Clinical snapshot

ザファテック錠25mg

トレラグリプチンコハク酸塩

添付文書改訂 2025年10月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡、1型糖尿病の患者[輸液、インスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない。]

  2. 2.2重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]

  3. 2.3本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

2型糖尿病

用法・用量

通常、成人にはトレラグリプチンとして100mgを1週間に1回経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1低血糖を起こすおそれがあるので、本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明し、注意を喚起すること。

  2. 8.2急性膵炎があらわれることがあるので、持続的な激しい腹痛、嘔吐等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。

  3. 8.3本剤は1週間に1回経口投与する薬剤であり、投与中止後も作用が持続するので、血糖値や副作用の発現について十分留意すること。 また、本剤投与中止後に他の糖尿病用薬を使用するときは、血糖管理状況等を踏まえ、その投与開始時期及び用量を検討すること。

  4. 8.4本剤投与中は、血糖を定期的に検査するとともに、経過を十分に観察し、本剤を2〜3ヵ月投与しても効果が不十分な場合には、より適切と考えられる治療への変更を考慮すること。

  5. 8.5低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。

  6. 8.6本剤とGLP-1受容体作動薬はいずれもGLP-1受容体を介した血糖降下作用を有している。両剤を併用した際の臨床試験成績はなく、有効性及び安全性は確認されていない。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1低血糖を起こすおそれのある以下の患者又は状態
  • 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全

  • 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態

  • 激しい筋肉運動

  • 過度のアルコール摂取者

  1. 9.1.2腹部手術の既往又はイレウスの既往のある患者**

腸閉塞を含むイレウスを起こすおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1中等度以上の腎機能障害患者

投与量を減量し、患者の状態を慎重に観察すること。腎機能の程度に応じて排泄の遅延により本剤の血中濃度が増加する。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(ラット)において、胎盤通過が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物試験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

副作用発現に留意し、経過を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に腎機能が低下していることが多い。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
糖尿病用薬
• スルホニルウレア剤
速効型インスリン分泌促進薬
α-グルコシダーゼ阻害剤
ビグアナイド系薬剤
チアゾリジン系薬剤
GLP-1受容体作動薬
SGLT2阻害剤
インスリン製剤
低血糖を発現するおそれがある。特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するため、これらの薬剤の減量を検討すること。 併用により血糖降下作用が増強するおそれがある。
糖尿病用薬の血糖降下作用を増強する薬剤
• β-遮断薬
サリチル酸製剤
モノアミン酸化酵素阻害薬
フィブラート系の高脂血症治療薬
血糖が低下するおそれがある。 併用により血糖降下作用が増強するおそれがある。
糖尿病用薬の血糖降下作用を減弱する薬剤
• アドレナリン
副腎皮質ホルモン
甲状腺ホルモン 等
血糖が上昇するおそれがある。 併用により血糖降下作用が減弱するおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT上昇 1〜5%未満
AST上昇 1〜5%未満
CK上昇 1〜5%未満
γ-GTP上昇 1〜5%未満
そう痒 1〜5%未満
リパーゼ上昇 1〜5%未満
尿潜血陽性 1〜5%未満
心房細動 1〜5%未満
発疹 1〜5%未満
血中アミラーゼ上昇 1〜5%未満
鼻咽頭炎 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

トレラグリプチンは食事の経口摂取刺激により腸管から血中に分泌されるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)を不活性化するジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)活性を阻害することにより、GLP-1の血中濃度を上昇させ、糖濃度依存的に膵臓からのインスリン分泌を促進させる20)。

18.2 DPP-4に対する阻害作用

  1. 18.2.1ヒト血漿中DPP-4活性を選択的に阻害した(IC50値:4.2nmol/L)(in vitro)。また、トレラグリプチン及びアログリプチンのDPP-4阻害活性を比較するため、同一条件下(in vitro)でIC50値(nmol/L)を比較したところ、それぞれ1.3及び5.3であった21)。

  2. 18.2.2食事療法、運動療法を実施しても血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者を対象にトレラグリプチンとして100mgを12週間経口投与(週1回朝食前)したプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験において、最終投与7日後のDPP-4活性阻害率の平均値はトレラグリプチン100mg群で77.4%であった13)。

18.3 活性型GLP-1濃度増加作用

食事療法、運動療法を実施しても血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者を対象にトレラグリプチンとして100mgを12週間経口投与(週1回朝食前)したプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験において、投与12週後の食事負荷試験における活性型GLP-1濃度はプラセボ群と比べて有意に増加した13)。

18.4 耐糖能改善作用

一晩絶食した肥満2型糖尿病モデル(Wistar fattyラット)及び非肥満2型糖尿病モデル(N-STZ-1.5ラット)にトレラグリプチンを単回経口投与し、投与1時間後にグルコースを経口投与した糖負荷試験において耐糖能改善作用が認められた20)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人(8例)にトレラグリプチンとして100mgを朝食開始30分前に単回経口投与した時の血漿中濃度推移及び薬物動態学的パラメータは以下のとおりであり、投与168時間後の血漿中濃度の平均値は2.1ng/mLであった1)。

血漿中濃度の推移

投与量 Cmax
(ng/mL)
Tmax
(h)
AUC0-inf
(ng・h/mL)
T1/2(0-72)
(h)
T1/2(0-168)
(h)
100mg 619.4(77.3) 1.3(0.4) 6,601.7(845.4) 18.5(1.9) 54.3(7.9)

平均値(標準偏差)

  1. 16.1.2反復投与

健康成人(9例)にトレラグリプチンとして100mgを朝食開始30分前に1日1回単回経口投与注1)し、その3日後から朝食開始30分前に1日1回11日間反復投与した時、投与1日目のCmax及びAUC(0-inf)の平均値(標準偏差)はそれぞれ544.3(122.0)ng/mL及び5,572.3(793.2)ng・h/mL、投与14日目のCmax及びAUC(0-tau)の平均値(標準偏差)はそれぞれ602.6(149.5)ng/mL及び5,292.9(613.8)ng・h/mLであった2)。 注1)本剤の承認用法・用量は、通常、トレラグリプチンとして100mgを1週間に1回経口投与である。

16.2 吸収

健康成人(12例)にトレラグリプチンとして100mgを朝食開始30分後に経口投与した時のCmax及びAUC(0-inf)は、朝食絶食下に投与した時と比較して、それぞれ16.8%増加、2.5%減少した3)。

16.3 分布

[14C]トレラグリプチンを0.1〜10μg/mLの濃度でヒト血漿に添加した時の蛋白結合率は、22.1〜27.6%であった(in vitro)4)。

16.4 代謝

  1. 16.4.1トレラグリプチンは主にCYP2D6によるN-脱メチル化により活性代謝物M-Iに代謝される5)。なお、ヒト血漿中の活性代謝物M-Iはトレラグリプチン未変化体の1%未満であった6)。

  2. 16.4.2トレラグリプチンはCYP3A4/5に対して弱い阻害作用を示したが(直接阻害作用IC50値:100μmol/L以上、代謝由来阻害作用IC50値:12μmol/L(ミダゾラム1'-水酸化活性)及び28μmol/L(テストステロン6β-水酸化活性))、CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19及びCYP2D6を阻害せず、CYP1A2、CYP2B6及びCYP3A4を誘導しなかった(in vitro)5)。

16.5 排泄

  1. 16.5.1健康成人(12例)にトレラグリプチンとして100mgを朝食絶食下又は朝食開始30分後に単回経口投与した時、投与168時間までのトレラグリプチンの累積尿中排泄率は、それぞれ76.6%、76.1%であった3)。

  2. 16.5.2トレラグリプチンはP-糖蛋白質の基質であり、P-糖蛋白質を介するジゴキシンの輸送をわずかに阻害した(IC50値:500μmol/L以上)。また、トレラグリプチンは有機カチオントランスポーターOCT2の基質であるメトホルミンの取り込みに対して阻害作用を示した(IC50値:55.9μmol/L)(in vitro)7)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

腎機能障害者及び健康成人にトレラグリプチンとして50mgを単回経口投与した時注1)のAUC(0-tlqc)及びCmaxは、年齢、性別、人種及び体重を対応させた健康成人と比較して軽度腎機能障害者(Ccr=50〜80mL/min、6例)で55.7%増加、36.3%増加、中等度腎機能障害者(Ccr=30〜50mL/min、6例)で105.7%増加、12.9%増加、高度腎機能障害者(Ccr<30mL/min、6例)で201.4%増加、9.1%増加、末期腎不全患者(6例)で268.1%増加、13.8%低下した。また、トレラグリプチンは4時間の血液透析で投与量の9.2%が除去された8)(外国人データ)。 注1)本剤の承認用法・用量は、通常、トレラグリプチンとして100mgを1週間に1回経口投与である。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

中等度肝機能障害者(Child-Pugh注2)スコアが7〜9、8例)及び健康成人(8例)にトレラグリプチンとして50mgを単回経口投与した時注1)のAUC(0-inf)及びCmaxは、年齢、性別、人種、喫煙歴及び体重を対応させた健康成人と比較して5.1%増加、4.3%減少した9)(外国人データ)。 注1)本剤の承認用法・用量は、通常、トレラグリプチンとして100mgを1週間に1回経口投与である。 注2)ビリルビン、アルブミン、PT又はINR、肝性脳症、腹水症の状態からスコア化する分類

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1グリメピリド注3)、メトホルミン

トレラグリプチンとグリメピリド又はメトホルミンを併用した時、トレラグリプチン及びこれら併用薬剤の薬物動態に明らかな影響は認められなかった10),11)(外国人データ)。 注3)グリメピリドは日本人のデータ

  1. 16.7.2その他の薬剤

トレラグリプチンとカフェイン、トルブタミド、デキストロメトルファン又はミダゾラムを併用した時、これら併用薬剤の薬物動態に明らかな影響は認められなかった12)(外国人データ)。