Clinical snapshot

ジスロマック錠600mg

アジスロマイシン水和物

添付文書改訂 2022年06月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 〈適応菌種〉

マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)

  • 〈適応症〉

後天性免疫不全症候群(エイズ)に伴う播種性マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症の発症抑制及び治療

用法・用量

  • 〈発症抑制〉

成人にはアジスロマイシンとして、1200mg(力価)を週1回経口投与する。

  • 〈治療〉

成人にはアジスロマイシンとして、600mg(力価)を1日1回経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1アナフィラキシー・ショックがあらわれるおそれがあるので、アレルギー既往歴、薬物過敏症等について十分な問診を行うこと。

  2. 8.2本剤の使用にあたっては、事前に患者に対して、次の点を指導すること。

  • 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群が疑われる症状[発疹に加え、粘膜(口唇、眼、外陰部)のびらんあるいは水ぶくれ等の症状]があらわれた場合には、服用を中止し、ただちに医師に連絡すること。

  • 服用終了後においても上記症状があらわれることがあるので、症状があらわれた場合にはただちに医師に連絡すること。

  1. 8.3意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。

  2. 8.4アジスロマイシンは組織内半減期が長いことから、投与終了数日後においても副作用が発現する可能性があるので、観察を十分に行うなど注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1他のマクロライド系又はケトライド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 9.1.2心疾患のある患者

QT延長、心室性頻脈(Torsade de pointesを含む)を起こすことがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1高度な肝機能障害のある患者

肝機能を悪化させるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中に移行することが報告されている2),3),4) 。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の一般状態に注意して投与すること。アジスロマイシン経口剤の一般感染症の臨床試験成績から、高齢者において認められた副作用の種類及び副作用発現率は、非高齢者と同様であったが、一般に高齢者では、生理機能が低下しており、血中・組織内濃度が高くなることがある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
制酸剤(水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム) アジスロマイシンの最高血中濃度低下の報告がある5)。 機序不明
ワルファリン 国際標準化プロトロンビン比上昇の報告がある6),7)。 マクロライド系薬剤はワルファリンの肝臓における主たる代謝酵素であるチトクロームP450を阻害するので、ワルファリンの作用が増強することがあるが、アジスロマイシンでの機序の詳細は明らかではない。
シクロスポリン シクロスポリンの最高血中濃度の上昇及び血中濃度半減期の延長の報告がある8)。 マクロライド系薬剤はシクロスポリンの主たる代謝酵素であるチトクロームP450を阻害するので、シクロスポリンの血中濃度が上昇することがあるが、アジスロマイシンでの機序の詳細は明らかではない。
ネルフィナビル アジスロマイシン錠の1200mg投与で、アジスロマイシンの濃度・時間曲線下面積(AUC)及び平均最高血中濃度の上昇の報告がある9)。 機序不明
ジゴキシン アジスロマイシンとの併用により、ジゴキシン中毒の発現リスク上昇の報告がある10)。 P-糖蛋白質を介したジゴキシンの輸送が阻害されることにより、ジゴキシンの血中濃度が上昇することを示唆した報告があるが、アジスロマイシンでの機序の詳細は明らかではない。
ベネトクラクス ベネトクラクスの効果が減弱するおそれがあるので、併用を避けることが望ましい。 機序は不明であるが、ベネトクラクスの血中濃度が低下する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP増加 頻度不明
ALT増加 頻度不明
AST増加 頻度不明
BUN増加 頻度不明
LDH増加 頻度不明
β溶血性レンサ球菌感染 頻度不明
γ-GTP増加 頻度不明
アトピー性皮膚炎増悪 頻度不明
アフタ性口内炎 頻度不明
アレルギー性鼻炎 頻度不明
おくび 頻度不明
カンジダ症 頻度不明
くしゃみ 頻度不明
クレアチニン増加 頻度不明
そう痒症 頻度不明
ぶどう膜炎 頻度不明
プロトロンビン時間延長 頻度不明
ヘモグロビン減少 頻度不明
めまい 頻度不明
ラ音 頻度不明
リンパ球数減少 頻度不明
下痢 頻度不明
不安 頻度不明
不整脈 頻度不明
不正子宮出血 頻度不明
不眠症 頻度不明
低カリウム血症 頻度不明
低体温 頻度不明
低音性連続性ラ音 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
傾眠 頻度不明
光線過敏性反応 頻度不明
動悸 頻度不明
卵巣嚢腫 頻度不明
口・舌のしびれ感 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎 頻度不明
口唇のあれ 頻度不明
口唇炎 頻度不明
口渇 頻度不明
口腔内不快感 頻度不明
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 頻度不明
咳嗽 頻度不明
咽喉頭異物感 頻度不明
咽頭炎 頻度不明
唾液増加 頻度不明
嗄声 頻度不明
嗅覚異常 頻度不明
嘔吐 頻度不明
四肢痛 頻度不明
多形紅斑 頻度不明
多汗症 頻度不明
失神 頻度不明
好塩基球数増加 頻度不明
好酸球数増加 頻度不明
寝汗 頻度不明
尿中蛋白陽性 頻度不明
尿潜血陽性 頻度不明
局所腫脹 頻度不明
悪心 頻度不明
感覚鈍麻 頻度不明
振戦 頻度不明
排尿困難 頻度不明
攻撃性 頻度不明
気分不良 頻度不明
気管障害 頻度不明
水疱 頻度不明
浮腫 頻度不明
浮遊感 頻度不明
消化不良 頻度不明
消化管障害 頻度不明
潮紅 頻度不明
激越 頻度不明
灼熱感 頻度不明
無力症 頻度不明
無嗅覚 頻度不明
疲労 頻度不明
疼痛 頻度不明
痙攣 頻度不明
痰貯留 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球数増加 頻度不明
白血球数減少 頻度不明
皮膚乾燥 頻度不明
皮膚剥離 頻度不明
皮膚変色 頻度不明
皮膚感染 頻度不明
真菌感染 頻度不明
眼痛 頻度不明
眼瞼浮腫 頻度不明
神経過敏 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
粘膜異常感覚 頻度不明
精巣痛 頻度不明
紅斑 頻度不明
結膜炎 頻度不明
羊鳴性気管支音 頻度不明
耳の障害 頻度不明
耳痛 頻度不明
耳鳴 頻度不明
聴力低下 頻度不明
肝機能検査異常 頻度不明
肺炎 頻度不明
胃炎 頻度不明
胃腸炎 頻度不明
背部痛 頻度不明
胸痛 頻度不明
脱毛 頻度不明
脱水 頻度不明
腎臓痛 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部不快感 頻度不明
腹部膨満 頻度不明
腹鳴 頻度不明
膣炎 頻度不明
膵炎 頻度不明
舌変色 頻度不明
舌炎 頻度不明
舌苔 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血中カリウム増加 頻度不明
血中カリウム減少 頻度不明
血中ビリルビン増加 頻度不明
血中重炭酸塩減少 頻度不明
血圧上昇 頻度不明
血圧低下 頻度不明
血小板数増加 頻度不明
血小板数減少 頻度不明
血栓性静脈炎 頻度不明
視力障害 頻度不明
貧血 頻度不明
錯感覚 頻度不明
関節痛 頻度不明
関節腫脹 頻度不明
難聴 頻度不明
霧視 頻度不明
頚部痛 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻尿 頻度不明
顆粒球数減少 頻度不明
食欲不振 頻度不明
黒毛舌 頻度不明
鼓腸放屁 頻度不明
鼻出血 頻度不明
鼻漏 頻度不明
鼻部障害 頻度不明
鼻閉 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

細菌の70Sリボソームの50Sサブユニットと結合し、蛋白合成を阻害する29)。

18.2 抗菌作用

  1. 18.2.1アジスロマイシンは、Mycobacterium avium及びMycobacterium intracellulareから構成されるMACに対してin vitroで抗菌活性を示し、ベージュマウス及びラットのMAC感染モデルにおいて、予防及び治療効果を発揮した30)。

  2. 18.2.2アジスロマイシンは、マウス及びヒトのマクロファージ培養細胞及びベージュマウス感染モデルにおいて、貪食されたMACに対して抗菌活性を示した30)。

18.3 MAC分離株の感受性

  1. 18.3.1MAC菌血症の発症抑制に関する試験2では、無作為に割り付けられたアジスロマイシン、リファブチン又は両薬併用の被験者から得たすべてのMAC分離株で、感受性試験が実施された。全分離株の感受性試験から得たアジスロマイシンのMIC値の分布は、被験者群間で同様であった31)。

  2. 18.3.2投与前、治療時あるいは治療後の追跡調査時に分離されたMAC分離株に対する感受性試験を行った。T100 radiometric broth法によりアジスロマイシン及びクラリスロマイシンのMIC値を測定した。アジスロマイシンのMIC値は<4から>256μg/mL、クラリスロマイシンは<1から>32μg/mLであり、それぞれのMAC感受性は、アジスロマイシンのMIC値がクラリスロマイシンよりも4倍から32倍高い結果を示した。 治療中及び治療後の追跡調査期間の3.7年間(中央値:9ヵ月)において、アジスロマイシン錠600mg1日1回及びクラリスロマイシン錠500mg1日2回に組み入れられた患者のうち、それぞれ9%(6/68)及び11%(6/57)の患者にMIC値の急増したMAC分離株がみられた。12株全てのMAC分離株は、アジスロマイシンのMICが≧256μg/mL、クラリスロマイシンのMIC>32μg/mLであった1)。これらの高いMIC値は薬剤の耐性化が示唆された。しかしながら、現時点では、いずれのマクロライド系抗菌薬においても、MAC感受性株と耐性株を分離する明確なブレークポイントは確立されていない。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

HIV陽性被験者12名にアジスロマイシン錠1200mg(力価)を単回経口投与したときのCmaxは0.66μg/mL、AUC0-lastは6.8μg・hr/mLであった19)(外国人データ)。

  1. 16.1.2反復投与

HIV陽性被験者7名にアジスロマイシン錠600mg(力価)を1日1回22日間反復経口投与したときのCmaxは投与初日で0.33μg/mL、投与22日目で0.55μg/mLであり、C24は投与初日で0.039μg/mL、投与22日目で0.14μg/mLであった。AUC0-24は投与初日で2.4μg・hr/mL、投与22日目で5.8μg・hr/mLであった。アジスロマイシンの血清中濃度は投与15日目までに定常状態に達した19)。

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

アジスロマイシン錠1200mg(力価)を食後経口投与したとき、Cmaxは31%増加したが、吸収の程度(AUC)は変化せず、アジスロマイシンの吸収に及ぼす食事の影響はないものと考えられる。

16.3 分布

  1. 16.3.1組織内濃度

手術予定患者にアジスロマイシン経口剤500mg(力価)を経口投与した際の投与後12時間~8日目の各種組織内濃度の検討では、いずれの組織においても、血清中濃度が消失後も数日にわたって高い組織内濃度が維持された20)(外国人データ)。 なお、アジスロマイシンのヒトにおける全身クリアランス及び分布容積はそれぞれ10mL/min/kg及び33.3L/kgと報告されており、分布容積が大きく、組織へ移行しやすいことが示されている21)。

図 手術予定患者にアジスロマイシン経口剤500mg(力価)を経口投与後の血清及び組織内濃度 (組織内濃度:平均値±標準偏差、n=2~35) (血清中濃度:平均値、n=10)

  1. 16.3.2末梢血白血球中濃度

アジスロマイシン錠1200mg(力価)を単回経口投与したときの末梢血白血球中濃度(最高濃度の平均値)は140μg/mLであり、32μg/mLを上回る濃度が約60時間持続した。男性6名及び女性6名における平均消失半減期はそれぞれ34時間及び57時間であった。最高血漿中濃度(Cmax)に対する最高白血球中濃度の比(白血球Cmax/血漿Cmax)は、男性258(±77%)、女性175(±60%)であり、AUC比(白血球AUC/血漿AUC)は、それぞれ804(±31%)及び541(±28%)であった。 HIV陽性被験者にアジスロマイシン錠600mg(力価)を1日1回反復経口投与したときの末梢血白血球中濃度(最高濃度の平均値)は252μg/mL(±49%)であり、定常状態における末梢血白血球中濃度のトラフ値は146μg/mL(±33%)であった。白血球Cmax/血清Cmaxは456(±38%)であり、白血球AUC/血清AUCは816(±31%)であった22)(外国人データ)。

  1. 16.3.3血清蛋白結合率

アジスロマイシンのヒト血清蛋白との結合率は12.2~20.3%(in vivo、超遠心法)であった23)。

16.4 代謝

アジスロマイシンのチトクロームP450による代謝は確認されていない。

16.5 排泄

  1. 16.5.1健常成人男子6名にアジスロマイシン錠500mg(力価)を単回経口投与したとき、投与後168時間までの尿中に未変化体として投与量の9%が排泄された24)。 健常成人男子の尿及び患者の胆汁中代謝物について検討した結果、いずれもほとんどは未変化体で、代謝物として脱メチル体、脱クラジノース体が確認された23)。アジスロマイシンは胆汁、消化管分泌を介して、未変化体としてほとんど糞中に排泄される。

  2. 16.5.2ラットに14C-標識アジスロマイシン20mg/kgを単回経口投与したとき、投与後168時間までに投与量の80.3%が糞中に、13.3%が尿中に排泄され、また投与後72時間までに投与量の3.1%が呼気中に排泄された2) 。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害患者

軽度及び中等度の肝機能障害患者(成人)16例にアジスロマイシンカプセル注)500mg(力価)を単回経口投与したとき、健常成人男子に比べて、Cmaxが増加し、t1/2が延長する傾向が認められたが、有意差は認められなかった。また尿中排泄率においても有意差は認められなかった25)(外国人データ)。 注)国内で承認されている成人用製剤は錠剤及び注射剤である。

  1. 16.6.2腎機能障害患者

腎機能障害患者(成人)17例にアジスロマイシン錠500mg(力価)を単回経口投与したとき、アジスロマイシンの体内動態は健常成人と有意差は認められなかった26),27)。

16.7 薬物相互作用

他のマクロライド系薬剤において、下記薬剤による相互作用が報告されている。

  1. 16.7.1テオフィリン、ミダゾラム、トリアゾラム、カルバマゼピン、フェニトイン

これらの薬剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがある。

  1. 16.7.2エルゴタミン含有製剤

四肢の虚血を起こすことがある。

  1. 16.7.3リファンピシン

他のマクロライドの血中濃度を低下させる。