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オメプラゾール注用20mg「NP」

オメプラゾールナトリウム注射剤

添付文書改訂 2025年06月01日

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

  2. 2.2*リルピビリン塩酸塩を投与中の患者

効能・効果

  • 経口投与不可能な下記の疾患

出血を伴う胃潰瘍、十二指腸潰瘍、急性ストレス潰瘍及び急性胃粘膜病変

  • 経口投与不可能なZollinger-Ellison症候群

用法・用量

通常、成人には、オメプラゾールとして1回20mgを、日局生理食塩液又は日局5%ブドウ糖注射液に混合して1日2回点滴静注する、或いは日局生理食塩液又は日局5%ブドウ糖注射液20mLに溶解して1日2回緩徐に静脈注射する。

使用上の注意

  1. 8.1血液像、肝機能、腎機能等に注意すること。

  2. 8.2動脈性の急激な出血や露出血管を認めるなど急激な出血の危険性のある場合は、ヒータープローブやクリッピング等の適切な処置を行うこと。

  3. 8.3緊急の場合以外には、静脈注射を避け点滴静注によることが望ましい。

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1薬物過敏症の既往歴のある患者

9.3 肝機能障害患者

肝代謝型であり、血中濃度が高くなるおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ウサギ経口138mg/kg)で胎児毒性(死亡吸収胚率の増加)が報告されている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット経口5mg/kg)で、母乳中へ移行することが報告されている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

一般に肝機能が低下していることが多い。

相互作用

  • 主として肝代謝酵素CYP2C19及び一部CYP3A4で代謝される。 また、胃酸分泌抑制作用により、併用薬剤の吸収を上昇又は低下させることがある。

10.1 併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• リルピビリン塩酸塩
(エジュラント)
リルピビリン塩酸塩の作用を減弱するおそれがある。 本剤の胃酸分泌抑制作用によりリルピビリン塩酸塩の吸収が低下し、リルピビリンの血中濃度が低下することがある。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子
• ジアゼパム
フェニトイン
シロスタゾール
これらの薬剤の作用を増強することがある。 本剤は主に肝臓のチトクロームP450系薬物代謝酵素CYP2C19で代謝されるため、本剤と同じ代謝酵素で代謝される薬物の代謝、排泄を遅延させるおそれがある。
• ワルファリン 抗凝血作用を増強し、出血に至るおそれがある。プロトロンビン時間国際標準比(INR)値等の血液凝固能の変動に十分注意しながら投与すること。 本剤は主に肝臓のチトクロームP450系薬物代謝酵素CYP2C19で代謝されるため、本剤と同じ代謝酵素で代謝される薬物の代謝、排泄を遅延させるおそれがある。
• タクロリムス水和物 タクロリムスの作用を増強することがある。 相互作用の機序は不明である。これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。
• メトトレキサート 高用量のメトトレキサートを投与する場合は、一時的に本剤の投与を中止することを考慮すること。 相互作用の機序は不明である。これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。
• ジゴキシン
メチルジゴキシン
これらの薬剤の作用を増強することがある。 本剤の胃酸分泌抑制作用によりジゴキシンの加水分解が抑制され、ジゴキシンの血中濃度が上昇することがある。
• イトラコナゾール これらの薬剤の作用を減弱することがある。 本剤の胃酸分泌抑制作用によりこれらの薬剤の溶解性が低下し、これらの薬剤の血中濃度が低下することがある。
• チロシンキナーゼ阻害剤• ゲフィチニブ
エルロチニブ
これらの薬剤の作用を減弱することがある。 本剤の胃酸分泌抑制作用によりこれらの薬剤の溶解性が低下し、これらの薬剤の血中濃度が低下することがある。
• ボリコナゾール 本剤の作用を増強することがある。 本剤のCmax及びAUCが増加したとの報告がある。ボリコナゾールは本剤の代謝酵素(CYP2C19及びCYP3A4)を阻害することが考えられる。
• クロピドグレル硫酸塩 クロピドグレル硫酸塩の作用を減弱することがある。 本剤がCYP2C19を阻害することにより、クロピドグレル硫酸塩の活性代謝物の血中濃度が低下する。
• セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort、セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 本剤の作用を減弱することがある。 セイヨウオトギリソウが本剤の代謝酵素(CYP2C19及びCYP3A4)を誘導し、本剤の代謝が促進され血中濃度が低下することが考えられる。

副作用

その他の副作用

副作用名 頻度
Al-P 頻度不明
ALT 頻度不明
AST 頻度不明
LDHの上昇 頻度不明
lymphocytic colitis) 頻度不明
γ-GTP 頻度不明
うつ状態 頻度不明
カンジダ症 頻度不明
クレアチニン 頻度不明
しびれ感 頻度不明
そう痒感 頻度不明
トリグリセライド 頻度不明
めまい 頻度不明
下痢・軟便 頻度不明
不眠(症) 頻度不明
低マグネシウム血症 頻度不明
便秘 頻度不明
倦怠感 頻度不明
傾眠 頻度不明
光線過敏症 頻度不明
動悸 頻度不明
及びBUN 頻度不明
口内炎 頻度不明
口渇 頻度不明
味覚異常 頻度不明
嘔吐 頻度不明
多形紅斑 頻度不明
女性化乳房 頻度不明
尿酸 頻度不明
悪心 頻度不明
振戦 頻度不明
月経異常 頻度不明
浮腫 頻度不明
異常感覚 頻度不明
発汗 頻度不明
発熱 頻度不明
発疹 頻度不明
白血球数減少 頻度不明
眠気 頻度不明
筋力低下 頻度不明
筋肉痛 頻度不明
総コレステロールの上昇 頻度不明
脱毛 頻度不明
腹痛 頻度不明
腹部膨満感 頻度不明
舌炎 頻度不明
蕁麻疹 頻度不明
血小板数減少 頻度不明
血清カリウム 頻度不明
血管痛 頻度不明
貧血 頻度不明
関節痛 頻度不明
霧視 頻度不明
頭痛 頻度不明
頻尿 頻度不明
顕微鏡的大腸炎(collagenous colitis 頻度不明
鼓腸放屁 頻度不明

薬物動態・作用機序

作用機序

18.1 作用機序

胃腺の壁細胞基底膜上の受容体へ、各種酸分泌刺激物質が結合することにより、壁細胞内において一連の胃酸分泌反応がおきる。この反応の最終過程では、壁細胞内からH+を放出し、代わりにK+を取り込むプロトンポンプと呼ばれる酵素H+,K+-ATPaseが働いている。オメプラゾールは、このプロトンポンプの働きを阻害するため、各種酸分泌刺激物質による胃酸分泌を強く抑制する28),29)。胃酸は血小板凝集を抑制し、上部消化管出血を増悪するため、オメプラゾールの強力な胃酸分泌抑制作用により、上部消化管出血が抑制されるものと考えられる。

18.2 H+,K+-ATPase阻害作用

ウサギ28)及びヒト30)の胃粘膜H+,K+-ATPaseに対し阻害作用を示した。

18.3 胃酸分泌抑制作用

  1. 18.3.1非臨床試験

ヒト分離胃底腺において、オメプラゾールは、ヒスタミン、dibutyryl cyclic AMP及びK+のいずれの刺激による胃酸分泌に対しても抑制作用を示した30)。 オメプラゾールは、静脈内投与により、麻酔ラットにおけるヒスタミン刺激31)、迷走神経切断ラットにおけるペンタガストリン刺激32)、Heidenhain pouchイヌにおけるヒスタミン刺激33)のいずれの刺激による胃酸分泌に対しても強い抑制作用を示した。また、Heidenhain pouchイヌへの7日間反復静脈内投与により、オメプラゾールの胃酸分泌抑制作用は増強した31)。

  1. 18.3.2臨床薬理試験

健康成人男子12例を対象にオメプラゾールとして10mg、20mg、30mg単回静脈内投与し、テトラガストリン刺激胃酸分泌に対する作用を検討したところ、胃液量、酸度、酸分泌量のいずれにおいても10mg群の抑制効果は弱く、20mg群と30mg群の抑制効果はほぼ同程度であった34)。テトラガストリン刺激酸分泌量に対する抑制率は、オメプラゾール10mg、20mg、30mgの単回静脈内投与で各々61%、93%、94%であった。

18.4 実験的胃出血、胃潰瘍及び十二指腸潰瘍に対する抑制作用

オメプラゾールは、静脈内投与により、寒冷拘束ラットにおける胃出血及び胃酸分泌を抑制した31)。その他、経口投与により、ラットにおける水浸拘束ストレス、幽門結紮、インドメタシン、アスピリン、プレドニゾロン、エタノール及び酢酸胃潰瘍、並びに、メピリゾール及び酢酸十二指腸潰瘍など、いずれの実験的潰瘍においても潰瘍発生抑制あるいは治癒促進作用が認められた33),35)。

18.5 胃内pH

健康成人男子6例へのオメプラゾールとして1日2回20mg又は30mgのいずれの静脈内投与においても24時間にわたり胃内pH上昇効果が認められた36)。また、健康成人男子及び胃、十二指腸潰瘍患者(合わせて11例)へのオメプラゾールとして1日20mg又は40mgの静脈内又は点滴投与のいずれにおいても、投与後12時間の胃内pH4以上維持の胃酸分泌抑制効果に差はみられなかった37)。

薬物動態

16.1 血中濃度

オメプラゾールの代謝には遺伝的多型があるため(「16.4代謝」の項参照)、血漿からの消失の速やかな個体群(Extensive metabolizer:EM)と緩やかな個体群(Poor metabolizer:PM)とに区分して解析した。日本人健康成人男子にオメプラゾールとして20mgを1日2回、6日間反復静脈内投与したときの薬物動態パラメータは以下の通りである1) 。


(例数)
投与回数 投与終了時の血漿中濃度
(µg/mL)
消失半減期(h) AUC0-∞
(µg・h/mL)
EM(7) 初回 1.83±0.83 0.66±0.24 1.00±0.27
EM(7) 最終回 2.15±0.75 1.22±0.47 2.51±0.92※
PM(3) 初回 2.00±0.38 2.52±0.52 4.87±2.08
PM(3) 最終回 1.65±0.35 3.50±1.01 5.88±2.74※

※:AUC0-12 平均値±標準偏差

オメプラゾールの消失半減期は、EMで約1時間、PMで約3時間であった。AUCは、EMに比してPMで約2~5倍大きかった1)。日本人健康成人男子に、オメプラゾールとして10~80mg(承認外の用量を含む)を静脈内投与後のAUCは、投与量に比例して増加した2)。 外国人のデータでは、健康高齢者(75~79歳)3)及び腎機能障害患者4)に、オメプラゾール(20mg)を静脈内投与後の消失半減期は、それぞれ約1時間、0.6時間で若年健康成人との間に顕著な差はみられなかった。また、肝硬変患者におけるオメプラゾールの消失半減期は、約2.8時間に延長した5)。

16.3 分布

  1. 16.3.1蛋白結合

オメプラゾールの血漿蛋白との結合率は、0.2~20µmol/Lの濃度範囲で一定であり、約96%であった6)。

16.4 代謝

外国人のデータでは、健康成人にオメプラゾールを経口投与したとき、血漿中の主代謝物はオメプラゾールスルホン及びヒドロキシオメプラゾールで、これらの代謝物はいずれも胃酸分泌抑制作用をほとんど示さなかった7),8)。また、ヒト肝ミクロソームによるin vitro試験の結果から、ヒドロキシ体及びスルホン体の生成にはそれぞれ主にCYP2C19及びCYP3A4が関与し、ヒドロキシ体への代謝クリアランスはスルホン体の4倍であると報告されている9)。 CYP2C19には遺伝多型が存在し、遺伝学的にCYP2C19の機能を欠損する個体(PM)は日本人を含むモンゴル系人種で13~20%、コーカサス系人種で3~4%と報告されている10)。PMにおけるオメプラゾールの緩やかな代謝は、他のプロトンポンプ阻害剤11),12)と同様である。

16.5 排泄

外国人のデータでは、14C標識オメプラゾールナトリウム10mgを健康成人に静脈内投与したとき、尿中には投与量の78%、糞中には19%の放射能が排泄され、主排泄経路は尿中であった13)。

16.7 薬物相互作用

外国人のデータでは、ジアゼパム、ワルファリン、フェニトインがCYP2C19により代謝されるため、オメプラゾールとの併用によってジアゼパム14)及びフェニトイン15)のクリアランスは、それぞれ27%及び15%低下し、ワルファリン16)の血中濃度は12%上昇したとの報告がある。