Clinical snapshot

ジルビスク皮下注23.0mgシリンジ

ジルコプランナトリウム

添付文書改訂 2024年02月01日

【警告】

  1. 1.1本剤の投与により髄膜炎菌感染症を発症することがあり、死亡に至るおそれもあるため、以下の点に十分注意すること。

  2. 1.1.1本剤の投与に際しては、髄膜炎菌感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直等)に注意して観察を十分に行い、髄膜炎菌感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと。

  3. 1.1.2原則本剤投与前に髄膜炎菌に対するワクチンを接種すること。必要に応じてワクチンの追加接種を考慮すること。

  4. 1.1.3髄膜炎菌感染症は致命的な経過をたどることがあるので、緊急時に十分に措置できる医療施設及び医師のもとで、あるいは髄膜炎菌感染症の診断及び治療が可能な医療施設との連携下で投与すること。

  5. 1.1.4髄膜炎菌感染症のリスクについて患者に説明し、当該感染症の初期徴候を確実に理解させ、髄膜炎菌感染症に関連する症状が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること。

  6. 1.2本剤は、全身型重症筋無力症に十分な知識を持つ医師のもとで、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤投与開始に先立ち、本剤は疾病を完治させる薬剤ではないことを含め、本剤の有効性及び危険性を患者又はその家族に十分説明し、同意を得てから投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1髄膜炎菌感染症に罹患している患者[症状を悪化させるおそれがある。]

  2. 2.2本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)

用法・用量

通常、成人にはジルコプランとして下表に示す用量を1日1回皮下投与する。

体重 投与量
56kg未満 16.6mg
56kg以上77kg未満 23.0mg
77kg以上 32.4mg

使用上の注意

  1. 8.1膵炎、血清アミラーゼ、血清リパーゼの上昇があらわれることがあるので、本剤投与中は、定期的に膵酵素(血清アミラーゼ、血清リパーゼ)を測定し、上昇が認められた場合には、適切な処置を行うこと。

  2. 8.2本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施した後、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。使用済みの注射器(注射針一体型)を再使用しないよう患者に注意を促し、安全な廃棄方法に関する指導を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1髄膜炎菌感染症の既往のある患者

本剤により髄膜炎菌感染症を発症しやすくなる可能性がある。

  1. 9.1.2感染症の患者又は感染症が疑われる患者(髄膜炎菌感染症の患者を除く)

特に莢膜形成細菌(髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌等)による感染症に罹患しやすくなる可能性がある。

  1. 9.1.3膵炎の既往のある患者

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
アフタ性潰瘍 1%未満
アミラーゼ増加 1〜5%未満
リパーゼ増加 1〜5%未満
上咽頭炎 5%以上
下痢 1%未満
副鼻腔炎 5%以上
尿路感染等) 5%以上
感染症(上気道感染 5%以上
注射部位反応(注射部位内出血 5%以上
注射部位疼痛等)(22.2%) 5%以上
湿疹) 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
肝逸脱酵素上昇(アラニンアミノトランスフェラーゼ増加等) 1〜5%未満
蕁麻疹 1〜5%未満
血中好酸球増加 1%未満
血管性浮腫 1〜5%未満
過敏症(注射部位発疹 1〜5%未満
限局性強皮症 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ジルコプランは、補体C5に結合しC5a及びC5bへの開裂並びにC5b及びC6の結合を阻害することにより、膜侵襲複合体の形成及び細胞溶解活性を抑制する8) 。

18.2 溶血阻害作用

  1. 18.2.1In vitro試験

ジルコプランは、補体古典経路及び第2経路によるヒツジ赤血球の溶血を阻害した9) 。また、野生型ヒトC5及び変異型ヒトC5(R885C及びR885H)を介した補体古典経路によるヒツジ赤血球の溶血を阻害した10) 。

  1. 18.2.2Ex vivo試験

ジルコプランを皮下投与したカニクイザルの血漿試料を用いたヒツジ赤血球溶血アッセイにおいて溶血阻害作用が認められた11),12) 。 ジルコプラン0.3mg/kgを皮下投与した全身型重症筋無力症患者の血漿試料を用いたヒツジ赤血球溶血アッセイにおいて溶血阻害作用が認められた2),13) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

日本人健康成人に本剤0.1及び0.3mg/kg(各群4例)を単回皮下投与したときの血漿中ジルコプラン濃度時間推移及び薬物動態パラメータを図1及び表1に示す1) 。

図1 日本人健康成人に単回皮下投与時の血漿中ジルコプラン濃度推移(幾何平均値±95%信頼区間)

投与量
(mg/kg)
Cmax
(ng/mL)
tmax
(h)
AUC0-last
(ng・h/mL)
AUC0-inf
(ng・h/mL)
t1/2
(h)
0.1 1580
(14.0)
3.02
(3.00-6.02)
428000
(12.5)
480000
(12.9)
201
(2.2)
0.3 3770
(5.1)
3.03
(3.00-3.05)
737000
(8.6)
808000
(9.1)
183
(8.4)

各群4例、Cmax、AUC0-last、AUC0-inf及びt1/2:幾何平均値(変動係数[%])、tmax:中央値(最小値-最大値)

  1. 16.1.2反復投与

  2. (1)日本人健康成人6例に本剤0.3mg/kgを1日1回14日間反復投与したとき、投与1日目(初回投与時)と14日目(最終回投与時)の血漿中ジルコプラン濃度を表2に示す1) 。

投与量
(mg/kg)
Cmax
(ng/mL)
tmax
(h)
AUCτ
(ng・h/mL)
t1/2
(h)
0.3
初回投与時 3890
(17.3)
3.04
(1.00-6.00)
76600
(13.0)
最終回投与時 13300
(14.4)
3.00
(1.00-3.08)
272000
(14.6)
174
(3.9)

各群6例、Cmax、AUCτ及びt1/2:幾何平均値(変動係数[%])、tmax:中央値(最小値-最大値)

  1. (2)国際共同第III相二重盲検試験(MG0010)において全身型重症筋無力症患者を対象に本剤0.3mg/kg(体重区分ごとの投与量注1) )を1日1回反復皮下投与したときの血漿中ジルコプラン濃度のトラフ値を表3に示す。血漿中ジルコプラン濃度は4週までに定常状態に達し、12週間を通して維持された2) 。
測定時点 評価例数 ジルコプラン トラフ濃度(ng/mL)
1週目 81 11430.7(21.3)
2週目 82 12460.3(22.0)
4週目 79 12981.7(25.6)
8週目 77 12433.2(24.6)
12週目 75 12544.6(22.4)

幾何平均値(変動係数%)

注1)体重43kg以上56kg未満:16.6mg、56kg以上77kg未満:23.0mg、77kg以上150kg以下:32.4mg

16.2 吸収

健康成人に本剤0.3mg/kgを異なる投与部位(腹部及び大腿部:8例、腹部及び上腕部:7例)に単回皮下投与したとき、腹部への投与に対する大腿部及び上腕部のAUC0-last及びCmax比の推定値及び90%信頼区間は、0.9700[0.9347;1.007]及び0.9776[0.9260;1.032]並びに0.8642[0.8017;0.9316]及び0.9579[0.8803;1.042]であった3) (外国人データ)。

16.3 分布

In vitro試験の結果、ジルコプラン及び主要代謝物(RA103488及びRA102758)の血漿蛋白結合率は99%超であった4) 。

16.4 代謝

In vitro及びin vivo試験の結果、2つの主要な代謝物として、加水分解によるRA102758の生成及びパルミトイル末端のω-水酸化によるRA103488が認められた。ジルコプランはペプチドとして異化経路を介して低分子ペプチドやアミノ酸に分解されると考えられる。RA103488の生成にはCYP4F2が主に寄与した。RA102758は薬理学的に不活性であり、RA103488はジルコプランと同程度の薬理活性を有するが、日本人健康成人に本剤0.3mg/kgを投与したときの定常状態におけるジルコプランに対する血漿中濃度の割合は約7%であった1),5) 。

16.5 排泄

ジルコプラン及び主要代謝物(RA103488及びRA102758)の尿中及び糞中排泄率は1%未満と推定された6),7) (外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

重度の腎機能障害を有する成人被験者に、本剤0.3mg/kg(各群8例)を単回皮下投与したとき、ジルコプラン及びRA102758のAUC0-last、AUC0-inf及びCmaxは腎機能正常者と比較して同程度であった。RA103488のAUC0-last、AUC0-inf及びCmaxは腎機能正常者と比較し、約1.4~1.5倍高かった6) (外国人データ)。

薬物動態パラメータ 腎機能の程度
正常 重度
CLcr(mL/min) ≥90 <30
Cmax(ng/mL) 4830.33(18) 4468.65(8)
tmax(h) 4.0(2.0-12.1) 6.0(2.0-12.0)
AUC0-last(ng・h/mL) 789542.7(18) 695854.5(17)
AUC0-inf(ng・h/mL) 821508.2(20) 717144.3(17)
t1/2(h) 175.87(18) 165.69(21)

各群8例、Cmax、AUC0-last、AUC0-inf及びt1/2:幾何平均値(変動係数[%])、tmax:中央値(最小値-最大値)

  1. 16.6.2肝機能障害患者

中等度の肝機能障害(Child-Pugh分類B)を有する成人被験者に、本剤0.3mg/kg(各群8例)を単回皮下投与したとき、肝機能正常者と比較して、ジルコプランのAUC0-last及びAUC0-infは0.76倍低く、RA102758及びRA103488のAUC0-last及びCmaxは1.09~1.22倍高かった。ジルコプランのCmax及び半減期は両群で同程度であった7) (外国人データ)。

薬物動態パラメータ 肝機能の程度
正常 中等度
Cmax(ng/mL) 5128(19.3) 4867(14.4)
tmax(h) 8.0(2.0-12) 4.0(3.8-23)
AUC0-last(ng・h/mL) 769900(12.8) 581400(21.3)
AUC0-inf(ng・h/mL) 787000(13.3) 594500(21.6)
t1/2(h) 148.3(17.5) 152.2(10.7)

各群8例、Cmax、AUC0-last、AUC0-inf及びt1/2:幾何平均値(変動係数[%])、tmax:中央値(最小値-最大値)