Clinical snapshot

ジスロマックカプセル小児用100mg

アジスロマイシン水和物

添付文書改訂 2022年06月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

  • 〈適応菌種〉

アジスロマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、マイコプラズマ属

  • 〈適応症〉

咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、中耳炎

用法・用量

小児には、体重1kgあたり10mg(力価)を1日1回、3日間経口投与する。 ただし、1日量は成人の最大投与量500mg(力価)を超えないものとする。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認すること。

  2. 8.2アナフィラキシー・ショックがあらわれるおそれがあるので、アレルギー既往歴、薬物過敏症等について十分な問診を行うこと。

  3. 8.3本剤の使用にあたっては、事前に患者に対して、次の点を指導すること。

  • 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群が疑われる症状[発疹に加え、粘膜(口唇、眼、外陰部)のびらんあるいは水ぶくれ等の症状]があらわれた場合には、服用を中止し、ただちに医師に連絡すること。

  • 服用終了後においても上記症状があらわれることがあるので、症状があらわれた場合にはただちに医師に連絡すること。

  1. 8.4アジスロマイシンは組織内半減期が長いことから、投与終了数日後においても副作用が発現する可能性があるので、観察を十分に行うなど注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1他のマクロライド系又はケトライド系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 9.1.2心疾患のある患者

QT延長、心室性頻脈(Torsade de pointesを含む)を起こすことがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1高度な肝機能障害のある患者

投与量並びに投与間隔に留意するなど慎重に投与すること。肝機能を悪化させるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中に移行することが報告されている2),3),4)。

9.7 小児等

  1. 9.7.1低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

  2. 9.7.2白血球数減少が認められることがあるので、顆粒球数(好中球数)減少も合わせて十分観察を行い、異常が認められた場合には投与を中止し、必要があれば、他の抗菌薬に切り替えた上、症状に応じて対症療法等の適切な処置を行うこと。承認時に、小児で白血球数減少が認められたのは442例中33例で、このうち9例において好中球数が1000/mm3以下に減少した。白血球数減少が認められた症例の多くは、投与開始7日後あるいは8日後の検査日において回復がみられた。

  3. 9.7.3下痢が認められた場合には症状に応じて投与中止あるいは対症療法等の適切な処置を行うこと。承認時の小児における下痢の発現頻度は、2歳未満(124例中8例)では2歳以上(602例中6例)と比べて高い。

  4. 9.7.4市販後の自発報告において、小児における興奮の報告が成人に比べて多い傾向が認められている。

9.8 高齢者

患者の一般状態に注意して投与すること。アジスロマイシン経口剤の一般感染症の臨床試験成績から、高齢者において認められた副作用の種類及び副作用発現率は、非高齢者と同様であったが、一般に高齢者では、生理機能が低下しており、血中・組織内濃度が高くなることがある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
制酸剤(水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム) アジスロマイシンの最高血中濃度低下の報告がある5)。 機序不明
ワルファリン 国際標準化プロトロンビン比上昇の報告がある6),7)。 マクロライド系薬剤はワルファリンの肝臓における主たる代謝酵素であるチトクロームP450を阻害するので、ワルファリンの作用が増強することがあるが、アジスロマイシンでの機序の詳細は明らかではない。
シクロスポリン シクロスポリンの最高血中濃度の上昇及び血中濃度半減期の延長の報告がある8)。 マクロライド系薬剤はシクロスポリンの主たる代謝酵素であるチトクロームP450を阻害するので、シクロスポリンの血中濃度が上昇することがあるが、アジスロマイシンでの機序の詳細は明らかではない。
ネルフィナビル アジスロマイシン錠の1200mg投与で、アジスロマイシンの濃度・時間曲線下面積(AUC)及び平均最高血中濃度の上昇の報告がある9)。 機序不明
ジゴキシン アジスロマイシンとの併用により、ジゴキシン中毒の発現リスク上昇の報告がある10)。 P-糖蛋白質を介したジゴキシンの輸送が阻害されることにより、ジゴキシンの血中濃度が上昇することを示唆した報告があるが、アジスロマイシンでの機序の詳細は明らかではない。
ベネトクラクス ベネトクラクスの効果が減弱するおそれがあるので、併用を避けることが望ましい。 機序は不明であるが、ベネトクラクスの血中濃度が低下する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALP増加 1%未満
ALT増加 頻度不明
AST増加 1%未満
BUN増加 1%未満
LDH増加 1%未満
β溶血性レンサ球菌感染 頻度不明
γ-GTP増加 1%未満
アトピー性皮膚炎増悪 1%未満
アフタ性口内炎 頻度不明
アレルギー性鼻炎 頻度不明
おくび 頻度不明
カンジダ症 1%未満
くしゃみ 頻度不明
クレアチニン増加 頻度不明
そう痒症 1%未満
ぶどう膜炎 頻度不明
プロトロンビン時間延長 頻度不明
ヘモグロビン減少 頻度不明
めまい 1%未満
ラ音 頻度不明
リンパ球数減少 頻度不明
下痢c) 頻度不明
不安 頻度不明
不整脈 頻度不明
不正子宮出血 頻度不明
不眠症 1%未満
低カリウム血症 頻度不明
低体温 頻度不明
低音性連続性ラ音 頻度不明
便秘 1%未満
倦怠感 1%未満
傾眠 1%未満
光線過敏性反応 頻度不明
動悸 頻度不明
卵巣嚢腫 頻度不明
口・舌のしびれ感 頻度不明
口内乾燥 頻度不明
口内炎 1%未満
口唇のあれ 1%未満
口唇炎 頻度不明
口渇 1%未満
口腔内不快感 頻度不明
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 1%未満
咳嗽 1%未満
咽喉頭異物感 頻度不明
咽頭炎 頻度不明
唾液増加 頻度不明
嗄声 頻度不明
嗅覚異常 頻度不明
嘔吐 1%未満
四肢痛 頻度不明
多形紅斑 頻度不明
多汗症 頻度不明
失神 頻度不明
好塩基球数増加 1%未満
好酸球数増加 頻度不明
寝汗 頻度不明
尿中蛋白陽性 1%未満
尿潜血陽性 頻度不明
局所腫脹 頻度不明
悪心 1%未満
感覚鈍麻 1%未満
振戦 頻度不明
排尿困難 頻度不明
攻撃性 頻度不明
気分不良 1%未満
気管障害 頻度不明
水疱 頻度不明
浮腫 頻度不明
浮遊感 1%未満
消化不良 1%未満
消化管障害 頻度不明
潮紅 頻度不明
激越d) 頻度不明
灼熱感 頻度不明
無力症 頻度不明
無嗅覚 頻度不明
疲労 頻度不明
疼痛 頻度不明
痙攣 頻度不明
痰貯留 頻度不明
発熱 1%未満
発疹 1%未満
白血球数増加 頻度不明
白血球数減少b) 1%未満
皮膚乾燥 頻度不明
皮膚剥離 頻度不明
皮膚変色 頻度不明
皮膚感染 頻度不明
真菌感染 頻度不明
眼痛 頻度不明
眼瞼浮腫 頻度不明
神経過敏 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
粘膜異常感覚 頻度不明
精巣痛 頻度不明
紅斑 頻度不明
結膜炎 頻度不明
羊鳴性気管支音 頻度不明
耳の障害 頻度不明
耳痛 頻度不明
耳鳴 頻度不明
聴力低下 頻度不明
肝機能検査異常 頻度不明
肺炎 頻度不明
胃炎 頻度不明
胃腸炎 頻度不明
背部痛 頻度不明
胸痛 頻度不明
脱毛 頻度不明
脱水 頻度不明
腎臓痛 頻度不明
腹痛 1%未満
腹部不快感 1%未満
腹部膨満 1%未満
腹鳴 1%未満
膣炎 頻度不明
膵炎 頻度不明
舌変色 頻度不明
舌炎 1%未満
舌苔 1%未満
蕁麻疹 1%未満
血中カリウム増加 1%未満
血中カリウム減少 1%未満
血中ビリルビン増加 1%未満
血中重炭酸塩減少 頻度不明
血圧上昇 頻度不明
血圧低下 頻度不明
血小板数増加 1%未満
血小板数減少 1%未満
血栓性静脈炎 頻度不明
視力障害 頻度不明
貧血 頻度不明
錯感覚 頻度不明
関節痛 頻度不明
関節腫脹 頻度不明
難聴 頻度不明
霧視 頻度不明
頚部痛 頻度不明
頭痛 1%未満
頻尿 頻度不明
顆粒球数減少b) 1%未満
食欲不振 1%未満
黒毛舌 1%未満
鼓腸放屁 頻度不明
鼻出血 頻度不明
鼻漏 頻度不明
鼻部障害 頻度不明
鼻閉 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

細菌の70Sリボソームの50Sサブユニットと結合し、蛋白合成を阻害する35)。

18.2 抗菌作用

  1. 18.2.1 In vitroにおいて、ブドウ球菌属、レンサ球菌属等のグラム陽性菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌等の一部グラム陰性菌、マイコプラズマ属、クラミジア属に抗菌作用を示し、その作用は他のマクロライド系抗生物質と同程度であった36),37),38),39),40)。

  2. 18.2.2 In vitro及びin vivo(マウス、ハムスター)において、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌等の各種細菌を用いた感染症モデルで、アジスロマイシンの良好な組織移行性を反映し、従来のマクロライド系抗生物質よりも強い防御効果及び治療効果を示した39),40),41),42),43)。

  3. 18.2.3黄色ブドウ球菌及びインフルエンザ菌に対して、1MIC以上の薬剤濃度で殺菌的な作用を示した36)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1小児患者

小児患者16例(1~9歳)にアジスロマイシン懸濁剤注)10mg/kgを3日間反復経口投与したとき、最終投与後の最高血清中濃度(Cmax)は0.31μg/mLであり、血清中濃度・時間曲線下面積(AUC0~24)は2.35μg・hr/mLであった19)(外国人データ)。

投与量
(mg/kg)
Cmax
(μg/mL)
AUC0~24
(μg・hr/mL)
10 0.31±0.26 2.35±1.90

注)国内で承認されている小児用製剤は細粒剤及びカプセル剤である。

  1. 16.1.2健常成人男子

  2. (1)単回投与

健常成人男子6名にアジスロマイシン錠500mg(力価)を単回経口投与したときのCmaxは0.58μg/mLであり、血清中濃度は多相性の消失を示した。投与後48~168時間の消失半減期(t1/2)は61.9時間であった20)。

  1. (2)反復投与

健常成人男子6名にアジスロマイシン錠500mg(力価)を1日1回3日間反復経口投与した場合、初回投与及び最終投与後の血清中濃度に差はみられず、蓄積は認められなかった20)。

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健常成人男子8名にアジスロマイシン錠500mg(力価)をクロスオーバー法により、空腹時又は食後に単回経口投与した場合の体内動態パラメータには有意差は認められず、アジスロマイシンの吸収に及ぼす食事の影響はないものと考えられる21)。

16.3 分布

  1. 16.3.1組織内濃度

手術予定患者にアジスロマイシン経口剤500mg(力価)を経口投与した際の投与後12時間~8日目の各種組織内濃度の検討では、いずれの組織においても、血清中濃度が消失後も数日にわたって高い組織内濃度が維持された22)(外国人データ)。 なお、アジスロマイシンのヒトにおける全身クリアランス及び分布容積はそれぞれ10mL/min/kg及び33.3L/kgと報告されており、分布容積が大きく、組織へ移行しやすいことが示されている23)。

図 手術予定患者にアジスロマイシン経口剤500mg(力価)を経口投与後の血清及び組織内濃度

(組織内濃度:平均値±標準偏差、n=2~35) (血清中濃度:平均値、n=10)

  1. 16.3.2アジスロマイシンはヒト多形核白血球及びマウスマクロファージ等の食細胞への良好な移行が認められた24)。 アジスロマイシンが移行した食細胞が感染組織に遊走することにより、感染組織では非感染組織に比べて高い薬剤濃度が得られることが動物(マウス)試験で認められている25)。

  2. 16.3.3血清蛋白結合率

アジスロマイシンのヒト血清蛋白との結合率は12.2~20.3%(in vivo、超遠心法)であった26)。

16.4 代謝

アジスロマイシンのチトクロームP450による代謝は確認されていない。

16.5 排泄

  1. 16.5.1健常成人男子6名にアジスロマイシン錠500mg(力価)を単回経口投与したとき、投与後168時間までの尿中に未変化体として投与量の9%が排泄された20)。 健常成人男子の尿及び患者の胆汁中代謝物について検討した結果、いずれもほとんどは未変化体で、代謝物として脱メチル体、脱クラジノース体が確認された26)。アジスロマイシンは胆汁、消化管分泌を介して、未変化体としてほとんど糞中に排泄される。

  2. 16.5.2ラットに14C-標識アジスロマイシン20mg/kgを単回経口投与したとき、投与後168時間までに投与量の80.3%が糞中に、13.3%が尿中に排泄され、また投与後72時間までに投与量の3.1%が呼気中に排泄された2)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害患者

軽度及び中等度の肝機能障害患者(成人)16例にアジスロマイシンカプセル注)500mg(力価)を単回経口投与したとき、健常成人男子に比べて、Cmaxが増加し、t1/2が延長する傾向が認められたが、有意差は認められなかった。また尿中排泄率においても有意差は認められなかった27)(外国人データ)。 注)国内で承認されている成人用製剤は錠剤及び注射剤である。

  1. 16.6.2腎機能障害患者

腎機能障害患者(成人)17例にアジスロマイシン錠500mg(力価)を単回経口投与したとき、アジスロマイシンの体内動態は健常成人と有意差は認められなかった28),29)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1他のマクロライド系薬剤において、下記薬剤による相互作用が報告されている。

  2. (1)テオフィリン、ミダゾラム、トリアゾラム、カルバマゼピン、フェニトイン

これらの薬剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されるおそれがある。

  1. (2)エルゴタミン含有製剤

四肢の虚血を起こすことがある。

  1. 16.7.2他の抗菌剤との相互作用

アジスロマイシンと他の抗菌剤との相互作用に関しては、これまでの国内又は外国における臨床試験成績から、マクロライド系、ペニシリン系、キノロン系、テトラサイクリン系、セフェム系及びカルバペネム系抗菌剤との間で相互作用によると考えられる有害事象の報告はない。