルボキシルとして、体重10kg以上20kg未満の患者は10mg、体重10kg未満の患者は1mg/kgである。

全集団※1 A/H1N1pdm型※2 A/H3型※2 B型※2
成人及び12歳以上の小児を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験
体重40kg以上 9.7%
(36/370)
0.0%
(0/4)
10.9%
(36/330)※3
2.7%
(1/37)※3
ハイリスク因子を有する患者を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験
体重40kg以上 5.2%
(15/290)
5.6%
(1/18)
9.2%
(13/141)
0.8%
(1/131)
12歳未満の小児を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験(錠)
全区分※4 23.4%
(18/77)
0.0%
(0/2)
25.7%
(18/70)
0.0%
(0/6)
体重40kg以上 16.7%
(1/6)
--- 16.7%
(1/6)
---
体重20kg以上
40kg未満
18.4%
(9/49)
0.0%
(0/2)
20.0%
(9/45)
0.0%
(0/3)
体重10kg以上
20kg未満
38.1%
(8/21)
--- 42.1%
(8/19)
0.0%
(0/2)
体重5kg以上
10kg未満※4
0.0%
(0/1)
--- --- 0.0%
(0/1)
12歳未満の小児を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験(顆粒)
全区分 19.2%
(5/26)
16.7%
(1/6)
44.4%
(4/9)
0.0%
(0/11)
体重10kg以上
20kg未満
20.0%
(3/15)
0.0%
(0/4)
60.0%
(3/5)
0.0%
(0/6)
体重10kg未満 18.2%
(2/11)
50.0%
(1/2)
25.0%
(1/4)
0.0%
(0/5)
12歳未満の小児を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験(顆粒、高用量※5)
全区分 41.0%
(16/39)
22.2%
(2/9)
70.0%
(14/20)
0.0%
(0/10)
体重10kg以上
20kg未満
40.6%
(13/32)
25.0%
(2/8)
78.6%
(11/14)
0.0%
(0/10)
体重10kg未満 42.9%
(3/7)
0.0%
(0/1)
50.0%
(3/6)
---

%(発現例数/対象例数)

※1:全集団の集計において、重複感染例は1例として計上した。

※2:ウイルス型/亜型別の集計において、重複感染例は投与前後の塩基配列解析が可能であったウイルスの型・亜型でそれぞれ1例として計上した。

※3:1例はA/H3型及びB型インフルエンザウイルスの重複感染患者で、両型においてI38のアミノ酸変異が認められた。

※4:体重10kg未満の錠剤5mg投与(承認外用量)の1例を含む。錠剤では、治療に関しては体重10㎏以上の小児の用法・用量が承認されている。

※5:承認された用法・用量より高用量(バロキサビル マルボキシルとして体重10kg以上20kg未満の患者は20mg、体重10kg未満の患者は2mg/kg)が投与された。12歳未満の小児における承認された用法・用量は、体重10kg以上20kg未満の患者は10mg、体重10kg未満の患者は1mg/kgである。

いずれの臨床試験においても、本剤投与中にI38のアミノ酸変異を検出した患者集団では、本剤投与から3日目以降に一過性のウイルス力価の上昇が認められた。なお、成人及び12歳以上の小児を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験及び12歳未満の小児を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験(顆粒)の本剤が投与された患者で認められたI38のアミノ酸変異の有無別のウイルス力価の推移は図18-1及び図18-2のとおりであった22)。

図18-1 国際共同第Ⅲ相臨床試験におけるポリメラーゼ酸性蛋白質領域のI38アミノ酸変異の有無別のウイルス力価の推移 (平均値±標準偏差)**図18-2 12歳未満の小児を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験(顆粒)におけるポリメラーゼ酸性蛋白質領域のI38アミノ酸変異の有無別のウイルス力価の推移 (平均値±標準偏差)

インフルエンザウイルス感染症の発症抑制効果の検証を目的とした国内第Ⅲ相臨床試験において、本剤群374例中、予防投与前後に63例でインフルエンザウイルスが検出され、このうち投与後に10例でI38のアミノ酸変異ウイルス(A型インフルエンザウイルス感染症患者)が認められた。年齢別では、12歳以上では、本剤群303例中、予防投与前後に46例でインフルエンザウイルスが検出され、このうち投与後に7例でI38のアミノ酸変異ウイルスが認められた。12歳未満では、本剤群71例注5)中、予防投与前後に17例注5)でインフルエンザウイルスが検出され、このうち投与後に3例注6)でI38のアミノ酸変異ウイルスが認められた。12歳未満の体重別では、体重40kg以上では本剤群4例中、予防投与前後にインフルエンザウイルスが検出された症例はなかったが、体重20kg以上40kg未満では本剤群48例中、予防投与前後に10例でインフルエンザウイルスが検出され、このうち投与後に2例でI38のアミノ酸変異ウイルスが認められた。体重10kg以上20kg未満では本剤群19例注6)中、予防投与前後に7例注6)でインフルエンザウイルスが検出され、このうち投与後に1例注6)でI38のアミノ酸変異ウイルスが認められた22)。

注5)体重20kg未満の小児を含む。予防に関しては体重20㎏以上の小児の用法・用量が承認されている。

注6)予防に関しては体重20㎏以上の小児の用法・用量が承認されている。

成人及び12歳以上の小児を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験において、本剤が投与された患者で、投与前後に塩基配列解析が可能であった370例中2例にバロキサビル マルボキシル活性体の結合標的部位であるポリメラーゼ酸性蛋白質領域のE23のアミノ酸変異が認められた。ハイリスク因子を有する患者を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験において、同様に290例中1例にE23のアミノ酸変異が認められた。12歳未満の小児を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験では、本剤が投与された患者で、投与前後に塩基配列解析が可能であった77例中にE23のアミノ酸変異は認められなかった。 インフルエンザウイルス感染症の発症抑制効果の検証を目的とした国内第Ⅲ相臨床試験において、本剤群374例注7)中、予防投与前後に63例注8)でインフルエンザウイルスが検出され、このうち5例注9)でE23のアミノ酸変異ウイルスが認められた22)。

注7)体重20kg未満の小児19例を含む。予防に関しては体重20㎏以上の小児の用法・用量が承認されている。

注8)体重20kg未満の小児7例を含む。予防に関しては体重20㎏以上の小児の用法・用量が承認されている。

注9)体重20kg未満の小児1例を含む。予防に関しては体重20㎏以上の小児の用法・用量が承認されている。

  1. 18.3.2非臨床試験

A型及びB型インフルエンザウイルス実験室分離株を用いたin vitro耐性分離試験において、A型ウイルス株では、バロキサビル マルボキシル活性体に対する感受性が親株と比較して最大で約100倍低下したウイルス株が得られ、これらの株では、I38Tのアミノ酸変異が認められた23)。なお、フェレットにおいて野生型ウイルスとの競合条件下でI38Tのアミノ酸変異ウイルスの増殖性及び伝播性は野生型を上回らないことが認められた24)。一方、B型ウイルス株では、アミノ酸変異は分離されなかった23)。 また、リバースジェネティクス法により組み換えたA型インフルエンザウイルス株を用いたin vitro試験において、I38のアミノ酸変異は、バロキサビル マルボキシル活性体に対する感受性を最大で約50倍、E23のアミノ酸変異は、バロキサビル マルボキシル活性体に対する感受性を最大で約5.5倍低下させた22)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.165歳未満の成人患者及び12歳以上の小児患者

12歳以上65歳未満の患者及び健康成人1109例から得られたバロキサビル マルボキシル活性体の血漿中濃度データ(8310ポイント)を用いて母集団薬物動態解析を行った。この母集団薬物動態解析の結果を基に、国際共同第Ⅲ相臨床試験(体重80kg未満は40mg、80kg以上は80mgを単回経口投与)における日本人患者343例の薬物動態パラメータ推定値を表16-1に示す6)。

投与量 (体重) 例数 体重※1
(kg)
Cmax※2
(ng/mL)
AUC0-inf※2
(ng・hr/mL)
40mg (80kg未満) 309 59.1±9.62 102
(23.9-244)
6598
(2186-14690)
80mg (80kg以上) 34 88.8±7.64 126
(33.3-243)
9949
(4122-18330)

※1:平均値±標準偏差

※2:ベイジアン推定による平均値(最小値-最大値)

  1. 16.1.212歳未満の小児患者

12歳未満の小児患者(137例)にバロキサビル マルボキシルを体重に応じて1mg/kg又は10~40mg単回経口投与したときのバロキサビル マルボキシル活性体の血漿中濃度推移を図16-1に示す。 バロキサビル マルボキシル活性体の血漿中濃度データ(432ポイント)を用いて母集団薬物動態解析を行い、得られた薬物動態パラメータ推定値を表16-2に示す6)。

投与量 (体重) 製剤 例数 体重※1
(kg)
Cmax※2
(ng/mL)
AUC0-inf※2
(ng・hr/mL)
40mg (40kg以上) 20mg錠 8 45.8±3.80 100
(60.7-125)
6784
(5638-9035)
20mg (20kg以上
40kg未満)
20mg錠
又は
10mg錠
66 27.3±4.98 89.2
(41.8-131)
4960
(2627-7876)
10mg (10kg以上
20kg未満)
10mg錠 31 16.3±2.04 70.0
(45.8-102)
3441
(2297-5255)
10mg (10kg以上
20kg未満)
2%顆粒 20 14.5±2.82 91.9
(61.4-131)
4247
(2508-5770)
1mg/kg
(10kg未満)
2%顆粒 12 8.0±1.45 122
(76.5-147)
4929
(3482-6717)

※1:平均値±標準偏差

※2:ベイジアン推定による平均値(最小値-最大値)。なお最終モデルはバロキサビル マルボキシル5mg投与例の血漿中濃度データ(5kg以上10kg未満の2例、6ポイント)を含めて構築された。

  1. 16.1.365歳以上の高齢患者

16.1.1に示した母集団薬物動態解析の結果を基に、ハイリスク因子を有する患者を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験(体重80kg未満は40mg、80kg以上は80mgを投与)における65歳以上の日本人患者58例の薬物動態パラメータ推定値を表16-3に示す6)。

投与量 (体重) 例数 体重※1
(kg)
Cmax※2
(ng/mL)
AUC0-inf※2
(ng・hr/mL)
40mg (80kg未満) 52 60.6±10.7 110
(24.8-355)
6852
(2379-15340)
80mg (80kg以上) 6 85.3±4.17 136
(40.5-204)
10420
(4804-15610)

※1:平均値±標準偏差

※2:ベイジアン推定による平均値(最小値-最大値)

  1. 16.1.4生物学的同等性

健康成人においてゾフルーザ錠20mgを1錠又は顆粒を1g(バロキサビル マルボキシルとして20mg)をクロスオーバー法にて空腹時に単回経口投与し、薬物動態を比較したときのバロキサビル マルボキシル活性体の薬物動態パラメータを表16-4に示す。Cmax及びAUCの対数の平均値の差について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された7)。

剤形 例数 Cmax※1
(ng/mL)
Tmax※2
(hr)
AUC0-last※1
(ng・hr/mL)
T1/2※1
(hr)
20mg錠 28 44.2±16.0 4(1-5) 3000±725.4 102±17.9
顆粒 27 40.2±12.2 4(2-6) 2952±745.2 101±17.1

※1:平均値±標準偏差

※2:中央値(最小値-最大値)

16.2 吸収

健康成人男性に、バロキサビル マルボキシル40mgを空腹時(14例)又は普通食摂取後(14例)に単回経口投与したときのバロキサビル マルボキシル活性体の薬物動態パラメータを表16-5に、平均血漿中濃度推移を図16-2に示す。空腹時投与と比べ食後投与でバロキサビル マルボキシル活性体のCmaxは48%、AUCは36%減少した。Tmaxの中央値はいずれも4時間であった6)。

投与量 食事条件 例数 Cmax※1
(ng/mL)
Tmax※2
(hr)
AUC0-inf※1
(ng・hr/mL)
T1/2,z※1
(hr)
40mg 空腹時 14 133±26.3 4 (3-5) 7206±1325 95.8±18.2
40mg 食後 14 72.5±28.3 4 (0.5-5) 4846±1814 99.6±19.6

※1:平均値±標準偏差

※2:中央値(最小値-最大値)

16.3 分布

In vitro試験の結果、バロキサビル マルボキシル活性体のヒト血清蛋白結合率は92.9~93.9%、ヒト血球移行率は48.5~54.4%であった8)。

16.4 代謝

  1. 16.4.1バロキサビル マルボキシルは小腸、血液、肝臓中のエステラーゼによって速やかにバロキサビル マルボキシル活性体に加水分解され、血漿中にはバロキサビル マルボキシルはほとんど検出されなかった6)。

  2. 16.4.2健康成人男性6例に[14C]-バロキサビル マルボキシルを空腹時単回経口投与したとき、血漿中では主にバロキサビル マルボキシル活性体が検出され、その他、バロキサビル マルボキシル活性体のグルクロン酸抱合体及び酸化体が検出された6)(外国人データ)。

  3. 16.4.3In vitro代謝試験の結果、バロキサビル マルボキシル活性体はUGT1A3によりグルクロン酸抱合体に代謝され、CYP3Aによりスルホキシド体に代謝されると推定された9)。

16.5 排泄

健康成人男性6例に[14C]-バロキサビル マルボキシル40mgを空腹時単回経口投与したとき、投与された放射能の80%及び14.7%がそれぞれ糞中及び尿中へ排泄された。投与量の48.7%が糞中に、3.28%が尿中にバロキサビル マルボキシル活性体として排泄された6)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害患者

中等度肝機能障害患者(Child-Pugh分類B)及び肝機能正常者各8例にバロキサビル マルボキシル40mgを空腹時単回経口投与したとき、中等度肝機能障害患者でのバロキサビル マルボキシル活性体のCmax及びAUC0-infは、肝機能正常者のそれぞれ0.80倍及び1.1倍であった6)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1In vitro試験

バロキサビル マルボキシルはCYP2B6、CYP2C8及びCYP3Aを、バロキサビル マルボキシル活性体はCYP2B6及びCYP3Aを濃度依存的に弱く阻害した10)。また、バロキサビル マルボキシルはP-糖蛋白を阻害し、バロキサビル マルボキシル活性体はP-糖蛋白及びBCRPを阻害した。バロキサビル マルボキシル及びその活性体はP-糖蛋白の基質であった11)。

  1. 16.7.2臨床試験

健康成人を対象に薬物相互作用を検討した。バロキサビル マルボキシル活性体の薬物動態に及ぼす併用薬の影響を表16-6に、併用薬の薬物動態に及ぼすバロキサビル マルボキシルの影響を表16-7に示す12)(外国人データ)。

併用薬 用法・用量 例数 バロキサビル マルボキシル活性体の薬物動態パラメータの比
[90%信頼区間]
(併用投与/単独投与)
併用薬 本剤 Cmax AUC0-inf
イトラコナゾール
(P-糖蛋白阻害剤)
200mg※1
1日1回
20mg※1
単回
12 1.33
[1.14, 1.55]
1.23
[1.09, 1.38]
プロベネシド
(UGT阻害剤)
500mg※2
1日2回
80mg※2
単回
12 0.79
[0.65, 0.96]
0.75
[0.66, 0.86]

※1:イトラコナゾール200mgを1日1回(1日目は2回)19日間反復投与し、投与5日目にバロキサビル マルボキシル20mg空腹時単回投与を併用

※2:プロベネシド500mgを1日2回18日間反復投与し、投与4日目にバロキサビル マルボキシル80mg空腹時単回投与を併用

併用薬 用法・用量 例数 併用薬の薬物動態パラメータの比
[90%信頼区間]
(併用投与/単独投与)
併用薬 本剤 Cmax AUC0-inf
ミダゾラム
(CYP3A基質)
5mg
単回
40mg
単回
12 1.00
[0.92, 1.09]
0.99
[0.94, 1.04]
ジゴキシン
(P-糖蛋白基質)
0.25mg
単回
80mg
単回
12 1.00
[0.81, 1.23]
0.86
[0.73, 1.01]
ロスバスタチン
(BCRP基質)
10mg
単回
80mg
単回
12 0.82
[0.69, 0.98]
0.83
[0.72, 0.96]