Clinical snapshot

ジスロマック点滴静注用500mg

アジスロマイシン水和物

添付文書改訂 2026年02月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 〈適応菌種〉

アジスロマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ペプトストレプトコッカス属、プレボテラ属、クラミジア属、マイコプラズマ属

  • 〈適応症〉

肺炎、骨盤内炎症性疾患

用法・用量

成人にはアジスロマイシンとして500mg(力価)を1日1回、2時間かけて点滴静注する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

  2. 8.2アナフィラキシー・ショックがあらわれるおそれがあるので、アレルギー既往歴、薬物過敏症等について十分な問診を行うこと。

  3. 8.3本剤の使用にあたっては、事前に患者に対して、次の点を指導すること。

  • 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群が疑われる症状[発疹に加え、粘膜(口唇、眼、外陰部)のびらんあるいは水ぶくれ等の症状]があらわれた場合には、ただちに医師に連絡すること。

  • 投与終了後においても上記症状があらわれることがあるので、症状があらわれた場合にはただちに医師に連絡すること。

  1. 8.4意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に説明すること。

  2. 8.5アジスロマイシンは組織内半減期が長いことから、投与終了数日後においても副作用が発現する可能性があるので、観察を十分に行うなど注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1他のマクロライド系又はケトライド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 9.1.2心疾患のある患者

QT延長、心室性頻脈(Torsade de pointesを含む)を起こすことがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1高度な肝機能障害のある患者

投与量並びに投与間隔に留意するなど慎重に投与すること。肝機能を悪化させるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中に移行することが報告されている1),2),3) 。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の一般状態に注意して投与すること。アジスロマイシン経口剤の一般感染症の臨床試験成績から、高齢者において認められた副作用の種類及び副作用発現率は、非高齢者と同様であったが、一般に高齢者では、生理機能が低下しており、血中・組織内濃度が高くなることがある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ワルファリン 国際標準化プロトロンビン比上昇の報告がある4),5)。 マクロライド系薬剤はワルファリンの肝臓における主たる代謝酵素であるチトクロームP450を阻害するので、ワルファリンの作用が増強することがあるが、アジスロマイシンでの機序の詳細は明らかではない。
シクロスポリン シクロスポリンの最高血中濃度の上昇及び血中濃度半減期の延長の報告がある6)。 マクロライド系薬剤はシクロスポリンの主たる代謝酵素であるチトクロームP450を阻害するので、シクロスポリンの血中濃度が上昇することがあるが、アジスロマイシンでの機序の詳細は明らかではない。
ネルフィナビル アジスロマイシン錠の1200mg投与で、アジスロマイシンの濃度・時間曲線下面積(AUC)及び平均最高血中濃度の上昇の報告がある7)。 機序不明
ジゴキシン アジスロマイシンとの併用により、ジゴキシン中毒の発現リスク上昇の報告がある8)。 P-糖蛋白質を介したジゴキシンの輸送が阻害されることにより、ジゴキシンの血中濃度が上昇することを示唆した報告があるが、アジスロマイシンでの機序の詳細は明らかではない。
ベネトクラクス ベネトクラクスの効果が減弱するおそれがあるので、併用を避けることが望ましい。 機序は不明であるが、ベネトクラクスの血中濃度が低下する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP増加 1%未満
ALT増加 頻度不明
AST増加 1%未満
BUN増加 1%未満
LDH増加 1%未満
β溶血性レンサ球菌感染 頻度不明
γ-GTP増加 1%未満
アトピー性皮膚炎増悪 1%未満
アフタ性口内炎 頻度不明
アレルギー性鼻炎 頻度不明
おくび 頻度不明
カンジダ症 1%未満
くしゃみ 頻度不明
クレアチニン増加 頻度不明
そう痒症 1%未満
ぶどう膜炎 頻度不明
プロトロンビン時間延長 1%未満
ヘモグロビン減少 頻度不明
めまい 1%未満
ラ音 頻度不明
リンパ球数減少 頻度不明
下痢 頻度不明
不安 頻度不明
不整脈 頻度不明
不正子宮出血 頻度不明
不眠症 1%未満
低カリウム血症 頻度不明
低体温 頻度不明
低音性連続性ラ音 頻度不明
便秘 1%未満
倦怠感 1%未満
傾眠 1%未満
光線過敏性反応 頻度不明
動悸 頻度不明
卵巣嚢腫 1%未満
口・舌のしびれ感 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎 1%未満
口唇のあれ 1%未満
口唇炎 頻度不明
口渇 1%未満
口腔内不快感 頻度不明
味覚異常 1%未満
呼吸困難 1%未満
咳嗽 1%未満
咽喉頭異物感 頻度不明
咽頭炎 頻度不明
唾液増加 頻度不明
嗄声 1%未満
嗅覚異常 頻度不明
嘔吐 1%未満
四肢痛 頻度不明
多形紅斑 頻度不明
多汗症 頻度不明
失神 頻度不明
好塩基球数増加 1%未満
好酸球数増加 頻度不明
寝汗 頻度不明
尿中蛋白陽性 1%未満
尿潜血陽性 頻度不明
局所腫脹 頻度不明
悪心 1%未満
感覚鈍麻 1%未満
振戦 頻度不明
排尿困難 頻度不明
攻撃性 頻度不明
気分不良 1%未満
気管障害 頻度不明
水疱 頻度不明
浮腫 頻度不明
浮遊感 1%未満
消化不良 1%未満
消化管障害 頻度不明
潮紅 頻度不明
激越 頻度不明
灼熱感 1%未満
無力症 頻度不明
無嗅覚 頻度不明
疲労 頻度不明
疼痛 1%未満
疼痛 頻度不明
痙攣 頻度不明
痰貯留 頻度不明
発熱 1%未満
発疹 1%未満
白血球数増加 頻度不明
白血球数減少 1%未満
皮膚乾燥 頻度不明
皮膚剥離 頻度不明
皮膚変色 頻度不明
皮膚感染 頻度不明
真菌感染 頻度不明
眼痛 頻度不明
眼瞼浮腫 頻度不明
神経過敏 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
粘膜異常感覚 頻度不明
精巣痛 頻度不明
紅斑 頻度不明
紅斑 1%未満
結膜炎 頻度不明
羊鳴性気管支音 頻度不明
耳の障害 頻度不明
耳痛 頻度不明
耳鳴 頻度不明
聴力低下 頻度不明
肝機能検査異常 1%未満
肺炎 頻度不明
胃炎 頻度不明
胃腸炎 1%未満
背部痛 頻度不明
胸痛 頻度不明
脱毛 頻度不明
脱水 頻度不明
腎臓痛 頻度不明
腹痛 1%未満
腹部不快感 1%未満
腹部膨満 1%未満
腹鳴 1%未満
膣炎 頻度不明
膵炎 頻度不明
舌変色 頻度不明
舌炎 1%未満
舌苔 1%未満
蕁麻疹 1%未満
血中カリウム増加 1%未満
血中カリウム減少 1%未満
血中ビリルビン増加 1%未満
血中重炭酸塩減少 頻度不明
血圧上昇 頻度不明
血圧低下 頻度不明
血小板数増加 1%未満
血小板数減少 1%未満
血栓性静脈炎 1%未満
血管外漏出 1%未満
視力障害 頻度不明
貧血 頻度不明
錯感覚 頻度不明
関節痛 頻度不明
関節腫脹 頻度不明
難聴 頻度不明
霧視 頻度不明
頚部痛 頻度不明
頭痛 1%未満
頻尿 頻度不明
顆粒球数減少 1%未満
食欲不振 1%未満
黒毛舌 1%未満
鼓腸放屁 1%未満
鼻出血 頻度不明
鼻漏 頻度不明
鼻部障害 頻度不明
鼻閉 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

細菌の70Sリボソームの50Sサブユニットと結合し、蛋白合成を阻害する30) 。

18.2 抗菌作用

  1. 18.2.1 In vitroにおいて、ブドウ球菌属、レンサ球菌属等のグラム陽性菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、淋菌、プレボテラ属等の一部グラム陰性菌、レジオネラ・ニューモフィラ、ペプトストレプトコッカス属、マイコプラズマ属、クラミジア属に抗菌作用を示し、その作用は他のマクロライド系抗生物質と同程度であった31),32),33),34),35),36),37),38),39),40),41),42) 。

  2. 18.2.2 In vitro及びin vivo(マウス、ハムスター)において、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌等の各種細菌を用いた感染症モデルで、アジスロマイシンの良好な組織移行性を反映し、従来のマクロライド系抗生物質よりも強い防御効果及び治療効果を示した34),35),43),44),45) 。

  3. 18.2.3黄色ブドウ球菌及びインフルエンザ菌に対して、1MIC以上の薬剤濃度で殺菌的な作用を示した31) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

健常成人男子各10例にアジスロマイシン注射剤500mgを、1mg/mLの濃度で3時間及び2時間かけて点滴静注し、単回及び1日1回、5日間反復投与したときの血清中濃度を図1に、単回投与後の薬物動態パラメータを表に示す。5日間反復投与したとき、単回投与時と比較して、Cmaxは約8~12%上昇、AUC0-24は約1.5~1.6倍に増加した17) 。

図1 単回及び反復投与後の血清中濃度推移

(血清中濃度:平均値+標準偏差、n=10)

点滴時間 n Cmax
(μg/mL)
t1/2
(h)
AUC0-24
(μg・h/mL)
AUC0-∞
(μg・h/mL)
3時間 10 1.53±0.36 65.2±14.9a) 6.88±1.23 10.9±1.0a)
2時間 10 1.99±0.36 89.7±43.2 7.02±1.41 13.2±3.0

a)n=9

16.3 分布

  1. 16.3.1組織内濃度

手術予定患者にアジスロマイシン経口剤500mg(力価)を経口投与した際の投与後12時間~8日目の各種組織内濃度の検討では、いずれの組織においても、血清中濃度が消失後も数日にわたって高い組織内濃度が維持された18) (外国人データ)。 なお、アジスロマイシンのヒトにおける全身クリアランス及び分布容積はそれぞれ10mL/min/kg及び33.3L/kgと報告されており、分布容積が大きく、組織へ移行しやすいことが示されている19)。

図2 手術予定患者にアジスロマイシン経口剤500mg(力価)を経口投与後の血清及び組織内濃度

(組織内濃度:平均値±標準偏差、n=2~35) (血清中濃度:平均値、n=10)

  1. 16.3.2アジスロマイシンはヒト多形核白血球及びマウスマクロファージ等の食細胞への良好な移行が認められた20) 。 アジスロマイシンが移行した食細胞が感染組織に遊走することにより、感染組織では非感染組織に比べて高い薬剤濃度が得られることが動物(マウス)試験で認められている21) 。

  2. 16.3.3血清蛋白結合率

アジスロマイシンのヒト血清蛋白との結合率は12.2~20.3%(in vivo、超遠心法)であった22) 。

16.4 代謝

アジスロマイシンのチトクロームP450による代謝は確認されていない。

16.5 排泄

  1. 16.5.1健常成人男子6名にアジスロマイシン錠500mg(力価)を単回経口投与したとき、投与後168時間までの尿中に未変化体として投与量の9%が排泄された23) 。 健常成人男子の尿及び患者の胆汁中代謝物について検討した結果、いずれもほとんどは未変化体で、代謝物として脱メチル体、脱クラジノース体が確認された22) 。アジスロマイシンは胆汁、消化管分泌を介して、未変化体としてほとんど糞中に排泄される。

  2. 16.5.2ラットに14C-標識アジスロマイシン20mg/kgを単回経口投与したとき、投与後168時間までに投与量の80.3%が糞中に、13.3%が尿中に排泄され、また投与後72時間までに投与量の3.1%が呼気中に排泄された1) 。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害患者

軽度及び中等度の肝機能障害患者(成人)16例にアジスロマイシンカプセル注)500mg(力価)を単回経口投与したとき、健常成人男子に比べて、Cmaxが増加し、t1/2が延長する傾向が認められたが、有意差は認められなかった。また尿中排泄率においても有意差は認められなかった24) (外国人データ)。 注)国内で承認されている成人用製剤は錠剤及び注射剤である。

  1. 16.6.2腎機能障害患者

腎機能障害患者(成人)17例にアジスロマイシン錠500mg(力価)を単回経口投与したとき、アジスロマイシンの体内動態は健常成人と有意差は認められなかった25),26) 。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1他のマクロライド系薬剤において、下記薬剤による相互作用が報告されている。

  2. (1)テオフィリン、ミダゾラム、トリアゾラム、カルバマゼピン、フェニトイン

  • これらの薬剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがある。
  1. (2)エルゴタミン含有製剤
  • 四肢の虚血を起こすことがある。
  1. 16.7.2他の抗菌剤との相互作用

アジスロマイシンと他の抗菌剤との相互作用に関しては、これまでの国内又は外国における臨床試験成績から、マクロライド系、ペニシリン系、キノロン系、テトラサイクリン系、セフェム系及びカルバペネム系抗菌剤との間で相互作用によると考えられる有害事象の報告はない。