Clinical snapshot

コンビビル配合錠

ジドブジンラミブジン

添付文書改訂 2024年08月01日

【警告】

  1. 1.1本剤の有効成分の一つであるジドブジンにより、骨髄抑制があらわれるので、頻回に血液学的検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。

  2. 1.2B型慢性肝炎を合併している患者では、ラミブジンの投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので、本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性の場合、重症化するおそれがあるので注意すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少した患者(ただし原疾患であるHIV感染症に起因し、本剤又は他の抗HIV薬による治療経験が無いものを除く)

  2. 2.2本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  3. 2.3イブプロフェン投与中の患者

効能・効果

HIV感染症

用法・用量

通常、成人には1回1錠(ジドブジンとして300mg及びラミブジンとして150mg)を1日2回経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1*本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
  • 本剤の日本人における薬物動態及び有効性・安全性は確認されておらず、外国人における成績しか得られていないこと。

  • 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染症を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。

  • 本剤はジドブジン及びラミブジンの固定用量を含有する配合剤であるので、本剤に加えてジドブジン含有製剤(レトロビルカプセル)又はラミブジン含有製剤をさらに追加して服用しないこと。

  • 本剤の有効成分であるジドブジンは相互作用が多く知られていることから、他院で処方された薬剤又は市販薬を服用中の場合は、すべて担当医に報告すること。

  1. 8.2本剤の有効成分であるジドブジンにより骨髄抑制があらわれるので、投与開始後3ヵ月間は少なくとも2週間毎に血液学的検査を行い、その後は最低1ヵ月毎の検査を行うこと。

  2. 8.3重篤な血液障害、乳酸アシドーシス、脂肪沈着による重度の肝腫大(脂肪肝)、横紋筋融解症、ニューロパシー、錯乱、痙攣、てんかん様発作、心不全があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。

  3. 8.4本剤の投与により、脂肪組織萎縮症があらわれることがあるので、脂肪組織萎縮症の徴候を判定するための検査を行うなど、脂肪組織萎縮症の徴候に十分注意するとともに、身体状態の変化について定期的に問診すること。

  4. 8.5本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている。投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等に対する炎症反応が発現することがある。また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること。

  5. 8.6膵炎が発症する可能性があるので、血清アミラーゼ、血清リパーゼ、トリグリセリド等の生化学的検査を定期的に行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少した患者(ただし原疾患であるHIV感染症に起因し、本剤又は他の抗HIV薬による治療経験が無いものを除く)

投与しないこと。好中球数、ヘモグロビン値が更に減少することがある。

  1. 9.1.2好中球数750/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL未満に減少した患者(原疾患であるHIV感染症に起因し、本剤又は他の抗HIV薬による治療経験が無いもの)

  2. 9.1.3好中球数750/mm3以上1000/mm3未満又はヘモグロビン値が7.5g/dL以上9.5g/dL未満の患者

ジドブジンにより好中球数、ヘモグロビン値が更に減少することがある。

  1. 9.1.4ビタミンB12欠乏患者

ジドブジンにより貧血が発現するおそれがある。

  1. 9.1.5膵炎を発症する可能性のある患者(膵炎の既往歴のある患者、膵炎を発症させることが知られている薬剤との併用療法を受けている患者)

膵炎を再発又は発症する可能性がある。本剤の適用を考える場合には、他に十分な効果の認められる治療法がない場合にのみ十分注意して行うこと。

  1. 9.1.6B型肝炎ウイルス感染を合併している患者

本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性の場合、重症化するおそれがある。

  1. 9.1.7肝硬変等の重篤な肝疾患を有する患者

肝臓におけるグルクロン酸抱合低下により、ジドブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1腎機能障害(Ccrが30mL/min未満)を有する患者

ジドブジン及びラミブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある。

  1. 9.2.2腎機能障害(Ccrが30~49mL/min)を有する患者

血液検査等をより頻回に行うなど、慎重に患者の状態を観察すること。副作用の発現が疑われる場合は、個別のジドブジン製剤又はラミブジン製剤を用いて用量調節を考慮すること。ジドブジン及びラミブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1肝機能障害のある患者

ジドブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある。

9.5 妊婦

  1. 9.5.1妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

  2. (1)ジドブジン

ジドブジンはヒト胎盤を通過する。出生児の血漿中ジドブジン濃度は、分娩時の母親の血漿中濃度と同じであることが報告されている4)(外国人データ)。 ジドブジンが胎児臍帯血白血球のDNAに取り込まれたという報告がある5)(外国人データ)。 ラットの受胎能及び一般生殖能試験(50、150、450mg/kg/日、1日2回投与)では、中及び高用量群に胚吸収率の増加、高用量群に胎児平均体重の減少がみられた。 サルを用いた試験で、胎児にミトコンドリア障害(心筋及び骨格筋におけるミトコンドリアミオパシー)が認められたとの報告がある6)。

  1. (2)ラミブジン

ラミブジンはヒト胎盤を通過する。出生児の血清中ラミブジン濃度は、分娩時の母親の血清中及び臍帯血中の濃度と同じであることが報告されている(外国人データ)。 動物実験(ウサギ)で胎児毒性(早期の胚死亡数の増加)が報告されている。

  1. (3)ジドブジン/ラミブジン共通

ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)を子宮内曝露又は周産期曝露された新生児及び乳児において、ミトコンドリア障害によると考えられる軽微で一過性の血清乳酸値の上昇が報告されている。 非常にまれに発育遅延、てんかん様発作、他の神経疾患も報告されている。しかしながら、これら事象とNRTIの子宮内曝露、周産期曝露との関連性は確立していない。

  1. 9.5.2本剤を投与された妊婦より出生した児に貧血があらわれることがある。定期的に検査を行うなど児の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。

9.6 授乳婦

  1. 9.6.1授乳を避けさせること。

  2. (1)ジドブジン

経口投与されたジドブジン(200mg、単回投与)は、ヒト乳汁中に排泄され、血清中の濃度と同じであることが報告されている(外国人データ)。 ジドブジンの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比は0.4~3.2であることが報告されている(外国人データ)。 乳児の血清中のジドブジン濃度は24ng/mLであったとの報告がある7)(外国人データ)。

  1. (2)ラミブジン

経口投与されたラミブジンはヒト乳汁中に排泄されることが報告されている(乳汁中濃度:<0.5-8.2μg/mL)8)(外国人データ)。 ラミブジンの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比は0.6~3.3であることが報告されている(外国人データ)。 乳児の血清中のラミブジン濃度は18~28ng/mLであったとの報告がある(外国人データ)。

9.7 小児等

本剤はジドブジン及びラミブジンの固定用量を含有する配合剤であるので、ジドブジン又はラミブジンの用量調節が必要である体重30kg未満の小児患者には、個別のジドブジン製剤(レトロビルカプセル)又はラミブジン製剤(エピビル錠)を用いること。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。肝機能又は腎機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがある。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
イブプロフェン(ブルフェン) ジドブジンと併用投与した場合、血友病患者において出血傾向が増強することがある。 機序は不明である。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
ペンタミジンイセチオン酸塩、ピリメタミン(国内未発売)、スルファメトキサゾール・トリメトプリム、フルシトシン、ガンシクロビル、インターフェロン、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン硫酸塩、ドキソルビシン塩酸塩 ジドブジンの毒性作用が増強されることがある。 機序は不明であるが、ともに腎毒性又は骨髄毒性を有するためと考えられている。
プロベネシド ジドブジンの全身クリアランスが約1/3に減少し半減期が約1.5倍延長したとの報告があるので、投与間隔を適宜あけること。 ジドブジンのグルクロン酸抱合が競合的に阻害される。また、本剤のグルクロン酸抱合体の腎排泄が抑制されることが考えられている。
フルコナゾール、ホスフルコナゾール ジドブジンの最高血中濃度が84%上昇するとの報告がある9)。 ジドブジンのグルクロン酸抱合が競合的に阻害されることが考えられている。
リトナビル ジドブジンの最高血中濃度が27%減少し、AUCが25%減少するとの報告がある10)。 ジドブジンのグルクロン酸抱合が促進されることが考えられている。
リファンピシン ジドブジンの全身クリアランスが約2.5倍増加し、AUCが約1/2減少するとの報告がある11)。 機序は不明である。
フェニトイン 血中フェニトイン濃度が約1/2に減少するとの報告がある12)。また、上昇するとも報告されているので、血中フェニトイン濃度を注意深く観察すること。 機序は不明である。
サニルブジン 細胞内におけるサニルブジン三リン酸化体が減少し、サニルブジンの効果が減弱するとの報告があるので、ジドブジンとサニルブジンとの併用療法は避けることが望ましい。 ジドブジンが細胞内におけるサニルブジンのリン酸化を抑制することが考えられている。
リバビリン In vitroにおいてリバビリンとの併用によりジドブジンの効果が減弱するとの報告があるので、ジドブジンとリバビリンの併用療法は避けることが望ましい。 ジドブジンの細胞内におけるリン酸化が競合的に阻害されることが考えられている。
アトバコン ジドブジンのAUCが33%上昇し、グルクロン酸抱合体の最高血中濃度が19%低下した。ジドブジン500又は600mg/日を3週間投与した場合では、ジドブジンの血中濃度の上昇により、副作用の発現頻度が上昇する可能性は低いと考えられるが、アトバコンをより長期に投与する場合には、十分注意すること。 ジドブジンのグルクロン酸抱合が阻害されることが考えられている。
スルファメトキサゾール・トリメトプリム ラミブジンのAUCが43%増加し、全身クリアランスが30%、腎クリアランスが35%減少したとの報告がある。 腎臓における排泄がラミブジンとトリメトプリムで競合すると考えられている。
ソルビトール 経口ソルビトール溶液(ソルビトールとして3.2g、10.2g、13.4g)とラミブジンの併用により、ラミブジンのAUCが減少した(それぞれ18%、36%、42%減少)との報告がある。 ソルビトールによりラミブジンの吸収が抑制されると考えられている。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT等の上昇) 1%未満
CK上昇 1%未満
CK上昇を伴う筋脱力 頻度不明
アレルギー反応 1%未満
インフルエンザ様疾患 頻度不明
うつ病 1%未満
じん麻疹 頻度不明
ストレス反応 頻度不明
そう痒 1%未満
トリグリセリド上昇・血清コレステロール上昇 1%未満
ミオパシー 頻度不明
めまい 1%未満
リンパ球減少注2) 頻度不明
リンパ節症注2) 頻度不明
上気道炎注2) 頻度不明
下痢 1%未満
不安注2) 頻度不明
不眠 1%未満
体幹部の脂肪増加 1%未満
体温調節障害注2) 頻度不明
体脂肪の再分布/蓄積(胸部 1%未満
体臭変化 頻度不明
体重減少 1%未満
便秘 1%未満
倦怠感・疲労 1%未満
健忘症 頻度不明
傾眠 1%未満
全身痛 頻度不明
副鼻腔炎注2) 頻度不明
口内潰瘍 1%未満
口唇浮腫 頻度不明
味覚倒錯 1%未満
呼吸困難 頻度不明
呼吸障害注2) 頻度不明
咳注2) 頻度不明
咽頭炎 頻度不明
咽頭痛注2) 頻度不明
嗄声 頻度不明
嘔吐 1%未満
嘔気 1%未満
噯気 頻度不明
嚥下困難 頻度不明
多尿 頻度不明
失神 1%未満
女性化乳房 頻度不明
平均赤血球容積(MCV)増加注1) 頻度不明
弱視 頻度不明
心筋症 頻度不明
悪寒 頻度不明
情緒不安 頻度不明
感冒症状 頻度不明
感情障害注2) 頻度不明
手足のしびれ感 頻度不明
振戦 頻度不明
排尿障害 頻度不明
攣縮 頻度不明
敗血症 頻度不明
末梢神経障害 1%未満
末梢部 1%未満
歯肉出血 頻度不明
気管支炎注2) 頻度不明
活動低下 頻度不明
消化不良 1%未満
湿疹 1%未満
無力症 1%未満
無尿 頻度不明
爪・皮膚・口腔粘膜の色素沈着 頻度不明
疼痛 1%未満
痔核注2) 頻度不明
痙攣等の脳症状 頻度不明
痛覚過敏 頻度不明
痤瘡・毛嚢炎 1%未満
発汗注2) 頻度不明
発熱 1%未満
発疹 1%未満
皮膚炎 1%未満
直腸出血 頻度不明
睡眠障害注2) 頻度不明
神経過敏症 頻度不明
空間の広がり感 頻度不明
筋痙攣 頻度不明
筋痙直注2) 頻度不明
総蛋白上昇注2) 頻度不明
総蛋白低下注2) 頻度不明
羞明 頻度不明
耳管炎注2) 頻度不明
肝機能検査値異常(AST 1%未満
肺炎 頻度不明
胃炎 1%未満
背痛 頻度不明
胸痛 頻度不明
脱毛 1%未満
脱水 頻度不明
腎不全 頻度不明
腹痛 1%未満
腹部痙直注2) 頻度不明
舌浮腫 頻度不明
血中尿酸上昇 1%未満
血清アミラーゼ上昇 頻度不明
血清クレアチニン上昇注2) 頻度不明
血清脂質増加 1%未満
血管拡張 頻度不明
血糖値低下注2) 頻度不明
血糖増加) 1%未満
見当識障害 頻度不明
重炭酸塩上昇注2) 頻度不明
重炭酸塩低下注1) 頻度不明
野牛肩 1%未満
錯感覚 1%未満
関節痛注2) 頻度不明
難聴 頻度不明
霧視 1%未満
頭痛 1%未満
頻尿 頻度不明
顔面の脂肪減少 1%未満
食欲不振 1%未満
骨痛・筋痛 1%未満
高乳酸塩血症 1%未満
高血糖注1) 頻度不明
鼓腸放屁 1%未満
鼻出血 頻度不明
鼻炎注1) 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  1. 18.1.1ジドブジン

ジドブジンはHIV感染細胞内でリン酸化され、活性化型の三リン酸化体となる30)。ジドブジン三リン酸化体はデオキシチミジン三リン酸の代わりにウイルスDNA鎖に取り込まれて、DNA鎖伸長を停止させることによりHIVの複製を阻害する30)。また、HIV逆転写酵素を競合的に阻害する30)。ジドブジン三リン酸化体のHIV逆転写酵素に対する親和性は、正常細胞のDNAポリメラーゼに比べて約100倍高く、選択性の高い抗ウイルス作用を示す(ヒトリンパ球系H9細胞増殖に対するin vitroでのIC50値は267μg/mL(1000μM))30)。

  1. 18.1.2ラミブジン

ラミブジンは細胞内でリン酸化され、HIVを感染させた細胞内での半減期が約12時間の活性化型の三リン酸化体に変換される31)。ラミブジン三リン酸化体はHIVの逆転写酵素によりデオキシシチジン三リン酸の代わりにウイルスDNA鎖に取り込まれ、DNA鎖の伸長を停止させることによりHIVの複製を阻害する32)。また、ラミブジン三リン酸化体はHIVの逆転写酵素を競合的に阻害する32)。一方、in vitroで、ヒト末梢血リンパ球、リンパ球系・単球-マクロファージ系の株化細胞33)及び種々のヒト骨髄前駆細胞に対するラミブジンの細胞毒性は弱かった。

18.2 抗ウイルス作用

  1. 18.2.1ジドブジン

ジドブジンのHIVに対するin vitroにおけるIC50値は、CD4リンパ球系細胞を用いた系では0.13μg/mL(0.49μM)以下であった34)。 In vitroでジドブジンとアバカビル、ラミブジン、ジダノシン等の抗HIV薬あるいはインターフェロンαとの相加又は相乗作用が認められた。 マウスにマウスレトロウイルス(Rauscherマウス白血病ウイルス)を接種し、接種4時間目より、ジドブジンを1.0mg/mLの割合で飲用水に混入して投与することにより、平均脾臓重量、脾臓細胞感染率、及び血中ウイルス力価が対照群に比し著しく低下した。また感染後生存日数も延長した35)。

  1. 18.2.2ラミブジン

In vitroでのラミブジンのHIV-1(RF、GB8、U455及びⅢB)に対するIC50値は670nM以下、HIV-2 RODに対するIC50値は40nMであった33)。 In vitroでアバカビル、ジダノシン、ネビラピン、ザルシタビン及びジドブジンとの相加又は相乗作用が認められた36)。また、in vitroにおいて、ラミブジンは単独で、ジドブジン耐性臨床分離株の平均p24抗原量を薬物無処置群に比べ66~80%低下させた。 In vitroでの26種のHIV-1臨床分離株[グループM(サブタイプA、B、C、D、E、F、G)]並びに3種類のHIV-2臨床分離株に対するラミブジンのIC50値(平均値)はHIV-1株及びHIV-2株でそれぞれ40nM(範囲は1~120nM)及び42nM(範囲は2~120nM)であった。

18.3 薬剤耐性

  1. 18.3.1ジドブジン

ジドブジンを含むチミジンアナログに対する耐性は、HIV逆転写酵素の41、67、70、210、215及び219番目のアミノ酸の変異によって生じ、これらのうち41番目と215番目の変異あるいは4個以上の変異によってウイルスは表現型として耐性を示す37),38)。なお、これらチミジンアナログの変異を有するウイルスは高度の交差耐性を示さない39)。 また、62、75、77、116及び151番目のアミノ酸の変異、並びに69番目のアミノ酸のスレオニンからセリンへの変異とそれに加えて同じ個所への6塩基対の挿入により、ウイルスはジドブジンを含むヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤に対し多剤耐性を示す40),41),42)。

  1. 18.3.2ラミブジン

ラミブジンを含む抗HIV薬で治療を受けたHIV-1感染症患者で発現するラミブジン耐性HIV-1には、HIV逆転写酵素の活性部位に近い184番目のアミノ酸のメチオニンからバリンへの変異(M184V)がみられる43)。このM184V変異の結果、ウイルスのラミブジンに対する感受性は著明に低下し43),44)、in vitroでのウイルスの複製能力は低下する45)。 In vitroにおいて、ジドブジン耐性臨床分離株にラミブジン耐性変異を導入すると、ジドブジンに対する感受性は回復することが確認されている。また、抗HIV薬の治療経験のない患者にジドブジン及びラミブジンを併用することにより、ジドブジン耐性ウイルスの出現が遅延する46)。さらに、抗HIV薬(ラミブジンを含む)の多剤併用療法はM184V変異ウイルスを有する患者と同様、抗HIV薬の治療経験のない患者においても有効性が確認されている47),48)。

18.4 交差耐性

  1. 18.4.1ラミブジン

ジドブジン及びサニルブジンは、ラミブジン耐性HIV-1に対し抗ウイルス活性を維持する39),44),46)。 アバカビルはM184V変異のみが認められているウイルスに対しては、抗ウイルス活性を維持する49)。 また、ジダノシン及びザルシタビンは、M184V変異ウイルスに対して感受性が低下するというin vitroでの報告があるが、これらの感受性の低下と臨床効果の関係は明らかにされていない50)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回経口投与

健康成人76例にドルテグラビル・ラミブジン50mg・300mgを空腹時に単回経口投与した時のラミブジンの血漿中濃度の推移を図-1に、薬物動態パラメータを表-1に示した52)(外国人データ)。

図-1 健康成人にドルテグラビル・ラミブジンを単回経口投与した時のラミブジンの血漿中濃度の推移(平均値+標準偏差)

AUC0-inf
(μg・h/mL)
Cmax
(μg/mL)
Tmax
(h)注1)
t1/2
(h)
13.59(17.99) 3.22(29.30) 1.00(0.50,3.50) 18.63(26.85)

幾何学平均値(CV%) 注1)中央値(範囲)

  1. 16.1.2反復経口投与

HIV感染症患者6例に対し、ジドブジン100mg注)1日4回とラミブジン150mg1日2回を25日間以上連続経口投与した時のジドブジン、ラミブジンの血漿中薬物濃度の推移を図-2に、薬物動態パラメータを表-2に示した。ジドブジンは投与後0.8時間で、ラミブジンは投与後1.3時間で最高血漿中濃度(Cmax)に達し、ジドブジン、ラミブジンのCmax平均はそれぞれ0.549μg/mL、1.547μg/mLであった。ジドブジン、ラミブジンの平均半減期はそれぞれ1.1時間、2.3時間であった17)。

図-2 血漿中薬物濃度の推移(平均値±標準偏差、6例)

Cmax
(μg/mL)
Tmax
(h)
t1/2
(h)
AUC0-6
(μg・h/mL)
AUC0-12
(μg・h/mL)
ジドブジン 0.549±0.261 0.8±0.3 1.1±0.1 0.858±0.266
ラミブジン 1.547±0.302 1.3±0.6 2.3±0.6 5.089±1.692 6.165±2.312

平均値±標準偏差、6例

ラミブジンとジドブジンの併用投与を行なった時、ジドブジンの最高血中濃度が28%上昇したが、ラミブジン及びジドブジンのAUCに有意な変化は認められなかった18)(外国人データ)。

成人HIV感染症患者にジドブジンを反復経口投与後のCmax及びAUCは、2.0mg/kgを8時間毎~10mg/kg注)を4時間毎の投与量範囲で投与量に比例して増加し、0.5~1.5時間で最高血漿中濃度に達し、半減期約1時間(0.78~1.93時間)で消失した(外国人データ)。

成人HIV感染症患者にラミブジン2mg/kg注)を1日2回15日間経口投与した時、初回投与時では投与1.5時間後に最高血中濃度の1.5μg/mLに達し、半減期は2.6時間であり、15日間投与後では血中濃度は定常状態に達し、最高血中濃度は1.9μg/mLであった19)(外国人データ)。

  1. 16.1.3単回静脈内投与

ジドブジンを静脈内投与注)した場合、1~5mg/kgの範囲で線形の薬物動態を示し、半減期は約1.1時間(0.48~2.86時間)、全身クリアランス(CL)は1900mL/min/70kg、みかけの分布容積(Vd)は1.6L/kgであった21)(外国人データ)。

  1. 16.1.4生物学的同等性

健康成人24例に、空腹時に本剤(ジドブジン300mg及びラミブジン150mgを含有する配合剤)1錠、及び、空腹時にジドブジン製剤(ジドブジン300mgを含有する錠剤)及びラミブジン製剤(ラミブジン150mgを含有する錠剤)各1錠を投与し、生物学的同等性を評価した。本剤投与時とジドブジン製剤及びラミブジン製剤の併用投与時のジドブジン及びラミブジンのAUClast、AUC∞及びCmaxは、生物学的同等性の判定基準(平均値の比の90%信頼区間が0.8~1.25の範囲内)を満たし、生物学的同等性が示された(外国人データ)。

16.2 吸収

  1. 16.2.1食事の影響

健康成人24例に、標準朝食(炭水化物58g、蛋白質33g、脂肪67g)摂取後に本剤(ジドブジン300mg及びラミブジン150mgを含有する配合剤)を投与した時、一晩絶食後に投与した時と比較して、ジドブジンのCmaxは45%低下し、Tmaxは30分から1時間(中央値)に遅延し、ラミブジンのCmaxは15%低下した。一方AUC∞はラミブジンでは変化が認められず、ジドブジンでは10%の低下であり、食事摂取により曝露量はほとんど変化しなかった(外国人データ)。

  1. 16.2.2バイオアベイラビリティ

  2. (1)ジドブジン

成人HIV感染症患者にジドブジン250~1250mg注)を4時間毎に反復経口投与した場合の生物学的利用率は平均65%(52~75%)であった21)(外国人データ)。

  1. (2)ラミブジン

成人HIV感染症患者にラミブジンのカプセル製剤0.25~8mg/kg注)を単回経口投与した時の生物学的利用率は約82%であった20)(外国人データ)。

16.3 分布

  1. 16.3.1ジドブジン

  2. (1)髄液への移行

ヒトにジドブジンを投与したとき髄液中への移行が認められ、2mg/kg注)経口投与1.8時間後におけるジドブジンの髄液中/血漿中濃度比は0.15であり、2.5及び5.0mg/kg静脈内投与注)2~4時間後の髄液中/血漿中濃度比はそれぞれ0.20及び0.64であった21)(外国人データ)。

  1. (2)血漿蛋白結合率

In vitroにおけるジドブジンの血漿蛋白結合率は34~38%であった。

  1. (3)結合蛋白

In vitroにおけるジドブジンの結合蛋白はアルブミンと同定された22)。

  1. 16.3.2ラミブジン

  2. (1)脳脊髄液への移行

成人HIV感染症患者にラミブジン4~10mg/kg注)を1日2回2週間以上反復経口投与した時、投与2時間後の脳脊髄液中濃度は血中濃度の約6%であった23)(外国人データ)。

16.4 代謝

  1. 16.4.1ジドブジン

ジドブジンは吸収後、主にUDP-glucuronosyl transferaseによってグルクロン酸抱合をうけ、主代謝物3'-azido-3'-deoxy-5'-O-β-D-glucopyranuronosyl thymidine(GZDV)に速やかに代謝される。副代謝経路として3'-amino-3'-deoxythymidine(AMT)及びそのグルクロン酸抱合体(GAMT)に代謝される経路も存在する24)。 静脈内投与後のGZDVのAUCは未変化体のAUCの約3倍であり、AMTのAUCは未変化体のAUCの1/5であった。

  1. 16.4.2ラミブジン

ヒトでの主代謝物はトランス-スルホキシド体(1-[(2R5S)-trans-2-hydroxymethyl-1,3-oxathiolan-3-oxide-5-yl]cytosine)であった25)(外国人データ)。

16.5 排泄

  1. 16.5.1ジドブジン

HIV感染症患者にジドブジンを経口投与後の未変化体及びGZDVの尿中排泄率はそれぞれ14.3%及び75.2%であった。ジドブジンの腎クリアランスは400mL/min/70kgであり、糸球体濾過及び能動的尿細管分泌による排泄機構が示唆される21)(外国人データ)。

  1. 16.5.2ラミブジン

成人HIV感染症患者にラミブジン2mg/kg注)を経口投与した時、投与後12時間尿中にトランス-スルホキシド体が投与量の5.2%排泄された。また、血中濃度が定常状態での未変化体の尿中排泄率は投与量の約70%であり、腎排泄がラミブジンの体内からの除去の主要な経路であることが示された25)(外国人データ)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

  2. (1)ジドブジン

腎機能障害を有する成人患者(平均Ccr 18±2mL/min)に、ジドブジン200mg注)を単回経口投与した時、腎機能が正常な患者での半減期が1.0時間であったのに対し、腎機能障害患者では1.4時間であり、AUCは正常患者の約2倍であった。また、GZDVの半減期は正常患者で0.9時間であったのに対して8.0時間に延長し、AUCは17倍であった21)(外国人データ)。

  1. (2)ラミブジン

腎機能の低下したHIV感染症患者にラミブジンを300mg注)単回経口投与した時、Ccrの低下につれてAUC及び最高血中濃度が増加し、半減期が延長し、見かけの全身クリアランスが減少した26)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1In vitro試験

アスピリン、インドメタシン等のグルクロン酸抱合により代謝される薬剤がジドブジンのグルクロン酸抱合を阻害したとの報告がある27)。

注)本剤の承認された用法及び用量は「通常、成人には1回1錠(ジドブジンとして300mg及びラミブジンとして150mg)を1日2回経口投与する。」である。