ミガーラスタットに反応性のあるGLA遺伝子変異を伴うファブリー病
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
効能・効果
用法・用量
通常、成人及び12歳以上の小児にはミガーラスタットとして1回123mgを隔日経口投与する。なお、食事の前後2時間を避けて投与すること。
使用上の注意
本剤投与中は、定期的に腎機能、心機能、臨床検査値等を確認する等経過を十分に観察し、本剤投与で効果が認められない場合には治療法の変更を考慮すること。
9.2 腎機能障害患者
- 9.2.1重度の腎機能障害患者
重度の腎機能障害のある患者は有効性及び安全性を指標とした臨床試験では除外されている。本剤の血中濃度が上昇するおそれがあることから、重度の腎機能障害のある患者への投与は推奨されない。
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。ウサギ胚胎児発生に関する試験において、臨床推奨用量投与時の曝露量の244倍以上に相当するミガーラスタットの投与により、母動物毒性が発現し、着床後胚死亡率の増加、体重減少、流産、骨化遅延、軽微な骨異常の増加等が認められた1)。
9.6 授乳婦
授乳しないことが望ましい。ラットで乳汁へ移行することが報告されている2)。
9.7 小児等
本剤の曝露量は体重の影響を受ける可能性があることから、12歳以上の小児には患者の体重に留意した上で投与の適否を判断し、投与にあたっては患者の状態を十分に観察すること。12歳以上16歳未満の患者では、体重45kg未満の患者は臨床試験に組み入れられていない。また、12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
相互作用
10.2 併用注意(併用に注意すること)
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| * カフェイン [16.7.2参照] |
カフェインとの同時摂取により、本剤の Cmax 及び AUC0-infがそれぞれ60%及び55%減少したとの報告があることから、本剤服用の前後 2 時間は摂取を避けること。 | 機序は不明である。 |
副作用
その他の副作用
| 副作用名 | 頻度 |
|---|---|
| うつ病 | 頻度不明 |
| そう痒症 | 頻度不明 |
| 下痢 | 5%以上 |
| 体重増加 | 頻度不明 |
| 便意切迫 | 頻度不明 |
| 便秘 | 頻度不明 |
| 動悸 | 頻度不明 |
| 口内乾燥 | 頻度不明 |
| 呼吸困難 | 頻度不明 |
| 嘔吐 | 頻度不明 |
| 四肢痛 | 頻度不明 |
| 回転性めまい | 頻度不明 |
| 悪心 | 頻度不明 |
| 感覚鈍麻 | 頻度不明 |
| 斜頚 | 頻度不明 |
| 浮動性めまい | 頻度不明 |
| 消化不良 | 頻度不明 |
| 疲労 | 頻度不明 |
| 疼痛 | 頻度不明 |
| 発疹 | 頻度不明 |
| 筋痙縮 | 頻度不明 |
| 筋肉痛 | 頻度不明 |
| 腹痛 | 頻度不明 |
| 蛋白尿 | 頻度不明 |
| 血中クレアチンホスホキナーゼ増加 | 頻度不明 |
| 血圧上昇 | 頻度不明 |
| 血管性浮腫 | 頻度不明 |
| 錯感覚 | 5%以上 |
| 頭痛 | 頻度不明 |
| 鼻出血 | 頻度不明 |
薬物動態・作用機序
作用機序
18.1 作用機序
ファブリー病はGLA遺伝子の変異によるα-Gal Aの活性低下により、GL-3等の基質が蓄積し、腎障害、心筋症、脳血管疾患等の組織障害をもたらす。特定のGLA遺伝子変異により、異常な高次構造をとる不安定なα-Gal Aが生成することがあるが26)、ミガーラスタットはα-Gal Aに対する薬理学的シャペロンとして作用し、小胞体上で特定の変異型α-Gal Aに選択的かつ可逆的に結合してリソソームへの適切な輸送を促進する。リソソーム内では、ミガーラスタットが解離し、遊離したα-Gal Aにより蓄積したGL-3の分解作用を呈する27)。
18.2 薬理作用
マウスα-Gal A遺伝子を欠損し、ヒト変異型α-Gal A導入遺伝子を発現させたファブリー病マウスモデルにミガーラスタットを経口投与した時、皮膚、心臓、腎臓、脳及び血漿中のα-Gal A活性は有意かつ用量依存的に増加し、GL-3濃度は低下した。また連日投与レジメンと比較して、間欠投与レジメン(隔日投与など)ではより高い組織中GL-3濃度低下作用が認められた28)。
薬物動態
16.1 血中濃度
- 16.1.1単回投与
日本人健康成人男性(13例)にミガーラスタットとして123mgを絶食下に単回経口投与したときの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった3)。
| 投与量 (mg) |
Cmaxa (ng/mL) |
tmaxb (h) |
AUC0-infa (ng・h/mL) |
t1/2c (h) |
|---|---|---|---|---|
| 123 (13例) |
2124(36.3) | 3.50(2.0-5.0) | 11519(27.4) | 3.82(0.25) |
a:幾何平均値(変動係数%)、b:中央値(範囲)、c:平均値(標準偏差)
図1 ミガーラスタット123mgを単回経口投与したときの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
- 16.1.2反復投与
外国人女性ファブリー病患者(4例)にミガーラスタットとして123mgを12週間隔日経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであり、反復投与によって曝露量が増加する傾向は認められなかった4)。
| 投与量 (mg) |
測定時期 (day) |
Cmaxa (ng/mL) |
tmaxb (h) |
AUC0-ta (ng・h/mL) |
|---|---|---|---|---|
| 123 (4例) |
1 | 1691(22.0) | 3.50(1.00-4.00) | 8942(32.2) |
| 14 | 2029(40.0) | 2.96(2.00-4.00) | 10638(35.6) | |
| 84 | 1524(23.3) | 3.50(2.00-4.00) | 8582(29.7) |
a:幾何平均値(変動係数%)、b:中央値(範囲)
- 16.1.3母集団薬物動態解析
健康成人(179例)及び外国人ファブリー病患者(101例)から得られた血漿中本薬濃度に基づく母集団薬物動態解析の結果、本薬の薬物動態に影響を及ぼす共変量として腎機能及び体重が選択された。12歳以上16歳未満かつ体重45kg以上及び16歳以上のファブリー病患者にミガーラスタットとして123mgを経口投与したとき、母集団薬物動態解析に基づく薬物動態パラメータの推定値は以下のとおりであった5)。
| Cmax (ng/mL) |
C48hb (ng/mL) |
AUCtau (ng・h/mL) |
|
|---|---|---|---|
| 12歳以上16歳未満a (13例) |
1210(61.1) | 11.1(64.3)c | 8940(47.1) |
| 16歳以上 (86例) |
1190(32.7) | 11.7(52.3)d | 9490(33.1) |
幾何平均値(幾何変動係数%) a:体重45kg以上、b:定量下限を上回ったデータのみ、c:8例、d:63例
16.2 吸収
- 16.2.1食事の影響
外国人健康成人(19例)にミガーラスタットとして123mgを絶食下、ブドウ糖飲料と同時、高脂肪食摂取の1時間前、軽食摂取の1時間前又は軽食摂取の1時間後に単回経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった6)。
| 本剤の投与 タイミング |
Cmax (ng/mL) |
AUC0-inf (ng・h/mL) |
絶食下投与に対する最小二乗幾何平均値の比[90%信頼区間] | |
|---|---|---|---|---|
| Cmax | AUC0-inf | |||
| 絶食下投与(19例) | 1561 (33.8) |
9805 (26.8) |
- | - |
| ブドウ糖飲料との 同時投与(19例) |
1408 (29.6) |
8451 (28.8) |
0.90 [0.80,1.02] |
0.86 [0.77,0.97] |
| 高脂肪食摂取の 1時間前投与(19例) |
1323 (28.3) |
6132 (26.8) |
0.85 [0.75,0.96] |
0.63 [0.56,0.70] |
| 軽食摂取の1時間前投与(19例) | 1278 (39.6) |
5668 (31.4) |
0.82 [0.73,0.93] |
0.58 [0.52,0.65] |
| 軽食摂取の1時間後投与(19例) | 945 (28.3) |
5890 (26.5) |
0.61 [0.54,0.68] |
0.60 [0.54,0.68] |
幾何平均値(変動係数%)
- 16.2.2生物学的利用率
外国人健康成人(10例)にミガーラスタットとして123mgを単回経口投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは約75%であった7)。
16.3 分布
日本人健康成人男性(13例)にミガーラスタットとして123mgを絶食下に単回経口投与したときのみかけの分布容積(V/F)は71.7Lであった3)。 ミガーラスタットの14C標識体(1~100μmol/L)のヒト血漿タンパク非結合率は98.1~111%であった(in vitro)8)。
16.4 代謝
外国人健康成人男性(6例)にミガーラスタットの14C標識体123mgを単回経口投与したとき、投与24時間後までにプールした血漿中データから算出した血漿中総放射能に対する未変化体の割合は約77%であり、O-グルクロン酸抱合体(M1、M2及びM3)の割合は13%(5、2及び6%)であった9)。 ミガーラスタットはCYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4/5に対する阻害作用、CYP1A2、CYP2B6、CYP3A4に対する誘導作用は示さなかった(in vitro)10),11),12)。
16.5 排泄
外国人健康成人男性(6例)にミガーラスタットの14C標識体123mgを単回経口投与したとき、投与240時間後までに投与放射能の77.2%が尿中に、20.4%が糞中に排泄された。また、投与12時間後までの投与放射能に対する未変化体及びO-グルクロン酸抱合体(M1、M2及びM3の合計)の尿中排泄率は55%及び5%であった9)。 ミガーラスタットはBCRP、P-gp、MATE1、MATE2-K、OAT1、OAT3及びOCT2の基質ではなく、BCRP、BSEP、P-gp、MATE1、MATE2-K、OATP1B1、OATP1B3、OAT1、OAT3、OCT1、OCT2に対する阻害作用は示さなかった。また、SGLT1の基質であり、阻害作用(IC50値:64.7mmol/L)を有することが示唆されたが、SGLT2の基質ではなく、阻害作用は示さなかった(in vitro)13),14),15),16),17),18),19)。
16.6 特定の背景を有する患者
- 16.6.1腎機能障害者
外国人腎機能正常者(CLcr≥90mL/min、8例)、軽度腎機能障害者(60≤CLcr<90mL/min、8例)、中等度腎機能障害者(30≤CLcr<60mL/min、8例)及び重度腎機能障害者(15≤CLcr<30mL/min、8例)にミガーラスタットとして123mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった。また、腎機能正常者、軽度、中等度及び重度腎機能障害者の半減期(幾何平均値)は6.4、7.7、22.2及び32.3時間であり、腎機能の低下に伴い延長した20)。
| Cmax (ng/mL) |
AUC0-inf (ng・h/mL) |
腎機能正常者に対する最小二乗幾何平均値の比[90%信頼区間] | ||
|---|---|---|---|---|
| Cmax | AUC0-inf | |||
| 腎機能正常者 (8例) |
2100 (26.0) |
12397 (27.7) |
- | - |
| 軽度腎機能障害者 (8例) |
2191 (28.8) |
14536 (30.7) |
1.04 [0.79,1.38] |
1.17 [0.90,1.53] |
| 中等度腎機能障害者 (8例) |
1868 (32.1) |
22460 (42.2) |
0.89 [0.67,1.18] |
1.81 [1.39,2.36] |
| 重度腎機能障害者 (8例) |
2078 (45.5) |
56154 (24.9) |
0.99 [0.75,1.31] |
4.53 [3.48,5.90] |
幾何平均値(変動係数%)
16.7 薬物相互作用
- 16.7.1アガルシダーゼ アルファ及びアガルシダーゼ ベータ
外国人男性ファブリー病患者(12例)にアガルシダーゼ アルファ0.2mg/kg又はアガルシダーゼ ベータ0.5mg/kg若しくは1.0mg/kgを静脈内投与下でミガーラスタットとして123mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった21)。
| アガルシダーゼ の投与量 |
血漿中ミガーラスタット濃度の最小二乗幾何平均値の比a[90%信頼区間] | 血漿中α-Gal A 活性の最小二乗幾何平均値の比b[90%信頼区間] | ||
|---|---|---|---|---|
| Cmax | AUC0-inf | Cmax | AUC0-inf | |
| アガルシダーゼ アルファ0.2mg/kg(4例) | 1.03 [0.80,1.31] |
1.03 [0.67,1.56] |
1.71 [1.44,2.02] |
4.15 [3.28,5.25] |
| アガルシダーゼ ベータ0.5mg/kg(5例) | 1.01 [0.70,1.45] |
1.10 [0.68,1.78] |
1.73 [1.35,2.21] |
2.83 [2.12,3.77] |
| アガルシダーゼ ベータ1.0mg/kg(3例) | 0.95 [0.46,1.95] |
1.01 [0.65,1.55] |
1.39 [0.97,2.01] |
1.99 [1.50,2.63] |
| 全体(12例) | 1.00 [0.79,1.26] |
1.05 [0.81,1.37] |
1.63 [1.44,1.84] |
2.94 [2.43,3.56] |
a:アガルシダーゼ併用投与/本剤単独投与、b:本剤併用投与/アガルシダーゼ単独投与
- 16.7.2*カフェイン及び甘味料
外国人健康成人(20例)にミガーラスタットとして123mgと各飲料(カフェイン含有飲料又は甘味料含有飲料)を絶食下で同時摂取したときのミガーラスタットの薬物動態に及ぼす影響は以下のとおりであった22)。
| 飲料 | 血漿中ミガーラスタット濃度の 最小二乗幾何平均値の比c [90%信頼区間] |
|
|---|---|---|
| Cmax | AUC0-inf | |
| カフェイン含有飲料 (カフェインとして190mg) |
0.40 [0.35,0.45] |
0.45 [0.39,0.53] |
| ショ糖含有飲料 (ショ糖として26g) |
0.95 [0.84,1.09] |
0.91 [0.79,1.06] |
| カフェイン及びショ糖含有飲料 (カフェインとして190mg、ショ糖として26g) |
0.46 [0.40,0.52] |
0.48 [0.41,0.56] |
| アスパルテーム含有飲料 (アスパルテームとして125mg) |
1.03 [0.91,1.18] |
1.03 [0.89,1.19] |
| アセスルファムカリウム含有飲料 (アセスルファムカリウムとして40mg) |
0.92 [0.81,1.05] |
0.95 [0.81,1.11] |
対照群として、本剤を水で服用する群を設定した。 c:本剤を各飲料で同時摂取する群/本剤を水で服用する群