Clinical snapshot

ステイセーフバランス 2/1.5 腹膜透析液

腹膜透析液

添付文書改訂 2024年02月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1横隔膜欠損のある患者[胸腔へ移行し、呼吸困難が誘発されるおそれがある。]

  2. 2.2腹部に挫滅傷又は熱傷のある患者[挫滅傷又は熱傷の治癒を妨げるおそれがある。]

  3. 2.3高度の腹膜癒着のある患者[腹膜の透過効率が低下しているため、期待する透析効果が得られないおそれがある。]

  4. 2.4尿毒症に起因する以外の出血性素因のある患者[出血により蛋白喪失が亢進し、全身状態が悪化するおそれがある。]

  5. 2.5乳酸代謝障害の疑いのある患者[乳酸アシドーシスが誘発されるおそれがある。]

効能・効果

慢性腎不全患者における腹膜透析(高マグネシウム血症や代謝性アシドーシスの改善が不十分な場合に用いる)。

用法・用量

腹腔内に注入し、透析治療を目的とした液として使用する。 通常、成人では1回1.5~2Lを腹腔内に注入し、4~8時間滞液し、効果期待後に排液除去する。以上の操作を1回とし、体液の過剰が1kg/日以下の場合、通常1日あたりステイセーフバランス2/1.5腹膜透析液のみ3~4回の連続操作を継続して行う。体液の過剰が1kg/日以上認められる場合、通常ステイセーフバランス2/2.5腹膜透析液を1~4回、又はステイセーフバランス2/4.25腹膜透析液を1~2回処方し、ステイセーフバランス2/1.5腹膜透析液と組み合わせて1日あたり3~5回の連続操作を継続して行う。なお、注入量、滞液時間、操作回数は、症状、血液生化学値及び体液の平衡異常、年齢、体重などにより適宜増減する。注入及び排液速度は、通常300mL/分以下とする。

使用上の注意

  1. 8.1注入液、排液の出納に注意すること。

  2. 8.2本剤の投与開始は、医療機関において医師により、又は医師の直接の監督により実施すること。通院、自己投与は、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を施した後、医師自らの管理指導の下に実施すること。

  3. 8.3腹膜炎を合併することがある2)ので、本剤の投与にあたっては特に清潔な環境下で無菌的操作により行うとともに次のことに注意すること。

  4. 8.3.1腹膜カテーテルの管理及び腹膜カテーテル出口部分の状態には十分注意すること。

  5. 8.3.2腹膜炎が発生すると排液が濁るので、その早期発見のために、毎排液後、液の混濁状態を確認すること(腹膜炎発生時の液の混濁状態は、正常排液2000mLに対して牛乳1mLを添加した液の混濁状態を参考とすることができる)。

  6. 8.4長期の腹膜透析実施において被嚢性腹膜硬化症(EPS)を合併することがある3)ので、発症が疑われたら直ちに腹膜透析を中止し、血液透析に変更すること。発症後は経静脈的高カロリー輸液を主体とした栄養補給を行い、腸管の安静を保つ。嘔吐がある場合は胃チューブにより胃液を持続吸引する。本症は必ずイレウス症状を伴うが、診断には次の臨床症状、血液検査所見及び画像診断が参考になる。

  • 臨床症状:低栄養・るいそう・下痢・便秘・微熱・血性排液・局所性若しくはびまん性の腹水貯留・腸管ぜん動音低下・腹部における塊状物触知・除水能の低下・腹膜透過性の亢進

  • 血液検査所見:末梢白血球数の増加・CRP陽性・低アルブミン血症・エリスロポエチン抵抗性貧血・高エンドトキシン血症

  • 画像診断:X線検査・超音波検査・CT検査

  1. 8.5定期的に血液生化学検査及び血液学的検査等を実施すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1腹膜炎、腹膜損傷、腹膜癒着及び腹腔内臓器疾患の疑いのある患者

腹膜炎、腹膜損傷、腹膜癒着及び腹腔内臓器疾患が悪化する又は誘発されるおそれがある。

  1. 9.1.2腹部手術直後の患者

手術部位の治癒を妨げるおそれがある。

  1. 9.1.3大動脈部位における人工血管使用患者

細菌感染を起こすおそれがある。

  1. 9.1.4重篤な肺疾患のある患者

腹圧上昇により肺機能の低下が起こるおそれがある。

  1. 9.1.5糖代謝障害の疑いのある患者

糖代謝異常が悪化する又は誘発されるおそれがある。

  1. 9.1.6食事摂取が不良な患者

栄養状態が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.7腹部ヘルニアのある患者

腹部ヘルニアが悪化するおそれがある。

  1. 9.1.8腰椎障害のある患者

腰椎障害が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.9憩室炎のある患者

憩室炎が腹膜炎合併の原因となるおそれがある。

  1. 9.1.10人工肛門使用患者

細菌感染を起こすおそれがある。

  1. 9.1.11高度の換気障害のある患者

腹腔内透析液貯留により胸腔が圧迫され、換気障害が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.12高度の脂質代謝異常のある患者

高コレステロール血症、高トリグリセライド血症が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.13高度の肥満がみられる患者

肥満を増長させるおそれがある。

  1. 9.1.14高度の低蛋白血症のある患者

低蛋白血症が悪化するおそれがある。

  1. 9.1.15ステロイド服用患者及び免疫不全患者

易感染性であるため、細菌性腹膜炎等を誘発するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• ジギタリス製剤• ジゴキシン等 ジギタリス中毒が誘発されるおそれがある。 本剤はカリウムを含まないため、血清カリウム値が低下する可能性があり、ジギタリス中毒を起こすおそれがある。
• 利尿剤• フロセミド等 水及び電解質異常が誘発されるおそれがある。 本剤には除水効果があるため、併用により、脱水症状や電解質異常を起こすおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
アミノ酸や水溶性ビタミン等の喪失 頻度不明
そう痒症 頻度不明
ヘルニア 頻度不明
下痢 頻度不明
代謝性アルカローシス 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低カルシウム血症 頻度不明
低ナトリウム血症 頻度不明
低マグネシウム血症 頻度不明
低リン血症 頻度不明
低蛋白血症 頻度不明
低血圧 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
嘔吐 頻度不明
息切れ 頻度不明
悪心 頻度不明
浮腫 頻度不明
痔核 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
筋痙攣 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
筋骨格痛 頻度不明
紅斑 頻度不明
肥満 頻度不明
胸水貯留 頻度不明
脱水 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹膜炎 頻度不明
腹部膨満感 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
除水不良 頻度不明
陰嚢水腫 頻度不明
食欲不振 頻度不明
高コレステロール血症 頻度不明
高トリグリセライド血症 頻度不明
高乳酸血症 頻度不明
高血圧 頻度不明
高血糖 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

本剤は腎によって通常排泄される毒物や代謝物の除去、また体液及び電解質液平衡の是正を目的として腹腔内へ腹膜カテーテルを通じて注入し、一定時間経過後排液するものである。腹腔内へ注入された本剤と患者の血漿の間では、腹膜を介して浸透と拡散が行われる。このことにより、血漿電解質濃度は正常域に近づき、患者の血中に蓄積した代謝有害物質は透析液中に移動する。また、透析液中のブドウ糖は、浸透圧剤として配合され、患者血漿より高浸透圧にすることで浸透圧勾配をつくり、血漿中の水分は透析液側(腹腔内)に移動し、患者から腹腔内に水分を除去する。