Clinical snapshot

オーグメンチン配合錠250RS

クラブラン酸カリウムアモキシシリン水和物

添付文書改訂 2024年10月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1*本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2伝染性単核症のある患者[発疹の発現頻度を高めるおそれがある。]

  3. 2.3本剤の成分による黄疸又は肝機能障害の既往歴のある患者[再発するおそれがある。]

効能・効果

  • 〈適応菌種〉

本剤に感性のブドウ球菌属、淋菌、大腸菌、クレブシエラ属、プロテウス属、インフルエンザ菌、バクテロイデス属、プレボテラ属(プレボテラ・ビビアを除く)

  • 〈適応症〉

表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、淋菌感染症、子宮内感染、子宮付属器炎、中耳炎

用法・用量

  • 〈オーグメンチン配合錠125SS〉

通常成人は、1回2錠、1日3~4回を6~8時間毎に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

  • 〈オーグメンチン配合錠250RS〉

通常成人は、1回1錠、1日3~4回を6~8時間毎に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

使用上の注意

  1. 8.1本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、β-ラクタマーゼ産生菌、かつアモキシシリン耐性菌を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

  2. 8.2*ショック、アナフィラキシー、アレルギー反応に伴う急性冠症候群、薬剤により誘発される胃腸炎症候群の発生を確実に予知できる方法はないが、事前に当該事象の既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物質によるアレルギー歴は必ず確認すること。

  3. 8.3無顆粒球症、顆粒球減少、血小板減少があらわれることがあるので、血液検査を行うなど観察を十分に行うこと。

  4. 8.4急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1ペニシリン系又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)

*

  1. 9.1.2本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー反応を起こしやすい体質を有する患者

  2. 9.1.3経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者

観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1高度の腎障害のある患者

投与間隔をあけて使用すること。血中濃度が持続する。

9.3 肝機能障害患者

肝機能障害が悪化するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。

  1. 9.8.1生理機能が低下していることが多く副作用が発現しやすい。

  2. 9.8.2ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
プロベネシド アモキシシリンの血中濃度は維持できるが、クラブラン酸の血中濃度は維持できない。 プロベネシドは、尿細管でのアモキシシリンの分泌を減少させる。
ワルファリンカリウム プロトロンビン時間延長(INR上昇)が報告されている。ワルファリン投与中に本剤を投与開始又は投与中止する場合には、血液凝固能検査値等に注意し、ワルファリンの投与量を調節するなど適切な処置を行うこと。 本剤は腸内細菌によるビタミンKの産生を抑制し、ワルファリンの作用が増強される可能性があると考えられているが、機序は不明である。
経口避妊薬 経口避妊薬の効果が減弱するおそれがある。 腸内細菌叢を変化させ、経口避妊薬の腸肝循環による再吸収を抑制すると考えられている。
ミコフェノール酸モフェチル ミコフェノール酸モフェチルの効果が減弱するおそれがある。 併用により、ミコフェノール酸モフェチルの活性代謝物であるミコフェノール酸のトラフ値が約50%低下したとの報告がある2)。本剤は、ミコフェノール酸の腸肝循環による再吸収を抑制する可能性があると考えられる。
*メトトレキサート メトトレキサートのクリアランスが減少するおそれがある。 メトトレキサートの尿細管分泌が阻害され、体内からの消失が遅延し、メトトレキサートの毒性が増強する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
カンジダ症 1%未満
そう痒 1%未満
ビタミンB群欠乏症状(舌炎 1%未満
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症 1%未満
下痢 1〜5%未満
出血傾向等) 1%未満
口内炎 1%未満
口内炎 1%未満
嘔吐 1〜5%未満
変色便 頻度不明
多動 頻度不明
好中球減少 1%未満
好酸球増多 1〜5%未満
悪心 1〜5%未満
歯牙変色注2) 頻度不明
浮動性めまい 頻度不明
消化不良 頻度不明
溶血性貧血 1%未満
痙攣注3) 1%未満
発熱 1%未満
発疹 1〜5%未満
白血球減少 1%未満
神経炎等) 1%未満
結晶尿 1%未満
線状IgA水疱症 頻度不明
蕁麻疹 1%未満
血清病様症候群注1) 1%未満
血管神経性浮腫 1%未満
貧血 1%未満
過敏性血管炎 1%未満
頭痛 1%未満
食欲不振 1%未満
食欲不振 1〜5%未満
黒毛舌 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

AMPCは、合成ペニシリンで、グラム陽性菌、陰性菌の細胞壁合成を阻害し殺菌的な抗菌力を示す22)。 しかし、使用頻度の増大に伴って耐性菌も増加しており、感染症治療上の問題となりつつある。臨床分離菌のβ-lactam系抗生物質に対する耐性獲得機構のうち、最も一般的なものは、細菌がβ-lactamaseを産生して薬剤を加水分解する機構である23)。 CVAはStreptomyces clavuligerus ATCC27064から分離・発見されたβ-lactamase阻害剤で、β-lactamase(特にpenicillinase)の抗生物質分解作用を不可逆的に阻止する。細胞壁合成阻害による殺菌作用も有するが、CVA自体での抗菌力は弱く、単独では抗菌剤として臨床使用することは困難である24)。 オーグメンチンは、これら両剤の協力作用により相乗的に増大した抗菌作用を発揮する。 即ち、本剤は、β-lactamase産生耐性菌に対して、CVAがβ-lactamaseに不可逆的に結合・阻害し、AMPCは失活されず感性菌に対するのと同様に強力な殺菌力を示し、更に有効菌種の拡大された経口用抗生物質である25)。

18.2 試験管内抗菌作用・抗菌スペクトル(in vitro試験)

本剤は、好気性のグラム陽性菌、陰性菌、嫌気性のグラム陰性菌等の広範囲の各種菌株に対して、優れた抗菌力を示し、特にβ-lactamase産生耐性菌に対し、AMPC単独に比べ、抗菌力が増強された。現在、耐性菌が増加しているブドウ球菌属をはじめ、グラム陰性の淋菌、大腸菌、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌、更に、ABPC(含む誘導体)・AMPCが無効であるクレブシエラ属、プロテウス・ブルガリス、嫌気性菌(バクテロイデス属等)にも幅広く強い抗菌力を示す。

18.3 動物感染治療試験

β-lactamase産生のAMPC耐性菌(大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス・ミラビリス、プロテウス・ブルガリス、黄色ブドウ球菌)等によるマウス実験的全身感染症(腹腔内接種)26),27),28)、腎膿瘍(大腸菌接種)29)、皮下混合感染症(大腸菌、バクテロイデス・フラギリス接種)30)などの感染防御実験において、本剤はAMPC26),27),28),29),30)、CEX27),28)、CEZ30)より優れた治療効果を示した。

18.4 腸内細菌叢ヘの影響

本剤及びAMPCをマウスに、2mg/日、7日間連続投与し、盲腸内クロストリジウム・ディフィシルの菌数を非投与群と比較検討した30)。その結果、本剤では偽膜性大腸炎の原因とされるクロストリジウム・ディフィシルの増殖が明らかに少ないことが認められている30)。これは、本剤のクロストリジウム・ディフィシルに対する抗菌力(MIC)が0.01μg/mLであり、AMPCのMIC 0.39μg/mLに比べて増強されたために菌の出現が阻止されたものと考えられる30)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

健康成人にオーグメンチン配合錠250RS 1錠(クラブラン酸カリウム・アモキシシリン水和物125・250mg)を空腹時に単回経口投与すると、図1のように、アモキシシリン(AMPC)、クラブラン酸(CVA)の平均血中濃度は、ピーク時(投与後約1.5時間)、AMPC 4.88μg/mL、CVA 2.86μg/mLに達し推移した。オーグメンチン配合錠125SS 2錠投与の場合は、オーグメンチン配合錠250RS 1錠投与時とほぼ同等の血中濃度が得られた。AMPC、CVAとも、薬物動態学的パラメータがほぼ一致しており、血中濃度半減期は約1時間であった4)。

図1 健康成人にオーグメンチン配合錠125SS又は250RSを空腹時に単回経口投与した時のAMPC及びCVAの平均血中濃度(10例)

  1. 16.1.2反復投与

健康成人に、オーグメンチン配合錠250RS 1錠を1日3回、7日間反復投与した場合、第1回投与時と最終回投与時の血中濃度のパターンに顕著な相違はみられず、蓄積傾向もみられなかった5)。

16.3 分布

  1. 16.3.1血漿蛋白結合率

In vitroでの血漿蛋白結合率は、AMPCが10.6~30.0%、CVAが13.0%であった。

  1. 16.3.2体液・組織内移行

ヒト体液・組織内移行は良好で、喀痰6)、口蓋扁桃組織7)、女性性器(子宮動静脈血、子宮各部、卵管、卵巣)8)、胆汁9)、歯肉・上顎洞粘膜10),11)等へ移行した。

16.5 排泄

  1. 16.5.1単回投与

健康成人にオーグメンチン配合錠250RS 1錠(クラブラン酸カリウム・アモキシシリン水和物125mg・250mg)を空腹時に単回経口投与すると、AMPC、CVAの平均尿中排泄の推移は図2のとおりであった。尿中排泄では、投与後8時間迄にAMPC約67%、CVA約35%が排泄された。オーグメンチン配合錠125SS 2錠投与の場合も、投与後8時間迄にほぼ同等の尿中排泄率が得られた4)。

図2 健康成人にオーグメンチン配合錠125SS又は250RSを空腹時に単回経口投与した時のAMPC及びCVAの平均尿中排泄の推移(10例)

  1. 16.5.2反復投与

健康成人に、オーグメンチン配合錠250RS 1錠を1日3回、7日間反復投与した場合、第1回投与時と最終回投与時の尿中排泄のパターンに顕著な相違はみられず、蓄積傾向もみられなかった5)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

腎機能障害を有する患者(9例)にオーグメンチン配合錠250RSを単回経口投与した時、腎機能が正常に近い場合に比べ、AMPCは腎障害の程度に応じて、血中濃度が持続し、半減期も延長するが、CVAへの影響はわずかであった。なお、血液浄化中の血中濃度低下は両剤とも促進された。また、腎機能障害患者にオーグメンチン配合錠250RSを投与した時、AMPCは腎障害の程度に応じて、尿中排泄が持続するが、CVAへの影響はわずかであった。ヒト尿中にはAMPC、CVA以外の抗菌活性代謝物は認められなかった12),13),14)。