Clinical snapshot

シベレスタットNa点滴静注用100mg「ニプロ」

注射用シベレスタットナトリウム

添付文書改訂 2023年11月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

全身性炎症反応症候群に伴う急性肺障害の改善

用法・用量

通常、本剤を生理食塩液に溶解した後、1日量(シベレスタットナトリウム水和物として4.8mg/kg)を250~500mLの輸液で希釈し、24時間(1時間当たり0.2mg/kg)かけて静脈内に持続投与する。投与期間は14日以内とする。

使用上の注意

本剤の投与は一般的な急性肺障害の治療法(呼吸管理、循環血液量の補正、抗菌剤等)に代わるものではないので、原疾患に対する適切な治療を実施すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験において乳汁中への移行が認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

一般に生理機能が低下している。

相互作用

記載なし

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT 頻度不明
AST 頻度不明
BUN上昇 1%未満
LDH上昇 1%未満
γ-GTP 頻度不明
アルカリホスファターゼの上昇 頻度不明
ウロビリノーゲン陽性 1%未満
クレアチニン上昇 頻度不明
ビリルビン 頻度不明
出血傾向 1%未満
多尿 1%未満
好酸球増加 頻度不明
尿蛋白増加 1%未満
注射部静脈炎 1%未満
発疹等 1%未満
総蛋白減少 1%未満
血小板増多 1%未満
血小板減少 1%未満
貧血 1%未満
高カリウム血症 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

全身性炎症反応症候群に伴う急性肺障害において、シベレスタットナトリウム水和物は、好中球から放出されたエラスターゼを選択的に阻害することにより、エラスターゼによる肺血管内皮細胞や肺胞上皮細胞のタンパク透過性亢進および血管基底膜の破綻を抑制し、肺胞内出血やタンパク漏出及び肺血管透過性亢進等の急性肺障害に特徴的な病態を改善すると考えられる。また、エラスターゼを阻害することにより組織への好中球浸潤を抑制すると考えられる16)。

18.2 好中球エラスターゼ阻害作用

  1. 18.2.1シベレスタットナトリウム水和物はヒト及び各種動物由来の好中球エラスターゼ活性を強力に阻害し、その阻害様式は拮抗型阻害であった。また、他のセリンプロテアーゼやシステインプロテアーゼ、メタロプロテアーゼにほとんど阻害作用を示さず、好中球エラスターゼを選択的に阻害した(in vitro)17)。

  2. 18.2.2生体内のエラスターゼ阻害因子であるα1プロテアーゼインヒビターは好中球より産生される活性酸素種により容易にエラスターゼ阻害作用を失うが、シベレスタットナトリウム水和物のエラスターゼ阻害作用は活性酸素種による影響を受けなかった(in vitro)17)。

18.3 急性肺傷害モデルにおける効果

  1. 18.3.1ヒト好中球エラスターゼにより惹起したハムスター急性肺傷害モデルにおいて、静脈内持続投与により気管支肺胞洗浄液中への出血を用量依存的に抑制した17)。

  2. 18.3.2コブラ毒あるいはエンドトキシンにより惹起したハムスター急性肺傷害モデルにおいて、静脈内持続投与により血漿中あるいは気管支肺胞洗浄液中のエラスターゼ活性の上昇を用量依存的に抑制し、その抑制効果に相関した肺傷害抑制効果を示した18),19)。

18.4 肺機能の改善作用

塩酸により惹起したハムスター誤嚥性肺傷害モデルにおいて、静脈内持続投与により肺機能(動脈血酸素分圧)の低下を抑制し、生存率の改善効果を示した20)。

薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人5例に、シベレスタットナトリウム水和物を1時間当たり0.5mg/kg注1)で2時間静脈内投与した場合、2時間後の血漿中濃度は11.678μg/mLを示し、AUCは61.113μg・hr/mL、血漿中半減期は2→6hrで131.4分、6→10hrで199.9分である1)。

AUC0-∞
(μg・hr/mL)
T1/2(2→6hr)
(min)
T1/2(6→10hr)
(min)
C2hr
(μg/mL)
61.113±5.365 131.4±11.5 199.9±22.3 11.678±1.318

平均値±標準偏差

16.3 分布

ヒト血清に対する蛋白結合率は99.6%である(in vitro、限外ろ過法)2)。

16.4 代謝

シベレスタットナトリウム水和物はエステラーゼにより加水分解され、さらにグルクロン酸抱合及び硫酸抱合を受ける。肝臓がシベレスタットナトリウム水和物の主代謝臓器であり、主にカルボキシエステラーゼで加水分解されるものと推定された。また、シベレスタットナトリウム水和物の代謝にはチトクロームP-450代謝酵素の関与はないと推察される3)。

16.5 排泄

主排泄経路は尿中であり、健康成人5例にシベレスタットナトリウム水和物を1時間当たり0.5mg/kg注1)で2時間静脈内投与した場合、尿中には代謝物のみ認められ、投与24時間後までに81.0%が、投与48時間後までに84.5%が尿中に排泄される1)。

注1)本剤の承認された用量は、1時間当たり0.2mg/kgである。