Clinical snapshot

サブリル散分包500mg

ビガバトリン製剤

添付文書改訂 2023年07月01日

【警告】

  1. 1.1本剤の投与を受けた約1/3の患者で不可逆的な視野狭窄が起こることが報告されている注1)。本剤の投与は、点頭てんかんの診断、治療に精通し、かつ本剤の安全性及び有効性についての十分な知識を有し、サブリル処方登録システム(Sabril Registration System for Prescription:SRSP)注2)に登録された医師・薬剤師がおり、網膜電図検査などの眼科検査に精通した眼科専門医と連携が可能な登録医療機関において、登録患者に対してのみ行うこと。

  2. 1.2本剤による視野狭窄の発現頻度は曝露期間の延長、累積投与量の増加に伴い高くなるため、本剤投与開始時及び本剤投与中はSRSPに準拠して定期的に視野検査を含めた眼科検査を実施すること。視野狭窄、あるいは網膜電図検査などで異常が認められた場合は、本剤による治療の継続の必要性を慎重に判断し、治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ本剤による治療を継続すること。治療を継続する場合には、より頻回に眼科検査を行い、本剤による治療の継続が適切であるかどうか定期的に判断すること。

  3. 1.3本剤の投与にあたっては、患者又は代諾者に本剤の有効性及び危険性について文書によって説明し、文書で同意を取得すること。

注1)外国人の成人及び小児の難治性てんかん患者を対象とした試験において、成人では36.5%(110/301例)、小児では20.0%(17/85例)に1回以上の両側性の求心性視野狭窄がみられた。

注2)定期的な眼科検査を実施し、視野障害、視力障害の早期発見を目的として規定された手順

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2SRSPの規定を遵守できない患者

効能・効果

点頭てんかん

用法・用量

通常、生後4週以上の患者には、ビガバトリンとして1日50mg/kgから投与を開始する。患者の症状に応じて、3日以上の間隔をあけて1日投与量として50mg/kgを超えない範囲で漸増するが、1日最大投与量は150mg/kg又は3gのいずれか低い方を超えないこととし、いずれも1日2回に分け、用時溶解して経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の投与により不可逆的な視野障害及び視力障害の発現が報告されている。本剤による視野障害は軽度から重度の両側性求心性視野狭窄であり、通常鼻側からあらわれ、ほとんどの場合は耳側視野より鼻側視野が広範に欠損する。本剤による視野障害は3ヵ月程度で急激に発現又は悪化することがあるため、本剤による視野障害をモニタリングするため、少なくとも3ヵ月に一度は視力検査、対座法による視野評価等を実施して患者の視機能について確認すること。また、網膜電図などによる視野検査を少なくとも投与開始時、投与3ヵ月、9ヵ月及び12ヵ月並びにそれ以降少なくとも6ヵ月ごとに実施すること。

  2. 8.2本剤の投与により視床、基底核、脳幹、小脳等において頭部MRI異常(T2強調画像高信号、拡散強調画像異常信号)の発現が報告されており、髄鞘内浮腫が認められているとする報告もある1)ことから、本剤投与開始時及び本剤投与期間中は定期的に頭部MRI検査を実施すること。異常が認められた場合には、関連する神経症状の有無などの患者の状態を慎重に観察し、本剤のベネフィット・リスクを評価した上で、本剤による治療継続の可否を判断すること。

  3. 8.3本剤の投与により顕著な鎮静、昏迷、錯乱、意識消失等の脳症症状があらわれるとの報告があるため、本剤投与期間中はこれらの症状の発現に注意すること。また、脳症症状が認められた症例の中には、急速な増量を行った患者、腎機能障害患者が含まれていたことから、これらの患者では特に注意すること。

  4. 8.4本剤の投与によりジストニア、ジスキネジア、筋緊張亢進、協調運動障害等の運動障害があらわれることがあり、これらの症状は頭部MRI異常を伴う場合があるため、症状が認められた場合には必要に応じて頭部MRI検査の実施を考慮すること。

  5. 8.5連用中における投与量の急激な減量あるいは投与中止により、発作の増悪又は重積状態があらわれることがあるので、投与を中止する場合には徐々に減量するなど慎重に行うこと。

  6. 8.6本剤の投与により眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、代諾者に対し注意を与えること。また、患者に対し本剤投与中には危険を伴う機械操作や遊戯などを行わないよう十分に注意を与えること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1黄斑症、網膜症、緑内障又は視神経萎縮の既往又は合併症を有する患者

視野障害のリスクが増大するおそれがある。

  1. 9.1.2精神病性障害、うつ病、行動障害の既往歴のある患者

激越、うつ病、異常思考、妄想反応等の精神症状の発現が報告されている。

9.2 腎機能障害患者

腎機能障害患者では低い用量で反応する可能性があるため、低用量からの投与開始、又は投与間隔の調節を考慮すること。腎機能障害のある乳幼児における用量調節方法に関する情報は得られていない。脳症のリスクが増大するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤を妊娠中に服用した患者において、自然流産や先天異常(口蓋裂、心血管欠損症、神経欠損症)を有する新生児が認められたとの報告がある。動物実験において、胎児に母動物毒性を示す用量で骨化遅延(ラット)及び口蓋裂(ウサギ)が認められ2),3)、出生児に臨床曝露量(AUC)の0.22倍の曝露量で脳に空胞化(ラット)が認められている4)。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトにおいて乳汁中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

低出生体重児及び新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 網膜症を引き起こすおそれがある薬剤
• ヒドロキシクロロキン等
併用により視野障害のリスクが増大するおそれがある。 共に網膜障害を引き起こす可能性があるため。
• 緑内障を引き起こすおそれがある薬剤
• プレドニゾロン等
併用により視野障害のリスクが増大するおそれがある。 共に視野障害を引き起こす可能性があるため。
フェニトイン、ホスフェニトインナトリウム水和物 本剤と併用した場合にフェニトインの血中濃度が低下する可能性がある。 機序不明

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT減少 5%以上
AST減少 頻度不明
うつ病 頻度不明
ジスキネジア 頻度不明
不眠症 5%以上
会話障害 頻度不明
体重増加 頻度不明
傾眠 5%以上
協調運動異常(運動失調) 頻度不明
嘔吐 頻度不明
妄想反応 頻度不明
幻覚 頻度不明
悪心 頻度不明
振戦 頻度不明
攻撃性 頻度不明
易刺激性 頻度不明
注意力障害 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
浮腫 頻度不明
激越 5%以上
疲労 頻度不明
発疹 頻度不明
眼振 頻度不明
神経過敏 頻度不明
筋緊張亢進) 頻度不明
精神病性障害 頻度不明
精神的機能障害(思考障害) 頻度不明
脱毛症 頻度不明
腹痛 頻度不明
自殺企図 頻度不明
興奮 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血管浮腫 頻度不明
複視 頻度不明
記憶障害 頻度不明
貧血 頻度不明
躁病 頻度不明
軽躁 頻度不明
運動障害(ジストニア 頻度不明
錯感覚 頻度不明
関節痛 頻度不明
霧視 頻度不明
頭痛 頻度不明
食欲減退 5%以上

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ビガバトリンは、γ-アミノ酪酸(GABA)の異化に関わる酵素GABAアミノ基転移酵素(GABA-T)に擬似基質として不可逆的に結合することにより酵素活性を阻害し29)、脳内のGABA濃度を増加させることにより抗てんかん作用を発揮すると考えられている30),31),32)。

18.2 抗けいれん作用

各種てんかん動物モデルにおいて、抗痙攣作用を示すことが報告されている。

  1. 18.2.1幼若ラットのNMDAにより誘発される屈曲発作を抑制した33)。

  2. 18.2.2マウスのペンチレンテトラゾールに誘発される強直性痙攣、3-メルカプトプロピオン酸により誘発される間代性痙攣、ピクロトキシンにより誘発される攣縮及び間代性痙攣を抑制した34)。

  3. 18.2.3マウスの高圧酸素により誘発される全般性発作を抑制した35)。

  4. 18.2.4扁桃核キンドリングラットの全身運動発作を抑制し、後発射持続時間を短縮した。また、キンドリング形成を抑制した36)。

  5. 18.2.5遺伝的てんかん動物モデル(聴原発作マウス、強直性痙攣及び欠神様発作を起こす系統のラット)のてんかん様発作を抑制した35),37)。

薬物動態

16.1 血中濃度

日本人乳幼児点頭てんかん患者9名にビガバトリン(散剤)37.5~75mg/kg/回(1日量75~150mg/kg)を反復経口投与したとき、反復投与12~16日目における50mg/kg/回の用量で標準化した血漿中ビガバトリン(R, S体)及びビガバトリンS体(活性体)の濃度の推移は下図のとおりであり、薬物動態パラメータは下表のとおりであった18)。

薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)
Ctrough
(μg/mL)
C2h
(μg/mL)
AUCτ
(μg・h/mL)
ビガバトリン(R, S体) 5.28±1.74 60.84±15.44 315.83±62.85
ビガバトリンS体 3.21±0.99 25.73±7.24 145.03±30.59

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

日本人健康成人6名に本剤(散剤)2gを空腹時単回経口投与又は本剤(散剤)2gを1日1回5日間食後反復経口投与したとき、血漿中未変化体(ビガバトリン)の薬物動態パラメータは下表のとおりであった。空腹時投与と比べ、食後投与においてCmaxの若干の低下がみられたものの、AUCに差はみられなかった19)。

投与量 測定時期 Cmax
(μg/mL)
Tmax
(h)
t1/2
(h)
AUC
(μg・h/mL)注3)
空腹時
単回投与
2.0g 66.7(21.4) 1.0(46.6) 7.0(19.4) 270(20.9)
食後
反復投与
2.0g
1日1回
1日目 42.6(12.0) 1.7(54.3) 5.6(13.4) 255(13.8)
5日目 42.5(18.9) 1.7(70.1) 6.0(37.3) 291(16.0)

評価例数:6名/投与量、平均値(変動係数:%)

注3)空腹時投与:AUC0-∞、食後投与:AUC0-24

16.3 分布

  1. 16.3.1蛋白結合

本剤はin vitroにおいてヒト血漿タンパクにほとんど結合しなかった(平衡透析法)20)。

16.4 代謝

14C-ビガバトリンをヒトに投与したときの血漿中に代謝物は認められず、投与後120時間までに投与量の約82%が未変化体として尿中に排泄されたことから、本剤はほとんど代謝を受けないと考えられた21)。 また、本剤はヒト肝細胞を用いたin vitro試験において臨床で想定される濃度(500μmol/L)で肝チトクロームP450(CYP1A2, 2B6, 2C9, 2C19, 3A4/5)の誘導作用を示さなかった22),23)。

16.5 排泄

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者(成人)での体内動態

腎機能障害患者(成人)16名(軽度~中等度[CLcr:40~79mL/min]:8名、中等度~重度[CLcr:10~39mL/min]:8名)及び腎機能正常被験者(成人)8名に、ビガバトリン(液剤)0.75gを単回経口投与したときのラセミ体(R, S体)及びエナンチオマー(S体)の血漿中薬物動態について検討した。 その結果、腎機能障害の程度に伴って、AUCの増加及びt1/2の延長が認められたが、Cmax及びTmaxへの影響はわずかであった(下表)24)(外国人データ)。

用量
0.75g
評価例数 PKパラメータ
平均値(CV%)
Cmax
(μg/mL)
AUCinf
(μg・h/mL)
CL/F
(L/h)
t1/2
(h)
Tmax注4)
(h)
ラセミ体として測定
正常 8 29.5
(7.6)
148.2
(14.0)
5.2
(14.6)
8.1
(15.3)
0.75
(0.33-1.00)
軽度~中等度 8 29.5
(16.7)
196.2
(18.0)
3.9
(17.3)
12.1
(16.6)
0.75
(0.33-1.00)
中等度~重度 8 33.8
(23.3)
523.5
(38.2)
1.7
(44.6)
23.4
(37.1)
0.75
(0.33-1.00)
S体として測定
正常 8 9.5
(26.2)
57.3
(24.2)
6.9
(24.3)
7.7
(22.2)
0.50
(0.33-1.00)
軽度~中等度 8 10.4
(23.0)
83.0
(13.7)
4.6
(14.7)
9.6
(10.9)
0.75
(0.33-1.00)
中等度~重度 8 12.7
(22.8)
143.2
(21.6)
2.7
(22.6)
12.4
(22.2)
0.625
(0.50-1.00)

注4)中央値(最小値-最大値)