Clinical snapshot

クレミン顆粒10%

モサプラミン塩酸塩錠・顆粒

添付文書改訂 2025年12月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1昏睡状態、循環虚脱状態の患者[これらの状態を悪化させるおそれがある。]

  2. 2.2バルビツール酸誘導体・麻酔剤等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制剤の作用を延長し増強させる。]

  3. 2.3アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)

  4. 2.4パーキンソン病又はレビー小体型認知症の患者[錐体外路症状が悪化するおそれがある。]

  5. 2.5本剤の成分又はイミノジベンジル系化合物に対し過敏症の患者

  6. 2.6妊婦又は妊娠している可能性のある女性

効能・効果

統合失調症

用法・用量

モサプラミン塩酸塩として、通常、成人1日30~150mgを3回に分けて経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日300mgまで増量することができる。

使用上の注意

  1. 8.1眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。

  2. 8.2制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1心・血管疾患、低血圧、又はそれらの疑いのある患者

一過性の血圧降下があらわれることがある。

  1. 9.1.2血液障害のある患者

血液障害を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.3てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者

痙攣閾値を低下させることがある。

  1. 9.1.4甲状腺機能亢進状態にある患者

錐体外路症状が起こりやすい。

  1. 9.1.5脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者

Syndrome malin(悪性症候群)が起こりやすい。

  1. 9.1.6不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の患者

肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。

9.3 肝機能障害患者

肝機能障害を悪化させるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。動物実験(マウス)で催奇形作用が報告されている。また、妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状(新生児薬物離脱症候群)や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。

9.6 授乳婦

投与中及び投与後一定期間は授乳を避けさせること。動物実験(ラット)で乳汁移行すること、乳児の生存率が低下すること等が報告されている。授乳により曝露されその後に離乳等で曝露が低下した場合、乳児に新生児薬物離脱症候群と同様な症状があらわれるおそれがある。

9.7 小児等

錐体外路症状、特にジスキネジアが起こりやすい。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。錐体外路症状等の副作用があらわれやすい。

相互作用

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
アドレナリン
(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
(ボスミン)
アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧降下を起こすことがある。 アドレナリンはアドレナリン作動性α,β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
中枢神経抑制剤
(バルビツール酸誘導体・麻酔剤等)
睡眠(催眠)・精神機能抑制の増強、麻酔効果の増強・延長、血圧降下等を起こすことがあるので、減量するなど慎重に投与すること。 相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある。
アルコール
(飲酒)
眠気、精神運動機能低下等を起こすことがある。 相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある。
ドンペリドン
メトクロプラミド
内分泌機能調節異常又は錐体外路症状が発現するおそれがある。 ともに中枢ドパミン受容体遮断作用を有する。
リチウム 心電図変化、重症の錐体外路症状、持続性のジスキネジア、突発性のSyndrome malin(悪性症候群)、非可逆性の脳障害を起こすおそれがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。 機序は不明であるが、併用による抗ドパミン作用の増強等が考えられている。
ドパミン作動薬
(レボドパ製剤、ブロモクリプチンメシル酸塩)
相互に作用を減弱させるおそれがある。 ドパミン作動性神経において、作用が拮抗することによる。
アドレナリン含有歯科麻酔剤
(リドカイン・アドレナリン)
重篤な血圧降下を起こすことがある。 アドレナリンはアドレナリン作動性α,β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
CK上昇 頻度不明
T波の変化等) 頻度不明
アカシジア(静坐不能)(11.3%) 5%以上
ジスキネジア(口周部 1〜5%未満
ジストニア(眼球上転 1〜5%未満
そう痒感 1〜5%未満
パーキンソン症候群(振戦 5%以上
ヘマトクリット値低下) 頻度不明
ヘモグロビン減少 頻度不明
めまい・ふらつき 5%以上
不安 頻度不明
乳汁分泌 1〜5%未満
低血圧 1%未満
体幹側屈 1〜5%未満
便秘 5%以上
口渇 5%以上
嚥下障害等) 1〜5%未満
四肢等の不随意運動等) 1〜5%未満
女性化乳房 1%未満
尿失禁 1%未満
尿閉 頻度不明
幻覚・妄想の顕在化 頻度不明
後弓反張 1〜5%未満
心悸亢進 1〜5%未満
心電図変化(QT間隔の延長 頻度不明
性欲異常 1〜5%未満
悪心・嘔吐 1〜5%未満
意識障害 1〜5%未満
排尿障害 1〜5%未満
易刺激 頻度不明
月経異常 1〜5%未満
構音障害 1〜5%未満
流涎等) 5%以上
焦燥感 1〜5%未満
痙性斜頸 1〜5%未満
痙攣 1%未満
発汗 1〜5%未満
発熱 1%未満
発疹 1〜5%未満
白血球減少 頻度不明
眠気(11.3%) 5%以上
眼瞼痙攣 1〜5%未満
睡眠障害 5%以上
知覚異常 1〜5%未満
筋強剛 5%以上
肝機能異常 1%未満
胸内苦悶感 1〜5%未満
脱力倦怠感 5%以上
舌突出 1〜5%未満
血小板減少 頻度不明
調節障害 1〜5%未満
貧血(赤血球減少 頻度不明
運動失調 1〜5%未満
過鎮静 頻度不明
頭痛・頭重 1〜5%未満
頸後屈 1〜5%未満
顔面浮腫 1〜5%未満
顔面潮紅 1〜5%未満
食欲不振 1〜5%未満
食欲亢進 1%未満
鼻閉 1〜5%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

抗精神病薬の作用機序は、中枢ドパミン受容体遮断作用と密接に関連していると推定されているが、モサプラミン塩酸塩は行動薬理学的方法及び神経化学的方法によって、強力な中枢ドパミン受容体遮断作用並びに中枢セロトニン受容体遮断作用を示すことが確認されている。

18.2 中枢ドパミン受容体遮断作用

  1. 18.2.1マウス、ラット、イヌでの抗アポモルフィン作用は、クロカプラミンの約2倍である7)。

  2. 18.2.2マウス、ラットでの抗メタンフェタミン作用は、クロカプラミンの約2倍である7)。

  3. 18.2.3ラットでのin vivo試験で、側坐核ドパミン受容体を強力に遮断する8)。

18.3 ドパミン受容体親和性

ラットでのin vitroの実験で、中枢ドパミン受容体(3H-スピペロン結合部位)に対して、ハロペリドールより高い親和性を示す3)。M1、M5は3H-スピペロンでラベルされるドパミンD2受容体に強力な親和性を示した。

18.4 セロトニン受容体親和性

ラットでのin vitroの実験で、中枢5-HT2受容体(3H-スピペロン結合部位)に対して高い親和性を示す3)。

18.5 カタレプシー惹起作用

ラットでのカタレプシー惹起作用はハロペリドールより弱い7)。

薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人にモサプラミン塩酸塩25mgを単回経口投与した場合、血漿中濃度は約6時間で最高に達する。血漿中濃度の半減期は約15時間であった1)。

tmax(h) Cmax(ng/mL) t1/2(h) AUC0~∞(ng・h/mL)
6.0±1.4 7.9±1.7 15±2 168±23

(平均値±SD、n=5)

16.3 分布

ヒトにおける未変化体の血清蛋白結合率は約98%(in vitro)であった2)。

16.4 代謝

健康成人にモサプラミン塩酸塩25mgを経口投与した場合の主代謝物はイミノジベンジル核8位の水酸化体(M5)のグルクロナイドと末端スピロアミン部の脱水素化体(M1)である3)。 M1、M5の急性毒性はモサプラミン塩酸塩とほぼ同程度であった。

16.5 排泄

健康成人にモサプラミン塩酸塩25mgを経口投与した場合、投与後22時間までの尿中には未変化体及び代謝物の排泄は非常に少なく、主として胆汁を介して糞中に排泄されるものと推定される3)。