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カナグルOD錠100mg

カナグリフロジン水和物錠カナグリフロジン水和物口腔内崩壊錠

添付文書改訂 2025年12月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡の患者[輸液及びインスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない。]

  3. 2.3重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]

効能・効果

  • 2型糖尿病

  • 2型糖尿病を合併する慢性腎臓病 ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く。

用法・用量

通常、成人にはカナグリフロジンとして100mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の使用にあたっては、患者に対し低血糖症状及びその対処方法について十分説明すること。

  2. 8.2本剤の利尿作用により多尿・頻尿がみられることがある。また、体液量が減少することがあるので、適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分行うこと。特に体液量減少を起こしやすい患者(高齢者、腎機能障害患者、利尿薬併用患者等)においては、脱水や糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症等の発現に注意すること。

  3. 8.3尿路感染及び性器感染を起こし、腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症等の重篤な感染症に至ることがある。十分な観察を行うなど尿路感染及び性器感染の発症に注意し、発症した場合には適切な処置を行うとともに、状態に応じて休薬等を考慮すること。尿路感染及び性器感染の症状及びその対処方法について患者に説明すること。

  4. 8.4血糖コントロール改善を目的として使用する場合は、本剤投与中は、血糖を定期的に検査し、薬剤の効果を確かめ、本剤を3ヵ月投与しても効果が不十分な場合には他の治療法への変更を考慮すること。

  5. 8.5本剤投与により、血清クレアチニンの上昇又はeGFRの低下がみられることがあるので、腎機能を定期的に検査すること。腎機能障害患者においては経過を十分に観察し、腎機能障害の悪化に注意すること。

  6. 8.6血糖コントロール改善を目的として使用している患者においては、継続的にeGFRが45mL/min/1.73m2未満に低下した場合は投与の中止を検討すること。

  7. 8.7本剤の作用機序である尿中グルコース排泄促進作用により、血糖コントロールが良好であっても脂肪酸代謝が亢進し、ケトーシスがあらわれ、ケトアシドーシスに至ることがある。

  8. 8.7.1著しい血糖の上昇を伴わない場合があるため、以下の点に留意すること。

  • 悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等の症状が認められた場合には、血中又は尿中ケトン体測定を含む検査を実施すること。

  • 特に、インスリン分泌能の低下、インスリン製剤の減量や中止、過度な糖質摂取制限、食事摂取不良、感染症、脱水を伴う場合にはケトアシドーシスを発現しやすいので、観察を十分に行うこと。

  • 患者に対し、以下の点を指導すること。

  • ケトアシドーシスの症状(悪心・嘔吐、食欲減退、腹痛、過度な口渇、倦怠感、呼吸困難、意識障害等)。

  • ケトアシドーシスの症状が認められた場合には直ちに医療機関を受診すること。

  • 血糖値が高値でなくともケトアシドーシスが発現しうること。

  1. 8.7.2本剤を含むSGLT2阻害薬の投与中止後、血漿中半減期から予想されるより長く尿中グルコース排泄及びケトアシドーシスが持続した症例が報告されているため、必要に応じて尿糖を測定するなど観察を十分に行うこと。

  2. 8.8排尿困難、無尿、乏尿あるいは尿閉の症状を呈する患者においては、その治療を優先するとともに他剤での治療を考慮すること。

  3. 8.9本剤投与による体重減少が報告されているため、過度の体重減少に注意すること。

  4. 8.10低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときは注意すること。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1*心不全(NYHA心機能分類IV)のある患者

使用経験が少なく、安全性が確立していない。

  1. 9.1.2低血糖を起こすおそれのある以下の患者又は状態
  • 脳下垂体機能不全又は副腎機能不全

  • 栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足又は衰弱状態

  • 激しい筋肉運動

  • 過度のアルコール摂取者

  1. 9.1.3脱水を起こしやすい患者(血糖コントロールが極めて不良の患者、高齢者、利尿剤併用患者等)

本剤の利尿作用により脱水を起こすおそれがある。

  1. 9.1.4尿路感染、性器感染のある患者

症状を悪化させるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1高度腎機能障害患者又は透析中の末期腎不全患者
  • 〈2型糖尿病〉

  • 血糖コントロール改善を目的に投与しないこと。本剤の血糖低下作用が期待できない。

  • 〈2型糖尿病を合併する慢性腎臓病〉

  • eGFRが30mL/min/1.73m2未満の患者では新規に投与しないこと。また、本剤投与中にeGFRが30mL/min/1.73m2未満に低下した場合は、投与継続の必要性を慎重に判断すること。本剤の腎保護作用が十分に得られない可能性がある。また、本剤投与中にeGFRが低下することがあり、腎機能障害が悪化するおそれがある。

  1. 9.2.2中等度腎機能障害患者
  • 〈2型糖尿病〉

  • 投与の必要性を慎重に判断すること。本剤の血糖低下作用が十分に得られない可能性がある。

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1高度肝機能障害患者

これらの患者(Child-Pugh分類で合計スコア9超)を対象とした臨床試験は実施していない。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与せず、インスリン製剤等を使用すること。動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されており、ヒトの妊娠中期及び後期にあたる期間の曝露により、幼若動物に腎盂及び尿細管の拡張が報告されている。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されており、哺育期間中に出生児の体重増加抑制や幼若動物の腎盂の拡張、尿細管の拡張が認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

*患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多く、脱水症状(口渇等)の認知が遅れるおそれがある。

相互作用

  • 本剤は、主としてUGT1A9及びUGT2B4により代謝される。本剤はP-糖蛋白質の基質であり、弱い阻害作用を有する。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• 糖尿病用薬• スルホニルウレア剤
速効型インスリン分泌促進薬
α-グルコシダーゼ阻害薬
ビグアナイド系薬剤
チアゾリジン系薬剤
DPP-4阻害薬
GLP-1受容体作動薬
インスリン製剤等
低血糖症状が起こるおそれがある。特に、インスリン製剤、スルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進薬と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがあるため、これらの薬剤の減量を検討すること。 血糖降下作用が増強される。
• 血糖降下作用を増強する薬剤• β-遮断剤
サリチル酸剤
モノアミン酸化酵素阻害剤等
血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 血糖降下作用が増強される。
• 血糖降下作用を減弱する薬剤• アドレナリン
副腎皮質ホルモン
甲状腺ホルモン等
血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。 血糖降下作用が減弱される。
ジゴキシン 本剤300mgとの併用によりジゴキシンのCmax及びAUCがそれぞれ36%及び20%上昇したとの報告があるため、適切な観察を行うこと。 本剤のP-糖蛋白質阻害作用による。
リファンピシン、フェニトイン、フェノバルビタール、リトナビル等 リファンピシンとの併用により本剤のCmax及びAUCがそれぞれ28%及び51%低下したとの報告があるため、適切な観察を行うこと。 本剤の代謝酵素であるUGT1A9及びUGT2B4をこれらの薬剤が誘導することにより、本剤の代謝が促進される。
• 利尿作用を有する薬剤• ループ利尿薬
サイアザイド系利尿薬等
必要に応じ利尿薬の用量を調整するなど注意すること。 左記薬剤との併用により利尿作用が増強されるおそれがある。
炭酸リチウム リチウムの作用が減弱されるおそれがある。 血清リチウム濃度が低下する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
γ‒グルタミルトランスフェラーゼ増加 1%未満
うっ血性心不全 1%未満
カンジダ性亀頭炎 1%未満
カンジダ感染 1%未満
ケトーシス 1%未満
そう痒症 1%未満
ヘマトクリット増加 1%未満
上腕骨骨折 1%未満
上腹部痛 1%未満
下痢 1%未満
不安定狭心症 1%未満
中毒性ネフロパシー 1%未満
中毒性皮疹 1%未満
亀頭包皮炎 1%未満
代謝性アシドーシス 1%未満
低ナトリウム血症 1%未満
低血圧 1%未満
体位性めまい 1%未満
体重減少 1%未満
便秘 頻度不明
倦怠感 1%未満
全身性そう痒症 1%未満
全身性皮疹 1%未満
冠動脈疾患 1%未満
労作性めまい 1%未満
勃起不全 1%未満
動悸 1%未満
口内乾燥 1%未満
口渇 1%未満
口腔カンジダ症 1%未満
味覚異常 1%未満
呼吸困難 1%未満
咳嗽 1%未満
嘔吐 1%未満
嚥下障害 1%未満
回転性めまい 1%未満
外陰腟そう痒症 1%未満
外陰腟炎 1%未満
外陰腟真菌感染 1%未満
外陰部炎 1%未満
外陰部腟カンジダ症 1%未満
多尿 1%未満
多飲症 1%未満
夜間頻尿 1%未満
失神 頻度不明
尿中アルブミン/クレアチニン比増加 1%未満
尿中ケトン体陽性 1%未満
尿中血陽性 1%未満
尿失禁 1%未満
尿意切迫 1%未満
尿路感染 頻度不明
尿量増加 1%未満
心室性期外収縮 1%未満
心房細動 1%未満
急性冠動脈症候群 1%未満
急性腎障害 1%未満
性器カンジダ症 1%未満
悪寒 1%未満
悪心 1%未満
慢性胃炎 1%未満
慢性腎臓病 1%未満
排尿困難 1%未満
接触皮膚炎 1%未満
末期腎疾患 1%未満
末梢性ニューロパチー 1%未満
末梢性浮腫 1%未満
歯周炎 1%未満
水分過負荷 1%未満
注射部位内出血 1%未満
浮動性めまい 1%未満
湿疹 1%未満
無力症 1%未満
無症候性低血糖 頻度不明
狭心症 1%未満
疲労 1%未満
痔核 1%未満
痛風 1%未満
発疹 1%未満
白血球増加症 1%未満
皮膚潰瘍 1%未満
皮膚病変 1%未満
真菌性性器感染 1%未満
空腹 1%未満
突発性難聴 1%未満
筋力低下 1%未満
筋痙縮 1%未満
糖尿病性ニューロパチー 1%未満
糖尿病性腎症 1%未満
糖尿病性足病変 1%未満
糖尿病網膜症 1%未満
糸球体濾過率減少 1%未満
細菌尿 1%未満
結膜炎 1%未満
網膜症 1%未満
緊張性膀胱 1%未満
耳鳴 1%未満
肝機能異常 1%未満
肝酵素上昇 1%未満
股部白癬 1%未満
肺炎 1%未満
胃炎 1%未満
胃食道逆流性疾患 1%未満
背部痛 1%未満
胸部不快感 1%未満
脳卒中 1%未満
腎機能障害 1%未満
腎結石症 1%未満
腟分泌物 1%未満
腟感染 1%未満
腹痛 1%未満
腹部不快感 1%未満
腹部膨満 1%未満
膀胱炎 1%未満
良性前立腺肥大症 1%未満
蕁麻疹 1%未満
薬疹 1%未満
蛋白尿 1%未満
蜂巣炎 1%未満
血中カリウム増加 1%未満
血中クレアチニン増加 1%未満
血中クレアチンホスホキナーゼ増加 1%未満
血中ケトン体増加 頻度不明
血中乳酸脱水素酵素増加 1%未満
血中尿素増加 1%未満
血中重炭酸塩減少 1%未満
血液量減少症 1%未満
貧血 1%未満
赤血球増加症 1%未満
赤血球数増加 1%未満
起立性低血圧 1%未満
転倒 1%未満
過敏性腸症候群 1%未満
陰部そう痒症 1%未満
頭痛 1%未満
頻尿 頻度不明
頻脈 1%未満
食欲減退 1%未満
高カリウム血症 1%未満
高尿酸血症 1%未満
高血圧 1%未満
高血糖 1%未満

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

ナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT2)は腎臓で近位尿細管に限局して分布しており、糸球体ろ過されたグルコースの大部分を血液中に再吸収させる役割を担っている25)。カナグリフロジンは、SGLT2を選択的に阻害し、腎臓でのグルコース再吸収を抑制することで、血中に過剰に存在するグルコースを尿糖として排泄し血糖低下作用を発揮する。また、ナトリウム再吸収抑制により遠位尿細管へのナトリウム送達が増加すると、尿細管糸球体フィードバックの破綻で上昇した糸球体内圧が低下し、過剰ろ過による尿中アルブミン排泄増加を抑制すると考えられる26),27)。加えて、ポドサイトの脱落抑制やメサンギウム領域拡大の抑制、尿細管での低酸素ストレス軽減による腎の炎症抑制等、複合的な要因により、長期的な腎保護作用に働くことが推定される28)。

18.2 SGLT2阻害作用

カナグリフロジンはヒトSGLT2を選択的に阻害する(IC50値:4.2nmol/L)29)(in vitro)。

18.3 腎糖再吸収阻害作用

2型糖尿病モデルであるZucker Diabetic Fatty(ZDF)ラットにおいて、カナグリフロジンは単回経口投与により、腎糖再吸収阻害率※の上昇及び尿中グルコース排泄量の増加を示した29)。2型糖尿病患者にカナグリフロジンとして100mgを単回経口投与したとき、腎糖再吸収阻害率の上昇及び尿中グルコース排泄量の増加が認められた3)。 ※腎糖再吸収量(糸球体グルコースろ過量と尿中グルコース排泄量の差)の媒体投与群に対する阻害率

18.4 糖代謝改善作用

ZDFラットにおいて、カナグリフロジンは単回経口投与により、血糖低下作用を示した29)。 同モデルにおいて、カナグリフロジンは4週間反復経口投与により、HbA1c低下作用を示した。反復投与後の経口糖負荷試験では、血糖値上昇の抑制が認められた30)。 2型糖尿病患者にカナグリフロジンとして100mgを1日1回24週間反復経口投与したとき、HbA1cの低下及び食後高血糖の改善がみられた15)。

18.5 尿中アルブミン量低下作用

2型糖尿病モデルでアルブミン尿を呈するdb/dbマウスへのカナグリフロジン0.003w/w%の12週間混餌投与により、尿中アルブミン排泄量の経時的増加を抑制した31)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

2型糖尿病患者に、カナグリフロジンとして100mgを食事10分前に単回経口投与したときの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりである3)。

(平均値+標準偏差、n=12)

Cmax(ng/mL) AUC0-∞(ng・h/mL) tmax(h) t1/2(h)
1126(228) 6561(1305) 1.0(1.0-1.5) 10.2(1.9)

n=12、平均値(標準偏差)、tmaxは中央値(最小値-最大値)

  1. 16.1.2反復投与

2型糖尿病患者に、カナグリフロジンとして100mgを1日1回14日間反復経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであり、反復投与開始後4日目までに定常状態に達するものと考えられた3)。

Cmax(ng/mL) AUC0-24h(ng・h/mL) tmax(h) t1/2(h)
1136(330) 6635(1367) 1.0(1.0-1.5) 11.8(3.2)

n=12、平均値(標準偏差)、tmaxは中央値(最小値-最大値)

  1. 16.1.3生物学的同等性試験

健康成人に、カナグルOD錠100mg(水なしで服用及び水で服用)とカナグル錠100mg〔普通錠〕を絶食単回経口投与したときのカナグリフロジンの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであり、両製剤の生物学的同等性が確認された4)。

  1. (1)水なしで服用(普通錠:水で服用)(平均値+標準偏差、n=46)
投与製剤 Cmax(ng/mL) AUC0-72h(ng・h/mL) tmax(h) t1/2(h)
カナグルOD錠100mg 1386(283) 8539(1479) 2.0(1.0-4.0) 10.5(2.2)
カナグル錠100mg〔普通錠〕 1320(274) 8529(1531) 2.0(1.0-5.0) 10.8(2.5)

n=46、平均値(標準偏差)、tmaxは中央値(最小値-最大値)

  1. (2)水で服用(平均値+標準偏差、n=21)
投与製剤 Cmax(ng/mL) AUC0-72h(ng・h/mL) tmax(h) t1/2(h)
カナグルOD錠100mg 1391(342) 8618(1220) 2.0(1.0-5.0) 11.9(4.3)
カナグル錠100mg〔普通錠〕 1443(343) 8342(1135) 2.0(1.0-5.0) 11.3(2.4)

n=21、平均値(標準偏差)、tmaxは中央値(最小値-最大値)

16.2 吸収

  1. 16.2.1バイオアベイラビリティ

健康成人(9例)に、カナグリフロジンとして300mgを単回経口投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは約65%であった5)(外国人のデータ)。

  1. 16.2.2食事の影響

健康成人に、カナグリフロジンとして200mgを空腹時又は食事10分後(食後投与)に単回経口投与したときのCmax及びAUC0-∞の幾何平均値の比(食後/空腹時)とその90%信頼区間は、0.843[0.790, 0.900]及び0.977[0.945, 1.011]であった。空腹時と比較して、カナグリフロジンのtmaxの中央値は食後投与で約1.0時間延長した6)。

Cmax(ng/mL) AUC0-∞(ng・h/mL) tmax(h)
空腹時 2026(458) 15316(3135) 2.0(1.0-5.0)
食後 1740(435) 15140(3572) 3.0(1.5-5.0)

n=22~24、平均値(標準偏差)、tmaxは中央値(最小値-最大値)

16.3 分布

カナグリフロジンのヒト血漿蛋白結合率は約98%であった7)(in vitro、限外ろ過法)。

16.4 代謝

  1. 16.4.1健康成人(外国人、6例)に、[14C]標識カナグリフロジン192mgを単回経口投与したとき、投与後24時間までの血漿中総放射能に占める未変化体及び代謝物の割合は、カナグリフロジン(45.4~98.7%)、グルクロン酸抱合代謝物M5(1.9~29.6%)及びM7(16.0~28.8%)及び酸化代謝物M9(2.42~3.70%)であった8)。

  2. 16.4.2ヒトにおけるカナグリフロジンのグルクロン酸抱合代謝には、主にUGT1A9及びUGT2B4が、酸化代謝には主にCYP3A4、次いでCYP2D6が関与した。CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9及びCYP3A4に対して弱い阻害作用を示したが(IC50値:16、75、80及び27μmol/L)、CYP1A2、CYP2A6、CYP2C19、CYP2D6及びCYP2E1に対して阻害作用を示さなかった。また、いずれのCYP分子種に対しても時間依存的阻害作用を示さず、CYP1A2、CYP2B6、CYP3A4、CYP2C9及びCYP2C19を誘導しなかった。UGT1A1及びUGT1A6に対して弱い阻害作用を示したが(IC50値:91及び50μmol/L)、UGT1A4、UGT1A9及びUGT2B7に対して阻害作用を示さなかった9)(in vitro)。

16.5 排泄

  1. 16.5.1健康成人(外国人、6例)に、[14C]標識カナグリフロジン192mgを単回経口投与したとき、投与後168時間までに、投与された放射能の32.5%が尿中に、60.4%が糞中に排泄された。投与後48時間までの尿中にカナグリフロジンは認められず、M5(13.3%)及びM7(17.2%)が認められた。また、糞中には、カナグリフロジン(41.5%)、M7(3.2%)及びM9(7.0%)が認められた8)。

  2. 16.5.2カナグリフロジンはP-糖蛋白質、多剤耐性関連蛋白質2(MRP2)及び乳がん耐性蛋白質(BCRP)の基質であり、P-糖蛋白質及び多剤耐性関連蛋白質2に対して弱い阻害作用(IC50値:19.3μmol/L及び21.5μmol/L)を示した10)(in vitro)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害者

  2. (1)腎機能障害を伴う2型糖尿病患者

中等度腎機能障害を伴う2型糖尿病患者に、カナグリフロジンとして100mgを単回経口投与したとき、カナグリフロジンのAUC0-∞は腎機能正常2型糖尿病患者と比較して約26%上昇した。また、腎機能正常及び中等度腎機能障害を伴う2型糖尿病患者における投与後24時間までの累積尿中グルコース排泄量のベースラインからの変化量(平均値[95%信頼区間])は86.592g[75.612, 97.572]及び61.017g[49.362, 72.671]であった11)。

腎機能障害の程度 n Cmax
(ng/mL)
AUC0-∞
(ng・h/mL)
正常腎機能患者 12 1214(338) 6929(1734)
中等度腎機能障害を伴う2型糖尿病患者(eGFR 30~49mL/min/1.73m2) 12 1197(311) 8766(2551)
正常腎機能患者との幾何平均値の比(%)[90%信頼区間] 98[82, 117] 126[106, 149]

平均値(標準偏差)

  1. (2)腎機能障害者

腎機能障害者に、カナグリフロジンとして200mgを単回経口投与したとき、軽度腎機能障害者、中等度腎機能障害者及び高度腎機能障害者のカナグリフロジンのCmaxは正常腎機能者と比較して、それぞれ約27%、約9%及び約10%低下した。また、AUC0-∞は正常腎機能者と比較して、それぞれ約15%、約29%及び約53%高かった。末期腎不全患者では、4時間の透析によってカナグリフロジンはほとんど除去されなかった。 また、正常腎機能者と軽度、中等度及び高度腎機能障害者における投与後24時間までの累積尿中グルコース排泄量のベースラインからの変化量(調整済み平均値)は、53.04、38.32、17.11及び4.27gであった11)(外国人のデータ)。

腎機能障害の程度 n Cmax
(ng/mL)
AUC0-∞
(ng・h/mL)
正常腎機能者 3 1880(475) 14862(5380)
軽度腎機能障害者(eGFR 60~89mL/min/1.73m2) 10 1469(669) 17172(6075)
正常腎機能者との幾何平均値の比(%)[90%信頼区間] 73[50, 108] 115[84, 159]
中等度腎機能障害者(eGFR 30~59mL/min/1.73m2) 9 1717(427) 18715(4504)
正常腎機能者との幾何平均値の比(%)[90%信頼区間] 91[61, 134] 129[93, 178]
高度腎機能障害者(eGFR 15~29mL/min/1.73m2) 10 1746(665) 22304(5566)
正常腎機能者との幾何平均値の比(%)[90%信頼区間] 90[61, 133] 153[111, 211]
末期腎不全患者(透析後) 8 1287(277) 13587(3216)
正常腎機能者との幾何平均値の比(%)[90%信頼区間] 69[52, 90] 94[67, 131]
末期腎不全患者(透析前) 8 1433(509) 14205(3648)
正常腎機能者との幾何平均値の比(%)[90%信頼区間] 75[52, 107] 97[67, 141]

平均値(標準偏差)

  1. 16.6.2肝機能障害者

肝機能障害者に、カナグリフロジンとして300mgを単回経口投与したとき、軽度肝機能障害者(Child-Pugh分類で合計スコア5~6)及び中等度肝機能障害者(Child-Pugh分類で合計スコア7~9)のカナグリフロジンのCmaxは正常肝機能者と比較して、それぞれ約7%の上昇と約4%の低下が認められた。また、AUC0-∞は正常肝機能者と比較して、それぞれ約10%及び約11%高かった12)(外国人のデータ)。なお、高度肝機能障害者(Child-Pugh分類で合計スコア9超)での臨床試験は行われていない。

肝機能障害の程度 n Cmax
(ng/mL)
AUC0-∞
(ng・h/mL)
正常肝機能者 8a) 2844(794) 24632(7132)
軽度肝機能障害者 8 3038(670) 27162(8609)
正常肝機能者との幾何平均値の比(%)[90%信頼区間] 107[84, 137] 110[86, 140]
中等度肝機能障害者 8 2810(1037) 26866(5788)
正常肝機能者との幾何平均値の比(%)[90%信頼区間] 96[75, 122] 111[87, 141]

平均値(標準偏差)、a)AUC0-∞はn=7

  1. 16.6.3高齢者における薬物動態

2型糖尿病患者を対象とした用量設定試験から、高齢者(65歳以上、71~73例)と非高齢者(65歳未満、217~225例)において用量補正した血漿中カナグリフロジン濃度のトラフ値及び投与12週後のAUC0-2.17hを比較した。その結果、高齢者のトラフ濃度の平均値は非高齢者よりも約10~30%高い値を示した13)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1カナグリフロジンの薬物動態に及ぼす影響

  2. (1)リファンピシン

併用薬 併用薬用量 カナグリフロジン用量 カナグリフロジンの薬物動態パラメータ
幾何平均値の比[90%信頼区間]
併用/単独
Cmax AUC0-∞
リファンピシン 600mg 300mg 0.72
[0.61-0.84]
0.49
[0.44-0.54]
  1. (2)その他の薬剤

テネリグリプチン注)、メトホルミン、シクロスポリン、プロベネシド、経口避妊薬(エチニルエストラジオール及びレボノルゲストレル)及びヒドロクロロチアジドは、いずれもカナグリフロジンとの併用投与による明らかな影響は認められなかった14)(外国人のデータ)。

  1. 16.7.2併用薬の薬物動態に及ぼす影響

  2. (1)ジゴキシン

併用薬 併用薬用量 カナグリフロジン用量 併用薬の薬物動態パラメータ
幾何平均値の比[90%信頼区間]
併用/単独
Cmax AUC0-24h
ジゴキシン 0.25mg 300mg 1.36
[1.21-1.53]
1.20
[1.12-1.28]
  1. (2)その他の薬剤

テネリグリプチン注)、グリベンクラミド(グリブリド)、メトホルミン、経口避妊薬(エチニルエストラジオール及びレボノルゲストレル)、ヒドロクロロチアジド、シンバスタチン、アセトアミノフェン及びワルファリンカリウムは、いずれもカナグリフロジンとの併用投与による明らかな影響は認められなかった14)(外国人のデータ)。

注)テネリグリプチンは日本人のデータ 本剤の承認用量は100mg/日である。