Clinical snapshot

スイニー錠100mg

アナグリプチン錠

添付文書改訂 2025年10月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない。]

  3. 2.3重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリンによる血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]

効能・効果

2型糖尿病

用法・用量

通常、成人にはアナグリプチンとして1回100mgを1日2回朝夕に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら1回量を200mgまで増量することができる。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。

  2. 8.2急性膵炎があらわれることがあるので、持続的な激しい腹痛、嘔吐等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。

  3. 8.3本剤投与中は、血糖を定期的に検査するとともに、経過を十分に観察し、常に投与継続の必要性について注意を払うこと。本剤を2~3カ月投与しても効果が不十分な場合には、より適切と考えられる治療への変更を考慮すること。

  4. 8.4低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。

  5. 8.5本剤とGLP-1受容体作動薬はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1低血糖を起こすおそれのある以下の患者又は状態
  • 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全

  • 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態

  • 激しい筋肉運動

  • 過度のアルコール摂取者

  1. 9.1.2*腹部手術の既往又はイレウスの既往のある患者

腸閉塞を含むイレウスを起こすおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1重度腎機能障害のある患者又は透析中の末期腎不全の患者

用量調節すること。排泄の遅延により本剤の血中濃度が上昇する。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。 動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

副作用発現に留意し、経過を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

相互作用

  • 本剤は主に腎臓から未変化体又は代謝物として排泄され、その排泄には能動的な尿細管分泌の関与が推定される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
*糖尿病用薬
• スルホニルウレア剤
• α-グルコシダーゼ阻害剤
• ビグアナイド系薬剤
• チアゾリジン系薬剤
• 速効型インスリン分泌促進剤
• GLP-1受容体作動薬
• SGLT2阻害剤
• インスリン製剤
• イメグリミン等
低血糖症状を発現するおそれがある。特に、スルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること。 血糖降下作用が増強され、低血糖のリスクが増加するおそれがある。
血糖降下作用を増強する薬剤
• β-遮断薬
• サリチル酸製剤
• モノアミン酸化酵素阻害薬
• フィブラート系薬剤等
血糖降下作用の増強によりさらに血糖が低下するおそれがある。血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 血糖降下作用が増強されるおそれがある。
血糖降下作用を減弱する薬剤
• アドレナリン
• 副腎皮質ホルモン
• 甲状腺ホルモン等
血糖降下作用の減弱により血糖が上昇するおそれがある。血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 血糖降下作用が減弱されるおそれがある。
ジゴキシン ジゴキシンの血漿中濃度がわずかに増加したとの報告がある。 機序不明

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT上昇 1〜5%未満
AST上昇 1〜5%未満
CK上昇 1〜5%未満
γ-GTP上昇 1〜5%未満
そう痒 1〜5%未満
めまい 1〜5%未満
下痢 1〜5%未満
便潜血陽性 1〜5%未満
便秘 1〜5%未満
倦怠感 頻度不明
尿中血陽性 1〜5%未満
悪心・嘔吐 1〜5%未満
浮腫 1〜5%未満
消化不良 1〜5%未満
消化性潰瘍 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
白血球数増加 1〜5%未満
胃炎 1〜5%未満
胃食道逆流性疾患 1〜5%未満
腎嚢胞 1〜5%未満
腸炎 1〜5%未満
腹痛 1〜5%未満
腹部不快感 1〜5%未満
腹部膨満 1〜5%未満
蜂巣炎 1〜5%未満
血中アミラーゼ上昇 1〜5%未満
血中クレアチニン上昇 1〜5%未満
血中尿酸上昇 1〜5%未満
貧血 1〜5%未満
鼓腸 1〜5%未満
鼻咽頭炎 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

アナグリプチンはジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)の競合的かつ可逆的な選択的阻害剤である。インクレチンであるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)及びグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)はグルコース依存的なインスリン分泌促進作用等を有するが23)、DPP-4により分解されて活性を失う24)。アナグリプチンはDPP-4の阻害によって内因性インクレチンの分解を抑制し、その作用を高めることで血糖コントロールを改善する。

18.2 DPP-4阻害作用

ヒトDPP-4(組換え体、血漿及びCaco-2細胞由来)の活性を選択的に阻害する(IC50値:3.3、5.4及び3.5nmol/L)25)(in vitro)。

18.3 インクレチンに対する作用

2型糖尿病患者(成人男性)において、アナグリプチン100mgを1日2回、3日間反復経口投与したところ、血漿中のDPP-4活性を阻害し、食後の活性型GLP-1及びGIP濃度を増加させた14)。

18.4 耐糖能及び糖代謝改善作用

  1. 18.4.1成人2型糖尿病患者において、アナグリプチン100mgを1日2回、12週間反復経口投与したところ、空腹時血糖値及び食後血糖値を低下させた10)。

  2. 18.4.2肥満・インスリン抵抗性動物(Zucker fatty ラット)26)及び非肥満・糖尿病動物(GK ラット)27)において、アナグリプチンは単回経口投与により糖負荷後の血漿インスリン濃度を増加させ、血糖値上昇を抑制した。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人男性(6例)に本剤100又は200mgを空腹時単回経口投与したときの血漿中濃度推移及び薬物動態学的パラメータを以下に示す2)。

投与量 Cmax
(ng/mL)
Tmax
(h)
AUC0-∞
(ng・h/mL)
t1/2α
(h)
t1/2β
(h)
100mg 624±176 0.92±0.20 2650±586 2.02±0.208 6.20±3.11
200mg 1040±291 1.8±1.2 5360±457 1.87±0.296 5.75±1.34

平均値±標準偏差、n=6

  1. 16.1.2反復投与

健康成人男性(6例)に本剤200mgを1日2回、食直前に7日間反復経口投与したとき、血漿中濃度は投与2日目には定常状態に達した。投与7日目におけるCmax及びAUC0-72hの累積係数はそれぞれ0.96及び1.03であり、蓄積性は認められなかった3)。

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人男性(11例)に本剤100mgを食後に単回経口投与したとき、Cmax及びAUC0-24hは空腹時投与と比較してそれぞれ15%及び12%減少した4)。

  1. 16.2.2吸収率

健康成人男性(6例)に[14C]アナグリプチン100mgを単回経口投与したとき、総放射能の尿中排泄率から本剤の吸収率は少なくとも73.2%と見積もられた5)(外国人データ)。

16.3 分布

[14C]アナグリプチンを10~100000ng/mLの濃度でヒト血清に添加したとき、たん白結合率は37.1~48.2%であった6)(in vitro)。

16.4 代謝

健康成人男性(6例)に[14C]アナグリプチン100mgを単回経口投与したとき、血漿中及び尿中にはアナグリプチン及びシアノ基が加水分解された不活性代謝物(SKL-12320)が存在した。糞中にはアナグリプチン及びSKL-12320の他に5種の微量代謝物(投与量の1%未満)が検出された。尿糞の総計における存在比は、アナグリプチンが投与量の50.7%、SKL-12320が29.2%であった5)(外国人データ)。 アナグリプチンはヒト肝S9による代謝をほとんど受けなかった。アナグリプチンは100μg/mLにおいてCYP1A2、CYP2C8/9、CYP2C19及びCYP3A4に対するわずかな誘導を示したが、10μg/mLではいずれに対しても誘導を示さなかった。また、アナグリプチンはCYP1A、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1及びCYP3A4に対する阻害を示さなかった。アナグリプチンのSKL-12320への代謝においては、DPP-4、コリンエステラーゼ、カルボキシルエステラーゼが関与することが示唆された7)(in vitro)。

16.5 排泄

健康成人男性(6例)に本剤100mgを単回経口投与したとき、投与72時間後までのアナグリプチンの尿中排泄率は49.9%であり、投与24時間後までの腎クリアランスは315mL/h/kgであった2)。 健康成人男性(6例)に本剤200mgを1日2回、7日間反復経口投与したとき、投与216時間後までのアナグリプチンの累積尿中排泄率は54.2%であった3)。 健康成人男性(6例)に[14C]アナグリプチン100mgを単回経口投与したとき、総放射能の73.2%が尿中に、25.0%が糞中に排泄された。尿及び糞中に排泄されたアナグリプチンの割合はそれぞれ投与量の46.6%及び4.1%であった5)(外国人データ)。 アナグリプチンはヒトP糖たん白及び有機アニオントランスポーター(hOAT1、hOAT3)等の基質であることが示された。また、有機アニオントランスポーター(hOAT3)及び有機カチオントランスポーター(hOCT2)に対する弱い阻害作用が認められた(IC50値:25.2及び33.8μg/mL)8)(in vitro)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

軽度、中等度、重度腎機能障害患者、血液透析治療中の末期腎不全患者及び健康成人(各6例)に本剤400mg注3)を単回経口投与したときの、アナグリプチンのCmax、AUC0-∞及びt1/2の比(腎機能障害患者/健康成人)を以下に示す。腎機能の低下に伴うAUC0-∞の増加が認められた1)(外国人データ)。

軽度 中等度 重度 末期
Cmax 1.40
(0.96~2.03)
1.15
(0.79~1.68)
1.25
(0.85~1.82)
1.41
(0.97~2.06)
AUC0-∞ 1.65
(1.22~2.25)
1.76
(1.28~2.43)
2.70
(1.99~3.66)
3.22
(2.37~4.38)
t1/2 0.75
(0.50~1.11)
0.71
(0.47~1.08)
0.76
(0.51~1.13)
0.89
(0.60~1.33)

幾何平均値の比(90%信頼区間)

軽度:60≦Ccr<90mL/min/1.73m2、中等度:30≦Ccr<60mL/min/1.73m2、重度:15≦Ccr<30mL/min/1.73m2

  1. 16.6.2肝機能障害患者

中等度肝機能障害患者(Child-Pugh Class B)及び健康成人(各8例)に本剤400mg注3)を単回経口投与したとき、アナグリプチンのCmax、AUC0-∞及びt1/2の比(肝機能障害患者/健康成人)はそれぞれ1.07(90%信頼区間:0.78~1.48)、1.17(0.93~1.47)及び0.71(0.48~1.04)であった9)(外国人データ)。

  1. 16.6.3高齢者

2型糖尿病の高齢者(65歳以上、13例)及び非高齢者(65歳未満、56例)に本剤100mgを1日2回、12週間投与したとき、アナグリプチンのCmax及びAUC0-2hの比(高齢者/非高齢者)はそれぞれ0.97及び1.05であった10)。

16.7 薬物相互作用

併用薬
投与量
アナグリプチン
投与量
幾何平均値の比
併用投与時/単独投与時
[90%信頼区間]
アナグリプチン 併用薬
Cmax AUC0-24h Cmax AUC0-24h
ミグリトール11)
50mg
1日3回、3日間
100mg
1日2回、3日間
0.42
[0.38~0.46]
0.77
[0.72~0.82]
1.14
[1.05~1.24]
1.27
[1.16~1.39]
グリベンクラミド12)注4)
5mg
単回投与
400mg注3)
1日1回、6日間
1.01
[0.91~1.13]
0.95
[0.93~0.98]
1.44
[1.26~1.64]
1.07注5)
[0.98~1.16]
プロベネシド4)
1000mg
1日2回、4日間
100mg
単回投与
1.54
[1.23~1.93]
1.81
[1.65~1.98]
- -
ジゴキシン13)注4)
0.25mg
1日1回、定常状態
400mg注3)
1日1回、5日間
- - 1.49
[1.39~1.60]
1.18
[1.13~1.23]

メトホルミン塩酸塩14)、ピオグリタゾン15)注4)との薬物間相互作用を検討した結果、アナグリプチン及び併用薬の薬物動態に影響は認められなかった。シクロスポリン16)注4)との薬物間相互作用を検討した結果、アナグリプチンの薬物動態に影響は認められなかった。

注3)本剤の承認された用法及び用量は、通常、アナグリプチンとして1回100mgを1日2回、最大投与量は1回200mgを1日2回である。

注4)外国人における成績。

注5)グリベンクラミドのAUCについてはAUC0-∞を用いた。