Clinical snapshot

グルカゴン注射用1単位「ILS」

グルカゴン

添付文書改訂 2026年06月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1褐色細胞腫又はパラガングリオーマの患者[カテコールアミンの遊離を刺激して、急激な血圧の上昇を招くおそれがある。]

  2. 2.2本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果

効能・効果
• 成長ホルモン分泌機能検査**血中HGH値は、測定方法、患者の状態等の関連で異なるため、明確に規定しえないが、通常、正常人では、本剤投与後60~180分でピークに達し、10ng/mL以上を示す。血中HGH値が5ng/mL以下の場合HGH分泌不全とする。
なお、本剤投与後60分以降は30分ごとに180分まで測定し、判定することが望ましい。
• インスリノーマの診断**正常反応は個々の施設で設定されるべきであるが、通常、正常人では、投与後5分以内に血中IRI値がピークに達し、100μU/mL以下を示し、血糖/IRI比は1以上である。
インスリノーマの患者では、投与後6分以降に血中IRI値がピークに達し、100μU/mL以上を示し、血糖/IRI比は1以下である。
• 肝糖原検査**正常反応は個々の施設で設定されるべきであるが、通常、正常小児では、本剤筋注後30~60分で血糖はピークに達し、前値より25mg/dL以上上昇する。正常成人では、本剤の静注後15~30分でピークに達し、前値より30~60mg/dL上昇する。
しかし、投与後の血糖のピーク値だけでは十分な判定ができないと考えられる場合は、投与後15~30分ごとに測定し、判定することが望ましい。
• 低血糖時の救急処置**
• 消化管のX線及び内視鏡検査の前処置**

用法・用量

効能・効果 用法・用量
成長ホルモン分泌機能検査 本品1USP単位(1バイアル)を1mLの注射用水に溶解し、通常1USP単位又は体重1kgあたり0.03USP単位を皮下又は筋肉内に注射する。
インスリノーマの診断 通常1USP単位(1バイアル)を1mLの注射用水に溶解し、静脈内に注射する。
肝糖原検査 通常成人には1USP単位(1バイアル)を生理食塩液20mLに溶かし、3分かけて静脈内に注射する。
なお、小児においては通常体重1kgあたり0.03USP単位を筋肉内に注射する。
低血糖時の救急処置 通常1USP単位(1バイアル)を1mLの注射用水に溶解し、筋肉内又は静脈内に注射する。
消化管のX線及び内視鏡検査の前処置 通常1USP単位(1バイアル)を1mLの注射用水に溶解し、0.5~1USP単位を筋肉内又は静脈内に注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、本剤の作用持続時間については、筋肉内注射の場合約25分間、静脈内注射の場合15~20分間である。

使用上の注意

    1. 8.1本剤投与後に二次的な低血糖が起こることがある。
  • 〈効能共通〉

  1. 8.1.1低血糖に基づくめまい、ふらつき、意識障害を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
  • 〈成長ホルモン分泌機能検査、インスリノーマの診断、肝糖原検査、消化管のX線及び内視鏡検査の前処置〉
  1. 8.1.2二次的な低血糖を予防するため、検査終了後、糖分を経口摂取させることが望ましい。
  • 〈低血糖時の救急処置〉
  1. 8.2患者及びその看護者(家族等)が対処できるように、注射法について十分指導すること。また、低血糖に関する注意についても十分徹底させること。

  2. 8.3低血糖を生じた患者にグルカゴンを投与すると通常20分以内に症状が回復するが、症状が改善しない場合でも、グルカゴンの反復投与は避け、直ちに、ブドウ糖等の投与など適切な処置を行うこと。なお、回復した場合でも糖質投与を行うことが望ましい。

  • 〈消化管のX線及び内視鏡検査の前処置〉
  1. 8.4投与直後だけでなく、検査終了後にも血圧低下があらわれることがある。このため、検査終了後も観察を十分に行い、症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
  • 〈成長ホルモン分泌機能検査〉
  1. 8.5他のグルカゴン製剤による成長ホルモン分泌機能検査では、最終的に成長ホルモン分泌不全性低身長症と診断された症例においても、一部にグルカゴン投与による血中HGHの上昇が認められることがある。同剤の臨床試験において、最終的に成長ホルモン分泌不全性低身長症と診断された6/19例(31.6%)に同剤投与後、血中HGHの上昇(HGHピーク値:10ng/mL以上)が認められた。また、10ng/mL(プロプラノロール併用では15ng/mL)以上のHGHピーク値が認められた場合は正常反応、10ng/mL未満は低反応とすると、グルカゴン負荷とインスリンあるいはアルギニン負荷との診断的一致率は、それぞれ70.6%(24/34例)、75.8%(25/33例)であった。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1インスリノーマ又はその疑いのある患者

投与後の低血糖症状の発現に注意する。インスリンが過度に分泌され低血糖を起こすおそれがある。

  1. 9.1.2糖尿病患者及び糖代謝異常が認められる患者

糖尿病の病態(内因性インスリン分泌能等)を考慮し、血糖値の変動等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。本剤の血糖上昇作用により、血糖コントロールに影響を及ぼすおそれがある。また、糖代謝異常が認められる患者においては、高血糖状態が持続する可能性がある。

  1. 9.1.3糖原病I型の患者

肝糖原検査に際しては、特に乳酸アシドーシスの発現に注意すること。糖原病I型ではグルコース-6-リン酸からグルコースへの変換が障害されているため、本剤の投与により血液中の乳酸が増加し、乳酸アシドーシスが起こり緊急処置を要した例が報告されている。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1肝硬変等、肝の糖放出能が低下している肝疾患のある患者

本剤のインスリン分泌促進作用により低血糖を起こすおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験で胎仔の眼球異常が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

低血糖が起こりやすい。他のグルカゴン製剤で、主に小児を対象とした成長ホルモン分泌機能検査においては、嘔気(6/46例、13%)、嘔吐(4/46例、8.7%)、発汗(3/46例、6.5%)等の低血糖によると思われる症状が多く認められている。特に、プロプラノロール併用による検査では、2/5例に低血糖によると思われる症状が認められている。

9.8 高齢者

  1. 9.8.1高齢者

一般に生理機能が低下している。

  1. 9.8.2心疾患のある高齢者

心筋の酸素消費量の増加に伴い虚血症状の悪化が起こるおそれがある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
β-遮断剤
プロプラノロール塩酸塩 等
血糖上昇後のリバウンド現象である低血糖症状があらわれやすくなる。特に、成長ホルモン分泌機能検査におけるプロプラノロール併用時に低血糖によると思われる症状が高頻度に認められているので、観察を十分に行うこと。 通常、低血糖になるとアドレナリンが遊離され血糖を上昇させるが、β-遮断剤の併用により低血糖からの回復反応が抑制される。また、低血糖に対する交感神経系の症状(振戦、動悸等)をマスクし、低血糖を遷延させる可能性がある。
膵臓ホルモン
インスリン
インスリンの血糖降下作用が減弱することがある。
血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
本剤は糖新生亢進、肝グリコーゲン分解促進等による血糖上昇作用を有する。
抗凝固剤
ワルファリンカリウム
ワルファリンカリウムの抗凝血作用が増強することがある。
併用時は凝固能の変動に注意し、必要であればワルファリンカリウムを減量するなど適切な措置を行うこと。
機序不明。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
LDH上昇 頻度不明
トリグリセライド上昇 頻度不明
ほてり 頻度不明
めまい 頻度不明
下痢 頻度不明
倦怠感 頻度不明
冷感 頻度不明
嘔吐 頻度不明
嘔気 頻度不明
尿潜血 頻度不明
尿糖 頻度不明
心悸亢進 頻度不明
熱感 頻度不明
発汗 頻度不明
発赤 頻度不明
白血球分画の変動 頻度不明
白血球数増加 頻度不明
眠気 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹鳴 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血圧低下注2) 頻度不明
血清カリウム上昇 頻度不明
血清カリウム低下 頻度不明
血清ビリルビン上昇 頻度不明
血清無機リン上昇 頻度不明
血糖値上昇 頻度不明
頭痛 頻度不明
顔色不良 頻度不明
高血圧 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

  1. 18.1.1血糖上昇作用

グルカゴンは、肝臓のグリコーゲン分解及び糖新生により血糖値を上昇させる2),3) 。

  1. 18.1.2消化管蠕動運動抑制作用

消化管の平滑筋に直接作用し、蠕動運動及び消化液分泌を抑制すると考えられている4),5) 。

  1. 18.1.3インスリン分泌促進作用

グルカゴンは、健康人及びインスリン非依存型糖尿病患者でのインスリン分泌を促進する3),6) 。

  1. 18.1.4成長ホルモン分泌促進作用

グルカゴンを皮下又は筋肉内に注射すると成長ホルモンの分泌を促進する7) 。

薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人男子に本剤1USP単位を筋肉内注射した場合の血中グルカゴン濃度の推移は下図のとおりで、Cmaxは3958pg/mL、AUCは3592pg・hr/mL、Tmaxは15minであった1) 。

16.8 その他

  1. 16.8.1生物学的同等性試験

グルカゴン注射用1単位「ILS」と注射用グルカゴン・ノボを、クロスオーバー法によりそれぞれ1USP単位を健康成人男子12名に絶食単回筋肉内投与して血糖値を測定し、得られたパラメータ(AUC、Cmax)について95%信頼区間法にて統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された1) 。