Clinical snapshot

クエチアピン錠25mg「トーワ」

クエチアピンフマル酸塩錠/細粒

添付文書改訂 2026年04月01日

【警告】

  1. 1.1著しい血糖値の上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の重大な副作用が発現し、死亡に至る場合があるので、本剤投与中は、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。

  2. 1.2投与にあたっては、あらかじめ上記副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、口渇、多飲、多尿、頻尿等の異常に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]

  2. 2.2バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強される。]

  3. 2.3アドレナリンを投与中の患者(アドレナリンをアナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)

  4. 2.4本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  5. 2.5糖尿病の患者、糖尿病の既往歴のある患者

効能・効果

統合失調症

用法・用量

通常、成人にはクエチアピンとして1回25mg、1日2又は3回より投与を開始し、患者の状態に応じて徐々に増量する。通常、1日投与量は150~600mgとし、2又は3回に分けて経口投与する。 なお、投与量は年齢・症状により適宜増減する。ただし、1日量として750mgを超えないこと。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の投与により、著しい血糖値の上昇から、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡等の致命的な経過をたどることがあるので、本剤投与中は、血糖値の測定や口渇、多飲、多尿、頻尿等の観察を十分に行うこと。特に、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者では、血糖値が上昇し、代謝状態を急激に悪化させるおそれがある。

  2. 8.2本剤の投与により、低血糖があらわれることがあるので、本剤投与中は、脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状に注意するとともに、血糖値の測定等の観察を十分に行うこと。

  3. 8.3本剤の投与に際し、あらかじめ上記8.1及び8.2の副作用が発現する場合があることを、患者及びその家族に十分に説明し、高血糖症状(口渇、多飲、多尿、頻尿等)、低血糖症状(脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等)に注意し、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、医師の診察を受けるよう、指導すること。

  4. 8.4本剤の投与により体重増加を来すことがあるので、肥満に注意し、肥満の徴候があらわれた場合は、食事療法、運動療法等の適切な処置を行うこと。

  5. 8.5本剤は、特に治療開始初期に起立性低血圧を起こすことがあるので、立ちくらみ、めまい等の低血圧症状があらわれた場合には減量等、適切な処置を行うこと。

  6. 8.6本剤は主として中枢神経系に作用するため、眠気、注意力・集中力・反射運動能力等の低下が起こることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。

  7. 8.7前治療薬からの切り替えの際、精神症状が悪化する可能性があるので観察を十分行いながら前治療薬の用量を減らしつつ、本薬を徐々に増量することが望ましい。また、症状の悪化が認められた場合には、他の治療法に切り替えるなど適切な処置を行うこと。

  8. 8.8投与量の急激な減少ないし投与の中止により、不眠、悪心、頭痛、下痢、嘔吐等の離脱症状があらわれることがある。投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。

  9. 8.9無顆粒球症、白血球減少があらわれることがあるので、血液検査を行うなど、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1心・血管疾患、脳血管障害、低血圧又はそれらの疑いのある患者

投与初期に一過性の血圧降下があらわれることがある。

  1. 9.1.2てんかん等の痙攣性疾患、又はこれらの既往歴のある患者

痙攣閾値を低下させるおそれがある。

  1. 9.1.3不整脈又はその既往歴のある患者、先天性QT延長症候群の患者

QT間隔が延長する可能性がある。

  1. 9.1.4自殺企図の既往及び自殺念慮を有する患者

症状を悪化させるおそれがある。

  1. 9.1.5糖尿病の家族歴、高血糖あるいは肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者

  2. 9.1.6不動状態、長期臥床、肥満、脱水状態等の危険因子を有する患者

肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。

9.3 肝機能障害患者

本剤は主に肝臓により代謝されるため、クリアランスが減少し、血漿中濃度が上昇することがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット及びウサギ)で胎児への移行が報告されている。また、妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトで母乳中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

非高齢者に比べてクエチアピンの経口クリアランスが30~50%低く、AUCは約1.5倍であり、高い血漿中濃度が持続する傾向が認められている。また、海外臨床試験において非高齢者と比較し、起立性低血圧の発現頻度が増加する傾向が認められている。

相互作用

  • 本剤の代謝に関与する主なP450酵素はCYP3A4である。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• アドレナリン
(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
• (ボスミン)
アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧降下を起こすことがある。 アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体の刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 中枢神経抑制剤
• アルコール
中枢神経抑制作用が増強することがあるので、個々の患者の症状及び忍容性に注意し、慎重に投与すること。 薬力学的相互作用を起こすことがある。
• CYP3A4誘導作用を有する薬剤注1)• フェニトイン
• カルバマゼピン
• バルビツール酸誘導体
• リファンピシン
• 等
本剤の作用が減弱することがある。 本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4の誘導により、本剤のクリアランスが増加することがある。
• 強いCYP3A4阻害作用を有する薬剤• イトラコナゾール
• 等
本剤の作用を増強するおそれがあるので、個々の患者の症状及び忍容性に注意し、本剤を減量するなどして慎重に投与すること。
併用により本剤の血漿中濃度が高値となり、QT間隔が延長するおそれがある。
本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を強く阻害するため、血漿中濃度が上昇する可能性がある。
• CYP3A4阻害作用を有する薬剤• エリスロマイシン
• 等
本剤の作用を増強するおそれがあるので、個々の患者の症状及び忍容性に注意し、慎重に投与すること。 本剤の主要代謝酵素であるCYP3A4を阻害するため、血漿中濃度が上昇する可能性がある。
• QT延長を起こすことが知られている薬剤 QT延長があらわれるおそれがある。 併用によりQT延長作用が相加的に増加するおそれがある。
アドレナリン含有歯科麻酔剤
• リドカイン・アドレナリン
重篤な血圧降下を起こすことがある。 アドレナリンはアドレナリン作動性α、β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体の刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されるおそれがある。

注1)これらの薬剤を投与中止する場合には、本剤の減量を要することがある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P上昇 1〜5%未満
ALT上昇 5%以上
AST上昇 5%以上
BUN上昇 1%未満
CK上昇 5%以上
FT4減少 頻度不明
LDH上昇 5%以上
T3減少 頻度不明
T4減少 5%以上
TSH上昇 頻度不明
TSH減少 頻度不明
γ-GTP上昇 1〜5%未満
アカシジア 5%以上
インポテンス 頻度不明
うつ病 1%未満
ざ瘡 頻度不明
ジスキネジア 1〜5%未満
ジストニア 1%未満
しびれ感 1%未満
せん妄 頻度不明
そう痒 頻度不明
パーキンソン症候群 頻度不明
ビリルビン血症 1%未満
ほてり 1%未満
めまい 5%以上
リビドー亢進 1%未満
レストレスレッグス症候群 頻度不明
下痢 1%未満
下痢 頻度不明
不安 5%以上
不整脈 1%未満
不眠(19.3%) 5%以上
乳汁漏出症 頻度不明
人格障害 1%未満
低ナトリウム血症 頻度不明
低血圧 1%未満
体重増加 1〜5%未満
体重減少 1%未満
便秘 5%以上
倦怠感 5%以上
健忘 1%未満
偶発外傷 頻度不明
傾眠(14.2%) 5%以上
動悸 頻度不明
協調不能 頻度不明
去痰困難 1%未満
口内乾燥 1〜5%未満
口渇 頻度不明
吐血 頻度不明
味覚倒錯 頻度不明
咳増加 頻度不明
嘔吐 1%未満
嘔吐) 頻度不明
嚥下障害 1〜5%未満
回転性めまい 頻度不明
多幸症 1%未満
多汗 1%未満
多飲症 頻度不明
失神 1%未満
好酸球増加症 頻度不明
妄想の顕在化 1%未満
射精異常 頻度不明
尿失禁 1%未満
尿糖陽性 頻度不明
尿蛋白陽性 頻度不明
尿閉 1%未満
幻覚の顕在化 1%未満
弱視 頻度不明
徐脈 1%未満
心悸亢進 1〜5%未満
心電図QT延長 頻度不明
心電図異常 1〜5%未満
思考異常 1%未満
悪化反応 頻度不明
悪夢 1%未満
悪寒 頻度不明
悪心 1〜5%未満
悪心 頻度不明
意欲低下 頻度不明
意識レベルの低下 頻度不明
感情不安定 1%未満
持続勃起 頻度不明
振戦 5%以上
排尿困難 1%未満
排尿障害 1%未満
攻撃的反応 1%未満
敵意 頻度不明
昏迷 1%未満
易刺激性 5%以上
月経異常 1%未満
末梢性浮腫 頻度不明
構語障害 頻度不明
構音障害 5%以上
歩行障害 1〜5%未満
歯牙障害 頻度不明
歯痛 1%未満
水中毒 頻度不明
注意力障害 頻度不明
流涎過多 1〜5%未満
浮腫 1%未満
消化不良 1%未満
消化管障害 頻度不明
湿疹 頻度不明
滑液包炎 頻度不明
激越 1%未満
無力症 5%以上
焦躁感 頻度不明
片頭痛 1%未満
独語 1%未満
甲状腺疾患 1%未満
痙縮 頻度不明
痛風 頻度不明
発熱 1%未満
発疹 1%未満
白血球数増加 頻度不明
直腸障害 頻度不明
眼球回転発作 1%未満
瞳孔反射障害 1%未満
神経症 1%未満
筋強剛 1〜5%未満
筋無力症 頻度不明
筋肉痛 1%未満
結膜炎 頻度不明
統合失調性反応 頻度不明
耳の障害 頻度不明
肝機能検査異常 頻度不明
肥満症 1%未満
胃不快感 頻度不明
胃炎 頻度不明
胃食道逆流性疾患 頻度不明
背部痛 1%未満
胸痛 1%未満
脱毛症 頻度不明
腫瘤 頻度不明
腹痛 1%未満
腹部膨満 頻度不明
膀胱炎 頻度不明
膵炎 頻度不明
自傷行動 頻度不明
自動症 1%未満
自殺企図 1%未満
自殺念慮 頻度不明
舌麻痺 1%未満
舞踏病様アテトーシス 1%未満
薬剤離脱症候群(不眠 頻度不明
血小板減少 頻度不明
血管拡張 頻度不明
血管浮腫 頻度不明
衝動行為 1%未満
貧血 頻度不明
起立性低血圧 1〜5%未満
躁病反応 1%未満
軽躁 頻度不明
運動緩慢 1〜5%未満
過眠症 頻度不明
過量投与 頻度不明
過食 頻度不明
錐体外路障害 頻度不明
錯乱 1%未満
鎮静 頻度不明
関節症 頻度不明
関節痛 頻度不明
靭帯捻挫 頻度不明
頭痛 5%以上
頭痛 頻度不明
頸部硬直 頻度不明
頻尿 頻度不明
頻脈 5%以上
顆粒球減少 1%未満
顔面浮腫 頻度不明
食欲亢進 1%未満
食欲減退 5%以上
骨盤痛 頻度不明
高カリウム血症 1%未満
高コレステロール血症 1〜5%未満
高トリグリセリド血症 頻度不明
高プロラクチン血症 5%以上
高尿酸血症 頻度不明
高脂血症 1%未満
高血圧 1%未満
鼓腸放屁 頻度不明
鼻炎 1%未満
鼻閉 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

クエチアピンの薬理学的特徴はドパミンD2受容体に比してセロトニン5-HT2A受容体に対する親和性が高いこと、及び種々の受容体に対して親和性があることであり、これらが臨床における作用に寄与しているものと考えられている。19)

18.2 受容体親和性

ラット脳組織を用いた試験で、ドパミンD1及びD2受容体、セロトニン5-HT1及び5-HT2受容体、ヒスタミンH1受容体、アドレナリンα1及びα2受容体に対して親和性を示したが、ムスカリン受容体及びベンゾジアゼピン受容体に対してはほとんど親和性を示さなかった。また、ドパミンD2受容体に比して、セロトニン5-HT2受容体に対する親和性は高かった(in vitro)。19)

18.3 ドパミン及びセロトニン受容体拮抗作用

ドパミン作動薬のアポモルヒネにより誘発した行動(リスザルの瞬目反応、マウスのよじ登り運動及び遊泳障害)並びにセロトニン作動薬のキパジンで誘発した行動(ラット首振り運動)を、用量依存的に抑制した。19),20)

18.4 錐体外路系に対する作用

  1. 18.4.1ヒトでの作用

統合失調症患者を対象とした海外のプラセボ対照二重盲検比較試験において、錐体外路障害の発現頻度には、プラセボ投与群との間に有意な差を認めなかった。21),22),23)

  1. 18.4.2動物での作用

サルにおけるジストニア惹起作用及びラットにおけるカタレプシー惹起作用は、ハロペリドールに比べて弱かった。ラットでの電気生理学的試験では辺縁系に対し選択的な作用を示し、錐体外路症状との関連が深いとされる黒質線条体系に対しては作用を示さなかった。19)

18.5 血漿中プロラクチンに対する作用

  1. 18.5.1ヒトでの作用

統合失調症患者を対象とした海外のプラセボ対照二重盲検比較試験において、プロラクチン濃度には、プラセボ投与群との間に有意な差を認めなかった。21),22),23)

  1. 18.5.2動物での作用

ラットにおいて、血漿中プロラクチン濃度推移はハロペリドールと異なり、持続的な上昇を示さなかった。19)

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1反復投与(錠剤投与時)

  2. (1)統合失調症患者にクエチアピンを1回用量25~100mgの範囲で漸増して1日2回反復経口投与した。100mgの用量で7回反復投与した後の薬物動態パラメータは表1のとおりである。 非高齢者では、投与約2.6時間後に最高血漿中濃度(平均397ng/mL)に達した。血漿中からのクエチアピンの消失は速やかであり、半減期は3.5時間であった。2)

n Cmax
(ng/mL)
Tmax
(h)
AUC0-12h
(μg・h/mL)
t1/2
(h)
CL/F
(L/h)
非高齢者 12 397±57 2.6±0.7 1.69±0.19 3.5±0.2 67.1±7.1
高齢者 11 483±96 2.9±0.3 2.59±0.54 3.6±0.3 50.9±6.7

(平均値±標準誤差)

  1. (2)外国人統合失調症患者にクエチアピンを1回用量25~250mgの範囲で漸増して1日3回反復経口投与した。1回用量を75mg、150mg及び250mgとしたときの定常状態における薬物動態パラメータは表2のとおりである。血漿中クエチアピン濃度は用量に比例して増加し、男女差は認められなかった。3)
用量 Cmax
(ng/mL)
Tmax
(h)a)
AUC0-8h
(μg・h/mL)
t1/2
(h)
CL/F
(L/h)
75mg tid
277± 54
294± 41
1.0(0.5-3.0)
1.0(0.5-3.0)
1.07±0.19
1.20±0.17
2.7±0.1b)
3.4±0.3b)
89±12
86±16
150mg tid
625±121
572± 63
1.0(0.5-4.0)
1.5(0.5-4.0)
2.30±0.33
2.41±0.34
3.0±0.3b)
4.4±0.8b)
78±10
73± 8
250mg tid
778±108
879± 72
1.5(0.5-4.0)
1.5(1.0-3.0)
3.38±0.46
4.08±0.53
5.8±0.3c)
6.6±0.8c)
87±10
72± 9

(平均値±標準誤差、n=11~13)

a)中央値(範囲)、b)投与後3~8時間の半減期、c)終末相の半減期

  1. 16.1.2生物学的同等性試験
  • 〈クエチアピン錠25mg「トーワ」〉

クエチアピン錠25mg「トーワ」とセロクエル25mg錠を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(クエチアピンとして25mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。4)

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0-12h
(ng・h/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(h)
t1/2
(h)
クエチアピン錠25mg「トーワ」 181.7±59.0 75.67±32.75 1.00±0.44 3.00±0.32
セロクエル25mg錠 173.6±54.9 74.86±31.49 0.84±0.30 3.05±0.45

(平均値±標準偏差、n=24)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

  • 〈クエチアピン細粒50%「トーワ」〉

クエチアピン細粒50%「トーワ」とセロクエル細粒50%を、クロスオーバー法によりそれぞれ0.05g(クエチアピンとして25mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。5)

判定パラメータ 参考パラメータ
AUC0-12h
(ng・h/mL)
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(h)
t1/2
(h)
クエチアピン細粒50%「トーワ」 203.9±98.7 83.80±47.99 0.73±0.35 3.03±0.49
セロクエル細粒50% 217.4±130.6 85.07±52.75 0.89±0.54 3.02±0.36

(平均値±標準偏差、n=24)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。

16.2 吸収

クエチアピンの経口吸収性は良好であり、クエチアピンのCmax及びAUCに及ぼす食事の影響は認められなかった(錠剤投与時のデータ)。6)

16.3 分布

ヒト血漿中におけるクエチアピンの蛋白結合率は83.0%であった(in vitro)。7)

16.4 代謝

  1. 16.4.1クエチアピンは複数の経路で広範囲に代謝され、クエチアピンの代謝に関与する主なP450酵素はCYP3A4であった(in vitro)。8)

  2. 16.4.2ヒト血漿中の主要代謝物は薬理活性を示さなかった。9)

  3. 16.4.3In vitro試験において、未変化体及び代謝物はCYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP3A4活性に対して弱い阻害作用を示したが、ヒトでの血漿中濃度の約10倍以上の濃度でみられる作用であり、薬物相互作用の惹起を示唆するものではないと考えられた。10)

16.5 排泄

  1. 16.5.1健康成人男子にクエチアピン20mgを単回経口投与したところ、尿中への未変化体の排泄率は投与量の1%未満であった(錠剤投与時のデータ)。11)

  2. 16.5.2外国人統合失調症患者に14C標識クエチアピンを経口投与したところ、尿及び糞中への放射能排泄率はそれぞれ投与量の72.8%及び20.2%であった。また、尿糞中放射能に占める未変化体の割合は1%未満であった(錠剤投与時のデータ)。12)

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1肝機能障害患者

肝機能障害患者(アルコール性肝硬変)にクエチアピン25mgを単回経口投与したところ、クエチアピンのCmax及びAUCinfは健康成人よりも高く(約1.5倍)、t1/2は健康成人よりも長かった(約1.8倍)(外国人データ)(錠剤投与時のデータ)。13)

被験者 Cmax
(ng/mL)
Tmax
(h)a)
AUCinf
(μg・h/mL)
t1/2
(h)
CL/F
(L/h)
肝機能障害患者 78.5±14.4 1.0(0.5-1.5) 0.386±0.077 5.5±1.0 79.4±10.7
健康成人 53.0± 3.5 1.25(0.6-3.0) 0.248±0.020 3.1±0.2 105±8

a)中央値(範囲)                (平均値±標準誤差、n=8)

  1. 16.6.2高齢者

高齢者における血漿中濃度は非高齢者よりも高く推移し、高齢者のAUC0-12h(平均2.59μg・h/mL)は非高齢者(平均1.69μg・h/mL)の約1.5倍であった。14)

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1フェニトイン(CYP3A誘導剤)

外国人におけるフェニトイン併用投与例において、クエチアピンの経口クリアランスが約5倍に増加し、Cmax及びAUCはそれぞれ66%及び80%低下した。15)

  1. 16.7.2ケトコナゾール(CYP3Aの強い阻害剤)

外国人に強いCYP3A4阻害剤であるケトコナゾール(経口剤:国内未発売)を併用投与したとき、クエチアピンのCmax及びAUCはそれぞれ単独投与の3.35倍及び6.22倍であった。15)

16.8 その他

  • 〈クエチアピン錠100mg「トーワ」、クエチアピン錠200mg「トーワ」〉

クエチアピン錠100mg「トーワ」及びクエチアピン錠200mg「トーワ」は、クエチアピン錠25mg「トーワ」を標準製剤としたとき、溶出挙動が同等と判断され、生物学的に同等とみなされた。4)