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オルミエント内用懸濁液2mg/mL

バリシチニブ錠バリシチニブ内用懸濁液

添付文書改訂 2026年03月01日

【警告】

  • 〈効能共通〉
  1. **1.1本剤投与により、結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染等による重篤な感染症の新たな発現もしくは悪化等が報告されており、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されている。本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、これらの情報を患者注1)に十分説明し、患者注1)が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 また、本剤投与により重篤な副作用が発現し、致死的な経過をたどった症例が報告されているので、緊急時の対応が十分可能な医療施設及び医師が使用すること。また、本剤投与後に有害事象が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者注1)に注意を与えること。

注1)小児の場合は患者及び保護者又はそれに代わる適切な者

  1. 1.2感染症

  2. 1.2.1重篤な感染症

敗血症、肺炎、真菌感染症を含む日和見感染症等の致死的な感染症が報告されているため、十分な観察を行うなど感染症の発現に注意すること。

  1. 1.2.2結核

播種性結核(粟粒結核)及び肺外結核(脊椎、リンパ節等)を含む結核が報告されている。結核の既感染者では症状の顕在化及び悪化のおそれがあるため、本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部X線検査に加え、インターフェロンγ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。結核の既往歴を有する患者及び結核の感染が疑われる患者には、結核等の感染症について診療経験を有する医師と連携の下、原則として本剤投与前に適切な抗結核薬を投与すること。ツベルクリン反応検査等の検査が陰性の患者において、投与後活動性結核が認められた例も報告されている。

  1. 1.3本剤についての十分な知識と適応疾患の治療の知識・経験をもつ医師が使用すること。
  • 〈関節リウマチ、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎〉
  1. 1.4本剤の治療を行う前に、少なくとも1剤の抗リウマチ薬等の使用を十分勘案すること。

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  • 〈効能共通〉
  1. 2.1本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2活動性結核の患者[症状が悪化するおそれがある。]

  3. 2.3好中球数が500/mm3未満の患者

  4. 2.4妊婦又は妊娠している可能性のある女性

  • 〈関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、円形脱毛症〉
  1. 2.5重篤な感染症(敗血症等)の患者[症状が悪化するおそれがある。]

  2. 2.6重度の腎機能障害を有する患者

  3. 2.7リンパ球数が500/mm3未満の患者

  4. 2.8ヘモグロビン値が8g/dL未満の患者

  • 〈SARS-CoV-2による肺炎〉
  1. 2.9透析患者又は末期腎不全(eGFRが15mL/分/1.73m2未満)の患者

  2. 2.10リンパ球数が200/mm3未満の患者

効能・効果

  • 〇既存治療で効果不十分な下記疾患

    • 関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
  • アトピー性皮膚炎注2)

  • 多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎

  • 〇SARS-CoV-2による肺炎(ただし、酸素吸入を要する患者に限る)

  • 〇円形脱毛症(ただし、脱毛部位が広範囲に及ぶ難治の場合に限る)

注2)最適使用推進ガイドライン対象

用法・用量

  • 〈関節リウマチ、アトピー性皮膚炎(成人)、円形脱毛症〉

通常、成人にはバリシチニブとして4mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態に応じて2mgに減量すること。

  • 〈アトピー性皮膚炎(小児)、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎〉

通常、2歳以上の患者には体重に応じバリシチニブとして以下の投与量を1日1回経口投与する。

・30kg以上:通常、4mgとし、患者の状態に応じて2mgに減量すること。

・30kg未満:通常、2mgとし、患者の状態に応じて1mgに減量すること。

  • 〈SARS-CoV-2による肺炎〉

通常、成人にはレムデシビルとの併用においてバリシチニブとして4mgを1日1回経口投与する。なお、総投与期間は14日間までとする。

使用上の注意

  • 〈効能共通〉
  1. **8.1本剤は、免疫反応に関与するJAKファミリーを阻害するので、感染症に対する宿主免疫能に影響を及ぼす可能性がある。本剤の投与に際しては十分な観察を行い、感染症の発現や増悪に注意すること。また、患者注3)に対し、発熱、倦怠感等があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するよう指導すること。

  2. **8.2本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部X線検査に加え、インターフェロンγ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。本剤投与中は胸部X線検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意すること。患者注3)に対し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱等)には速やかに主治医に連絡するよう説明すること。

  3. 8.3好中球減少、リンパ球減少及びヘモグロビン減少があらわれることがあるので、本剤投与開始後は定期的に好中球数、リンパ球数及びヘモグロビン値を確認すること。

  4. **8.4ヘルペスウイルスを含むウイルスの再活性化(帯状疱疹等)が報告されている。また、日本人関節リウマチ患者で認められた重篤な感染症のうち多くが重篤な帯状疱疹であったこと、播種性帯状疱疹も認められていることから、ヘルペスウイルス等の再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。徴候や症状の発現が認められた場合には、患者注3)に受診するよう説明し、本剤の投与を中断し速やかに適切な処置を行うこと。また、ヘルペスウイルス以外のウイルスの再活性化にも注意すること。

  5. 8.5抗リウマチ生物製剤によるB型肝炎ウイルスの再活性化が報告されているので、本剤投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること。

  6. 8.6感染症発現のリスクを否定できないので、本剤投与中の生ワクチン接種は行わないこと。

  7. 8.7総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール及びトリグリセリドの上昇等の脂質検査値異常があらわれることがある。本剤投与開始後は定期的に脂質検査値を確認すること。臨床上必要と認められた場合には、脂質異常症治療薬の投与等の適切な処置を考慮すること。

  8. 8.8トランスアミナーゼ値の上昇があらわれることがあるので、本剤投与中は、観察を十分に行うこと。トランスアミナーゼ値が基準値上限の5~10倍以上に上昇した症例も報告されている。

  9. 8.9悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されている。本剤との因果関係は明らかではないが、悪性腫瘍の発現には注意すること。

  • 〈アトピー性皮膚炎〉
  1. **8.10本剤が疾病を完治させる薬剤でなく、本剤投与中も保湿外用剤等を併用する必要があることを患者注3)に対して説明し、患者注3)が理解したことを確認したうえで投与すること。

  2. 8.11本剤は免疫抑制作用を有することから、皮膚バリア機能が低下しているアトピー性皮膚炎患者への投与に際しては十分な観察を行い、皮膚感染症の発現に注意すること。アトピー性皮膚炎患者を対象とした臨床試験において重篤な皮膚感染症が報告されている。

  • 〈SARS-CoV-2による肺炎〉
  1. 8.12本剤投与時には、やむを得ない場合を除き、抗凝固薬の投与等による血栓塞栓予防を行うこと。
  • 〈円形脱毛症〉
  1. 8.13本剤が疾病を完治させる薬剤でないことを患者に対して説明し、患者が理解したことを確認したうえで投与すること。

注3)小児の場合は患者及び保護者又はそれに代わる適切な者

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1感染症(関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎又は円形脱毛症の場合は重篤な感染症、SARS-CoV-2による肺炎の場合はSARS-CoV-2による肺炎を除く)の患者又は感染症が疑われる患者

  2. 9.1.2結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)又は結核感染が疑われる患者

  3. (1)結核の既感染者では、結核を活動化させるおそれがある。

  4. (2)結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。以下のいずれかの患者には、原則として本剤投与前に適切な抗結核薬を投与すること。

  • 胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者

  • 結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者

  • インターフェロンγ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、既感染が強く疑われる患者

  • 結核患者との濃厚接触歴を有する患者

  1. 9.1.3易感染性の状態にある患者

感染症を発現するリスクが高い。

  1. 9.1.4腸管憩室のある患者

消化管穿孔があらわれるおそれがある。

  1. 9.1.5間質性肺炎の既往歴のある患者

定期的に問診を行うなど、注意すること。間質性肺炎があらわれるおそれがある。

  1. 9.1.6静脈血栓塞栓症のリスクを有する患者

  2. 9.1.7B型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体又はHBs抗体陽性)

肝機能検査値やHBV DNAのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。抗リウマチ生物製剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者において、B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されている。なお、活動性B型肝炎の患者は臨床試験では除外されている。

  1. 9.1.8C型肝炎患者

臨床試験では除外されている。

  1. 9.1.9好中球減少(好中球数500/mm3未満を除く)のある患者

好中球数が低い患者(1000/mm3未満)については投与を開始しないことが望ましい。好中球減少が更に悪化するおそれがある。

  1. 9.1.10リンパ球減少(関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎又は円形脱毛症の場合はリンパ球数500/mm3未満、SARS-CoV-2による肺炎の場合はリンパ球数200/mm3未満を除く)のある患者

リンパ球減少が更に悪化するおそれがある。

  1. 9.1.11ヘモグロビン値減少(関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎又は円形脱毛症の場合はヘモグロビン値8g/dL未満を除く)のある患者

ヘモグロビン減少が更に悪化するおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

腎機能が正常な患者に比べ、本剤の曝露量が増加するため、副作用が強くあらわれるおそれがある。

  • 〈関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、円形脱毛症〉
  1. 9.2.1重度の腎機能障害患者

投与しないこと。

  • 〈SARS-CoV-2による肺炎〉
  1. 9.2.2透析患者又は末期腎不全(eGFRが15mL/分/1.73m2未満)の患者

投与しないこと。

  1. 9.2.3重度の腎機能障害患者(透析患者又は末期腎不全の患者を除く)

重度の腎機能障害(15≦eGFR<30mL/分/1.73m2)がある患者に対して治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合には、2mgを48時間ごとに投与することができる。本剤投与中は、患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。

  • 〈関節リウマチ、アトピー性皮膚炎(成人)、SARS-CoV-2による肺炎、円形脱毛症〉
  1. 9.2.4中等度の腎機能障害患者

2mg 1日1回投与に減量し、慎重に投与すること。

  • 〈アトピー性皮膚炎(小児)、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎〉
  1. 9.2.5中等度の腎機能障害患者

体重30kg以上の場合は2mg 1日1回に、体重30kg未満の場合は1mg 1日1回に減量し、慎重に投与すること。

  • 〈効能共通〉
  1. 9.2.6軽度の腎機能障害患者

9.3 肝機能障害患者

副作用が強くあらわれるおそれがある。重度の肝機能障害を有する患者は臨床試験で除外されている。

9.4 生殖能を有する者

妊娠可能な女性には、本剤投与中及び本剤投与終了後少なくとも1月経周期は適切な避妊を行うよう指導すること。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。

動物実験では催奇形性が報告されており、ヒトに本剤を投与したときの血漿中濃度と比較したとき、催奇形性に関する安全域はラット及びウサギでそれぞれ2.3倍及び6.3倍であった。また、ラットで受胎能、胎児の発達、出生児の体重への影響が報告されている。雌ラットの受胎能及び初期胚発生に関する安全域は4.1倍、出生前及び出生後の発生に関する安全域は1.8倍であった1)。

9.6 授乳婦

本剤投与中は授乳しないことが望ましい。ラットで乳汁中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

  • 〈関節リウマチ、SARS-CoV-2による肺炎、円形脱毛症〉
  1. 9.7.1小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
  • 〈アトピー性皮膚炎、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎〉
  1. 9.7.2低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。

  2. 9.7.3錠剤は、適切に経口投与できると判断された場合にのみ投与すること。

9.8 高齢者

  • 用量に留意して、患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。重篤な有害事象の発現率の上昇が認められている。また、本剤は主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下している場合が多い。

相互作用

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• プロベネシド
本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。本剤とプロベネシド併用時に本剤のAUCが2倍に増加した。関節リウマチ、アトピー性皮膚炎(成人)、SARS-CoV-2による肺炎及び円形脱毛症患者では2mg 1日1回投与、アトピー性皮膚炎(小児)及び多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎患者では体重に応じて規定された投与量を半量に減量するなど、用量に注意すること。 OAT3を阻害することにより本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
ALT上昇 頻度不明
AST上昇 頻度不明
CK上昇 頻度不明
LDLコレステロール上昇 頻度不明
カポジ水痘様発疹 頻度不明
ざ瘡 頻度不明
トリグリセリド上昇 頻度不明
上咽頭炎 頻度不明
上気道感染(鼻炎 頻度不明
体重増加 1%未満
副鼻腔炎 頻度不明
単純ヘルペス(ヘルペス性状湿疹 頻度不明
口腔ヘルペスを含む) 頻度不明
口腔咽頭痛 頻度不明
咽頭扁桃炎 頻度不明
咽頭炎 頻度不明
喉頭炎 頻度不明
喉頭蓋炎 頻度不明
尿路感染 頻度不明
帯状疱疹 頻度不明
急性副鼻腔炎 頻度不明
性器ヘルペス 頻度不明
悪心 頻度不明
慢性副鼻腔炎 頻度不明
扁桃炎 頻度不明
気管炎を含む) 頻度不明
発疹 頻度不明
眼部単純ヘルペス 頻度不明
腹痛 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血小板増加症 頻度不明
頭痛 頻度不明
顔面腫脹 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

造血、炎症、免疫機能に関与する各種サイトカインや成長因子が受容体に結合する際にJAKが介在した細胞内シグナル伝達が行われる。細胞内シグナル伝達経路の中でJAK自体のリン酸化とともに対応するシグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)がリン酸化される。リン酸化されたSTATは核内に移行し、サイトカインに反応する遺伝子群の転写を亢進する55)。バリシチニブはJAK1及びJAK2活性を阻害し、STATのリン酸化及び活性化を抑制することによりシグナル伝達を阻害する56)。

18.2 JAK阻害活性

バリシチニブはJAK1/JAK2の選択的かつ可逆的阻害剤であり、酵素阻害試験でJAK1、JAK2、TYK2及びJAK3活性を阻害し、その阻害作用のIC50はそれぞれ、5.9、5.7、53及び>400nMである(in vitro)56)。

18.3 IL-6 により誘導されるSTAT3 リン酸化の阻害作用

バリシチニブを投与した健康被験者の全血を用いたアッセイにおいて、IL-6により誘導されるSTAT3 リン酸化を用量依存的に阻害した。その阻害作用はバリシチニブ投与2時間後に最大になり、STAT3 リン酸化レベルは24時間後にほぼベースラインに戻った。IL-6(JAK1/JAK2 を介したシグナル伝達)又はトロンボポエチン(JAK2/JAK2 を介したシグナル伝達)のどちらで刺激した場合にも同様の阻害効果が認められた(in vitro)57)。

薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1単回投与

日本人健康被験者16例にバリシチニブ4及び8mg注6)を空腹時単回投与したときのバリシチニブの血漿中濃度は投与後約1時間でピークに達した。消失半減期は約6~7時間であった3)。

投与量 例数 Cmax
(ng/mL)
tmaxa)
(h)
AUC0-∞
(ng・h/mL)
t1/2b)
(h)
4mg 16例 50.7
(25)
0.88
(0.50-2.00)
297
(17)
6.39
(5.19-7.94)
8mg 16例 107
(29)
0.88
(0.50-2.00)
626
(19)
6.52
(5.05-7.59)

幾何平均値(変動係数%)

a)中央値(範囲)

b)幾何平均値(範囲)

図1)健康被験者にバリシチニブ4及び8mg注6)を単回投与したときの血漿中バリシチニブ濃度推移(平均±標準偏差)

  1. 16.1.2反復投与
  • 〈関節リウマチ〉

  • 第II相試験及び第III相試験のデータを用いて母集団薬物動態解析を実施した。日本人関節リウマチ患者に本剤4mgを1日1回反復投与したときの定常状態における薬物動態パラメータ[幾何平均値(変動係数%)]は、Cmax,ssが58.1ng/mL(21%)、Cmin,ssが3.55ng/mL(73%)、AUCτ,ssが414ng・h/mL(30%)、消失半減期が10.9時間(15%)と推定された4)。

  • 〈アトピー性皮膚炎〉

  • (1) 成人

第II相試験及び第III相試験のデータを用いて母集団薬物動態解析を実施した。日本人アトピー性皮膚炎患者に本剤4mgを1日1回反復投与したときの定常状態における薬物動態パラメータ[幾何平均値(変動係数%)]は、Cmax,ssが47.2ng/mL(16%)、Cmin,ssが3.54ng/mL(79%)、AUCτ,ssが368ng・h/mL(31%)、消失半減期が11.4時間(21%)と推定された5)。

  • (2) 小児

第III相試験のデータを用いて母集団薬物動態解析を実施した。日本人アトピー性皮膚炎小児患者に体重30kg以上の場合はバリシチニブ4mgを、体重30kg未満の場合は2mgを1日1回反復投与したときの定常状態における薬物動態パラメータ[幾何平均値(変動係数%)]は、Cmax,ssがそれぞれ52.6ng/mL(32%)及び51.1ng/mL(20%)、AUCτ,ssがそれぞれ333ng・h/mL(51%)及び228ng・h/mL(30%)、消失半減期がそれぞれ13.4時間(48%)及び10.5時間(50%)と推定された6)。

  • 〈円形脱毛症〉

  • 第II/III相試験のデータを用いて母集団薬物動態解析を実施した。日本人円形脱毛症患者に本剤4mgを1日1回反復投与したときの定常状態における薬物動態パラメータ[幾何平均値(変動係数%)]は、Cmax,ssが52.2ng/mL(16%)、Cmin,ssが2.63ng/mL(77%)、AUCτ,ssが356ng・h/mL(30%)、消失半減期が12.9時間(24%)と推定された7)。

  • 〈多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎〉

  • 第III相試験のデータを用いて母集団薬物動態解析を実施した。多関節に活動性を有する日本人若年性特発性関節炎患者に体重30kg以上の場合はバリシチニブ4mgを、体重30kg未満の場合は2mgを1日1回反復投与したときの定常状態における薬物動態パラメータ[幾何平均値(変動係数%)]は、Cmax,ssがそれぞれ54.3ng/mL(21%)及び58.9ng/mL(33%)、AUCτ,ssがそれぞれ295ng・h/mL(15%)及び302ng・h/mL(81%)、消失半減期がそれぞれ6.31時間(34%)及び8.97時間(51%)と推定された8)。

  1. 16.1.3生物学的同等性**

外国人健康被験者に、クロスオーバー法によりバリシチニブ内用懸濁液4mg又は錠剤4mgを空腹時単回経口投与した。錠剤4mgに対する内用懸濁液4mg投与時のCmax及びAUC0-tの最小二乗幾何平均値の比の95%信頼区間は生物学的同等性の判定基準(0.80~1.25)の範囲内であったことから、内用懸濁液は錠剤と生物学的に同等であることが確認された9)。

図2)健康被験者にバリシチニブ内用懸濁液4mg又は錠剤4mgを空腹時単回経口投与したときの血漿中バリシチニブ濃度推移(平均+標準偏差)

製剤 例数 Cmax
(ng/mL)
AUC0-t
(ng・h/mL)
錠剤4mg 24例 47.8
(25)
316
(18)
内用懸濁液4mg 24例 49.8
(21)
314
(19)

幾何平均値(変動係数%)

16.2 吸収

  1. 16.2.1バイオアベイラビリティ

外国人健康被験者8例にバリシチニブ4mgを単回経口投与及び4μgを単回静脈内投与注6)したとき、バリシチニブ経口投与時の絶対的バイオアベイラビリティは約80%であった10)。

  1. 16.2.2食事の影響**

日本人健康被験者16例にバリシチニブ錠4mgを空腹時及び低脂肪食摂取後に単回経口投与した。低脂肪食摂取後に投与したとき、空腹時に比べAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ14%及び11%低下した3)。 外国人健康被験者15例にバリシチニブ錠8mg注6)を空腹時及び高脂肪・高カロリー食摂取後に単回経口投与した。高脂肪・高カロリー食摂取後に投与したとき、空腹時に比べAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ11%及び18%低下した11)。

外国人健康被験者18例にバリシチニブ内用懸濁液4mgを空腹時及び高脂肪・高カロリー食摂取後に単回経口投与した。高脂肪・高カロリー食摂取後に投与したとき、空腹時に比べAUC0-∞は同程度であったが、Cmaxは32.5%低下した9)。

16.3 分布

外国人健康被験者8例にバリシチニブ4μgを単回静脈内投与注6)したときの分布容積は76Lであった10)。バリシチニブの血漿タンパク結合率は約50%であった(in vitro)12)。

16.4 代謝

In vitro試験の結果、バリシチニブの代謝にCYP3A4が関与することが示された13)。外国人健康被験者6例に14Cで標識したバリシチニブ10mg注6)(100μCi)を単回投与したとき、血漿中総放射能のうち未変化体の占める割合は95%以上であった。血漿中にバリシチニブの代謝物は認められなかった。尿中に投与量の約5%に相当する3種類の酸化代謝物が検出され、糞中には投与量の約1%に相当する1種類の酸化代謝物が検出された14)。

16.5 排泄

外国人健康被験者6例に14Cで標識したバリシチニブ10mg注6)(100μCi)を単回投与したとき、バリシチニブは75%(未変化体69%)が尿中に、20%(未変化体15%)が糞中に排泄された14)。また、健康被験者を対象とした薬物動態試験において、本剤40mgを単回投与したところ、投与量の90%以上は24時間以内に排泄されることが示唆された。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1腎機能障害患者

正常な腎機能を有する被験者(10例)、軽度(10例)及び中等度(10例)の腎機能障害を有する被験者にバリシチニブ10mg注6)を、重度の腎機能障害を有する被験者(8例)にバリシチニブ5mg注6)を単回投与したとき、腎機能障害の重症度の悪化に伴いAUC0-∞は増加し、バリシチニブの薬物動態に対する腎機能障害の影響が認められた。投与量で補正したAUC0-∞は正常な腎機能を有する被験者に比べ、軽度、中等度及び重度の腎機能障害を有する被験者でそれぞれ41%、122%、305%増加し、Cmaxはそれぞれ16%、46%、40%増加した15)(外国人データ)。

  1. 16.6.2肝機能障害患者

正常な肝機能を有する被験者8例及びChild-Pugh分類Bの中等度肝機能障害を有する被験者8例にバリシチニブ4mgを単回投与したとき、正常な肝機能を有する被験者に比べ、中等度の肝機能障害を有する被験者でバリシチニブのAUC0-∞は2%低下し、Cmaxは8%増加した16)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1併用薬がバリシチニブの薬物動態に及ぼす影響

In vitro試験の結果、バリシチニブはCYP3Aの基質であった13)。また、in vitro試験の結果、バリシチニブはOAT3、P-gp、BCRP及びMATE2-Kトランスポーターの基質であった17),18),19),20)。薬物相互作用を検討した臨床試験の結果、OAT3阻害剤であるプロベネシドの併用によりバリシチニブのAUC0-∞は約2倍に増加した21)(外国人データ)。

併用薬 併用薬
投与量
本剤
投与量
薬物動態パラメータ
最小二乗幾何平均値の比
(90%信頼区間)
併用/単独
AUC0-∞ Cmax
ケトコナゾール
(CYP3A阻害)
400mg
1日1回
10mg
単回
1.21
(1.17, 1.24)
1.08
(1.01, 1.17)
フルコナゾール
(CYP3A/CYP2C19/
CYP2C9阻害)
200mg
1日1回
10mg
単回
1.23
(1.18, 1.29)
1.05
(0.950, 1.15)
リファンピシン
(CYP3A誘導)
600mg
1日1回
10mg
単回
0.655
(0.622, 0.690)
1.05
(0.947, 1.16)
シクロスポリン
(P-gp/BCRP阻害)
600mg
単回
4mg
単回
1.29
(1.23, 1.36)
0.990
(0.913, 1.07)
プロベネシド
(OAT3阻害)
1000mg
1日2回
4mg
単回
2.03
(1.91, 2.16)
1.03
(0.940, 1.13)
オメプラゾール
(胃内pH上昇)
40mg
1日1回
10mg
単回
1.07
(1.05, 1.10)
0.774
(0.722, 0.831)
メトトレキサート
(複数のトランスポー
ターの基質)
7.5~25mg
週1回
10mg
1日1回
0.981a),b)
(0.933, 1.032)
1.008a),b)
(0.917, 1.108)

a)AUCτ,ss、Cmax,ss

b)幾何平均値の比

  1. 16.7.2バリシチニブが併用薬の薬物動態に及ぼす影響

In vitro試験の結果、バリシチニブはCYP3A、1A2、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6においてIC50が算出可能な程度の代謝阻害は認められず(IC50>20μmol/L)、またCYP3A、1A2、2B6を50μmol/Lまで誘導しなかった27),28)。In vitro試験の結果、バリシチニブはP-gp、有機アニオン輸送ポリペプチド(OATP)1B1に対してそれぞれ50μmol/L、100μmol/Lまで阻害しなかった。また、バリシチニブはOAT1(IC50>100μmol/L)、OAT2(IC50=99.1μmol/L)、OAT3(IC50=8.4μmol/L)、有機カチオントランスポーター(OCT)1(IC50=6.9μmol/L)、OCT2(IC50=11.6μmol/L)、OATP1B3(IC50=49.4μmol/L)、BCRP(IC50=50.3μmol/L)、MATE1(IC50=76.7μmol/L)、MATE2-K(IC50=13.7μmol/L)を阻害した18),20),29),30),31),32)。

併用薬 併用薬
投与量
本剤
投与量
薬物動態パラメータ
最小二乗幾何平均値の比
(90%信頼区間)
併用/単独
AUC0-∞ Cmax
シンバスタチン
(CYP3A基質)
40mg
単回
10mg
1日1回
0.853
(0.759, 0.958)
0.706
(0.627, 0.796)
エチニルエストラジオール
(CYP3A基質)
30μg
単回
10mg
1日1回
1.00
(0.959, 1.04)
0.939
(0.894, 0.986)
レボノルゲストレル
(CYP3A基質)
150μg
単回
10mg
1日1回
0.869
(0.770, 0.980)
0.995
(0.907, 1.09)
ジゴキシン
(P-gp基質)
0.25mg
1日1回
10mg
1日1回
0.900a)
(0.866, 0.935)
0.882a)
(0.819, 0.950)
メトトレキサート
(複数のトランスポーターの基質)
7.5~25mg
週1回
10mg
1日1回
1.03a),b)
(0.941, 1.13)
0.95a),b)
(0.86, 1.05)

a)AUCτ,ss、Cmax,ss

b)幾何平均値の比

注6)本剤の承認された用法・用量は、関節リウマチ、アトピー性皮膚炎(成人)、SARS-CoV-2による肺炎及び円形脱毛症には通常4mg、アトピー性皮膚炎(小児)及び多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎には通常、体重30kg以上の患者には4mg、30kg未満の患者には2mgである。