全身麻酔の維持
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
-
2.1本剤又は他のハロゲン化麻酔剤に対する過敏症の既往歴のある患者
-
2.2悪性高熱の既往歴又は血族に悪性高熱の既往歴のある患者[悪性高熱があらわれやすいとの報告がある。]
効能・効果
用法・用量
通常、成人には、デスフルランとして3.0%の濃度で開始し、適切な麻酔深度が得られるよう患者の全身状態を観察しながら、濃度を調節する。通常、成人では、亜酸化窒素の併用の有無にかかわらず、デスフルランとして7.6%以下の濃度で外科的手術に適切な麻酔深度が得られる。
使用上の注意
-
8.1本剤の使用に際しては、麻酔技術に熟練した医師が、専任で患者の全身状態を注意深く監視すること。
-
8.2本剤投与中は気道を確保し、血圧及び心拍数の変動に注意して呼吸・循環に対する観察・対応を怠らないこと。
-
8.3麻酔の深度は手術、検査に必要な最低の深さにとどめること。
-
8.4麻酔の影響が完全に消失するまでは、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
9.1 合併症・既往歴等のある患者
- 9.1.1脳に器質的障害のある患者
脳脊髄液圧を用量依存的に増加させるおそれがある。
- 9.1.2冠状動脈疾患のある患者
十分な観察を行い、本剤の急激な増量を避けること。心拍数増加や血圧上昇をきたすことがある。
- 9.1.3心疾患及び心電図異常のある患者
心停止、高度徐脈、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)、心室細動があらわれるおそれがある。
- 9.1.4胆道疾患のある患者
胆道疾患が増悪するおそれがある。
- 9.1.5筋ジストロフィーのある患者
悪性高熱、重篤な不整脈に至る高カリウム血症があらわれるおそれがある。
- 9.1.6スキサメトニウム塩化物水和物の静脈内投与により筋硬直がみられた患者
悪性高熱、重篤な不整脈に至る高カリウム血症があらわれるおそれがある。
9.3 肝機能障害患者
肝疾患が増悪するおそれがある。
9.5 妊婦
-
9.5.1妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
-
9.5.2産科麻酔に用いる場合には、観察を十分に行い慎重に投与すること。子宮筋を弛緩させる可能性がある。
9.6 授乳婦
- 9.6.1治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
9.7 小児等
-
9.7.1小児等を対象とした国内臨床試験は実施していない。
-
9.7.2海外臨床試験において、幼児(6歳以下)のフェイスマスク又はラリンジアルマスクを用いた麻酔の維持に本剤を用いた場合、咳嗽、喉頭痙攣、分泌亢進等の呼吸器系の副作用が多く認められ、特に深麻酔下でラリンジアルマスクを抜去した場合にこれらの副作用があらわれやすいと報告されている。
9.8 高齢者
生理機能が低下していることが多く、副作用が発現しやすい。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| アドレナリン製剤 (アドレナリン、ノルアドレナリン等) |
頻脈、不整脈、場合によっては心停止を起こすことがある。 本剤麻酔中、7.0μg/kg未満のアドレナリンを投与しても3回以上持続する心室性期外収縮は誘発されなかったが、7.0~13.0μg/kgのアドレナリンを投与した場合、50%(6/12例)の症例に3回以上持続する心室性期外収縮が誘発された1)。アドレナリン7.0μg/kgは60kgのヒトの場合、20万倍希釈アドレナリン含有溶液84mLに相当する。 |
本剤が心筋のアドレナリンに対する感受性を亢進することが知られている。 |
| 中枢神経系抑制剤 (ベンゾジアゼピン系薬剤、オピオイド鎮痛剤等) |
本剤の麻酔作用が増強され、血圧低下や心拍数減少等をきたすおそれがあるため、これらの薬剤を併用する場合には、本剤の減量を考慮すること。 | 相加的に作用を増強させると考えられる。 |
| 筋弛緩剤 (パンクロニウム臭化物、ベクロニウム臭化物、スキサメトニウム塩化物水和物等) |
筋弛緩剤の作用が増強するので、併用する場合には、筋弛緩剤を減量すること。 | 本剤は筋弛緩剤の作用を増強する。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| ALP増加 | 頻度不明 |
| ALT増加 | 頻度不明 |
| AST増加 | 頻度不明 |
| CK増加 | 頻度不明 |
| LDH増加 | 頻度不明 |
| γ-GTP増加 | 頻度不明 |
| アンモニア増加 | 頻度不明 |
| せん妄 | 頻度不明 |
| ビリルビン増加 | 頻度不明 |
| 上室性不整脈 | 1%未満 |
| 上室性期外収縮 | 1%未満 |
| 不整脈 | 頻度不明 |
| 代謝性アシドーシス | 頻度不明 |
| 低カリウム血症 | 頻度不明 |
| 低血圧 | 頻度不明 |
| 低酸素症 | 頻度不明 |
| 倦怠感 | 頻度不明 |
| 凝固検査異常 | 頻度不明 |
| 凝血異常 | 頻度不明 |
| 出血 | 頻度不明 |
| 呼吸不全 | 頻度不明 |
| 呼吸停止 | 頻度不明 |
| 呼吸窮迫 | 頻度不明 |
| 咳嗽 | 頻度不明 |
| 咽頭炎 | 頻度不明 |
| 喀血 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 完全房室ブロック | 1%未満 |
| 尿糖 | 頻度不明 |
| 尿蛋白陽性 | 頻度不明 |
| 徐脈 | 頻度不明 |
| 心室不全 | 頻度不明 |
| 心室壁運動低下 | 頻度不明 |
| 心室性期外収縮 | 1%未満 |
| 心拍数増加 | 頻度不明 |
| 心拍数減少 | 頻度不明 |
| 心筋梗塞 | 頻度不明 |
| 心筋虚血 | 頻度不明 |
| 心電図ST-T変化 | 頻度不明 |
| 心電図T波逆転 | 頻度不明 |
| 心電図異常 | 頻度不明 |
| 急性膵炎 | 頻度不明 |
| 息こらえ | 頻度不明 |
| 悪寒 | 頻度不明 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 悪性高血圧 | 頻度不明 |
| 気管支痙攣 | 頻度不明 |
| 洞性不整脈 | 1%未満 |
| 洞性頻脈 | 1%未満 |
| 流涎過多 | 頻度不明 |
| 浮動性めまい | 頻度不明 |
| 激越 | 頻度不明 |
| 無力症 | 頻度不明 |
| 無呼吸 | 頻度不明 |
| 痙攣 | 頻度不明 |
| 筋肉痛 | 頻度不明 |
| 紅斑 | 頻度不明 |
| 結節性不整脈 | 頻度不明 |
| 結膜炎 | 頻度不明 |
| 肝機能異常 | 頻度不明 |
| 胆汁うっ滞 | 頻度不明 |
| 脚ブロック | 1%未満 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 蕁麻疹 | 頻度不明 |
| 血圧低下 | 頻度不明 |
| 血管拡張 | 頻度不明 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 頻脈 | 1%未満 |
| 高血圧 | 頻度不明 |
| 黄疸眼 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
デスフルランは、肺胞より吸収されて血液へ移行し、作用部位である中枢で麻酔作用を発現する。ただし、その麻酔作用の発現機序は完全に解明されていない。
18.2 麻酔作用
デスフルランのヒトでのMAC(Minimum Alveolar Concentration:最小肺胞濃度;標準的な外科的切開が行われたときに50%の患者に体動が認められないときの濃度)は以下のとおりである。
| 年齢 | 例数注2) | 100%酸素併用下(%) | 例数注2) | 60%亜酸化窒素/40%酸素併用下(%) |
|---|---|---|---|---|
| 9ヵ月6) | 4 | 10.0±0.7 | 5 | 7.5±0.8 |
| 4歳6) | 4 | 8.6±0.6 | ||
| 25歳7) | 4 | 7.3±0.0 | 4 | 4.0±0.3 |
| 45歳7) | 4 | 6.0±0.3 | 6 | 2.8±0.6 |
| 70歳8) | 6 | 5.2±0.6 | 6 | 1.7±0.4 |
平均値±標準偏差
注2)体動なし/体動ありのクロスオーバーの例数(up and down法にて測定)
18.3 神経系への影響
健康成人に本剤6~12%を吸入させたときの脳波変化は、6%で徐波化の亢進、9%で群発抑制が認められたが、12%で更なる群発活性の徐波化は認められなかった。また、皮質の電気活動が濃度依存的に低下したが、てんかん様脳波は認められなかった9)。
18.4 呼吸器系、循環器系への影響
健康成人に本剤6~12%を吸入させたとき、心拍数の増大が認められ、血圧の低下、呼吸数の増加及び1回換気量の低下が濃度依存的に認められた10)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1日本人における薬物動態
日本人手術患者6例にデスフルラン6.0%を30分間吸入したとき、FA/FI(吸入濃度に対する終末呼気濃度の割合、平均値)は、吸入開始3分後では0.702、吸入開始30分後では0.890に達した。また、FA/FA0(吸入中の最終終末呼気濃度に対する終末呼気濃度の割合、平均値)は、吸入終了5分後では0.169、吸入終了30分後では0であった。また、血中デスフルラン濃度は終末呼気濃度(FA)とほぼ同様の推移を示し、吸入開始3分後にCmaxの8割程度に上昇し、その後は一定で推移した2)。
日本人におけるデスフルランの吸入開始後のFA/FIの推移日本人におけるデスフルランの吸入終了後のFA/FA0の推移日本人におけるデスフルランの吸入開始から手術終了時までのFA及び血中濃度の推移
- 16.1.2外国人における薬物動態
外国健康成人8例に70%亜酸化窒素を30分間吸入後、65%亜酸化窒素併用下でデスフルラン2.0%、イソフルラン0.4%及びハロタン0.2%を30分間吸入したとき、吸入開始30分後のFA/FI(吸入濃度に対する終末呼気濃度の割合、平均値)は、デスフルラン0.91、イソフルラン0.74、ハロタン0.58であり、デスフルランではイソフルラン及びハロタンと比べて高かった。また、吸入終了5分後のFA/FA0(吸入中の最終終末呼気濃度に対する終末呼気濃度の割合、平均値)は、デスフルラン0.12、イソフルラン0.22、ハロタン0.25であり、デスフルランではイソフルラン及びハロタンと比較して低かった3)。
16.4 代謝
デスフルランはほとんど代謝を受けずに呼気中に排泄される4)。
16.5 排泄
デスフルランはほとんど代謝を受けずに呼気中に排泄される4)。