Clinical snapshot

スニチニブ錠12.5mg「NK」

スニチニブリンゴ酸塩

添付文書改訂 2025年07月01日

【警告】

  1. 1.1本剤の投与にあたっては、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

  2. 1.2心不全等の重篤な心障害があらわれ、死亡に至った例も報告されているので、必ず本剤投与開始前には、患者の心機能を確認すること。また、本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行い患者の状態(左室駆出率の変動を含む)を十分に観察すること。

  3. 1.3可逆性後白質脳症症候群(RPLS)があらわれることがある。RPLSが疑われた場合は、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

  • イマチニブ抵抗性の消化管間質腫瘍

  • 根治切除不能又は転移性の腎細胞癌

用法・用量

通常、成人にはスニチニブとして1日1回50mgを4週間連日経口投与し、その後2週間休薬する。これを1コースとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

使用上の注意

  1. 8.1骨髄抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、各投与コース開始前を含め定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

  2. 8.2高血圧があらわれることがあるので、投与期間中は定期的に血圧を測定し、必要に応じて適切な処置を行うこと。

  3. 8.3腫瘍変性・縮小に伴う出血があらわれることがあるので、十分に観察を行い、定期的検査において血液検査(ヘモグロビン)等を実施すること。

  4. 8.4脳転移を有する患者で脳出血があらわれることがあるので、脳転移を疑う症状がなく、本剤の投与が開始された患者においても、患者を慎重に観察し、神経学的異常が疑われた場合には脳転移及び脳出血の可能性を考慮して、本剤の投与中止を含めて適切な措置を行うこと。

  5. 8.5心不全、左室駆出率低下があらわれることがあるので、以下の点に注意すること。

  6. 8.5.1本剤の投与開始前に心疾患のリスクについて、左室駆出率の測定等により確認すること。心疾患のリスクのある患者に本剤を投与する場合には、うっ血性心不全の徴候及び症状について綿密な観察を行うこと。

  7. 8.5.2左室駆出率の低下が認められた症例の多くは、第2コースまでに発現が認められていることから、投与初期から経胸壁心エコー図検査等の心機能検査を適宜行うこと。

  8. 8.6血清アミラーゼや血清リパーゼの上昇があらわれることがあるため、本剤投与中は定期的に膵酵素を含む検査を行うこと。

  9. 8.7甲状腺機能障害(低下症又は亢進症)があらわれることがあるので、本剤の投与開始前に甲状腺機能の検査を行うこと。

  10. 8.8肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。

  11. 8.9毛髪又は皮膚の色素脱失又は変色があらわれることがあるので、本剤を投与する場合にはその内容を適切に患者に説明すること。また、皮膚の乾燥、肥厚又はひび割れ、手掌及び足底の水疱又は発疹などがあらわれることがあるので、十分に観察を行い異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。必要に応じて患者に皮膚科受診等を指導すること。

  12. 8.10創傷治癒を遅らせる可能性があるため、手術時は投与を中断することが望ましい。手術後の投与再開は患者の状態に応じて判断すること。

  13. 8.11めまい、傾眠、意識消失等があらわれることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。

  14. 8.12ネフローゼ症候群があらわれることがあるので、本剤投与開始前に尿検査を行うことが望ましい。本剤投与中も、尿蛋白等の観察を十分に行うこと。

  15. 8.13腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1イマチニブに忍容性のない消化管間質腫瘍患者

慎重に経過観察を行い、副作用発現に注意すること。本剤に対する忍容性がないおそれがある。

  1. 9.1.2骨髄抑制のある患者

骨髄抑制が増悪するおそれがある。

  1. 9.1.3高血圧の患者

高血圧が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.4QT間隔延長又はその既往歴のある患者

治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。QT間隔延長が悪化もしくは再発するおそれがある。

  1. 9.1.5不整脈につながる心疾患、徐脈もしくは電解質異常の既往歴のある患者

Torsade de pointesを含む心室性不整脈が起こるおそれがある。

  1. 9.1.6心疾患又はその既往歴のある患者

心疾患が悪化もしくは再発するおそれがある。

  1. 9.1.7脳血管障害又はその既往歴のある患者

脳血管障害が悪化もしくは再発するおそれがある。

  1. 9.1.8肺塞栓症又はその既往歴のある患者

肺塞栓症が悪化もしくは再発するおそれがある。

  1. 9.1.9肺に腫瘍のある患者

生命を脅かす重症の喀血又は肺出血が起こるおそれがある。

  1. 9.1.10脳転移を有する患者

脳出血又はてんかん様発作があらわれるおそれがある。

  1. 9.1.11甲状腺機能障害のある患者

投与開始前に適切な処置を行うこと。症状が悪化するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1重度の肝障害(Child-Pugh分類C)のある患者

これらの患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.4 生殖能を有する者

妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット及びウサギ)で、胚・胎児死亡及び奇形の発生が報告されている1)。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)において、スニチニブ又はその代謝物が乳汁中へ移行することが報告されている2)。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

注意して投与すること。一般に高齢者では、生理機能が低下していることが多い。

相互作用

  • 本剤は主にCYP3A4で代謝される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
CYP3A4阻害剤
• アゾール系抗真菌剤
(イトラコナゾール等)
マクロライド系抗生物質
(クラリスロマイシン等)
HIVプロテアーゼ阻害剤
(リトナビル等)グレープフルーツジュース
本剤の血中濃度が上昇する可能性があるので、これらの薬剤等については可能な限り他の類薬に変更する、又は当該薬剤を休薬する等を考慮し、併用は可能な限り避けること。やむを得ず併用する場合には、本剤の用量を減量するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。 これらの薬剤等がCYP3A4の代謝活性を阻害するため、本剤の血漿中濃度が上昇する可能性がある。
CYP3A4誘導剤
• デキサメタゾン
フェニトイン
カルバマゼピン
リファンピシン
フェノバルビタール等セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
本剤の血中濃度が低下する可能性があり、本剤の有効性が減弱する可能性があることを考慮すること。これらの薬剤等については可能な限り他の類薬に変更する、又は当該薬剤を休薬する等を考慮し、併用は可能な限り避けること。 これらの薬剤等がCYP3A4の代謝活性を誘導するため、本剤の血漿中濃度が低下する可能性がある。
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤
• イミプラミン塩酸塩
ピモジド等
QT間隔延長、心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)等の重篤な副作用を起こすおそれがある。 本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあるため、併用により作用が増強するおそれがある。
抗不整脈薬
• キニジン硫酸塩水和物
プロカインアミド塩酸塩
ジソピラミド
ソタロール塩酸塩等
QT間隔延長、心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)等の重篤な副作用を起こすおそれがある。 本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあるため、併用により作用が増強するおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP増加 頻度不明
BUN増加 頻度不明
CK増加 頻度不明
CRP増加 1%未満
LDH増加 頻度不明
PO2低下 1%未満
TSH増加 頻度不明
TSH減少 1%未満
アルカローシス 1%未満
ウイルス感染 頻度不明
エストラジオール増加 1%未満
おくび 頻度不明
グリコヘモグロビン増加 1%未満
ざ瘡 頻度不明
しびれ感 頻度不明
しゃっくり 1%未満
そう痒症 頻度不明
テタニー 1%未満
ニューロパシー 頻度不明
ほてり 頻度不明
めまい 頻度不明
リパーゼ増加 頻度不明
リンパ球数減少 頻度不明
一酸化炭素拡散能減少 1%未満
上室性不整脈 1%未満
上気道炎 頻度不明
下痢(55.5) 頻度不明
不安 頻度不明
不眠症 頻度不明
不規則月経 1%未満
低アルブミン血症 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低カルシウム血症 頻度不明
低クロール血症 1%未満
低ナトリウム血症 頻度不明
低マグネシウム血症 1%未満
低リン酸血症 頻度不明
低蛋白血症 頻度不明
低血糖症 頻度不明
低酸素症 1%未満
体重増加 頻度不明
体重減少 頻度不明
便秘(13.0) 頻度不明
倦怠感 頻度不明
傾眠 1%未満
光視症 1%未満
創傷治癒遅延 1%未満
創合併症 1%未満
努力呼気量減少 1%未満
動悸 1%未満
単球数減少 1%未満
口のしびれ感 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎(39.5) 頻度不明
口唇乾燥 頻度不明
口唇炎 頻度不明
口渇 1%未満
口腔内浮腫 1%未満
口腔感染 頻度不明
味覚消失 頻度不明
味覚異常(37.5) 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
唾液分泌低下 1%未満
嗜眠 頻度不明
嘔吐(29.0) 頻度不明
嚥下障害 頻度不明
回転性めまい 1%未満
壊疽性膿皮症 頻度不明
変色便 1%未満
多汗症 頻度不明
好酸球数増加 1%未満
尿路感染 1%未満
平衡障害 1%未満
徐脈 1%未満
心嚢液貯留 1%未満
心房細動 1%未満
心筋梗塞 1%未満
心筋症 1%未満
思考力低下 1%未満
性器潰瘍 1%未満
悪寒 頻度不明
悪心(46.8) 頻度不明
意識消失 1%未満
感染性腸炎 1%未満
手足症候群(31.2) 頻度不明
抑うつ気分 頻度不明
振戦 頻度不明
排尿困難 頻度不明
握力低下 1%未満
月経遅延 1%未満
月経過多 1%未満
歯周炎 頻度不明
歯痛 1%未満
歯瘻 1%未満
歯肉炎 頻度不明
歯肉萎縮 1%未満
毛包炎 頻度不明
毛髪変色(17.2) 頻度不明
毛髪色素脱失 1%未満
気管支炎 1%未満
水疱 頻度不明
水腎症 1%未満
流涙増加 頻度不明
浮腫(16.3) 頻度不明
消化不良(26.9) 頻度不明
消化管潰瘍 頻度不明
涙腺刺激症状 1%未満
深径覚の変化 1%未満
湿性咳嗽 1%未満
湿疹 頻度不明
無力症(15.5) 頻度不明
熱感 頻度不明
爪の異常 頻度不明
爪囲炎 1%未満
爪変色 頻度不明
爪甲脱落症 1%未満
甲状腺炎 1%未満
異常感 1%未満
疲労(54.6) 頻度不明
疼痛 頻度不明
痔核 頻度不明
痔瘻 1%未満
発声障害 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹(26.5) 頻度不明
白内障 1%未満
皮下結節 1%未満
皮膚びらん 1%未満
皮膚乾燥(15.6) 頻度不明
皮膚剥脱 頻度不明
皮膚変色(32.4) 頻度不明
皮膚炎 頻度不明
皮膚疼痛 頻度不明
皮膚病変 頻度不明
皮膚色素脱失 1%未満
皮膚障害 頻度不明
真菌感染 頻度不明
眼の異物感 1%未満
眼乾燥 1%未満
眼球浮腫 頻度不明
眼瞼炎 1%未満
眼脂 1%未満
着色尿 頻度不明
睫毛変色 1%未満
知覚過敏 頻度不明
硬結 1%未満
筋力低下 頻度不明
筋痙縮 頻度不明
筋痛 頻度不明
筋硬直 1%未満
筋緊張 1%未満
筋骨格痛(19.0) 頻度不明
粘膜乾燥 1%未満
粘膜炎(19.9) 頻度不明
糖尿病悪化 1%未満
紅斑(10.5) 頻度不明
紫斑 頻度不明
結膜炎 頻度不明
耳介腫脹 1%未満
耳部感染 1%未満
耳鳴 1%未満
肛門潰瘍等] 頻度不明
肛門直腸障害[肛門炎 頻度不明
肺水腫 1%未満
肺炎 1%未満
胃炎 頻度不明
胃腸炎 1%未満
胃腸障害 1%未満
胃酸過多 1%未満
胸水 頻度不明
胸痛 頻度不明
胸部不快感 1%未満
脂肪肝 1%未満
脱毛症(10.4) 頻度不明
脱水 頻度不明
腎機能障害 1%未満
腹水 頻度不明
腹痛(16.2) 頻度不明
腹部不快感 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
膿尿 1%未満
舌炎(11.5) 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
蛋白尿 頻度不明
蜂巣炎 1%未満
血中アミラーゼ減少 1%未満
血中エリスロポエチン増加 1%未満
血中クレアチニン増加 頻度不明
血中クレアチニン減少 1%未満
血中クレアチン増加 1%未満
血中トリグリセリド増加 1%未満
血中二酸化炭素増加 1%未満
血尿 頻度不明
血管拡張 1%未満
血胸 1%未満
被角血管腫 1%未満
視覚障害 頻度不明
記憶障害 頻度不明
認知障害 1%未満
逆流性食道炎 頻度不明
遊離T3減少 1%未満
過敏症 頻度不明
過角化 頻度不明
錯感覚 頻度不明
関節炎 1%未満
関節痛 頻度不明
関節腫脹 1%未満
霧視 頻度不明
頭痛(17.1) 頻度不明
頻尿 頻度不明
頻脈 1%未満
顔面浮腫(13.8) 頻度不明
食欲不振(37.4) 頻度不明
食道炎 頻度不明
骨痛 頻度不明
高アミラーゼ血症 頻度不明
高カリウム血症 頻度不明
高カルシウム血症 頻度不明
高コレステロール血症 1%未満
高ナトリウム血症 1%未満
高リン酸塩血症 1%未満
高尿酸血症 頻度不明
高脂血症 1%未満
高血糖 頻度不明
麦粒腫 1%未満
黄斑浮腫 1%未満
鼓腸 頻度不明
鼡径部痛 1%未満
鼻乾燥 頻度不明
鼻浮腫 1%未満
鼻炎 頻度不明
鼻痛 頻度不明
齲歯 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

In vitroの試験において、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR-α及びPDGFR-β)、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR-1、VEGFR-2及びVEGFR-3)、幹細胞因子受容体(KIT)、fms様チロシンキナーゼ3(FLT3)、コロニー刺激因子-1受容体(CSF-1R)及びグリア細胞由来神経栄養因子受容体(RET)の受容体チロシンキナーゼ活性を阻害した。また、in vivoの腫瘍においてもPDGFR-β、VEGFR-2、KIT及びFLT3のリン酸化を阻害した26)。

18.2 抗腫瘍効果

ヒト腫瘍異種移植、マウス同系白血病、トランスジェニックマウス、及び化学発癌の各げっ歯類腫瘍モデルにおいて腫瘍増殖阻害、腫瘍の退縮の効果を示した26)。

18.3 血管新生阻害効果

In vitroにおいて、VEGFによる血管内皮細胞の増殖及び内皮細胞による血管発芽を阻害した。また、ヒト腫瘍異種移植ヌードマウス及びヒト新生児包皮を移植したSCIDマウスにおいて、移植部位における血管新生を阻害した26)。

18.4 代謝物の薬理作用

In vitroの試験において、無細胞系又は細胞系におけるVEGFR-2、PDGFR-β及びKITのリン酸化に対するスニチニブ及び主要代謝物(N-脱エチル体)のKi値又はIC50値はそれぞれ3~13nmol/L及び2~20nmol/L、VEGFR-2、PDGFR-α又はPDGFR-βを発現した細胞の増殖に対するIC50値はそれぞれ4~69nmol/L及び20~100nmol/Lであった26)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人男性12例にスニチニブリンゴ酸塩カプセル50mgを単回経口投与した時、スニチニブは緩徐に吸収され、最高血漿中濃度(Cmax)到達時間(tmax)は7.5時間(中央値)であった。スニチニブ及び活性代謝物(N-脱エチル体)のCmax(平均値)はそれぞれ33.4ng/mL及び7.32ng/mLであり、血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-∞)はそれぞれ1396ng・h/mL及び692ng・h/mLであった。また、スニチニブ及びN-脱エチル体の消失半減期(平均値)はそれぞれ49.5時間及び75.3時間であった7)。

  1. 16.1.2反復投与

消化管間質腫瘍患者9例にスニチニブリンゴ酸塩カプセル25mg注1)又は50mgを1日1回反復経口投与したとき、投与1日目及び28日目におけるスニチニブ及びN-脱エチル体のCmax及びAUC0-24のいずれも用量にほぼ比例して増加した。スニチニブ及びN-脱エチル体の血漿中濃度はそれぞれ投与7~14日目及び14~21日目までに定常状態に達し、28日目におけるAUC0-24はそれぞれ初回投与の約4倍及び11倍であった8)。

投与日 投与量
(mg)
スニチニブ N-脱エチル体
Cmax
(ng/mL)
AUC0-24
(ng・h/mL)
Tmaxa)
(h)
Cmax
(ng/mL)
AUC0-24
(ng・h/mL)
Tmaxa)
(h)
1日目 25(3例) 12.1±4.9 199±89 6(4,8) 1.96±1.27 30.9±20.6 6(4,8)
50(6例) 22.8±6.4 374±69 7(6,24) 4.13±0.93 70.0±14.4 9(6,24)
28日目 25(3例) 39.5±25.0 858±600 10(6,10) 15.2±10.2 324±223 4(2,8)
50(6例) 69.3±18.9 1406±364 6(1,24) 38.8±16.0 772±358 2.5(0,48)

a)中央値(範囲)

  1. 16.1.3生物学的同等性試験

スニチニブ錠12.5mg「NK」とスーテントカプセル12.5mgを健康成人男性にそれぞれ1錠及び1カプセル(スニチニブとして12.5mg)を空腹時単回投与(2剤2期クロスオーバー法)し、スニチニブ未変化体の血漿中濃度を測定した。得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、90%信頼区間がlog(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、且つ、平均値の差がlog(0.90)~log(1.11)の範囲内にあり、両剤の生物学的同等性が確認された9)。

AUCt
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
T1/2
(hr)
スニチニブ錠12.5mg「NK」 437.646±100.935 7.252±1.786 7.41±1.97 54.92±10.58
スーテントカプセル12.5mg 446.060±99.097 7.746±1.768 6.82±1.24 55.97±10.79

Mean±S.D., n=17

図.スニチニブの血中濃度推移

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.2 吸収

健康成人16例に空腹時あるいは食後にスニチニブリンゴ酸塩カプセル50mgを単回経口投与したとき、スニチニブの薬物動態に対する食事の影響はみられなかった10)(外国人データ)。

16.3 分布

In vitroにおけるスニチニブ及びN-脱エチル体(0.25~10μmoL/L)のヒト血漿蛋白結合率はそれぞれ約95%及び90%であった11)。

16.4 代謝

In vitroの試験において、スニチニブは主にCYP3A4によってN-脱エチル体に代謝され、N-脱エチル体も主にCYP3A4により代謝されることが示唆されている。日本人消化管間質腫瘍患者にスニチニブリンゴ酸塩カプセル25mg注1)及び50mgを反復投与したとき、N-脱エチル体のAUC0-24値はスニチニブの48.5%であった8),12)。

16.5 排泄

健康成人男性6例に[14C]-標識スニチニブ50mgを単回経口投与したとき、投与後21日目までに投与放射能の61%が糞中、16%が尿中に排泄された。また、血漿、尿及び糞中にスニチニブ及びN-脱エチル体が主な成分として検出された13)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害を有する被験者における薬物動態

スニチニブリンゴ酸塩(スニチニブとして50mg)を重度腎機能障害(クレアチニンクリアランス<30mL/min)あるいは血液透析を要する末期腎不全被験者(各8例)に単回投与したとき、重度腎機能障害被験者では、スニチニブ及びN-脱エチル体のCmax及びAUC0-∞は、健康被験者(8例、クレアチニンクリアランス>80mL/min)とほぼ同様であった。末期腎不全被験者では、血液透析によりスニチニブ及びN-脱エチル体が除去されることはほとんどなかったが、健康被験者と比べ、スニチニブのCmax及びAUC0-∞はそれぞれ38%及び47%低下、N-脱エチル体はそれぞれ30%及び31%低下した14)(外国人データ)。

投与群 スニチニブ N-脱エチル体
Cmax
(ng/mL)
AUC0-∞
(ng・h/mL)
Tmaxb)
(h)
Cmax
(ng/mL)
AUC0-∞
(ng・h/mL)
Tmaxb)
(h)
健康被験者(8例) 26.1±6.5 1917±535 7(6,12) 5.7±1.3 770±106 6(6,12)
重度腎機能障害(8例) 24.6±9.7 1815±1093 8(6,12) 4.7±1.7 629±262 6(4,12)
末期腎不全(8例) 16.1±3.1 1012±288 7(6,12) 4.1±1.2 535±117 6(4,36)

b)中央値(範囲)

  1. 16.6.2肝機能障害を有する被験者における薬物動態

スニチニブリンゴ酸塩カプセル50mgを軽度及び中等度(Child-Pugh分類A及びB)の肝機能障害を有する被験者(各8例)に単回投与したとき、スニチニブ及びN-脱エチル体のCmax及びAUC0-∞は、健康被験者(7例)とほぼ同様であった15)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1ケトコナゾール

健康成人男性26例に、スニチニブリンゴ酸塩(スニチニブとして10mg注1))をケトコナゾール(錠剤及び注射剤は国内未承認)(400mg、1日1回7日間投与)と併用投与したとき、単独投与時と比べ、スニチニブのCmax及びAUC0-∞がそれぞれ59%及び74%増加したが、N-脱エチル体はそれぞれ29%及び12%減少した。スニチニブとN-脱エチル体の両者を合わせたCmax及びAUC0-∞はそれぞれ49%及び51%増加した16)(外国人データ)。

  1. 16.7.2リファンピシン

日本人及び外国人健康成人男性25例にスニチニブリンゴ酸塩カプセル50mgをリファンピシン(600mg、1日1回17日間投与)と併用投与したとき、単独投与時と比べ、スニチニブのCmax及びAUC0-∞がそれぞれ56%及び78%低下したが、N-脱エチル体はそれぞれ137%及び27%上昇した。スニチニブとN-脱エチル体の両者を合わせたAUC0-∞は46%低下した17)。

注1)本剤の承認された用量は1回50mgである。