Clinical snapshot

ジェブタナ点滴静注60mg

カバジタキセル アセトン付加物製剤

添付文書改訂 2026年04月01日

【警告】

好中球減少症、発熱性好中球減少症、貧血等の重篤な骨髄抑制があらわれ、その結果重症感染症等により死亡に至る例が報告されている。本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、下記の患者には投与しない等、適応患者の選択を慎重に行うこと。

  • 重篤な骨髄抑制のある患者

  • 感染症を合併している患者

  • 発熱を有し、感染症の疑われる患者

  • 肝機能障害を有する患者

治療の開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1重篤な骨髄抑制のある患者[重症感染症等を併発し、致命的となることがある。]

  2. 2.2感染症を合併している患者[感染症が増悪し、致命的となることがある。]

  3. 2.3発熱を有し、感染症の疑われる患者[感染症が増悪し、致命的となることがある。]

  4. 2.4肝機能障害を有する患者

  5. 2.5本剤又はポリソルベート80含有製剤に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者[本剤はポリソルベート80を含有する。]

効能・効果

前立腺癌

用法・用量

プレドニゾロンとの併用において、通常、成人に1日1回、カバジタキセルとして25mg/m2(体表面積)を1時間かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量すること。

使用上の注意

  1. 8.1重篤な骨髄抑制が高頻度にあらわれるので、下記の点に留意すること。
  • 本剤の投与にあたってはG-CSF製剤の適切な使用を、最新のガイドライン等を参考に考慮すること。

  • 投与後は頻回に臨床検査(血液検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

  • 特に感染症の発現に十分注意し、好中球減少、CRP上昇、発熱等の有無を確認すること。

  1. 8.2本剤投与により、全身の発疹や紅斑、血圧低下、気管支痙攣等を含む重篤な過敏反応があらわれることがある。特に本剤の初回及び2回目の投与中は患者の状態を注意深く観察すること。過敏反応は本剤投与開始から数分以内に起こることがあるので、本剤投与開始後1時間は頻回にバイタルサイン(血圧、脈拍、心電図等)のモニタリングを行うなど、患者の状態を十分に観察すること。重篤な過敏反応があらわれた場合は、直ちに本剤投与を中止し適切な処置を行うこと。本剤投与により重篤な過敏反応を起こした患者には再投与しないこと。

  2. 8.3重篤な腎障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に腎機能検査を行うこと。

  3. 8.4不整脈があらわれることがあるので、本剤投与中は十二誘導心電図検査の実施等、観察を十分に行うこと。

  4. 8.5肝不全、肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与中は肝機能検査の実施等、観察を十分に行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1骨髄抑制のある患者

骨髄抑制が増悪し、重症感染症等を併発するおそれがある。

  1. 9.1.2以下の発熱性好中球減少症のリスク因子を有する患者
  • 65歳以上

  • Performance Status不良

  • 発熱性好中球減少症の既往歴

  • 広範囲放射線照射等の強い前治療歴

  • 腫瘍の骨髄浸潤 等

特にG-CSF製剤の予防投与(一次予防)を考慮すること。重篤な骨髄抑制が高頻度にあらわれるおそれがある。

  1. 9.1.3間質性肺疾患又はその既往歴のある患者

症状を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.4浮腫のある患者

浮腫を増悪させるおそれがある。

  1. 9.1.5アルコールに過敏な患者

本剤を投与する場合には問診により適切かどうか判断すること。本剤の添付溶解液はエタノールを含有するため、アルコールの中枢神経系への影響が強くあらわれるおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

投与しないこと。本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。肝機能障害を有する患者に本剤を投与した場合、好中球減少症、敗血症等による死亡例を含む重篤な副作用の発現や副作用の増悪が認められている。

9.4 生殖能を有する者

生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には性腺に対する影響を考慮すること。動物実験(マウス、ラット、イヌ)において精巣毒性が認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

副作用の発現に注意すること。海外第3相臨床試験において、65歳以上の患者では、それ以外の患者に比べ疲労、好中球減少症、無力症、発熱、浮動性めまい、尿路感染、脱水等の副作用が、またGrade3以上では好中球減少症及び発熱性好中球減少症等の副作用が多く認められた。国内第1相臨床試験において、65歳以上の患者では、それ以外の患者に比べ末梢性浮腫、嘔吐、腹部膨満等の副作用が、またGrade3以上では悪心、発熱性好中球減少症、血小板減少症、食欲減退等の副作用が多く認められた。

相互作用

  • 本剤は主にCYP3Aで代謝される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• CYP3Aを強く阻害する薬剤• ケトコナゾール(注射剤、経口剤は国内未承認)
• イトラコナゾール
• クラリスロマイシン
• インジナビル
• ネルフィナビル
• リトナビル
• サキナビル
• ボリコナゾール 等
本剤の血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがあるので、併用は避け、代替の治療薬への変更を考慮することが望ましい。併用が必要な場合は副作用の発現に十分注意し、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察すること。 これら薬剤の強いCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
• CYP3Aを強く誘導する薬剤• リファンピシン
• カルバマゼピン
• フェニトイン 等
本剤の血中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがあるので、併用は避け、代替の治療薬への変更を考慮することが望ましい。 これら薬剤の強いCYP3A誘導作用により、本剤の代謝が促進されると考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT上昇 1〜5%未満
AST上昇 1〜5%未満
Radiation Recall現象 頻度不明
γ-GTP上昇 1%未満
インフルエンザ様疾患 1〜5%未満
トランスアミナーゼ上昇 1%未満
ヘモグロビン減少 1%未満
ほてり 1%未満
上腹部痛 1〜5%未満
不眠症 1〜5%未満
低血圧 1〜5%未満
体重増加 1%未満
体重減少 1〜5%未満
便秘 頻度不明
倦怠感 1〜5%未満
出血性膀胱炎 1%未満
口内乾燥 1〜5%未満
口内炎 1〜5%未満
口腔内痛 1%未満
口腔咽頭痛 1%未満
味覚異常 頻度不明
呼吸困難 1〜5%未満
咳嗽 1〜5%未満
嗜眠 1〜5%未満
嘔吐 頻度不明
四肢痛 1〜5%未満
尿失禁 1%未満
尿閉 1%未満
悪心 頻度不明
感覚鈍麻 1〜5%未満
排尿困難 1〜5%未満
歯周病 1〜5%未満
水腎症 1%未満
流涙増加 1〜5%未満
浮動性めまい 1〜5%未満
消化不良 1〜5%未満
潮紅 1〜5%未満
無力症 頻度不明
爪の障害 1〜5%未満
疲労 頻度不明
疼痛 1%未満
痔核 1%未満
発熱 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
皮膚乾燥 1〜5%未満
筋力低下 1〜5%未満
筋痙縮 1〜5%未満
筋肉痛 1〜5%未満
筋骨格痛 1%未満
粘膜の炎症 1〜5%未満
紅斑 1〜5%未満
胃食道逆流性疾患 1〜5%未満
背部痛 1%未満
脱毛症 頻度不明
脱水 1〜5%未満
腹痛 1〜5%未満
腹部膨満 1〜5%未満
血中ビリルビン増加 1%未満
血尿 1〜5%未満
起立性低血圧 1〜5%未満
過敏症 1〜5%未満
錯感覚 1〜5%未満
関節痛 1〜5%未満
頭痛 1〜5%未満
食欲減退 頻度不明
高血圧 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

カバジタキセルはチューブリンの重合を促進し、微小管を安定化することにより細胞分裂を阻害する17) 。

18.2 抗腫瘍効果

カバジタキセルはヒト前立腺癌由来癌DU145細胞株を移植したマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用又は腫瘍の退縮が認められた18) 。また、カバジタキセルは、ドセタキセルに耐性を示すヒト腫瘍由来細胞株を移植したマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用が認められた19) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

日本人前立腺癌患者にカバジタキセル20mg/m2あるいは25mg/m2を1時間で点滴静脈内投与注8) したとき、カバジタキセルの血漿中濃度プロファイルは三相性を示し、3-コンパートメントモデルにより薬物動態解析を行った4) 。

用量
(mg/m2)
Cmax
(ng/mL)
AUC
(ng・h/mL)
t1/2α注7)
(分)
t1/2β注7)
(時間)
t1/2γ注7)
(時間)
CL
(L/h/m2)
20 274(23%) 1040(26%) 2.8(32%) 1.46(29%) 116(25%) 20.2(31%)
25 238(61%) 926(23%) 3.4(39%) 1.70(39%) 113(25%) 28.5(25%)

注7)t1/2α、t1/2β、t1/2γはそれぞれ初期相、中間相及び終末相の半減期

日本人にカバジタキセルを1時間点滴静脈内投与注8) したときの血漿中カバジタキセル濃度(平均±SD)

外国人進行性固形癌(前立腺癌を含む)患者にカバジタキセル10~30mg/m2を投与注8) したとき、曝露量はほぼ用量に比例して増加した5) 。

16.3 分布

  1. 16.3.1分布容積

日本人前立腺癌患者にカバジタキセル20及び25mg/m2を1時間で点滴静脈内投与注8) したときの定常状態におけるVssは2220及び3410L/m2であった4) 。

  1. 16.3.2蛋白結合率

In vitroにおけるヒト血漿中の蛋白結合率は89~92%であり、50000ng/mLまで飽和しなかった。カバジタキセルは主にヒト血清アルブミン(82.0%)及びリポ蛋白(HDL:87.9%、LDL:69.8%、VLDL:55.8%)と結合した6) 。In vitroのヒト血液の血液/血漿濃度比は0.90~0.99であった7) 。

16.4 代謝

  1. 16.4.1代謝酵素

カバジタキセルは肝臓で広範に代謝され、主にCYP3Aの寄与率は80~90%であった8) (in vitro)。

  1. 16.4.2代謝物

外国人固形腫瘍患者4例に14C-カバジタキセル25mg/m2を1時間で点滴静脈内投与した。ヒト血漿中には大部分がカバジタキセルとして存在した。ヒト血漿中ではカバジタキセル以外に7種の代謝物(3種の活性代謝物含む)が検出されたが、最も多い代謝物でも未変化体の5%程度であった。ヒトの尿中及び糞中には約20種の代謝物が排泄された8) 。

16.5 排泄

外国人固形腫瘍患者4例に14C-カバジタキセル25mg/m2を1時間で点滴静脈内投与したとき、投与量の約80%が2週間以内に排泄された。カバジタキセルは主に代謝物として糞中に排泄された(投与量の76%)。一方、尿中排泄は3.7%以下であり、2.3%が未変化体であった9) 。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

カバジタキセルの腎臓からの排泄は少ない(投与量の2.3%)。外国人進行性固形癌(前立腺癌を含む)患者における母集団薬物動態解析(170例)で、軽度の腎障害患者(CLcr:50~80mL/min、59例)から中等度の腎障害患者(CLcr:30~50mL/min、14例)では腎機能正常患者と比べ薬物動態に大きな影響はみられなかった10) 。 また、程度の異なる腎障害を有する外国人進行性固形腫瘍患者(腎機能正常患者(CLcr:>80mL/min/1.73m2、8例)、中等度の腎障害患者(CLcr:30~50mL/min/1.73m2、8例)ならびに重度の腎障害患者(CLcr:<30mL/min/1.73m2、8例))を対象に、本剤を25mg/m2まで複数サイクル投与した薬物動態試験における本剤のクリアランスはそれぞれ33.5L/h/m2、28.9L/h/m2及び29.6L/h/m2であった。なお、末期腎障害患者(CLcr:<15mL/min/1.73m2)における十分なデータは得られていない。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1ケトコナゾール

カバジタキセルは主にCYP3Aで代謝される。外国人進行性固形癌患者に、強力なCYP3A阻害剤であるケトコナゾール注9) (400mg1日1回)を反復併用投与したとき、カバジタキセルのクリアランスが20%低下した。この低下はAUCの25%の増加に相当する11) 。

  1. 16.7.2リファンピシン

外国人進行固形癌患者に強力なCYP3A誘導剤であるリファンピシン(600mg1日1回)を反復併用投与したとき、カバジタキセルのクリアランスが21%増加した。この増加はAUCの17%の減少に相当する11) 。

  1. 16.7.3その他

  2. (1)アプレピタント

外国人進行性固形癌患者に中等度のCYP3A阻害剤であるアプレピタントと併用したとき、カバジタキセルのクリアランス及び曝露量に影響は認められなかった11) 。

  1. (2)ミダゾラム

CYP3Aの基質であるミダゾラムと本剤(25mg/m2を1時間で単回点滴静脈内投与)を外国人固形癌患者に併用した臨床試験において、本剤はミダゾラムの薬物動態に影響を及ぼさなかった12) 。

  1. (3)OATP1B1

カバジタキセルはin vitroにおいてP-糖蛋白の基質であり、また、OATP1B1の阻害作用を示した13) 。

注8)本剤の承認された1回用量は25mg/m2である。

注9)注射剤、経口剤は国内未承認