Clinical snapshot

ストロメクトール錠3mg

イベルメクチン

添付文書改訂 2023年07月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 腸管糞線虫症

  • 疥癬

用法・用量

  • 〈腸管糞線虫症〉

通常、イベルメクチンとして体重1kg当たり約200μgを2週間間隔で2回経口投与する。下記の表に患者体重毎の1回当たりの投与量を示した。本剤は水とともに服用する。

  • 〈疥癬〉

通常、イベルメクチンとして体重1kg当たり約200μgを1回経口投与する。下記の表に患者体重毎の1回当たりの投与量を示した。本剤は水とともに服用する。

体重(kg) 3mg錠数
15-24 1錠
25-35 2錠
36-50 3錠
51-65 4錠
66-79 5錠
≧80 約200μg/kg

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. 8.1本剤に対し過敏症反応があらわれた場合には、その後の投与を中止すること。

  2. 8.2意識障害があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。

  • 〈疥癬〉
  1. 8.3本剤による治療初期にそう痒が一過性に増悪することがある。また、ヒゼンダニの死滅後もアレルギー反応として全身のそう痒が遷延することがある。特徴的な皮疹の発生や感染が認められない場合、又はそう痒が持続しても、特徴的な皮疹の発生や感染が認められない場合には、漫然と再投与しないこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1ロア糸状虫による重度感染を併発している患者

抗ミクロフィラリア薬投与後に、又は投薬とは無関係に、まれに重篤又は致命的な脳症が発症することがあり、本剤においても因果関係は確立していないが、発症することがある。

  1. 9.1.2オンコセルカ症又はロア糸状虫症を併発している患者

中枢精神神経系(脳症、頭痛、昏睡、精神状態変化、起立困難、歩行困難、錯乱、嗜眠、痙攣、昏迷等)、筋骨格系(関節痛等)、その他(発熱、結膜出血、眼充血、尿失禁、便失禁、浮腫、呼吸困難、背部痛、頸部痛等の疼痛等)の重大な副作用及びマゾッティ反応が報告されている。これらの反応は、死んだミクロフィラリアに対するアレルギー性・炎症性反応によると考えられる。

  1. 9.1.3易感染性患者(HIV感染者やHTLV-1感染者等も含む)

通常の投与回数以上の投与が必要になることがあり、また、その場合でも治癒に至らないことがある1),2),3)。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験で催奇形性が認められている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

体重15kg未満の小児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

一般に、肝、腎又は心機能が低下し、合併症を有している又は他の薬剤を併用している場合が多い。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 頻度不明
ALT上昇 1〜5%未満
BUN上昇 1〜5%未満
LDH上昇 1〜5%未満
γ-GTP上昇) 1〜5%未満
そう痒 1〜5%未満
そう痒の一過性の増悪注1) 頻度不明
めまい 頻度不明
リンパ球数増加 1%未満
下痢 頻度不明
低血圧 頻度不明
便秘 頻度不明
傾眠 頻度不明
単球数減少 1%未満
嘔吐 1%未満
好酸球数増加 1〜5%未満
悪心 1%未満
振戦 頻度不明
気管支喘息の増悪 頻度不明
無力症・疲労 頻度不明
発疹 1〜5%未満
白血球数減少 1%未満
総ビリルビン値上昇 1〜5%未満
肝機能異常(AST上昇 1〜5%未満
腹痛 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血尿 1%未満
貧血 1〜5%未満
食欲不振 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

イベルメクチンは、広域スペクトル抗寄生虫薬であるアベルメクチン群に含まれ、独特な作用機序を持っている。イベルメクチンは、無脊椎動物の神経・筋細胞に存在するグルタミン酸作動性Cl-チャンネルに選択的かつ高い親和性を持って結合する9),10)。これにより、Cl-に対する細胞膜の透過性が上昇して神経又は筋細胞の過分極が生じ、その結果、寄生虫が麻痺を起こし、死に至る。イベルメクチンは、特に、神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)によって活性化される他のリガンド作動性Cl-チャンネルとも弱いながらも相互作用するものと思われる11)。 このクラスの化合物が持つヒトでの安全域は、哺乳類ではグルタミン酸作動性Cl-チャンネルの存在が報告されていないこと12)、哺乳類の脳の特異的な結合部位に対するイベルメクチンの親和性が線虫に比べ約100倍低いこと13)、またラット等の哺乳類ではアベルメクチン類が血液‒脳関門を容易には通過することができない14),15)という事実から確保されているものと考えられる。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

  2. (1)健康成人男性(各群5例)にイベルメクチンを錠剤で単回経口投与した場合、主要成分(H2B1a)の平均血清中濃度は、12mg投与では投与後4時間で32.0(±7.3)ng/mL、6mg投与では投与後5時間で19.9(±4.8)ng/mLの最高値を示した。12mg投与では6mg投与に比べ、AUC及びCmaxの平均値が、それぞれ1.3倍及び1.6倍に増加した4)。

  3. (2)イベルメクチンを錠剤で12mg(平均用量は165μg/kg)単回経口投与した場合、主要成分(H2B1a)の平均最高血漿中濃度は、投与後約4時間で46.6(±21.9)ng/mLであった。血漿中濃度は、投与量(6、12、15mg)にほぼ比例して増加した。イベルメクチンの血漿中消失半減期は約18時間であった(外国人データ)。

16.2 吸収

健康成人11例にイベルメクチンを錠剤で30mg(347~541μg/kg)単回経口投与した場合、高脂肪食(脂肪48.6g、784kcal)の食後投与の未変化体AUC0-∞は、空腹時投与の約2.6倍に上昇した5)(外国人データ)。

16.4 代謝

イベルメクチンは肝で代謝される。

  1. 16.4.1ヒト肝ミクロソームにおける代謝

本薬の代謝にはCYP3A4が主に関与していることが報告されている6)(in vitro)。

  1. 16.4.2P糖蛋白質による輸送

本薬はヒト及びマウスP糖蛋白質の基質であることが報告されている7)(in vitro)。

16.5 排泄

イベルメクチンやその代謝物は、約12日間かけてほぼすべてが糞中に排泄され、尿中への排泄は投与量の1%未満であった(外国人データ)。

注)本剤の承認された1回用量は、約200μg/kgである。